タイトルのとおりです。

 先日、『咲―Saki―』の実写版を見てきました。個人的な見解ですが、「とても良かった」と感じられるものに仕上がっていたと思います。以下、ネタバレありの感想がつづきますので未見の方はご注意ください。


◆気になったところ
ぶっちゃけた話、実写版のキャスト全員の演技を手放しに誉めることはできません。ドラマ版で感じた演技の固さ、ぎこちなさはそのまま。
 またシナリオや衣装などについても、どうだろう、と思うところはありました。たとえば京太郎の存在やいわゆる「部キャプ」要素が削られてしまったことを残念に思う人も少なくないと思いますし、衣ちゃんの髪が揺れるたびに地毛らしき黒髪が覗くところも気にかかりました。
 なおこれも衣ちゃん関係で申し訳ないのですが、「昏鐘鳴の音(こじみのね)が聞こえるか?」などの台詞は初見の人には意味不明でしょうし、下手をすると半分くらいの台詞の意味を取れない可能性も出てきそうなので、何とかならなかったのかな、と。「昏鐘鳴の音が聞こえるか?」という台詞と海底コースのときに流れるBGMがリンクしているってことは、原作読者と日本語に強い人だけが気付いてニヤッとすればいい要素なのかなどうなのかな。

◆非常に良かったところ
 ただ、実写版は実写版としてきちんと『咲―Saki―』として完成・完結していたように思います。
 この手の実写版を「コスプレ映画」と表現する向きもありますが、この実写版は、メイク技術などを駆使して容姿を最大限に原作に近づける「コスプレ」とは違う。『咲―Saki―』がもし三次元の世界だったら、キャラクターが生身の人間だったらどんな感じなのか。そのひとつの解釈を提示してくれた映画でした。
 
 リアルさを重視してか、キャストのメイクはかなり薄めです。顔や手もとが大写しになる場面も少なくなく、そのたびに原作のキャラクターにはない、キャストのそばかすや黒子などがはっきりと映し出されることになりました(これはキャストにとってもかなりしんどい要素だったのでは…みんなお肌に艶があってきれいでドキドキしましたが)。
 でも、それでも、キャストはちゃんと『咲―Saki―』のキャラクターだったのです。不器用ながらも三次元世界の四角い宇宙でキャラクターを一生懸命に生きて、最後の「麻雀を楽しむ」というゴールに駆け上ってゆく。そんな印象を受けました。
 原作への愛と、咲キャラを理解し、それを演じることを「楽しい」と感じる気持ち。それがいっぱいに詰まった、とても幸せな実写版だったのではないかと。
※追記。
この部分、本記事よりも先に公開された「ユズポニッキ」さんの記事「☆ #咲実写 映画二回目勢へ!咲女子が選ぶ!キャラの素敵♡ポイント☆」と共通する指摘を多く含んでいます。先行のブログ記事をきちんとチェックしておりませんでした。申し訳ありません。「ユズポニッキ」さんとブログ読者の皆様に深くお詫び申し上げます。


 あと、実写版でしか表現できないことをちゃんと表現してくれていたと思います。そのひとつが大将戦後半の咲さんの足。咲さんが靴と靴下を脱いだとき、その白いはだしの足に靴下のゴムの跡がうっすらと残っていました。キャストの肉体に刻まれた跡が「県予選の時間経過」と、半日以上靴下に締め上げられていた足の「解放」をリアルに伝えていたのです。これは実写版ならではって感じ。
 またこの靴下の跡の残る足は、咲さんの心を象徴するものとも解釈できます。解放されたばかりの心にはまだ「抑圧」されていたころの名残もある、ということなのかもしれません。それでも時間が経てば、靴下の跡と同じように心の傷も消えてゆく。そして前に向かって進んでゆくことができる、と。

◆ステルスモモの話
 そうだ。私は『咲―Saki―』の愛読者であると同時に、東横桃子を演じたあのちゃんが所属するアイドルグループ「ゆるめるモ!」のファンでもあります。ただし、あのちゃんのTwitterなどをフォローしている方はわかると思うのですが、彼女は人形のように整った愛らしい容姿の持ち主であるものの、精神的にあまり安定していません。あのちゃんにモモを演じることができるのか?咲読者は彼女の魂と肉体と声によって表現されたモモを受容することができるのか?など、公開前には心配が尽きませんでした。
 でも、あのちゃんが演じるモモは声がアニメ版の声優さんに似ているだけでなく、纏っている儚げでマイナスな空気も、そこはかとなく憂いを帯びた愛らしい表情も本当に「これぞモモ」と言いたくなるようなもので。そのうえ大将戦を観戦していたときのハイテンションと笑顔が最上級にかわいかったので大満足です。やばい。超かわいい。かじゅとの絡みも最高。というかどうやってこの子の心を開かせたんですか…かじゅ役の岡本さん。エンドロールのオフショットもかわいい。

※あのちゃんかわいいな、と思った方は以下のMVを見てください。
①ゆるめるモ!「夢なんて」


 『咲日和』の鶴賀ドライブ回を実写にしたらこんな感じだと思います。サビの歌詞がひどいとか言わない!
 
②ゆるめるモ!「ナイトハイキング」
 

 深夜にラジオを聴いたあと、星空を見上げてかじゅのことを考えながらコンビニに行くモモのイメージ。



◆咲さんとか透華様とかハギヨシの話
 つぎに咲さんの話をしていいですか。咲役の浜辺美波さんの肌の抜けるような白さと輝きが不思議な存在感を放っていたと思うんですよ。「美少女」の記号であるツインテールや巨乳、アトリビュートのぬいぐるみなどはすべて彼女ではなく和ちゃんの持ち物です。
 ただ、咲さんは和ちゃんとは別のベクトルでしっかり「美少女」で、主人公たるにふさわしい風格をしっかり備えていました。シェイクスピアが美しい女のなめらかな肌を「雪花石膏(アラバスター)」という真っ白な鉱物にたとえていたことが思い出されます。そして笑顔が本当にかわいい、というか美しい。

 それとモンブチの透華お嬢様&ハギヨシも良かったです。透華様はいちいち行動が面白くて愛らしくて素敵。それから一ちゃんの対局を見届けたあとの慈母のような表情…!
 ハギヨシは最後の透華お嬢様を導く手つきにぐっと来ました。あれは最高に執事でハギヨシでした。カッコよかったです!

 いいたいことは他にもたくさんありますが、長くなるので。
 とりあえず今日はここまで。最後まで読んでくださりありがとうございました。