ロードショーで見逃していた、矢口史靖監督の新作『サバイバル・ファミリー』を二番館に見に行ってきました。


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以下、よかった点とよくなかった点を箇条書きにします。



よかった点


①カツラの使い方がうまい


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もうヅラネタは古いよ、と最初は思いました。どうせ小日向文世が自分でカツラを捨ててそれまでの自分と訣別するエンディングなんだろう、と思ったら、まさかの『赤い河』のリボンよろしくその主の死を意味する小道具として使われるとは…! しかし小日向は生きていて、やっぱり自分で捨てる。でも、ワンクッションあるから少しも気にならないし、とてもよかったのではないでしょうか。



②小日向文世と深津絵里が夫婦役


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最初はあまりに歳の差がありすぎるというか、深津絵里も小日向文世と夫婦役がおかしくなくなるほど歳食ってしまったのかとか思いましたが、機関車に乗ったときに、「なかなか(深津の)両親が結婚を許してくれなくてな」という思い出話だけで、この二人が(小日向の性格も災いしてたんだろうけど)おそらく歳の差が離れてることを理由に反対されてたんだろうな、と想像をめぐらせられるのが大変いいと思いました。すべてを説明しない。


③急激なインフレーションとデフレーション

停電後、どんどん水と食料品の値段が高騰して、とうとう貨幣がただの紙屑になってしまうのはリアルというか、考えてみれば当たり前のことなんですが、すごく切迫したものがありましたね。
ただ、惜しむらくは、初登場の人がロレックスなんか腹の足しにならないと追い返されるんじゃなくて、高値で水を売り飛ばしていた人が札束もってきて追い返されて号泣とか、そういう関連付けをして見せてほしかったです。


④トンネルを通るときに盲人の助けを借りる

こういうのは実際に高速道路をシナハンとかしないと出てこない発想ですよね。
取材が活きていると思いました。


⑤カッティングのリズムが素晴らしい!

少しも飽きずに見られるのはこれが最大の理由でしょう。



よくなかった点


①停電の原因の提示が遅すぎる


3・11以後、電力というのは極めて政治的なテーマになったはずなのに、誰も電力会社に文句を言わないし、政治家や官僚も一人も出てこない。東京だけじゃなくて大阪も、となったときは東電とか原発とかが無関係とわかりましたが、同時に、日本全国がてんやわんや状態になってるなら北朝鮮が攻めてくるんじゃないかとか、そうなったら米軍も出てこざるをえないんでしょうが、そのような危機感が少しもなく、どういうことかと思っていたら「太陽フレアの異常による世界同時停電。理由はわからず」って、そりゃないでしょう。
3・11がなかったら出てこなかった発想のはずなのに、政治から逃げていると思いました。結局、ある家族の再生の物語だったの? というのが正直な感想です。『セブン・イヤーズ・オブ・チベット』じゃあるまいし。


②善人ばかり

小日向文世は家庭では偉そうな口だけ親父ですが、対外的にはとても礼儀正しい。主人公家族はそれでいいとしても、もうちょっと泥棒とか強盗とか痴漢とかが出てきてもいいんじゃないかと思いましたね。


③蒸気機関車に気づかないのはおかしいのでは?

私自身、蒸気機関車が登場するまで気づかなかったので偉そうなことは言えませんが、しかし、主人公家族は数十日も「この先どうするか」と考え続けているわけだから、誰かが気づかないとおかしいのでは? 実際、たくさんの人が機関車に乗っていましたよね。



驚いたのは、昼日中に東名高速とかを車止めて撮影していたことですね。影の大きさから察するに早朝とかでなく真昼間でした。『アイアムアヒーロー』みたいに韓国で撮影したとか? と思って調べてみたら、何と仙台でロケしたとか。

すごい!!!