とうとう桜が咲き始めました。本格的に春ですね。
今日は名門・神戸中央市民救急部から2か月間院外研修に来てくれた○森先生の研修記です。北関東のつくば市出身で東京の医学部に進学した彼が後期研修先に選んだのが中央市民の救急部です。実はここだけの話ですが、中央市民は日本で最初にできた4か所の救命センターのひとつです。老舗中の老舗なのです。えっへん(僕が威張る話でもありませんが)。
そんな中央からは随分前に〇尾先生というナイスガイが来てくれて以来の研修受け入れとなった○森先生、彼もまた素晴らしくナイスな先生でした。何と応援団出身。春からは古巣の関東に戻って救急医としてさらに臨床・研究に打ち込むために順天堂浦安病院の大学院へ進級するそうです。そんな○森先生に幸あれかし!

では○森先生の研修記をお届けします。ちなみに最後に書いてある大えびカレーのエビの小ささの件ですが、エビが小さいじゃなくてエビ以外が大きすぎるのです。正しくはえび大カレーというべきでしょうか。


災害医療センターでの院外研修を終えて

神戸市立医療センター中央市民病院 

救急部 専攻医 ○森大輝

 

19日から34日まで、約2か月お世話になりました。松山先生から原稿依頼を頂き、「字数はいくつですか」と質問したら、「好きなだけ!」と言われたので、思いついたまま、取り留めのないまま書こうと思います。

 

当初は5月中旬からの研修予定でしたが、中山センター長から、初期研修医が少ない冬の方がよいとアドバイス頂き、この時期に研修させていただくこととなりました。ふたを開けてみると初期研修医は既に2人研修中で、人数の面では変わらなかったと思います。そのせいか医局に自分の机がなく、女性の初期研修医(○盛先生)と共用だったことにまず驚きました。○盛先生は随分気を遣って下さったようで、ほとんど椅子に座らなかったのではないでしょうか(避けられていた可能性は…ね)。

中央市民にも医局があるのですが、救急部はほとんど使いません。ERに併設されたカンファレンスルームがあり、そこで過ごすことが多いんです。Walk inの患者がそれなりに来るので、ほとんどカンファ室にはいません。カンファ室は日勤後と当直後の休憩室のような場所です。なので、医局は初期研修医以来でした。

 HEMCの医局は温かい。暖房の話じゃないです。誰かがいれば、治療方針に関する真剣な話から、くだらない(すいません)世間話まで、明るい声が聞こえてきました。最初はテレビの前に座るのに緊張しましたが、色々な先生が気さくに話しかけて頂いてありがたかったです。たまたまバレンタインデーに当直だったのですが、先輩方が新しいスイーツを見る度に歓喜の声を上げ、皆で談笑されている様子が印象的でした。写真を撮るようお願いされたのですが、ファインダー越しの皆の笑顔がとても印象的で、とても穏やかな気持ちになりました。

 HEMCのコメディカルの方々もとても温かかった。カルテシステムが(使いにくく)分からず、指示出しや処方など、たくさんの迷惑をかけたはずなのに、呆れず教えてくださいました。感謝です。最初から後期研修医だと認識してもらっている方もいれば、1か月くらいしてから初期研修医じゃなかったのか、と驚かれる方もいました。2月中旬になると名前も覚えてもらえて、感謝です。

 一番の温かさは、先輩方(先生方)でした。「中央風」を吹かす厄介な後輩に対しても、指導的に、熱心にご教授くださいました。適度(過度?)にイジられ、冗談もナイスボケもダジャレも折り混ぜ、温かく受け入れてくださった先生方に心から感謝致します。「災害延長しなよ」と仰って下さったこと、とても嬉しかったです。朝カンファ室でパソコン画面を見ていると、中山センター長がいらして良く声をかけて下さいました。病院全体の温かさを実感しました。雰囲気最高です。

 

肝心の研修はと言いますと、患者層、診療システムは中央市民と大きく違うからこそHEMCでの院外研修を希望しました。中央市民では見られないHB-ERope室直入、重傷外傷の開腹手術、緊急開胸、重症熱傷、ECMOなどなど。振り返れば、当初勉強したいと思っていたことがほとんど経験できました。一番印象的だったのが、鈍的外傷の出血性ショックに対してHB-ERで開腹手術を行った症例。気付けば医師が10名集まって、頭側で挿管やCV確保、腹部では開腹手術、足部ではAラインや末梢の確保、周囲では薬剤の準備や輸血のオーダー。全員一丸となった「蘇生力」を目の当たりにして、驚きと鳥肌が立ちました。医者だけじゃない。初療の看護師、技師さんも医師の指示に一切の文句を挟まず、色んな所から飛んでくる指示を全て復唱して準備する。行き交う声の数が圧倒的に多いことと、チェックバックが徹底されている姿は感銘を受けました。中央では救えないだろう患者がどうやって蘇生されるのか、実際に体験出来てとても嬉しかったですし、自分の未熟さを改めて実感しました。

 プレホスピタルにあっては、中央市民よりも災害の方が装備・ケア含めて手厚い印象を受けました。ごく僅かしか一緒に出動しませんでしたが、静注薬の準備や搬送先の選定や外傷に対してプレホスで行う介入の多さなど、中央市民とは違う点もいくつか感じました。そういえば初の2番ピッチを持っていたところにたまたまヘリ搬入依頼があった時には驚きました。でも、1番じゃない先生も含めて、みんな嫌な顔せずにサポートして頂けて、とてもありがたかったです。HEMCの人柄を再認識した時でした。

 

 大えびカレーのエビの小ささ、コードイエローの全館放送、コンビニの松屋の牛丼が店舗より100円高いこと、更衣室の狭さ、当直室の広さ、他にも驚いたことはありますが、あっと言う間の2か月間でした。

 

最後に、災害医療センターで研修させて頂いて本当に良かったです。これからも一生救急医として生きていく予定です。ご一緒する際にはどうぞよろしくお願い致します。この2か月弱の間、本当にありがとうございました。