この本は、EU経済が悪くなったのは、ユーロ加盟の条件が各国のGDPの3%以内に、財政政策を収める緊縮財政のルールにあった事を追及している本です。
具体的には、各国の自由な金融政策は、欧州中央銀行(ECB)に取られ、財政政策は、各国のGDPの3%以内に抑えられているので、まともなマクロ経済政策(財政政策と金融政策)の拡大が行う事ができず、不況から、好況にすることができない構造的な問題を指摘しています。
したがって、ドイツによって、進められた緊縮財政はやめ、「安定の為の連帯基金」を積み立て、「自動安定化装置」(累進課税制度と失業保険制度)を、取り入れて、財政政策を不況の際に行う事が、EU経済を復活させるとしている。
また、各国に自由な財政政策の裁量をもたせるべきとしている。
特に、財政政策の使い道は、1:基礎研究、2:技術、3:教育の三つの分野に行うべきとしている。
以下、各章の目次です。
はじめに「ユーロという十字架に磔にされるヨーロッパ」
第一部「危ういヨーロッパ」
第1章「危ういユーロ」
第2章「ユーロを構築した経済学の誤り」
第3章「ヨーロッパのお粗末な成果」
第二部「誕生時からの欠落品」
第4章「単一通貨が機能する条件とは?」
第5章「不況を生み出す拡散型システム」
第6章「不平等を拡大した欧州中央銀行」
第三部「破滅を呼ぶ見当違いの政策」
第7章「いかにしてトロイカ政策は危機当事国を締あげて、不況へ落とし込んだのか」
第8章「失敗の上塗りをする構造改革」
第四部「世界経済が前へ進む道」
第9章「機能するユーロ圏の創設」
第10章「円満な離婚は可能なのか?」
第11章「柔軟なユーロをつくる」
第12章「未来へ向けて」