紙風船用原紙の分解速度を検証するために新聞紙と比較をしてみました。
(※これは水中での物理的な力によって分解される様子の検証であり微生物による分解を検証するものではありません。微生物による分解の検証も近々実施予定です。)

弊社の紙風船を水に溶ける風船と理解されているお客様もいるようですが厳密に言えば溶けるではなく分解するということになります。今回はその状態を検証するための実験です。

現在の風船用原紙は引き裂き強度を高めるために長い繊維を漉き合わせ(異なる種類の紙を漉きながら張り合わせる)ています。

現在手元にあります公的な試験結果(高知県紙産業技術センター)によりますと水に対する分解しやすさは新聞紙と同等とされていますが、これは漉き合わせをしていなかった昔の風船用原紙での評価で、短い繊維だけで構成されていたため水中での分解は早かったと思われます。


試験方法
5cm×5cmにカットした風船用原紙と新聞紙を500ccの水道水が入ったビーカーに入れ、スターラーで同じ回転数で攪拌します。
まず10分後の新聞紙。
新聞紙は5分後から分解し始め10分後には1cm四方の紙片になります。
新聞01











風船用原紙は未着色の物より着色された物を使用します。生分解性のインクと言えども樹脂は樹脂ですので強度は向上しているはずです。つまり分解されづらい。
10分後の風船用原紙。まだ原型は保っています。脱色しているように見えますがこれは表面の繊維が毛羽立ってきているためです。
風船01











20分後の新聞紙。紙片は細かくなっていますが5mm四方程度の紙片が多く見られます。
新聞02











20分後の風船用原紙。5mm四方程度の紙片も見られますが全体的に微細な繊維に分解しています。
風船02












結果
風船用原紙には新聞紙に比べて強度を増すための長繊維が漉き合わされているので初期の分解速度は劣りますが、バインダー(接着剤・糊)などが添加されていないのと構成している大部分の繊維が極短い繊維なので、一旦分解を始めると微細な繊維に分解されるようです。