2007年03月11日

6.卒業

「卒業しましょう?」
 笑顔で言われた。
 他の人を好きになってしまったの、と今度は少し大人びた風に彼女が言った。
 それが、はじめて見る薄化粧のせいなのか、それとも入学した高校の先輩に恋をしたという事実のせいなのか。僕は知らない。けれどやはり、彼女は彼女だから。大人を真似るのにはまだ少し無理があって。それは酷く不恰好に見えた。
 それでも。僕は彼女に見惚れていた。もしくは、気を利かせて見惚れていたのかも知れないけれど。
「さようなら」
 黙っている僕に彼女は口元を僅か吊り上げて微笑うと、手を差し出して来た。その仕草だけは不思議と似合っていて。彼女はやはり、少しだけ大人になったのかも知れないと思い、少しだけ切なくなった。
 だけど。感情の揺れは結局それだけで。僕は僕で多分彼女よりも好きな人が出来ているから、心が痛むことはなかった。
「さようなら」
 だから。僕も笑顔で言うと、彼女の手を握り返した。
 僕は最早彼女を見るフリで、その後ろで風に舞う桜の花びらを眺めていた。


***
BGMは『プライマル。』THE YELLOW MONKEY
私は何が書きたかったのだろう。
高校が離れて別れた中学生は何組いるのだろう。
卒業のときに告白する人は何人いるのだろう。
離れること前提での告白は卑怯だと思う。や。在学中の振られたあとのぎこちなさはアレだけれど(笑)。でも、駄目でももう会わないしいいか的な考えは好きじゃない。
卒業といえば桜をイメージしそうだけれど。小学校の卒業式なら暖冬なら桜もありだけれど。高校や大学の卒業式だと梅がギリギリだと思う。
川本真琴の『桜』で歌詞小説を書きたい今日この頃です。

heat0haze at 22:30コメント(0)SHORT STORY  

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成瀬 晶
20代半ば。B型。フリーター。
音楽と観劇と猫が好き。

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