皆様、今日は。とうとう松の内も明けましたね。
センターは今日から2014年一発目のDMAT研修が始まりました。先日予告したとおりDMAT話を書こうと思っていたのですが、本日発行された院内広報誌に昨年末のフィリピン派遣の記事が続いていたので、医師として参加した○斐先生の記事を速攻でブログに流用させてもらうことにしました。
○斐先生も当センター専攻医からの叩き上げスタッフで、臨床では麻酔・熱傷をサブスペシャリティにして頑張ってくれてますが、彼の一番の専門が「災害医療」です。センター業務としての参加だけでなく、個人的にもJDR,HuMAその他、積極的に国内国外派遣に参加しています。
今回のフィリピン地震ではHuMAの一員として参加してくれました。
ではそんな○斐先生の作文をご紹介します。力作です。
(以下原文ママ)
フィリピン台風災害救援活動
昨年末の12月1日から13日の13日間、フィリピン台風30号の災害救援のため海外派遣の機会をいただきました。現地の様子を、写真を交えてご報告いたします。
私は認定NPO法人・災害人道医療支援会(HuMA)の災害支援活動に、当センターから派遣いただき、フィリピン中部にあるレイテ島の西部に位置するメリダ町で医療支援をしてきました。レイテ島は被害の一番大きかった島ですが、ちょうどこの町の真上を台風が通過したようです。
現地では主には村落での巡回診療と、保健医療の中心となる保健所の医療支援を行いました。その中で現地リーダーとして内外の調整、活動方針の決定などに大きく関われたことは個人的に大きな経験となりました。また現地派遣期間以外も、後方支援業務として事務局や国内の責任者のサポート(資金調達・情報通信・人道支援の質と説明責任)を行ったことも、災害支援の全体像を考える上でとても良い経験になりました。
「災害医療」というとDMATのイメージが先行し、どちらかというと目立つ・カッコいいイメージを持たれる方もおられるかもしれませんが、実際の現地での活動はHEMCのダイナミックな診療と違ってかなり地味なものです。しかしながら、様々な制限の中で、しっかりゴールを見据えて、チームワークで少しずつ進めていくという流れは、普段の救急診療との共通点を感じます。日本の医療でも同じですが、災害救援においても自分や団体のしたいことを勝手にしてよいわけではなく、被災者の方々に尊厳ある人間らしい生活を出来るだけ早く取り戻していただくための被災者の立場にたった支援が求められます。途上国という環境、災害時という状況であり、個人、一団体に出来ることは限られおり、とてもむずかしいですが、その中で地元の方々と一緒に悩み、考え、共に歩んでいくことは、とてもやり甲斐のある分野だと思っています。
様々な制限の中で、価値のある支援を行うためには自分や組織の能力を高めていく必要があります。憧れや興味本位で準備なく参加するのは被災者に迷惑がかかってしまいます。今回の支援では過去数回の災害救援の経験と、人道支援の研修での学習・指導経験が役立ちましたが、まだまだ自分に出来ない部分も多くあることを痛感し、普段からの準備や訓練の重要さを思い知りました。これからも精進したいと思います。
中山センター長、戸田事務部長をはじめ、センターの皆さま、この度は貴重な機会をいただき有難うございました。院内報告会や、今後のDMATなどの災害救援活動などの中で、今回得た経験を共有させていただければと思います。
災害救援活動に興味をお持ちの皆さま。当センターは鵜飼顧問・中山センター長をはじめ災害医療のベテランの先生も多く在籍され、DMATの勉強会を聴講する機会もあり、研修や派遣への理解もあり、とても恵まれた貴重な環境にあると思います。災害医療を勉強するにも恵まれた環境だと思っています。私も勉強中の身ですので、何かいい研修の情報があれば、シェアして一緒に学んでいきましょう。
◯災害の概要
2013年11月7-8日に大型の台風30号(アジア名:ハイヤン・フィリピン名:ヨランダ)が、フィリピン中部のレイテ島やセブ島を含む島嶼地域を横断しました。暴風雨・高潮・洪水・土砂崩れが発生し、フィリピン国内で死者6183名、行方不明者1785名、受傷者28626名、被災家屋114万戸、避難者409万人、被災者1607万人の大きな被害が出ています。被災者人口はフィリピン総人口の16.9%に達します。現在も災害対応は続いており、復旧までには長期間かかると言われています。
◯日本からの医療支援
今回のフィリピンの被害に対しては、日本から国際緊急援助隊(JDR)医療チーム、自衛隊医療チームなどの政府組織だけでなく、日本赤十字社、HuMA、AMDA、TMATなどの非政府組織も医療支援活動を行いました。