さくやこのはな

まんがやアニメの元ネタっていうか、作品世界に織り込まれた神話・伝説・古典をゆるい感じで考察するよー。 いまのところ『咲―saki―』重点。忍殺もあるよ(予定)。

カテゴリ: 咲 -saki-


 こんにちは。あおいです。


 結論からいいます。『咲―Saki―』第170局[菓子]に登場したあのお菓子。菫がファンからプレゼントされた差し入れのお菓子のモデルが判明しました。
 今年のバレンタインデーや照の誕生日には間に合いませんでしたが、ホワイトデーのお返し、イベントの差し入れ、白糸台探訪のお土産などにご利用いただければと思います。宜しくお願いいたします。

 お店の名前は「エスプリ・ドゥ・パリ(パリの精神、くらいの意味)」。場所は三鷹です。武蔵野市役所のすぐちかく。

 公式サイトはこちら

 地図。

 では以下に、ここのお菓子が「照が食べていたお菓子」のモデルだと判断した根拠を示してゆきたいと思います。お菓子の写真が大量に出てくるので注意してくださいね。

①ホットチョコスプーン

 まず前回の記事でも言及した「ホットチョコスプーン」。ホットミルクの中でくるくる回して溶かし、ホットチョコレートを作るためのアイテム。
 ただし照の前にあったものは、スプーンの先に刺さったチョコレートが円柱形で、花のようなかたちの透明なケースに入っていました。対して前回の記事で示したものは立方体にちかい形。チョコレート部分は袋の中で剥き出しになっています。

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 ところが、エスプリ・ドゥ・パリの同名商品を見てください!(九州で行われた去年のバレンタインフェア関係のツイートですね)


 なんと形状が一致するんだぜ。
 そして、いろいろ調べたりデパートのバレンタインフェアに足を運んだりしたのですが、同じような形のホットチョコスプーンを他に見つけることはできませんでした。



②焼き菓子の包装

 まず、照がモックモックむさぼっていた焼き菓子群。

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 そしてこれがエスプリ・ドゥ・パリの焼き菓子。

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 クッキーの袋に貼られたシールの模様や、フィナンシェやダコワーズの袋のシールの位置などが共通していることがわかるでしょうか。
 
 それと、ホットチョコスプーンの右にあるのはこのへんのマカロンかな。なんか下の方にトマト味のマカロンが見えますね。リチャードソンには悪いけどこれならカレーに合うかもしれないのよー。

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 いかがでしょうか。完全に同じとはいえないかもしれませんが、照が食べていたお菓子にかなり似た感じの包装だということがわかっていただけたと思います。…ファンの子が三鷹あたりに住んでいる、という設定なんでしょうか。

 というわけで本日は、「モックモックという擬音のせいで照がヨックモックのクッキーを食べている気がしていたが、特にそんなことはなかったぜ!」というお話でした。

 あとちょっとだけ追記。『シノハユ』最新話で慕ちゃんが大感激して食べていたのは「オペラ」というケーキです。洋酒を沁みこませたスポンジとコーヒークリーム、チョコレートクリームを何層にも重ねたちょっと大人な味のケーキ。こないだ食べたものの画像を載せておきます。
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 幼かった少女は日々大人になり、髪が伸び、心も体も味覚も変化してゆく。大人の味のスイーツが理解できるようになった慕ちゃんが、おじさんや大好きなお母さんとお酒を酌み交わせるようになる日も近い…のかもしれません。


 以上です。 

 実写版の興奮冷めやらない今日この頃、みなさまお元気でしょうか。
 考察のネタがないとはいえ、ずっとブログを更新しないで放置しておくのってどうなの…という気持ちになったので、白糸台の話でもしようと思います。


◆白糸台の寄せ集めチーム

 好きです。
 みんなまだあまり仲良くなっていないようなので、とりあえず水着などを持ってどこかに行くところからはじめませんか。


・渡辺琉音(3年)
 ギャルっぽい外見なのにスクールバッグも盛らずスマホを剥き出しのまま使っている、そこはかとなくアウトローな感じの渡辺先輩。でもきっと根はいい子。
 名前が「るね」であるところもいいですね。DQNネームなのか、デカルトやマグリットを意識した高尚な名前なのか。ただ本人は絶対この名前が嫌いだと思いますし、宇野沢さんがプリクラに「しお&るねセンパイ♡」って書くとすごく機嫌が悪くなると思います。

・宇野沢栞(2年)
  高身長、おもち、ぱっちりした目、長くカールした睫毛、八重歯、ミニスカから伸びる素敵な太腿、という非の打ち所がない宇野沢さん。ヴァンプ系の魅力。ボーダーのビキニを着ないで何を着る。ビーチボールも持ってください。合宿回やプール回で無駄に活躍しそうです。

・沖土居蘭(3年)
 ボーイッシュな外見とは裏腹に気弱でしょっちゅう涙目になる沖土居さん。しかし意外に水着は大胆なのでは(憶測)。チャラいリゾートに競泳水着で来てしまうような、謎の空気の読めなさを発揮してもいいと思います。
 あと、渡辺と学年が同じなのでもっと仲良くなってほしいですね。たぶんこれまで「同じ部活」であること以外に接点はなく、クラスが同じになってもほぼ会話することもなかったと思うんですが。渡辺は沖土居さんに対して「ったく、オドオドしやがって」「そんなんだから貧乏くじばっか引くんだよ」などと思っていて、沖土居さんは渡辺のことを怖がっていそうです。
 ただ今回のことで少しは自信がついたでしょうし、渡辺の人間性も理解できたでしょうから、頑張って仲良くしてみればいいと思うんだ!!!!!!

・棚橋菜月(2年)
  前の三人と比べると全体的に地味で控えめな子。ただ、その地味なかわいさがボディブローのようにじわじわ効いてきます。
  感情を表面に出すことは少ないのですが、スカウトされたときに少しだけ頬に赤みがさしていました。また、寄せ集めチームが圧勝したときに他のメンバーが全身で喜びを表現しているのに対し、彼女は小さくガッツポーズ。感情を表出することに慣れていないのかもしれません。そこがかわいい。…かわいくない?
 しかし彼女はいったい心の中でどんなことを思い巡らせているのでしょうか。彼女の視点から描かれた、宮永照の物語を読んでみたいなあ…と思ったりします。


◆照菫について

 現在「こういう照と菫の出会いと『積み重ね』を読みたかった」と思っていた物語で殴られている感じです。そう、こういうのが読みたかったんです。もっとください。
 照は、照魔鏡の能力を使うことにより相手の性格や人間性を一瞬で見抜いてしまう。この能力ゆえに、彼女は人間と時間をかけて対話する、地味に向き合う、ということをあまり行ってこなかった(というか行うことができなかった)のかもしれません。照魔鏡にうつしだされた情報をふまえて、自分にとって「安全」な関係性だけを選択してきたのかも。
 活字を追い、ページを繰らなければ筆者の主張や登場人物の心情が見えてこない「本」を好むのは、照魔鏡を使わずに人と向き合いたい、という彼女の無意識の欲望の発露なのでは…というのは深読みにすぎるでしょうか。
 でも人間は変わることができるし、予想を超えてくることだってある。それをこれから菫さんや寄せ集めチームのメンバーが教えてくれるのかもしれないですね…?

 あと、菫さんが照にあげたこのお菓子(スプーンに刺さったチョコ)なんですが、

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 これは普通に齧って食べるんじゃなく、ホットミルクの中でくるくる回してホットチョコレートを作るためのものです。「チョコレートカンパニー」というブランドの「ホットチョコスプーン」って商品に似てますね。

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 この「ホットチョコスプーン」、ここで買えますのでバレンタインのプレゼントやイベントの差し入れなどにもどうぞ。
 そして、こちらについても誰か、正しい知識を教えてあげてください…。 

 タイトルのとおりです。

 先日、『咲―Saki―』の実写版を見てきました。個人的な見解ですが、「とても良かった」と感じられるものに仕上がっていたと思います。以下、ネタバレありの感想がつづきますので未見の方はご注意ください。


◆気になったところ
ぶっちゃけた話、実写版のキャスト全員の演技を手放しに誉めることはできません。ドラマ版で感じた演技の固さ、ぎこちなさはそのまま。
 またシナリオや衣装などについても、どうだろう、と思うところはありました。たとえば京太郎の存在やいわゆる「部キャプ」要素が削られてしまったことを残念に思う人も少なくないと思いますし、衣ちゃんの髪が揺れるたびに地毛らしき黒髪が覗くところも気にかかりました。
 なおこれも衣ちゃん関係で申し訳ないのですが、「昏鐘鳴の音(こじみのね)が聞こえるか?」などの台詞は初見の人には意味不明でしょうし、下手をすると半分くらいの台詞の意味を取れない可能性も出てきそうなので、何とかならなかったのかな、と。「昏鐘鳴の音が聞こえるか?」という台詞と海底コースのときに流れるBGMがリンクしているってことは、原作読者と日本語に強い人だけが気付いてニヤッとすればいい要素なのかなどうなのかな。

◆非常に良かったところ
 ただ、実写版は実写版としてきちんと『咲―Saki―』として完成・完結していたように思います。
 この手の実写版を「コスプレ映画」と表現する向きもありますが、この実写版は、メイク技術などを駆使して容姿を最大限に原作に近づける「コスプレ」とは違う。『咲―Saki―』がもし三次元の世界だったら、キャラクターが生身の人間だったらどんな感じなのか。そのひとつの解釈を提示してくれた映画でした。
 
 リアルさを重視してか、キャストのメイクはかなり薄めです。顔や手もとが大写しになる場面も少なくなく、そのたびに原作のキャラクターにはない、キャストのそばかすや黒子などがはっきりと映し出されることになりました(これはキャストにとってもかなりしんどい要素だったのでは…みんなお肌に艶があってきれいでドキドキしましたが)。
 でも、それでも、キャストはちゃんと『咲―Saki―』のキャラクターだったのです。不器用ながらも三次元世界の四角い宇宙でキャラクターを一生懸命に生きて、最後の「麻雀を楽しむ」というゴールに駆け上ってゆく。そんな印象を受けました。
 原作への愛と、咲キャラを理解し、それを演じることを「楽しい」と感じる気持ち。それがいっぱいに詰まった、とても幸せな実写版だったのではないかと。
※追記。
この部分、本記事よりも先に公開された「ユズポニッキ」さんの記事「☆ #咲実写 映画二回目勢へ!咲女子が選ぶ!キャラの素敵♡ポイント☆」と共通する指摘を多く含んでいます。先行のブログ記事をきちんとチェックしておりませんでした。申し訳ありません。「ユズポニッキ」さんとブログ読者の皆様に深くお詫び申し上げます。


 あと、実写版でしか表現できないことをちゃんと表現してくれていたと思います。そのひとつが大将戦後半の咲さんの足。咲さんが靴と靴下を脱いだとき、その白いはだしの足に靴下のゴムの跡がうっすらと残っていました。キャストの肉体に刻まれた跡が「県予選の時間経過」と、半日以上靴下に締め上げられていた足の「解放」をリアルに伝えていたのです。これは実写版ならではって感じ。
 またこの靴下の跡の残る足は、咲さんの心を象徴するものとも解釈できます。解放されたばかりの心にはまだ「抑圧」されていたころの名残もある、ということなのかもしれません。それでも時間が経てば、靴下の跡と同じように心の傷も消えてゆく。そして前に向かって進んでゆくことができる、と。

◆ステルスモモの話
 そうだ。私は『咲―Saki―』の愛読者であると同時に、東横桃子を演じたあのちゃんが所属するアイドルグループ「ゆるめるモ!」のファンでもあります。ただし、あのちゃんのTwitterなどをフォローしている方はわかると思うのですが、彼女は人形のように整った愛らしい容姿の持ち主であるものの、精神的にあまり安定していません。あのちゃんにモモを演じることができるのか?咲読者は彼女の魂と肉体と声によって表現されたモモを受容することができるのか?など、公開前には心配が尽きませんでした。
 でも、あのちゃんが演じるモモは声がアニメ版の声優さんに似ているだけでなく、纏っている儚げでマイナスな空気も、そこはかとなく憂いを帯びた愛らしい表情も本当に「これぞモモ」と言いたくなるようなもので。そのうえ大将戦を観戦していたときのハイテンションと笑顔が最上級にかわいかったので大満足です。やばい。超かわいい。かじゅとの絡みも最高。というかどうやってこの子の心を開かせたんですか…かじゅ役の岡本さん。エンドロールのオフショットもかわいい。

※あのちゃんかわいいな、と思った方は以下のMVを見てください。
①ゆるめるモ!「夢なんて」


 『咲日和』の鶴賀ドライブ回を実写にしたらこんな感じだと思います。サビの歌詞がひどいとか言わない!
 
②ゆるめるモ!「ナイトハイキング」
 

 深夜にラジオを聴いたあと、星空を見上げてかじゅのことを考えながらコンビニに行くモモのイメージ。



◆咲さんとか透華様とかハギヨシの話
 つぎに咲さんの話をしていいですか。咲役の浜辺美波さんの肌の抜けるような白さと輝きが不思議な存在感を放っていたと思うんですよ。「美少女」の記号であるツインテールや巨乳、アトリビュートのぬいぐるみなどはすべて彼女ではなく和ちゃんの持ち物です。
 ただ、咲さんは和ちゃんとは別のベクトルでしっかり「美少女」で、主人公たるにふさわしい風格をしっかり備えていました。シェイクスピアが美しい女のなめらかな肌を「雪花石膏(アラバスター)」という真っ白な鉱物にたとえていたことが思い出されます。そして笑顔が本当にかわいい、というか美しい。

 それとモンブチの透華お嬢様&ハギヨシも良かったです。透華様はいちいち行動が面白くて愛らしくて素敵。それから一ちゃんの対局を見届けたあとの慈母のような表情…!
 ハギヨシは最後の透華お嬢様を導く手つきにぐっと来ました。あれは最高に執事でハギヨシでした。カッコよかったです!

 いいたいことは他にもたくさんありますが、長くなるので。
 とりあえず今日はここまで。最後まで読んでくださりありがとうございました。 

 おひさしぶりです。ご無沙汰しております。もう年末ですね…すみません。

 さて、皆様はドラマ版『咲―Saki―』をご覧になられたでしょうか。 元ドルオタで今でもときどきアイドルの曲などをチェックしている私は、最近ちょっと気になっている子が出るときいてドキドキです。ただキャラのイメージと合っているかは微妙なところなので、とりあえず映画を見てから判断しようかと思っています。

 あと16巻の単行本特典も出揃ってきましたね。シズアコとニワチョコという組み合わせが大好きな私はメロブの特典にかなり心惹かれています。みんな美脚でかわいいですね。
 でもユキちゃん、なんで原村母娘と一緒におそろいのビキニで海水浴をしているの?どういう状況なの?あとユキちゃんが手に持っているのがスタバの容器に見えますが、ここはいったいどこなのでしょうか…。

 閑話休題。
 ここ数年、天江家と龍門渕家を舞台にした陰鬱な話を読みたい、とずっと思っていたのですが、探してみてもあまり数がないので自分で書くことにしました。思いついたら吉日ということで、ときどきブログで連載していこうと思います。読みたいことを好きなように書いたので完成度は高くありません。
 しかも私は書いているうちに唐突に飽きるので、途中で投げたらごめんなさいです。


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「私が読みたいだけの龍門渕物語・第一話 蛙の餌は生きた虫」


 天江衣は器用に竹製のピンセットを操り、プラケースの中で飼われている蟋蟀(こおろぎ)を捕まえては紙コップの中に入れる。ぽとり。それからもう一匹、ぽとり。
 
 蟋蟀は空を飛べないから、深いコップの中から逃げ出すことができない。そしてサプリメントの白い粉にまみれ、自由に動くこともままならず――ふたたびピンセットに捕まえられて蟾蜍(ひきがえる)の口の前に差し出される。てらてらと土色に輝く蟾蜍は大口を開け、ぱくりとそれを喰らった。
 
「足ずりをして鳴けどもかひなし、というわけだ」

 衣はコップのなかでもがくもう一匹の蟋蟀に向かって言うと、それを摘まんで蟾蜍に差し出した。
 

 あの家に住んでいたころ、衣の友達は庭に棲むこの蟾蜍、嫦娥(じょうが)と、目の覚めるほどに真っ青な尾をした蜥蜴だけだった。とはいえ、彼らは無償の愛をささげてくれる存在ではなかった。二匹は供物を求めた。飛蝗や蟋蟀、団子虫に蚯蚓。虫を取ってきて供物として捧げれば、彼らは衣のそばに来てくれた。ほんの、須臾の間だけ。

 しかし龍門渕の整然と手入れされた庭には農薬か何かが撒かれていたようで、蛙も蜥蜴もいなかった。なんだか悲しくなって、嫦娥に会いたいと言ったら、ハギヨシが捕まえて、こうして水槽の中に入れてくれた。自由を失った嫦娥だが、敵がいないこの場所はそれなりに住みよいようで、衣が与える蟋蟀を食してご満悦だ。
 
 嫦娥はこの硝子の水槽から逃げない。逃げられない。
 そしてもし水替えもせず、餌も与えなければ――嫦娥はこの中に閉じ込められたまま病に苛まれ、飢餓に苦しみ死んでゆく。
 いまの衣は嫦娥を支配する立場にあった。あの家に住んでいたころとは、何もかもが変わってしまったのだった。
 そして、衣を支配するのは――
 彼女は窓の外を見る。この牢獄のような薄暗い離れから少し離れたところにある、龍門渕の本宅。その当主である蛇のような目をした男と、彼の娘のことを考える。柔らかく波打つ金髪を揺らめかせて庭を走り回り、家族やメイドに囲繞されて笑うあの娘のことを。

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「私が読みたいだけの龍門渕物語・第二話 透華父はホラー映画が苦手」

「お義父さん。仰っていた巻物というのはこれですか?」
 龍門渕統太はそう言って、テーブルの上に細長い木製の箱を置いた。蓋の中央には薄い和紙が貼られ、上に「りうもんふち」と書かれている。
 
「ああ、うん。――どこにあったの」
 彼の義父である槻夫はおっとりとたずねた。
 
「天江の自宅の書斎です。金庫の中に入っていました」
「研究室ではなくて?」
「あの男はこれを誰にも見せなかったようですね。助教や院生などに聞きましたが、そんな巻物は知らないと」

 しばらく槻夫は黙っていたが、そういえば君、中を見た?と統太に問いかける。
「いえ。箱に『りうもんふち』という紙が貼られていたので、お義父さんが探していらっしゃったものだろうと思ったまでです」
 和風ホラー映画に出てきそうだ、とか、なんだか不気味だ、とかいう理由で箱を開けられなかったのは内緒だ。
「なるほど」
「恐ろしいモノなんですか?」
「いいや。五百年ほどまえに作られた、ただの物語絵巻だよ。文章もそんなに高尚じゃない。今風にいえば、ライトノベルか漫画か、というところだ」

 槻夫は箱を開け、小ぶりで細い巻物を取り上げる。その紐を解いて広げると、流麗な墨の文字があらわれた。少しだけ虫食いがあるが、保存状態はかなりいいようだ。さらに広げるとあらわれるのは唐風の装束を着た天女のような女性の絵。典型的なやまと絵、引目鉤鼻の顔立ちだが、結い上げて簪をいくつもさした髪は墨ではなく金泥でいろどられている。そして、その天女の前には双六盤と賽子があり、そして黒髪を背に流した十二単の姫君の後ろ姿が墨一色で描かれている。
 双六盤をはさんで、金色に輝く天女とモノクロームの姫君とが対峙している。そんな、不可思議な絵だ。
 
「天江くんによれば、この絵はそんなに上手くはないらしい。プロではなく『ちょっと絵の上手い女房』あたりが書いたものだそうだ。しかも完本じゃなくて断簡だから」
「だんかん」
「前半の一部しか残っていないんだよ。龍門渕に住む長者の姫君はたいそう美しいが男を寄せ付けず、若い女房を集めて囲碁や双六といったゲームにうつつをぬかすばかり。誰かのことみたいだね」
「透華には――よく言っておきます」
「別に責めてるわけじゃない。それはともかく、この姫君が八月の十五夜に満月の下でうたた寝をした夢に天女を見る。天女は姫君に双六の勝負を求め、姫君はそれに応じるが、負けてしまう。翌年も、その次の年も勝負をするが、姫君は天女に勝てない。物語はここで切れている」
「切れているとは」
 
 槻夫は統太に絵巻の最後の部分を見せた。文章の途中とおぼしきところで紙がすっぱりと断ち切られ、そのあとには白紙が継がれている。そのあとも物語がつづくだろうことは、紙の端にところどころ見える次の行の文字の断片から推測できるのだが――いったいなぜここで切られてしまっているのか。龍門渕の蔵の中に眠る謎の絵巻という出自や亡き天江の行動と相まって、なんだか禍々しい雰囲気さえある。しかもその主人公の行動ときたら、自分の娘である透華そっくりで――
 統太は目を塞ぎたくなる。
 
「この物語のつづきは、どこに行ったんでしょうか」
 額ににじむ汗を拭いてから、統太は義父にたずねる。 
「天江くんにそれを探してもらうつもりだった。この絵巻の残りの部分じゃなくてもいい。同じ内容の物語がどこかに伝わっていて、これにつづく内容が記されているかもしれない、と思ったから。しかし、私がもう探さなくていいと言っても、彼は絵巻を返してくれなかった。何度も催促したんだけど、『確認したいことがあるからもう少し貸してくれ』って。それで、そのまま」
孫がいる年齢の男とは思えないほどに若々しい、整った白い顔がかすかにゆがむ。

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 こんにちは。気付いたらブログが10万ヒットを超えていました…。年に数度しか更新しない当ブログをチェックしてくださっている皆さま、ほんとうにありがとうございます。できるだけ更新をつづけられるよう頑張りますので、今後とも宜しくお願いいたします。

 さて、本日発売の『ビッグガンガン』2016年8月号から、電子書籍版の配信がはじまりましたね!『怜―Toki―』『シノハユ』『咲日和』の3作品を、深夜に楽しまれたかたも多いのではないでしょうか。これで「どこの本屋に行ってもBGが見当たらない」問題が軽減するかと思うと嬉しい限りなのですが、電子書籍の購読者が増えてしまうと、物理書籍(忍殺ふうの言い方)を書店に注文するひとが減少し、入荷数がかなり減ってしまう可能性があるのがちょっとこわいかなと思っています。なぜなら電子書籍にはふろくがつかないから……!
 咲関係のふろくがついているときだけAmazonで物理書籍を購入すればいいのかもしれないですが、地域の本屋さんにBGが見当たらなくなるのも寂しいことですし…まあ電子書籍と物理書籍両方買えば問題ない、いいね?

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↑唐突に『シノハユ』聖地・名古屋大学前のポケストップ分布状況を貼っておく。豊田講堂前もちゃんとポケストップになってます。


 さて、細かい感想はあとで書くとして、

 第三局の怜ちゃんのこのワンピース、


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彼女が愛用している(親に持たされているのかもしれないけれど)ブランドであるところのファミリアのサイトを見ていたら同じようなデザインのワンピが出てきたのですが、
http://www.ec.familiar.co.jp/products/detail.php?product_id=33091

http://www.ec.familiar.co.jp/products/detail.php?product_id=33093


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 よんまんっ…??????

 なにこれ。いや、私もこれくらいの価格帯の服は持ってるよ?でもそれは大人の服だから、手入れして何年も着つづけよう!って気持ちで買うのであって、すぐに大きくなるし学校で汚すことも少なくないだろう、小学生の通学用の服としてこれを買ってあげてる園城寺両親ってすごいなあと思うよね?
 あとタッパーに入った煮物も子供が喜びそうなかわいい飾り切りにしてあって、園城寺母、仕事で娘とあまり関われないもののすごく頑張ってる感じがします。怜ちゃんはとても大事に育てられた娘さんなんですね…




 なお、扉絵のペットボトルホルダーも同じブランドに似たようなデザインのものがありましたのでご報告。こちらは5000円しませんよ!安いですね!(金銭感覚が崩壊した)
http://www.ec.familiar.co.jp/products/detail.php?product_id=101472

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