アベノミクスを殺す消費増税
田村秀男
飛鳥新社
2013-07-25


この本は、題名通り、「消費税増税をしたら、アベノミクスの効果はなくなり、日本経済は再び、デフレ不況になる!」と書いてある本です。

以下、各章のまとめです。

第1章「日本経済は非常時である」と題して、1998年の橋本政権の消費税増税以来、15年間のデフレ不況に陥り、安倍政権まで、日本経済は、重篤な病気であったとしている。

また、物価の下落よりも所得の下落が早いことが問題であるとしている。

第2章「財務省、日銀にするよる学者、エコノミストたち」と題して、日銀・白川前総裁だけでなく、「榊原英資、水野和夫」などのデフレを容認する学者や「小幡積、野口悠紀夫」などの反アベノミクスなどの学者は、一般国民をミスリードしているとしています。

第3章「大新聞・経済報道の大罪」と題して、新聞などのジャーナリズムの経済記者は、マクロ経済の常識として間違っていても、財務省や日銀の発表のままの記事を書くので、問題であるとしています。

また、日経新聞の経済教室で、東大の「伊藤隆敏、伊藤元重」によって、「デフレ下の日本で、消費税を増税せよ」と書いているので、問題であるとしています。

第4章「消費税増税は最低2年間凍結せよ」と題して、デフレ下で、消費税増税をする事は、日本国と日本国民にとって、自殺行為で、絶対にやめるべきだとしています。

消費税増税をすれば、デフレ圧力が加わり、再び、日本経済は悪化するとしています。

また、消費税増税をしようとしている財務省は巨悪だとして、増税をしたら、財務省の中での地位が高くなる評価システムが問題だとしています。

そして、イギリスが付加価値税を17.5%から20%にあげて、マイナス成長になった例をあげて、日本も同じ事をするべきではないとしています。

第5章「中国・韓国を直撃するアベノミクス」と題して、アベノミクスによって、円安になり、中国も韓国も相対的に、通貨が切りあがって、企業の競争力がなくなり、困っているとしています。

第6章「新たな通貨戦争と日本の再生戦略」と題して、日本の円を東アジアの通貨にスライドして、円の国際化を高めるべきだとしています。

また、TPPでは、日本に都合の悪いものは、タフな交渉で、ひとつずつ潰していくしかないとしています。

そして、「メイド・イン・ジャパンの復活」を目指して、円安誘導だけでなく、国内投資への免税や投資減税をすることが大切としています。

さらに、アベノミクスの第二の矢である財政政策、具体的には、国土強靭化政策では、最終的にどのような国作りをするのかというマスタープランが必要であるとしています。

アベノミクスの第三の矢の成長戦略では、エネルギー分野以外は、規制緩和をして、イノベーションを民間主導の競争から生ませるが大事だとしています。

最後に、日銀が米国債を100兆円分買って、基金にすれば、消費税増税の必要はなくなり、財政政策、成長戦略の財源になるとしています。

巻末では、「2013年後半、それでも騰がる推奨40銘柄」として、アベノミクスで上昇する株銘柄を紹介しています。



この本は、中国の経済統計は完全に、デタラメであり、全く信用できず、中国経済はこれからも崩壊を続けるという本になっています。

 

具体的には、旧ソ連と同じように、中央統制の経済なので、経済統計がデタラメなので、実際の中国経済のGDPは実際の3分の1ではないかと筆者は計算しています。

 

また、中国の2015年の輸入は前年比で10%以上減っているので、GDPは、マイナス3%になっているとしています。

 

完全に中国経済は、偽造統計なので、独裁主義体制で資本主義を行っているなど、あらゆる矛盾を抱えている体制なので、日本としては、中国経済がこれから、さらに悪化することに、しっかりと、心の準備をしておかないといけないとしています。

 

以下、各章のまとめで、簡単な要約です。

 

序章「孫子の兵法と偽造統計」と題して、中国は海外の要人にハニートラップをするなど、政治、経済になりふりかまっていない工作をしているとしている。

 

第1章「偽造統計のカラクリ」と題して、ソ連のGDPは、実際は半分しかなく、日本の東芝と同じように、粉飾決算を起こしていた。現在の中国も同じように、

電力消費が10%減にも関わらず、経済成長が8%という異常な数字を出し、実際のGDPは、実際の3分の1ではないかとしている。

 

第2章「株価暴落の全裏舞台」と題して、2012年に「信用取引制度」が導入されて以来、中国の株式市場は、不安定になり、経済オンチの習近習は、株価維持政策をするなどの愚行を行ったので、余った金が理財商品に流れ、不良債権が増えたとしている。

 

第3章「歪みに歪んだ実態経済」と題して、中国経済は、不動産投資だけに依存する経済であり、地方の債務は408兆円にもなり、独自技術はゼロの世界であり、一人当たりのGDPの一万ドル越えはありえないとしている。

 

第4章「海外進出-悪夢の末路」と題して、AIIB(アジアインフラ投資銀行)にしても、格付けがない状態であり、一帯一路という「海のシルクロード」と言われる政策も、他国から、強い反発を受けて、悲観的であるとしている。

 

第5章「バブル崩壊の前兆現象」と題して、中国人自身も、「生産過剰、資産価値バブル、地方自治体の過剰債務」という三つの問題に対して、「体制改革、イノベーション、輸出促進、消費促進も難しい」としている。最終的に、経済成長の7%は捨てざるをえないとしている。

 

第6章「偽装国家の崩壊」と題して、環境対策費は5年で17兆円、軍事費を上回る国内治安維持費など中国社会の問題は深刻であるとしている。

 

終章「中国の失われた100年」と題して、日本は失われた20年と言われているが、中国は、経済統計がデタラメなので、問題の深刻さがわからず、失われた100年になるのではないかとしている。



この本は、アベノミクスでは、金融政策は成功したが、財政政策では、消費税増税で失敗したので、現在は、公共投資(リニアの拡充にあてる)という財政策を拡大するべきだとしている本です。

 

これまで、竹中平蔵氏は、金融政策や成長戦略に、重点を置いていましたが、今、最も必要な事は、財政政策の拡大(リニアの拡充)としている所が新しいですね。

 

やはり、マクロ経済政策(財政政策と金融政策)の二つのエンジンの拡大がよくわかる本になっています。

 

以下、各章の目次と簡単なまとめです。

 

第1章「アベノミクスの真価が今、問われる」と題して、アベノミクスの第一ステージの金融政策の拡大は成功したが、第二ステージでは、アメリカの政策金利の上昇と、中国の経済の停滞で、足踏みをしたとしている。

 

また、東京オリンピックはチャンスだが、その後に、本当の危機があるとしている。

 

第2章「国民を欺く消費増税派の財政再建策」と題して、消費税増税(5%→8%)によって、政府が市場から吸収したので、景気が腰折れしてしまったとしている。

 

また、財務省は、消費税をガンガン、あげて、景気を腰折れさせようとしているので、財務省の力をそぐ為にも、国税庁を財務省から分離して、歳入庁を作るべきだとしている。

 

第3章「大転換を起こすのが日本人のお家芸」と題して、日本がこれまで、大転換をおこしてきたのは、総理大臣のリーダーシップなので、総理大臣のリーダーシップが今、求められるとしている。

 

第4章「歴史的スイッチング政権だった小泉内閣」と題して、小泉政権で、不良債権処理や郵政民営化ができたのは、小泉元総理の情熱だったとしている。

 

第5章「成長戦略1:特区とコンセッションを大胆活用する」と題して、構造改革特区と、インフラの民間開放(コンセッション)が大事だとしている。具体的には、空港や道路や上下水道や港湾が海外では対象になっているとしている。

 

第6章「成長戦略2:東大民営化は教育改革の目玉になる」と題して、大学の国際競争力を上げるために、東大を民営化するべきだとしている。

 

第7章「成長戦略3:ゲストワーカーで労働人口減に対処する」と題して、正社員と非正規社員の差をなくすために、同一賃金同一労働をするべきだとしている。

 

また、男女の雇用格差をなくし、移民問題も冷静に議論するべきだとしている。

 

第8章「成長戦略4:負の所得税は画期的なセーフティネット」と題して、資産家には、年金を辞退してもらい、中間所得者の所得税をあげ、給付つき税額控除を導入するべきだとしている。

 

第9章「アベノミクスの司令塔とアジェンダ設定」と題して、アベノミクスは、経済諮問会議をアベノミクスの司令塔とするべきだとしている。

 

また、公共投資を拡大し、その中身は、リニアを東京―名古屋から東京―大阪まで、短い時間の間で完成させる事が、大事であるとしている。

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