2008年08月08日

What's Love? / リクオ

いやーこれはもう、掛け値なしに素晴らしいアルバム!
リクオという不世出の芸術家が、持っているひきだしのすべてを最高の仲間達とともに惜しげもなく披露した最高の一枚です。大げさではなく、日本のロック史に残る名盤と言ってもいいんじゃない?収録されている12曲、すべてが名曲ですべてがベストテイクだと思います。

オレ、リクオの楽曲の魅力は、これ以上ないほどのセツナさと、どこまでも昇りつめて行くようなグルーヴ感が同居しているところだと思うんです。リクオの曲には、フォークシンガーのような素朴さと、洗練されたクラブミュージックのシャープネスの両方を併せ持った振り幅の広さを感じるんですよね。
でも、これまでのリクオは、その振り幅の広さを一枚のアルバムにどう落とし込んでいったらいいのか、試行錯誤を繰り返していたように感じるんですよ。
器用な人だけに、ライブの場ではピアノ一台で“メロウ&グルーヴィ”を表現できてしまうんですけど、アルバムとして作品化するにあたっては、自身の生み出した手強い楽曲を前に、自分自身も消化不良で終わってしまったようなケースもあったような気がするんです。

しかし、ここにきて遂にリクオは自己の多彩な楽曲群を完璧に表現できる最高のバンドを手に入れました。
しかも、そのバンドってのは、かつて一緒にバンド(the Herz)をやってた盟友と、ソロでの長い旅の途上で出会った新しい仲間との融合ってのが素晴らしい。
これは、Herzの再現じゃなくてまったく新しいグルーブなんだよね。バンドをやってた人がいったんそれを畳み、ソロで何年かやってまた再結成するってのは、近頃よくある話じゃないですか。リクオはそんなんじゃないんですよ。各地を独りで回って、さまざまな人との出会いを重ね、いろんな試行錯誤を繰返す中で出会った仲間と、同じような道程を経てきたであろうかつての盟友との邂逅をミックスさせて、新しいうねりを作り上げたんですから。

一聴して、僕はリクオのボーカルとピアノがこれまでのどのアルバムよりも自然に聴こえるように感じました。いやいや、リクオのパートだけじゃないな。すべての楽器があるところにあって自然に鳴っているんです。とてもナチュラルな温かい音処理。
コーラスなんか、すっごく気持ちイイんですよ。「アイノウタ」や「マウンテンバイク」を聴くと、自分もライブ会場でハモりたくてたまらなくなるし、「ムーンライトサンバ」で聴こえるサビの女性コーラスも(歩ちゃん?阿部さん?)すごくイイ。最近は定規で縦横を測ったような音処理のアルバムがすごく多いけど、このアルバムの音は、ほんとにナチュラルに響く感じです。

選曲に関しては、事前に収録曲が発表されてたんですけど、正直言って、聴く前は既発の曲が含まれてることに違和感を感じてたんですよね。せっかくバンドでレコーディングできるんだから、新曲だけでアルバム作ればいいのに…。そんな風に思ってたんですよ。
でも、一聴して考えを改めました。だって、新しいサウンドでコーティングされた曲たちは、まるで新曲とまったく変わらないぐらい新鮮だったから…。僕は、リメイク・ヴァージョンを聴いて、改めてリクオの書く曲の素晴らしさを再認識しました。
このアルバムが、自身のキャリアの中でも重要なものになるであろうことに早くから気が付いていたリクオにとって、「ソウル」や「マウンテンバイク」みたいなマスターピースを収録することは、すごく自然な流れだったんでしょうね、きっと。
「マウンテンバイク」なんて、こんなにミクスチャーな曲だったんだなあ!イントロはジャズ・ファンク風のタッチなんだけど、リズムはニューオリンズのテイストが絡んでるし、ボーカルののせ方はまるでラップ。ちょっとスカした歌い方も楽しいし、こんなにデキた曲はちょっとないと思うよ。土臭さとモダンさを同居させたような、とてもリクオらしい曲なんだってことに今更ながらに気付かされました。

曲順もこの12曲ならこれしかないでしょう!って感じ。最初の3曲で、どこまでも昇りつめていくような高揚感を味わって、中盤でメロウなリクオを噛み締め、後半でまた盛り上がって最後の2曲をバラードで締める…。うーん、ライブです!まるで一本のライブを観てるような気分にられました。

とにかく、この一枚はアルバムとして、サウンド、選曲、アートワーク、すべてを含めてとても完成度が高いと思います。
公式サイト内のリクオの日記によれば、実際のレコーディングはベーシック・トラックを録るのが4日、ストリングスにいたってはなんと2日で仕上げたとのこと。信じられないぐらいのハイペースですよね!
加えて、歩ちゃんや阿部美緒さんは、演奏だけじゃなくてストリングス・アレンジも担当してたんだそうです。他のミュージシャンとの仕事も抱えている中、きっと骨身を削ってスコアを書いてたんだろうなあ…。“プロ”ミュージシャンとしての彼らの実力と心意気に改めて感服しました。ほんと、心して聞かなきゃ(笑)。

今の時点でのベスト・オブ・リクオ的な曲の数々を聴いて、改めてリクオの書く歌詞の深さにも感じ入りました。
リクオの曲って、歌詞や曲名を見ても“ハイ&ロウ”とか“ネガとポジ”とか“朝と夜”とか、対極にある言葉を使ったものが多いんですよね。
曲だけじゃなくて、リクオ自身もそんな人なんじゃないかと僕は勝手に思ってるんです。公式サイトの日記で、リクオは移ろいゆく日々の心境を丁寧に書き綴っているんだけど、旅の先々で、スタジオの片隅で、アッパーな夜と頬杖をつく朝を繰り返すリクオの生き様がひしひしと伝わってくるんだよね。
僕はそんなリクオの生き方が好きです。同世代だからいっそう感じるものが多いのかもしれないけど、多かれ少なかれ、誰もがそんな人生を送ってるものなんじゃない?

世の中には、振り幅のどっちか片方だけの気分を味わいたくて(圧倒的にハイな方なんだろうけど…)音楽を聴いたりライブを観に行ったりする人が多いんだろうと思うんだ。でもね、僕はハイ&ロウ両方あってこその人生だと思うし、できることならライブでもその両方を感じたいと常々思ってます。
ブルースやロックが逃避のための音楽じゃなく、日常の傍らにおいておけるようなライフ・ミュージックであると信じている人にとって、二つの振り幅の間を激しく揺れ動いているようなミュージシャンの作る曲にこそ、リアルさを感じるはずだと思うんですよ。
リクオは、僕にとって圧倒的にリアルなミュージシャンなんです。

僕はこのブログで自分の好きなミュージシャンのことをいろいろ書いてはきたけれど、これまで自分の好みをむやみに人に薦めることはしてきませんでした。
でも、今回に関してだけは声を大にして言いたい!彼は今そのキャリアの中でも、最も重要なピークを迎えています。この圧倒的にエモーショナルな音楽を、僕はひとりでも多くの人に聞いてもらいたいと切に願います。

このブログをいつも読んでくれているすべての音楽好きな皆さん、ぜひ「What's Love?」を聴いてみてください。普段あまり音楽を聴かないような人でも、僕の拙い文章からリクオという男に少しでも興味を持ったなら、ぜひこのアルバムを聴いてみてください。
そして、もし「What's Love?」が気に入ったならば、ぜひアルバム・リリース記念のスペシャルライブにも足を運んで欲しいと思います。ライブは、9/5大阪と9/11東京の2回しかありませんが、間違いなく最高の夜になるはず。リクオという最高のミュージシャンが最高のアルバムを引っさげて最高の仲間たちと作り上げる集大成ライブです。不世出の才能あふれるミュージシャンのキャリアがピークに達したその瞬間を見逃さないでください!

P.S. 新譜のフライヤーに推薦文を寄せたミュージシャンの中には、仲井戸“CHABO”麗市やLeyonaの名前もありました。

hendrix69 at 23:59│Comments(6)TrackBack(1)clip!リクオ 

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1. リクオさん@もっきりや  [ 月夜に釜を掘り出す ]   2008年08月12日 20:49
 昨年12月以来、二度目のもっきりやです^^  比較的近く?て、コンスタントにリクオさんのグランドピアノが聴けるのは、ココ♪癖になるハコです。 YOSUI TRIBUTEアーティスト: 出版社/メーカー: フォーライフミュージックエンタテインメント発売日: 2004/11/01メディア: ...

この記事へのコメント

1. Posted by ハテ   2008年08月09日 13:39
私も聴きました。もう、何度も何度も聴いています。本当に素晴らしい作品だなぁと溜め息ばかりです。一人でも多くの人に聴いてもらいたいし、ライブにも足を運んでほしいですね。発売日の8月6日、そして、記念ライブの9月11日。この日にちにもリクオさんなりのメッセージが込められていると私は感じます。記念ライブでお会いできたらいいですね。
2. Posted by Y.HAGA   2008年08月09日 20:16
◆ハテさん
記念ライブ、僕は東京に参加します。ハテさんもいらっしゃるのかな?お会いしたいですね!
ところで、日にちに関するメッセージまではちょっと僕はわからなかったなあ…。宜しければハテさんの解釈を聞かせてください。
3. Posted by ハテ   2008年08月10日 09:48
私の勝手な解釈なので、単なる偶然だと思いますが、8月6日も9月11日も平和について考えさせられる日かなと思いました。リクオさんの曲パラダイスの中に出てきた言葉で、戦争に反対する唯一の手段はそれぞれの暮らしを美しくすることというのがありました。
今回のアルバムタイトルも考えさせられるなぁと。
私も東京参加します。最高の時間を共有できたらいいですね。
4. Posted by mana   2008年08月11日 08:26
5  昨夜、もっきりやで手に入れました♪これから、車で帰宅するので、じっくり聴きます^^
 ライヴ素敵でした^^グランドピアノのリクオさんをコンスタントに観ることができる金沢@もっきりや♪
 9月のレコ発ライヴが楽しみです^^ライヴの映像と音源を撮るとおっしゃってました。
 私は、東京参加です!!!(翌日、大阪で試験があるにもかかわらず…阿呆です…)ご一緒に楽しみましょう
5. Posted by Y.HAGA   2008年08月13日 10:27
◆ハテさん
あーなるほど!確かにそういうことかもしれませんね。僕も最近リクオの使う“アイ”っていう言葉はすごく深いなあって思う時があります。このアルバムの曲も、単なるラブソングではなくてとても深みのある意味をダブらせているものがあって、聞いてるといろんな発見がありますよね。

◆manaさん
なかなか地方遠征は厳しいんですけど、もっきりやはぜひ一度ライブ体験してみたいと思っている所の一つです。そうですか、ライブ収録もするって言ってましたか!そちらのリリースも楽しみですね!
6. Posted by くま   2010年07月08日 01:11
私 初めてライブを みた時

稲妻が走りました。

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プロフィール
Y.HAGA
1965年生まれ。高校時代にROCKに目覚めて以来、いまだに思春期が終わらない。相も変わらずライブハウスに通い続ける日々。妻1子2。仲井戸“CHABO”麗市ファンサイトcafe HENDRIXの管理人。
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