皆様、あけましておめでとうございます、の時期も過ぎ、普通に暮らし始めた今日この頃ですが、毎日寒いですね。
正月早々、当直飯ネタを挟んでしまいましたが、年末にご紹介した脳神経外科の○やし先生の海外発表記事の続編をお送りします。前回は旧知の○村先生を訪ねましたが、今回は彼の案内でピッツバーグ大学の病院や研究施設など、そしてハイライトの学会発表と今日は盛沢山です。長文ですが、○やし先生の穏やかな人柄がにじみ出る読みやすい文章です。○やし先生、二年越しのブログでの紹介になりました。どうもありがとうございました。



UPMC見学とIMECE2018参会


                 脳神経外科  ○やし 成人

13日は午前11時前にAtwood St.のバス停で待ち合わせ、○村先生の研究オフィスがあるUPMC Iroquois Buildingを案内してもらいました。過去10年以上にわたる3万を超える膨大な患者データから、抗凝固療法中だった外傷患者の予後について探るべくデータクリーニングに取り組んでいるとのこと。留学生が行きかい、ホワイトボードには各リサーチの進捗状況や設計がびっしりと書き込まれています。それでいて静かで、親切なスタッフ、一流の教授陣、向上心にあふれた同僚に囲まれた、臨床研究には理想的な環境でした。

林3
急な訪問にも関わらず西村先生の計らいでProf. Clifton Callawayに挨拶でき、さらに勤務明けのUPMCプレスビティリアンの神経集中治療医Dr. Jonathan Elmerが合流してくれて病院へ移動、救急病棟のICU(20)へ入りEVDICPモニタ、脳実質酸素分圧モニタを装着中の交通事故重傷頭部外傷患者の治療や進行中の治験について個室前の電子カルテで、さらにはコイル後のSAH患者の治療についてナースステーションに椅子をならべて治療内容や日本との治療の違いなどについて多くの解説をしていただきました。普段の診療やオンコール体制などについてもいろいろ詳しく話を伺うことができました。その後院内を移動して初療を見学。各部屋1ベッドでこじんまりとしていますが、各部屋に天井吊りのレントゲン、保存血、機材、エコー、麻酔器など必要なものは全てあります。同様の部屋が3部屋あり、CTは廊下を挟んだ向かい側に配置されていました。

林4救急搬入口からでて街中を移動し、研究施設Wiser institute内にある医療技術シミュレーショントレーニングセンターへ向かいました。UPMC関連の医療関係者が年間数千人単位で利用する様々なトレーニング設備をスタッフの案内で見学できました。ピッツバーグ大学のメインストリートにある大学関連商品の販売店とスターバックスに立ち寄ってから、大学の施設でありながら観光名所でもあるCathedral of Learning(学びの聖堂)に入って大広間に腰かけ、自習する多くの学生にまぎれて遅めの昼食をとりました。おのずと日米のこの違いはなんだ、といった話題に花がさきました。回廊に面するたくさんの部屋は各国文化を室内に装飾し、例えばJapanese Roomなどとドアに刻まれた名物教室の数々で、午後の講義が始まっている部屋もあるなか3階まで全室を見て回ってからCathedralをあとにしました。既に午後4時前で冷え込みがまし、人通りも気にせず街路樹の脇にリスが見え隠れして黄色の葉もだいぶ落ちた冬の始まりです。想像を超えた医療と研究の街はクリスマスの装飾と多くの学生で活気にあふれていました。

林5


 発表当日の14日。当センターで加療された交通事故による頭部外傷症例5例につき、診療録の情報から受傷状況を推定、再現し、受傷の瞬間脳内に発生したひずみや応力を求める、これらを慢性期の高次脳機能評価と比較したところ、受傷時の前頭葉のひずみが慢性期の注意障害に関連する可能性があるのでないかと推察された、という内容のポスター発表です。10時、掲示板にポスター貼付。早めの昼食を済ませて戻ると、早速声をかけられました。

林6

興味深いのでポスターの写真は撮ってよいか、何か資料はもらえるか、自分はボーイング社のMalmurugan.Kamarajでシート開発主任ですが、とのこと。No problemと別刷と名刺を渡しました。張先生と幸先いいですねと話しながらその後もNorth Dakota State UniversityMohammad Hosseini Farid先生、山口大学森浩二先生、金沢工業大学の林晃生先生、同志社大学の生命医科学医工学科教授仲町英治先生、中国の研究者の方々などから声がかかりdiscussionできました。あっという間に規定の3時間が過ぎて会場の閲覧者もまばらになってきたころ、再度Malがやってきて資料を送ってほしいとのこと。ポスターを撤収後に別刷、張先生の代表論文をメールしました。夜は山口大学工学部機械工学科教授の齋藤俊先生や研究室の皆さんと一緒にPrimanti Bros. Bar & Grillで名物ピッツバーガーを楽しみました。

最終日15日のclosing receptionの際、隣の黒人女性研究者にどこから来たの?専門は?と聞かれ、neurosurgeon, TBIと言うと、彼女も爆風によるTBIの研究をしている、と。前頭葉と後頭葉の損傷を調べている、臨床のデータは貴重だわ、とのこと。発想は同じだなと思いました。

 

長くなりましたが、発表に少し手ごたえを感じれたのと、HEMCからも立派な留学ができるのだな、この流れが続くと素晴らしい、と思った今回の学会発表でした。