・・・1月30日・文句さんとの特別対談・・・
072
なので
【たった今の最大関心事】
【女装】なのではないか…というコトで
若菜と監視チームの意見が一致しました。


(まあ…間違いじゃ…ねえようだが、な。)


共通の趣味を見つけるには
時間も根気も要ります。
救済計画】は、待ったなしなのです。


(そうだな。)


孝と若菜が、共通の趣味を見つけるまでの間
孝の【たった今の最大関心事】
見逃さずに拾い上げて
それについて
若菜積極的なコミュニケーションを重ねる
…という手法が
繋ぎとして、最も有用であると判断されました。


(んなコト、言ったってよぉ~。
 【たった今の最大関心事】を
 見逃さずに拾い上げる…?…
 それって結構大変なコトなんじゃねえのか?)


そうなんですよね~。
日に何度も変わるかも知れませんし
若菜と監視チームの責任は重大です。


(げげ~。疲れる仕事だな~。
 それに…何だって?
 それについて、若菜ちゃん
 積極的なコミュニケーションを重ねる…?…
 おいおい。
 いくらデキた娘だからといってもな
 若菜ちゃんは、20歳の女の子なんだぜ?
 負荷かけ過ぎなんじぇねえのか?)


それじゃあ、誰が
コミュニケーションを重ねるんですか?
救済計画】が成功するも失敗するも
若菜の双肩にかかっているのです。


(やれやれ。)


孝にとっての若菜の地位を
【大恩人】から【パートナー】に変えて
【何でも話せる女の子】として
ともに生活する存在にしなければなりません。


(ちょっと安直じゃねえか?)


今日のトコロは
【女装】を通して一緒に考え
【女装】を通して一緒に行動し
【女装】を通して一緒に学び
【女装】を通して一緒に遊ぶという方法が
急遽決定されたのでした。


(だからって…【女装】かぁ?
 ちょっと安直な気もするがな。)


確かに安直なのですが
何もせずにいれば
何も見えてこないのもまた、事実です。


(確かにな。)


一番大事なのは、暗中模索でも前に進むコト。
若菜が、孝と一緒に考えて
若菜が、孝と一緒に行動して
若菜が、孝と一緒に遊ぶコトなんです。


そもそも救済計画】以前のハナシとして
人と人のコミュニケーションって
そういうモノじゃないでしょうか?


(なるほど。確かにな。
 何となく判ってきた気がするぜ。)


若菜と監視チームの、そんな目論見を
より一層判ってもらう為に
私も、つまらない女装に
大量の文字数を費やした訳です。


(そうだったか。)


孝が、ケン太くんを思い出してくれたのは
若菜と監視チームにとって、嬉しい誤算でした。
おかげで【大恩人】から、【パートナー】
大きく、近づいたのです。


(なるほどな。)


すっかり長くなりましたね。


(俺様としては…
 の女装なんて
 今日だけの戯れだと思うのだが…。)


そしたら、そしたで
その都度、新しいテーマを考え出していきます。


(御苦労なハナシだな。)


親が子供の様子を見ながら育むように…。
それが救済計画】なのです。
福井県版【かみなり】
そういう覚悟で臨んでいます。
交代制の監視チームには
臨機応変な裁量も与えられているんです。


(ってコトは、今も、ドコかで、見てるのか?)


もちろんです。
お話に戻りましょう。


若菜が、どんどん歩いてゆきます。
の網膜に映る若菜が、どんどん小さくなって
行き交う人の中に埋もれてゆきそうです。


それだけのコトで
どうしてこんなにも寂しいのでしょう?


でも、185cmという長身なので
後頭部だけが飛び出していて
決して見失うコトはありません。


それだけのコトで
どうしてこんなにも安心なのでしょう?


(離れられなくなってきた証拠か?)


(あ、あの男の人、ママをじっと見てるわ。
 あの人も、あの人も、ママを見てるわ。
 あ、すれ違ったあの人
 わざわざ振り返ってまで、ママを見てるわ。)


若菜が注目を集めれば集めるほど
嬉しくて誇らしい気分になるのに
同時に、寂しくて、悲しい気持ちになるのは
いったい、何故なのでしょう?


(早えハナシが、嫉妬だろ?)


喫茶店の前に到着した若菜が振り返り
にこやかな笑顔でポンポン弾んで
を手招きします。


それだけのコトで
どうしてこんなにも嬉しいのでしょう?


(判りやすい奴だな。)


1秒でも早く若菜に抱きつきたくて
走り出しそうになります。


(あ、いけない。
 ママが、ゆっくり歩いてって言ってたわね。)


わわわっ!?
いきなり、若い男性が、を見つめています。


(ホントかよ?)


あ、今度は、少し中年っぽい男性が
の脚を見ています。
あれれ?
学ランを着た高校生が
に熱い視線を送っています。


(ホントにホントなのかよ?
 オカマが物珍しいだけなんじぇねえのか?)


も一応オトコなので、判ります。
あれは、ブサイクなキワモノを見る
視線などでは、断じてありません。


いい女を見つけた時
オトコはみんな
こういう熱い視線を送るモノです。


それだけのコトで
どうしてこんなにも嬉しいのでしょう?
そして
どうしてこんなにも恥ずかしいのでしょう?


チンチンは、大きくなったままです。


(げ。)


両手を開いて、温かな笑顔が待っています。
若菜の胸は【観察ごっこ】のゴールなのです。


「きゃぁ~。恥ずかしかったわぁ~。」


飛び込んだを、若菜が抱きしめてくれました。


「孝子ちゃん、とっても素敵だったわよぉ~。」


ふわりと柔らかな身体、うっとりする香り…。


(私の帰るトコロなんだわ。)


若菜が、また一段と、身近に感じられました。


(何だか、もろもろ、成功したみたいだな。)


喫茶店の前で、きゃぴきゃぴしながら
手を取り合って弾んでいる若菜
周囲から見て
年の離れた姉妹のように映ったかも知れません。


どっちがどれだけ注目を集めたかなんて
もう、どうでもよくなっています。
幼い頃に一緒に遊んでいたケン太くん
こんなにも楽しい【ごっこ】ができたのですから
それだけで、大満足なのでした。


(ああ、女装して、本当に良かったわ。
 クセになりそう…。)


(このままじゃ
 【オカマ育成計画】になっちまうぞ~?~)


文句さん、上手いコト言いますね~。
確かに、紙一重って感じ、しますよね~。


「あの…お姉さん
 ちょっと、お時間、よろしいでしょうか?」


その時でした。
30代と思しき見知らぬ男性から
突然、声をかけられたのです。


(うわ。何だろう?)


「何でしょうか?」


を守るようにして、若菜が素早く前に出ます。


「あ、妹さんではなく、お姉さん…」


「私達、急ぐんです。」


渡された名刺を見ると
【〇〇ホテル ブライダル課】の文字が見えます。


「今度、私どものホテルの結婚式場で
 模擬結婚式と模擬披露宴を予定しているのですが
 その花嫁役として
 
お姉さんに、御出演願えないかと…。」


(な、な、何だってぇ~。
 痩せギスオトコの女装だって
 どうして気づかないんだ?)


事実、孝の女装って
ナカナカのモノだったようですよ。


の野郎、それほどイイ女に化けてるのか?)


ああ、何というコトでしょう。
全身から血の気が引いてゆく思いです。
チンチンが、一瞬にして、小さくなりました。

「かっ…考えておきますっ。」


若菜が、の手を引いて
混雑する商店街の中を、走りだしました。


(…あ。)


自分の手を引いて走る若菜の小さな背中に
今一度、ケン太くんがダブります。


(そういえば…
 何かと弱虫だった自分を
 ケン太くんは、いつも守ってくれた…。)


(こんなふうに手を引いて
 走ってくれたコトもあった…。)


(あれは…?…)


(そうだった。
 近所のシェパードに吠え立てられて
 僕が泣いた時だったっけ。)


の中で、若菜
完全に【大親友】に重なりました。


(何だか判らねえウチに大成功じゃねえか。)


ホントですね~。
ちなみに、声をかけてきた

【〇〇ホテル ブライダル課】の男性は
監視チームの1人です。


(うわ。それじゃあ自作自演だったのか。)


ダメ押しだったそうです。


「きゃはははっ\(^o^)/」
「きゃはははっ\(^o^)/」


商店街を抜けたトコロで立ち止まり
2人で手を取り合って、弾み合って、大笑いです。


商店街を振り返ってみます。
もう、大丈夫です。
さっきの男の人は、もう、見えません。


「ナンパされちゃいましたね。」


「え?今の、ああゆうのも、ナンパなのかしら?」


実は
この瞬間まで、よく判っていませんでした。


「立派なナンパですよ~。
 あんな名刺、いくらでも偽造できますからね。」


はい。確かに偽造でした。


(やれやれ…。)


「ほえ~。」


「孝子ちゃん
 ナンパされるくらい、美人さんなんですね。」


この、何ともいえない満足感は
いったい何なのでしょう?


この時、偶然の奇跡がありました。


(何だよ?)


「ねえねえ。私達、大親友かしら?」


が、思わず、尋ねてしまったのです。


「何を言ってるんですか。
 大親友に決まってますよ。」


まるで、あたりまえであるかのような即答が
の心を揺さぶります。
若菜の笑顔が、ケン太くんと、完全合致しました。


(ありゃま。)


「…ああ。」


が腰砕けにしゃがみ込みます。


「どうかしましたか?大親友。」


「!!」


は、若菜の下半身を抱きしめて顔をうずめます。


(助平っ!!)


「わわっ!?人が見てますよ?
 …ま、いっか。大親友ですものね。」


(ダメ押しか。)


「やっぱり、ママと呼ぶの、やめていい?」


よくよく考えてみたら
欲しかったのはママじゃなくて大親友でした。


「あ、ママは、ママ
 これからも、ママでいてほしいんだけど
 ママは、ママじゃなくて、大親友だったから…。」

(面倒臭ぇな~。)

「何て呼んでくれるんですか?」


「…若奈ちゃん。」


「わぁ~お。嬉しいですっ。」


(また一歩、進んだってコトなのかな?)


若菜ちゃん若菜ちゃんと呼ぶのは
あたりまえで自然なコトなので
進んだというより、戻った感じもしますよね~。


(ぐちゃぐちゃで、訳が判らん。)

でもまあ、充実してそうだから
良いのでしょうね~。


(そうだな。)

見知らぬ通行人にジロジロ見られるのが
気にならないといえばウソになりますが
若菜は、敢えて、を振りほどかずに
頭や背中を、ゆっくりと撫でてあげていました。


は、若菜の下半身に顔をうずめたまま
大きく深呼吸をします。


肺いっぱいに吸い込んだ若菜の空気が
この上もなく愛しいです。


日向の匂いがします。
大親友の匂いです。


(何か、マンガみたいに
 良い方向に進んでるじゃねえか。)


「あと3分くらい歩いたら
 歯医者さんに着きますよぉ~。」


若菜の言葉をきっかけに、が立ち上がりました。


「うんっ。元気出たわっ。」


近くに小学校があるのでしょうか?
下校中と思しきランドセル族を
何人か見かけます。


それ以外の通行人は、あまり見かけません。
車の通りもまばらです。


2人は、堅く手を繋いで、歩きだしました。


(女の格好って、楽しいわぁ~💛
 明日も明後日もその次も
 
若菜ちゃんに頼んで、女の格好を楽しもっと。)


(え?おいおい…。)


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