春は別れと出会いの季節と言いますが、その出会いの方の4月になりました。今年も多くのニューカマーを迎え、職場の雰囲気もパッと明るくなった感じですね(年度末が暗い、というわけではないのですが)。毎年書いている新人紹介は次回以降においといて、今日は昨年度の載せ残し?記事をご紹介します。

さて2003年の開設から10年以上、当センターの学会活動のほとんどが国内のもので、国際学会は災害医療関係くらいでした。そんな風向きが変わったのが2015年の菊○先生の国際集中治療医学会への発表参加でした。その時の記事がこちら↓

http://blog.livedoor.jp/hemc/archives/44691250.html

それからは主に彼が後輩をさそい、毎年のように海外で発表するようになりました。本日の記事を書いてくれた専攻医の○田先生は最初は彼に誘われて初の海外発表をし、今回は独り立ちして(別のメンバーと)発表に行ってきました。名物専攻医だった○田先生については近日中に改めてご紹介します。

では本日はサン・アントニオで開催されたSCCM(米国集中治療医学会)参加記をお送りします。
(院内広報誌用の原稿はもっと面白いのですが、本ブログの自主規制に則り、一部記事を修正しています。ご興味のある職員の方は来週発行予定のマンスリーヘムクをお楽しみに)


YOUは何しにサン・アントニオに?


救急部 ○田 啓佑

 

この度、アメリカはテキサス州サン・アントニオにて開催されたSCCM Critical Care Congress(米国集中治療医学会)に参加してきたので学会報告をさせていただきます。なお、学会期間中の病院業務を行っていただいた先生方や病院スタッフ、発表までの度重なるスライドチェックやご指導をいただいた井〇先生、石原先生に初めに深く感謝を述べたいと思います。

 

SCCMといえばSEPSIS-3の発表や昨年の菊〇先生のワイハー記事で耳にしたことがある方も多い(私もその一人です)と思われる学会ですが、私自身は学会自体の規模もよくわからず、「まぁ、アメリカの学会ってなんかでかそうだよな~」とか適当に考えていました。そんなフワフワした程度の理解だった私がこの学会に参加するきっかけになったのが井○隊長からの指令でした。なんとかかんとか(の一言では表せない色々を乗り越えて)HEMCからは井〇先生、○集院先生、○橋先生、○田の4人がポスター発表での参加となりました。さらに以前、勤めていた病院があるということで石原先生という心強いバックアップを得て、個性豊かな、豊かすぎる5人の珍道中が始まったのでした。

 

我々に降りかかった最初の難関は飛行機の移動でした。アメリカの、しかも東側ということで飛行機での移動時間は想像を絶する長さでした。日本を発つ前に事前にネックピローを装着してイメージトレーニングに励んだ井〇先生でさえ、アメリカ到着時はいつも以上に白い顔をしていたように思います。そして、ダラスのハブ空港でサン・アントニオ行きの飛行機に乗り換えるわけですが、ここで○橋先生と合流し3人でのサン・アントニオ上陸となったのです。そして、サン・アントニオに到着してとりあえずのご飯を食べて我々はこれからの食生活に不安を覚えることに…

 
SCCM2

到着翌日から学会が本格的にスタートしました。写真では伝わりづらいですが、なんか大きな画面で、きっと偉いであろう人が、ジョブズとかそんな感じだよねって感じの身振り手振りを交えながら行う開会の記念講演に逐一拍手やら歓喜の声を上げている聴衆を見て、あぁアメリカン…と、アメリカに来たことを実感しました。ちなみに話していた内容は「Less is more」というミニマリストの合言葉を借りてICUの無駄を省こう(不必要な輸血はしない、経口摂取を第一に考えるなど)という内容でした。(きっと)

我々の発表会場はというと、大量の企業の展示ブースが立ち並ぶ中に「コの字型」の敷居で囲まれた場所がいくつもありそこが発表場所になっていました。演者こそマイクがありますが、フロアにそんなものはなく質問はすべて肉声で行われていて戦々恐々。発表を聞いていても質問者の声が全然聞こえない…さらに、周囲の企業ブースの話し声が大きい。会場内は大音量で案内や探し人のアナウンスが流れる(これにはさすがの現地の方もあきれ顔でしたが)。このようなハードルが不慣れな英語発表にさらに難渋も重なり、普段通りへらへらしているように見られつつ私の中から余裕はなくなっていました。

SCCM3

しかし神はまだ私を見捨てていなかった!!私の発表するセッションは半数以上がアジア人、しかも座長のお一人が千葉大学の先生となんか行ける気がする並びでした。セッションが始まる前に座長の先生にもきちんと(日本語で)挨拶をして準備を万全として発表に臨みました。しかし、やはりたやすく○田を救う神などいなかった。一番奥で立ち見していた方からの質問が一切わからない。てか、質問が長いし途中で外の声にかき消されるしで本当にてんやわんやになっていました。泣きそうな顔で石原先生をチラッと見たら、石原先生も体を後ろに向けて聞き耳を立ててくださっていましたが、やはりよく聞こえていない。結局、千葉大学の先生の手助けで質問の内容はわかり、テンパった○田のテンパった回答で幕を閉じました。

SCCM4

 

また、今回は石原先生が以前留学されていたBrooke Army Medical Centerへの見学にも石原先生自らの運転で連れて行っていただきました。軍の施設ということで実験設備も豊富にあり、動物実験用に麻酔器やシリンジポンプがいくつも用意されていて麻酔科の2名は持って帰りてぇ~と言ってました。また、熱傷のICU病棟の見学では病室がすべて個室管理(しかも大きなガラス張りで広大なテキサスの景色が見える)でベッドもシッティングポジションを取れるもので多くの患者さんが座位で過ごしていました。また、看護師の個室も病室ごとにあったり病室の前には挿入物や手術の予定が一目でわかるボードが置いてあるなど色々とHEMCとの違い…というかやっぱアメリカってお金があるなぁってのを実感させられました。

SCCM5

 

夜には学会に参加していた日本の他病院の先生方とも交流会を行いました。神戸中央市民病院や倉敷中央病院など近くて遠い存在の先生方ともゆっくり話をする時間を持てるのも海外学会の魅力ではないかと考えます(と、井〇先生が言っていました)

アテネでの報告に続きましてサン・アントニオでもジョギングを行ったのでこちらも報告しておきます。今回は○集院先生と一緒に走ってきましたが、○集院先生の走りはイメージ通りで、淡々とした堅実な走りであり人柄が出ているなぁと感じました。道中は二人で記念撮影をおこなうなど楽しいランでした。

SCCM

 

この度、学会での発表のみではなくBrooke Army Medical Centerへの見学などサン・アントニオでの学会だからこその貴重な経験を多数できたと感じております。発表内容の論文化はもちろんのこと、学んできたことや学会発表のノウハウなど多くのことを還元していきたいと思います。(すでにHEMCを去っていますが…、そんな気持ちで居たと思ってください)