・・・1月30日・文句さんとの特別対談・・・
072
セクション02~10については
対象者が見つかった時もバラバラで
セクション10の対象者は
セクション01の若菜が出会って1年後でした。


セクション10のセカンドフェイズには
1年を要しましたので
若菜は2年間も
セカンドフェイズを過ごしたコトになります。


それぞれ状況も進行も多種多様ですが
セクション01と、基本的な考え方は同様です。


そして、セクション01~10は
サードフェイズへと移行しました。


サードフェイズのお話をする前に
セクション00…
即ち、元亭主についてのセカンドフェイズを
お話しましょう。


(そっか。そういえば、そんなのがいたな。)


・・・・・


やはり元亭主には
千里ちゃんと暮らしていた時から
金ヅルになっていた女の存在があったようです。


(やっぱりなあ。
 …って、ちょっと待てよ。)


何でしょうか?


(ハナシが脱線し過ぎて長ぇからな。
 注釈を入れさせろ。)


…お願いします。


(賢明なる読者のみんな。
 このハナシは【45】の中ほど辺りと繋がるぞ。
 以前の記事を読み返してみてくれ。)


その女とともに博多に行きましたが
最終的には、あっさりと捨てられて
いえ、むしろ、身ぐるみ剥がれて
博多駅近辺で、ホームレスになっていました。


(しょうもねえ奴だなあ。
 
千里ちゃん達が入院してる間に
 そんなコトになってたのか。
 それじゃあ帰ってこねえハズだ。)


セクション01~10…
即ち、元商店街の人達10人については
彼らは、本当に、【根っからの悪人】なのか
それとも【魔が差しただけの凡人】なのか
しっかりと見極める必要があるというのが
おばちゃんの考えでした。


(そうだったな。)


でも元亭主に関しては
最初から【根っからの悪人】としての扱いでした。
だから、女の子は、派遣しませんでした。


(当然だ。
 骨までしゃぶられて
 ゴミのように捨てられるのがオチだぜ。)


でも、の時と同じように
監視下に置く必要があります。


(…そうだな。)


だから、こんなふうにしました。


・・・・・


「ああ、もし、そこのお人。」(じいさん)


「すみません、そこのお人。」(ばあさん)


(うわ~。
 またまた、何とも、おざなりな名前だな~。)


昼日中
アテもなくウロついていた元亭主でした。


コテコテのホームレススタイル。
チンピラのような歩き方と目つき。


10人が10人とも、100人が100人とも
半径2m以内に接近するコトを激しく躊躇う
デンジャラスな風貌の元亭主
気後れもせずに呼び止めたのは
老い先短そうな、老夫婦でした。


(危険という言葉を知らねえのか?)


「わしら【はんばぁが~】っちゅうもんが
 食べてみたいんじゃが…」(じいさん)


(な、何だと?)


「それなら、目の前の店で、食えるぜ。」(元亭主)


カタギの素人衆と話をするなんて
何年ぶりなのでしょう?


(おまえ、ヤクザかよ?)


しかも、カタギの方から、声をかけたのです。
とっても珍しいので
機嫌よく答えてやりました。


「そんなこたぁ、判っちょる。」(じいさん)


(がはは…。何故か笑えるな。)


ムカッとしたのですが
蹴散らすには惜しいので、我慢します。


「初めてなもんで
 勝手が判らず、困っております。」(ばあさん)


(ばあさんの方は、低姿勢だな。)


「良かったら、一緒にお店に入って
 一緒に食べて下さらんか?」(じいさん)


(ありゃ?
 じいさんだって、高飛車な訳でもねえぞ。)


「店に入ってみりゃ、いいじゃねえか。
 店員の女の子が、全部教えてくれるぜ。
 俺様なんかより
 遥かに低姿勢で丁寧なハズだ。」(元亭主)


「孫のような年齢の、まして女なんか
 わしにしてみりゃ
 宇宙人よりも始末が悪い。」(じいさん)


(おもしれぇコト、言うじゃねえか。)


「カタカナ言葉ばっかりで…はあ。
 困っております。
 御馳走しますから。お願いします。」(ばあさん)


ちょうど、腹が減っている時でした。
いいえ、正確には
ここ1週間、食い物にありついていません。


「じいさん、ばあさん、ラッキーだったな。
 普段、俺様は、メチャメチャ忙しいから
 そんな、くだらねえコトは、断るんだが
 今は、ちょうど暇だったんだ。」(元亭主)


(へっ。よく言うぜ。)


「良かった…。なあ、ばあさん。」(じいさん)
「ホントですね、じいさん。」(ばあさん)


手を取り合って喜ぶ老夫婦の周りだけ
明治時代に見えました。


(…ホントだ( ゚Д゚))


こんな酔狂も
タマには良かろうと思いました。


「お客様。そのお姿では、困ります。」(店員)


一緒に店に入ろうとしたら
体良く、追い出されてしまいました。


(ったりめえだろがっ!)


尤もなハナシです。
元亭主のナリは
ホームレスの王道スタイルでしたし
何ともヒドい悪臭でした。


「世知辛い世の中になったもんじゃ。
 こんな親切なお人を…。」(じいさん)


「世の中は、どうなってしまったんでしょ?
 こんな立派な殿方を…。」(ばあさん)


老夫婦は、何故か、憤慨の極みです。


「おいおい。店の言い分も尤もだぜ。
 あんまり怒ると
 血管切れてお迎えくるぞ?」(元亭主)


「気に入ったっ!」(じいさん)


(何がっ!?)


「お店の横暴に寛容なばかりか
 見ず知らずの私達の身体まで
 お気遣いを下さるなんて
 何て素晴らしいお人なのでしょう。」(ばあさん)


(…たはは…(;´д`))


「こうなったら、何が何でも
 あなた様と一緒に【はんばぁが~】
 食べたくなりましたぞ。」(じいさん)


(うわ( ゚Д゚)
 いつの間にか【あなた様】と呼ばれてるし…。)


「今から私達の家にお越し下さい。
 身なりを整えて差し上げましょう。」(ばあさん)


元亭主は、唖然としていて
モノも言えませんでした。


(そら、そうだろ。)


老夫婦の家は、閑静な住宅街のはずれに
ポツンと1軒だけ、寂しそうに建っている
築年数の古そうな一戸建でした。


ありきたりな居間。
ありきたりな台所。
ありきたりな和室2間。
ありきたりな洋室1間。
古き良き屋根の上の物干し台。
何とも、ありきたりな家でした。


でも、地下が、ありました。


(お?変わってるな。)


地下には
10人くらいで使えるほど
広くて立派なタイル貼りのおフロ場と
そのまま、今スグにでも
スナックが営業できそうな内装の
オシャレなスペースがありました。


(いったい、何なのか?)


毛足の長い絨毯の居間に通され
フカフカのソファに座らされます。
上等そうな赤ワインと
チーズのツマミが用意されました。


(凄いもてなしだな。)


何だか読めないので、何だか判らない
上等そうな葉巻きと灰皿もあります。


「本当なら、私が、裸になって
 あなた様を隅々まで
 磨いて差し上げますのが
 筋なのですが…。」(ばあさん)


(…悪い冗談だ。)


元亭主の横に座ったばあさん
葉巻きの一端を破って、火を点けてくれました。


「何ぶんにも老いさばらえた身ですので
 お目汚しになってもいけません。」(ばあさん)


(判ってるじゃねえか。)


ワインの栓を抜いて、グラスに注いでくれます。
途端に漂う芳醇な香りが
その上質さを、黙して語るようです。


「そんなコト、ねえと思うぞ。
 気は心だ。
 ばあさんの裸
 拝んでみてえもんだぜ。」(元亭主)


この時点で、元亭主
この老夫婦を、何故かとても気に入っていました。
だから、そんな心にもないコトだって
平気で口から零れるんです。


(老婆を口説いて、どうすんだよっ!?)


「いやん。いけない、お・ひ・と。」(ばあさん)


「がはは…。」(元亭主)


身体をピタリと摺り寄せ
元亭主の手の甲をツネりながら
斜め下から見上げるような瞳は
何故か、熱く潤んでいます。


(どうすんだよっ!?その気になってるぞ!?)


「今、あなた様を磨いて差し上げる
 女どもを手配しておりますので
 暫し寛ぎながら、お待ち下さいね。」(ばあさん)


それでなのでしょうか。
さっきから、じいさん
あちこちに電話をかけまくりです。


じいさん
 私、あなた様に、口説かれて
 惚れてしまいました。」(ばあさん)


戻ってきたじいさんに、ばあさんが報告です。


(あ~あ。ど~すんだ?
 
じいさんに、ブッ飛ばされるぞ。)


「何と!それは、めでたい。
 あなた様は、大いなる包容力まで
 備えておられるのか。
 ばあさんといっても、まだ76歳の小娘じゃ。
 よろしくしてやってくれ。」(じいさん)


(うわ。)


「なあ、じいさん。
 それはそうと尋ねたいんだが
 俺様は、これから、どうなるんだ?」(元亭主)


冗談が冗談にならなくなってきた怖さを
紛らわそうとして、違う話題を振ります。


「まもなく
 あなた様を磨き上げるプロ集団が集まるから
 暫しお寛ぎを。」(じいさん)


「それは有難い。
 …でも何か、体力勝負になりそうだな。」(元亭主)


「ああ、早く、あなた様
 お宝を、拝みたいです。」(ばあさん)


(ヤバいっ。
 
ばあさんの潤んだ目は、女になってるぞ。)


「何だか判らねえが、これは戦さと見た。
 戦さならば、まずは、腹に力を入れたい。
 何か、食いもんをよこせ。」(元亭主)


(おまえ…。
 物を乞うなら、もう少し
 低姿勢な言い方をしろよ。)


「何と!この上、武人であったか。
 ドコまで、凄い、お人なんじゃ。」(じいさん)


(凄いな~。
 何を言っても、プラスになっちまう。)


ばあさん、何か、あるか?」(じいさん)


「申し訳ありません。
 咄嗟には、こんなモノしか…。」(ばあさん)


「何だ、これは?
 今朝食った海苔巻きじゃないか。
 いくら何でも、あなた様に失礼じゃろが。
 ステーキを出せ!」(じいさん)


じいさんも、程よく横暴だな。)


「ああ、それで充分だ。
 いや、戦さ前としちゃ、最高の食いもんだ。
 冷めてていいから、茶もくれ。
 じいさん、良い女房だな。」(元亭主)


「あ~ん、じいさん
 濡れてきちゃいましたぁ。」(ばあさん)


(ヤベえ!)


ものの5分で1週間ぶりの食事を済ませた元亭主
緊急戦闘体制を整えました。


あれよ、あれよという間に
いろんなプロが、家に集まってきました。


「ヘアサロン〇〇から来ました※※です。」


「何歳じゃ?」(じいさん)


「25歳です。」


「よし、合格。次。」(じいさん)


「エステティック〇〇から来ました※※です。」


「何歳じゃ?」(じいさん)


「23歳です。」


「よし、合格。次。」(じいさん)


「同じくエステティック〇〇から来ました
 ※※です。」


「何歳じゃ?」(じいさん)


「28歳です。」


「よし、合格。次。」(じいさん)


「〇〇デパート5階、紳士服売り場から来ました
 ※※です。」


「何歳じゃ?」(じいさん)


「27歳です。」


「よし、合格。次。」(じいさん)


「なあ、じいさん。合格って、何だ?」(元亭主)


「20代美女という条件をつけてある。」(じいさん)


(何ちゅう条件だ!腕前は二の次かよっ!?)


「がはは…。
 じいさんって、おんもしれぇな~。」(元亭主)


「〇〇デパート5階、紳士服売り場から来ました
 ※※です。」


「何歳じゃ?」(じいさん)


「30歳です。」


「ダメ、不合格。帰れ。」(じいさん)


「可哀想だろがっ!合格だ、合格っ!」(元亭主)


「あなた様の包容力は
 ドコまで果てしないんじゃ?」(じいさん)


(おまえが狭過ぎるんだろが!)


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