henry_mania

時折書房

時折書房が目指すは定常開放系。コメント&TB大歓迎。

7 12月

おちまさと『ランニング・プランニング』



マラソンには、答えがある。
内容(「BOOK」データベースより)
プロデューサー・おちまさとは、なぜ毎日走るのか?なぜフルマラソンを走るのか?そこには秘密があった―。企画を生業とする著者が、走りはじめて気づいた「驚くべきランニング企画術」と「ランニングとプランニングの相似」。そのすべてがこの1冊に込められており、読めば走りたくなり、走れば企画が勝手にあふれてくるという、2012年版「企画の教科書」になっている。ランナーも、走らない人も、企画・アイデアと無縁ではいられない現代ビジネスマンにとっては、必読・必携の書がついに登場。
熱い本でしたね。
この方についての予備知識はゼロだったので、何の先入観も読み進め、はーとかふーむとかへーとかほーとか、ハ行な感じでした。ランニング賛辞の矢がどんどん飛び込んできます。
この本の奇妙な題名については、副題の「走ればアイデアは勝手にあふれだす」が解題と言っていいでしょうむ。プロデューサーではない私は、そんなにアイディアをポンぽこ出すことが期待されていないからなのか、走っているといろいろとアイディアが出てくるという感覚になったことは、特にないですね〜。今度そんなイメージをもって走ってみようかと思います。
さて、こんな一カ所を引いてみます。
 なぜ、みんなマラソンに出たがるのだろう? その素朴な疑問に対して、僕は直感的に思いました。
 「マラソンには、答えがある。」
 いま、日本には指針と呼べるようなものが見当たりません。将来が見えないのです。これは、ものすごく不安なことです。じっと耐えていればいつかは明るく豊かな社会が訪れる、という確証はありません。僕たちは自分で答えを見つけ出していくしかないのです。
 生きていくための答えを探すために、何かをせずにはいられない・・・・・・。そう思ったときに、狩りをするように「走る」という行動は、人間の本能なのではないかと僕には思えます。肉体と五感を全開にして、自分の生命力を実感できるのがランニングです。走っていれば、自分自身の内面とも向き合うし、人生にとって大切なものや、必要なものや、守らなければならないものがわかってきます。そして、マラソンというレースの場では、自分の実力や努力に対する”答え”が、ゴールした瞬間にタイムとなってもたらされるのです。(pp.116-117)
この最後のタイムが答えというところに、ずるっときました。
というのも、私がこの部分を読んで何となく気になっていたのは、「マラソンには、答えがある」として、何の答え? ということでした。問いがないのに答えがある、みたいに読めていて、、、そして、それって、本当にそうなんじゃない?と思えてくるのでした。
すなわち、人は、走ることで、いろいろな「答え」に不意撃ちされる。
「答え」に遅れて「問い」が設定されてくるような倒錯的に問答が誘発される。
最初の動機など何も関係ない。走るほどに、自分の知らない自分や自分が考えもしなかった思考形式などがどんどん「答え」として立ち現われてくる醍醐味。そんなものを思い浮かべていたんです。
さて、今シーズン最終戦を終えて、少し心身が落ち気味になっていたんですが、さあ、また走ろう。今度は私にどんなことを教えてくれるんだろうか。
6 12月

有川浩『県庁おもてなし課』

県庁おもてなし課 (角川文庫)
有川 浩
角川書店
2013-04-05


創造性、柔軟性よりも硬直性。
内容(「BOOK」データベースより)
とある県庁に生まれた新部署「おもてなし課」。若手職員の掛水史貴は、地方振興企画の手始めに地元出身の人気作家・吉門に観光特使を依頼する。が、吉門からは矢継ぎ早に駄目出しの嵐―どうすれば「お役所仕事」から抜け出して、地元に観光客を呼べるんだ!?悩みながらもふるさとに元気を取り戻すべく奮闘する掛水とおもてなし課の、苦しくも輝かしい日々が始まった。地方と恋をカラフルに描く観光エンタテインメント。
夏ごろに読んだ本で、細かい記憶はなくなっているのですが、ちょっと時間があるので、備忘録的に取り上げておきます。
有川浩さん、ずいぶん久しぶりなのですが、楽しく読めました。
実際のエピソードを基にひとつの物語につなげてしまわれる力技、さすがプロ!
一カ所だけ引いておくのは、諦念も、いや定年もだいぶ近づいてきた公務員である私に対する戒めを。、
 非効率であることを義務づけられていると言っても過言ではない。全ての業務にマニュアルがあり、即応性を求められる事柄も手続き論で停滞する。それは、手続きで縛らなくては信用できないという前提を背負わされているからだ。
 つまり、役所のシステムにはそこで働く者の堕落が織り込まれている。お前たちは堕落する者だと最初から決め打ちされたシステムの中で、能力を発揮できる人間がどれだけいるだろうか。
 ましてやマニュアルにない新しいことを始めるなど。
 頭が固い、融通が利かない、だからお役所は。――だが、そのような行政であることを彼らは義務づけられてきたのだ。求められたのは創造性や柔軟性よりも硬直性だ。(pp.328-329)
私のいる教育行政というところとはちょっと違うところはあるんでしょうが、でも、相当痛いところを突かれているという感覚はあります。折しも不祥事がいつもの数倍のペースで相次いで緊急事態が宣言されれてもいるようなこの状況です。そういえば、その不祥事未然防止対策として、また新たな手続きが導入されてもいました。ふ〜む。確かに。この三十年の間に、私の創造性や柔軟性も腸脛靭帯なみにがちがちに硬くなってしまったものだなあ。整骨院に行こう。
4 12月

村野あずさ『「走る」ための食べ方』



この本は愛蔵版だな。
内容紹介
賢く食べれば完走できる! 記録も伸びる!
いまや、アマチュアランナーは約2600万人といわれています。
本書では、フルマラソン完走、記録アップをめざすランナーに必要な「食べるトレーニング法」を、豊富な情報とわかりやすい解説で指導します。
【目次】
PART01 ランナーのための栄養学入門
PART02 走力アップのための栄養と食事
PART03 フルマラソン快走に向けたレース期の栄養戦略
PART04 目的別の栄養アドバイス
非常に役に立つ本でした。図書館で借りて読んだ本なのですが、これは、いつも読めるように携行しておかなければ!と思いました。ただ、Amazonでみてみたら、「新訂版」が出ているようなので、そっちにしたいと思います。
なお、具体的な学習ポイントについては、いろいろありすぎて簡単に整理できないのですが、3月の初フルマラソン参戦に向けて、理屈に裏付けられた非常に明快なプランが示されていたのは、即そのままいただきます。ただ、最後の方で言及されていたアルコールの問題については、やや微妙ですね。レースの前日だけはできるだけ量を減らす努力をしたいと思います。

さて、本日は、今年3度目のハーフマラソンを走ってきました。食事に関して特に気を付けたことはありませんが(笑)。前回記録したPBを2分37秒更新、1時間35分40秒(ネットタイム)でした。約一か月前のハーフを走ったとき予想以上にいい感じで走れて、レースというもののもつ場の力をまざまざと実感していました。だから、今回は、どうせ今シーズン最後なんだし、自分の偽らざる感触としては絶対無理だと思われる4:30/kmでいけるところまで押していこうというプランを採りました。
で、15kmまではそのペースで行けていたのですが、15kmあたりからじわじわきつくなってきて、何とかこのタイムでした。

この1年間の総括です(何のブログだ、いったい?!)。
五十代という人間の在り方生き方をずいぶんとあまくみていた自分を猛省します。でも、それを促したのが自分自身だと思うと悪い気はしません。とにかく、五十代の半ばにあって、身体的な能力(ごく一面ではありますが)が目に見えて向上していくということ、何と美しいことか。私は、すでに来年1年間のレース参戦計画を立て、そればかりか、今後1年間のトレーニングプランまで細かくイメージしています(おバカ)。まさに一人部活顧問選手状態です。こんな麗しい五十代に導いてくれた神様仏様(微妙)に心から感謝します。
2 12月

重松清 x 中原淳 x 山辺恵理子「15歳の未来予想図」(マナビラボ)

学びラボ





















「これもありかよ?!」「これもアクティブなんだ!」的アクティブ・ラーニング。
マナビラボとは
東京大学 大学総合教育研究センター 中原淳研究室と日本教育研究イノベーションセンターは、日本全国の高校で授業をなさっている先生方が、その授業をさらに「インタラクティブ」に、さらに「知的にワクワク」したものにするお手伝いをさせていただきたいと願い、Webサイト「マナビラボ」を立ち上げました。
マナビラボは、高校の先生方はもちろんのこと、今、高校で学んでいる高校生、そして高校の授業に関心をもつ多くの人々にご覧いただきたきたいと感じています。
私にはこのブログがあるじゃないか、最近そんなふうに思うことがたまにあります。
そして、更新しない間に読んでいたたくさんの本たちのことを思い、粗末に扱ってしまっていてごめんなさい、と軽く謝罪するとともに、思い出しながら少しずつここに取り上げていこうと思うのでした。
さて、そんな謝罪文だけ掲載するのもなんなので、こんなものを引っ張ってきました。本ではありません。
二年前に高大接続改革が文部科学省発で話題になってからというもの、「アクティブ・ラーニング」という言葉がいたるところで唱えられるようになって、変なプレッシャーやら変な呪縛やら変な反発やら無数の「変」が生成しつづけています。過去形じゃありません、まさに現在進行形です。
私は、自分のライフワークの総決算として、このアクティブ・ラーニング型授業導入を起爆剤にした学校改革を夢想しているようなところがあるのですが、そんな中で、重松清による「アクティブ・ラーニング」観に出会い、少しはっとさせられたのでした。
重松 だから本当に、アクティブって目に見えたり、耳に聞こえたりするだけがアクティブじゃなくて、なんか俺、黙ってるやつにも「アクティブな沈黙」ってあると思うんだよ。頭の中で「どうしよう、どうしよう、どうしよう」とかさ。本当にその沈黙を、言葉になってないから、この時間はゼロの時間なんだと思うか、言葉になってないけどもすごく水面下で実りのあるアクティブをやってるんだよと見るかで、だいぶ変わると思うんだよね。
また、
重松 そうそう。例えばビジネススクールとか、より実践的に、あるいは功利的に考えるんだったらそれもありかもしんないけどね。
少なくとも義務教育って、それよりも「いていい」ってことを植え付けるしかないよ、多分。どう考えても、植物とか動いてないけどすっげえアクティブに光合成とかしてるんだよ。下から水とか取って、大変なことやってんだよね。だから本当に、もちろん「アクティブ」とか「ポジティブ」とか、なんかそういう前向きなところに分類される言葉、さっきの「自由」とかもそうだけど、そういうのは疑ってかかるというか、なるべくその意味を広げていって、「これだってアクティブだよ」っていうふうにしないといけないと思う。「これはアクティブじゃない」「これは違う」とかって言って、狭いところに持っていくと、やっぱりそれは心配だと思うから。今、アクティブラーニングは本当に始まったばかりだから、逆に言えば、「これもありかよ?!」と。「これもアクティブなんだ!」っていうふうに広げておいてあげるっていうのがいいんじゃないのかなと思うんだよね。
活動がアクティブであることにだけ注目してはダメ。アクティブ・ラーニングが注目されてから、いろいろな識者が指摘していることではあります。ただ、重松の忠告は、もっと違うレベルにあると思います。教育の営みがもつべきもっと本質的なところに言及しているんじゃないでしょうか。
「アクティブな沈黙」というものがある。
「いていい」を植え付ける場としての義務教育。
前向きのきらきらタームは疑ってみる。
そして、「これもありかよ?!」「これもアクティブなんだ!」的な、間口の広いアクティブラーニング観。
重松さん、大事なご指摘、ありがとうございます。
1 12月

NHKスペシャル取材班『42.195kmの科学』

42.195kmの科学 マラソン「つま先着地」vs「かかと着地」 (角川oneテーマ21)
NHKスペシャル取材班
角川書店(角川グループパブリッシング)
2013-02-09


すごく熱い科学でした。
内容(「BOOK」データベースより)
なぜ「つま先着地」が重要か?マラソン歴代上位100傑のうち9割がケニア・エチオピア勢、彼らの強さの真相。急激に進むマラソンの高速化に科学的に迫る。
著者について
善家賢。1972年埼玉県生まれ。95年、慶應義塾大学法学部政治学科を卒業後、NHK入局。2012年より報道局報道番組センター社会番組部に所属。著作に『本番で負けない脳―脳トレーニングの最前線に迫る』(新潮社)、『金メダル遺伝子を探せ』(角川文庫)がある。
ラン関係とはいえ、最近はもうフルマラソンに関心の重点があります。42.195kmをNHKさんがどう科学してくれるのか?唾を飲み込みながら読み続けました。
さて、今、最強のランナーを続々と排出しているケニア・エチオピアですが、皇帝の異名をもつハイレ・ゲブレシラシエ、世界記録保持者(出版当時)パトリック・マカウらに密着し、その肉体を徹底的に調べあげた本です。具体的には、マラソンの記録を決める3つの要因、最大酸素摂取量(VO2max)、乳酸性作業閾値(LT)、ランニング・エコノミーについて語っています。単に「科学」しているわけじゃないんです。科学に熱がある、人間がある。何だか熱いドラマに見入ったような感懐が残りました。
なお、何度も登場しているこの世界の権威であるジョイナー博士は、終末近くでこう言います。
「マラソンで2時間の壁を破る選手は、抜群のランニング・エコノミーと小さな体格を持つ者で、高地生活を経験し、かつ、幼少期に相応の身体活動を行った選手である」(p.165)
そう、マラソンの2時間切りを具体的なイメージとともに予言しているのです。日本男子が高岡寿成の6分台の記録をなかなか更新できないでいる間に、ケニア・エチオピア勢の勢いはさらなる加速により日本人を置いてきぼりにしてしまう、のか。大迫傑と一色恭志、服部勇馬に期待しよう。
さらに。前掲のジョイナー博士は次のようなことを語っておいででした。
「一生懸命トレーニングをしても、年を重ねる毎に走る速度が遅くなるのはなぜか? そのいちばんの理由は最大酸素摂取量(VO2max)が低下していくためです。なぜ、低下するのかというと、加齢と共に最大心拍数が下がり、高い心拍数を維持出来なくなるためです。・・・」
 これまでの研究から、健康だが運動をしない男女では三〇歳から一〇年ごとに、最大酸素摂取量が九〜一〇%低下すると考えられている。一方、激しい持久的トレーニングを継続している場合は、三〇歳からの加齢に伴う最大酸素摂取量の低下は、一〇年当たりで五%程度。これは、運動をしていない人に比べて、低下の割合が半減することを意味している。(p.174)
ふ〜む。最大酸素摂取量の値は寿命に直結するということも前に聞いたことがあります。私は、まだまだあまいランナーで、このあたりの数値には無頓着なんですが、そろそろ現在のものより高機能な心拍計付きのGPSウォッチ購入を予定しているので、最大酸素摂取量を気にしていくランニングライフもそろそろ始まることでしょう。老化曲線に負けない成長曲線を描くぞ。
29 11月

津田誠一『常識破りの川内優輝マラソンメソッド』

常識破りの川内優輝マラソンメソッド (SB新書)
津田 誠一 (元学習院大学陸上競技部監督)
SBクリエイティブ
2015-12-05


川内優輝とは何者だったのか?
内容紹介
◎大学時代に川内優輝選手の才能を開花させた恩師が説くマラソンの真髄
■最強の市民ランナーは、なぜ少ない練習量でも強いのか?
“最強の市民ランナー"として名を馳せる川内優輝選手(埼玉県庁)。
オーバートレーニングで故障してばかりの高校時代、今の姿からは想像できないほど無名の選手だった。
しかし、学習院大学陸上競技部監督(著者・当時)の独特な練習スタイルが、川内選手の陸上人生を好転させた。本書では、川内選手が潜在力を発揮するきっかけとなった常識破りの練習法から、一般の市民ランナーのための具体的練習メニューに至るまでを解説。自己記録更新を目指すランナー必読の書!
川内優輝、気になります、当然気になる存在です。だって、私もその一部になりつつある市民ランナー(「元」をつけるべきでしょうね)の頂点に優雅に輝く存在なのですから。
その川内優輝選手の元指導者という方による著書です。2010年の9月まで指導されていたそうです。「川内が私のもとを離れたのにはいろいろな要因があるのですが、それは明かすことはできません」(p.75)とありましたが、そんなふうに言われると、かえって気になりますね。実際川内選手がサブテンを連発するのはこの指導者から離れた後のことです。ただ、川内の転機を鮮やかに支えた人物であることに間違いはないんでしょう。
さて、この方の基本的スタンス、こう紹介されます。
 私の指導(練習)法は、当時も今も、週2回だけ集中して走力を強化する「ポイント(強化)練習」が軸。その他の日は、基本的に疲れを抜きながらジョッグをするというシンプルな内容です。(p.10)
ふ〜む、なるほど。小出監督も、こうはおっしゃってはいませんでしたが、それに近い指導法だったと思います。私の場合、週2回のうちの1回をウィークデイ(著者は水曜日を主張)に設定できないのが課題で、その克服のため、強いポイントと弱いポイントを土日にうまく設定するために悪戦苦闘しています。例えば、奇数週なら土曜日にインタバル走、日曜日にLSD。偶数週なら土曜日に軽めのビルドアップ走、日曜日に長めのペース走、といった感じが基本で、ウイークディは水曜日に6〜12km程度のあまり追い込まないビルドアップ走が入る程度で、今は月に200kmくらい。
私は、ある意味、メリハリつきすぎ、ですね。とにかく帰宅ランの導入で、ウイークディの充実に努めたいと思っています。
また、こんな言葉が。
 「練習でできないことが本番でできるか!」などと正論めいたことをいう人もいるようですが、中長距離というのは不思議なもので、練習でできないことが本番でできる。むしろ本番さながらの練習をすると、目に見えない疲労やコンディションの悪化を招き、日ごろの練習で積み重ねてきた基礎的な走力さえ低下して結果が出なくなるものなのです。(p.49)
これは、何となく腑に落ちるところがありました。11月初旬に走った2回目のハーフ、自分では全く想定していないペースのまま走り切れてしまいました。練習でできないことが本番でできる、不思議。
そういう意味では、次のようなところにも要注目、です。
・・・「最低でもこのペースで押していける」という最低ペースを日ごろの練習で把握しておいて、その最低ペースを底上げするようにさらに練習していくのです。(p.123)
今私の中でとても大事にしているトレーニングがペース走なんですが、私は、小出監督の本を読んで、このペース走を「最低でもこのペース」というよりは、「ある意味勝負に直結するペース」というような感じでとらえて実践していました。ひとつ、それとは別のペース走というものも試してみる価値があるのかなと思ったりしました。
いずれにせよ、何でもいい勉強です。
試行錯誤の愉しみ、充実しすぎる50代、がんがん行こう。
26 11月

内館牧子『終わった人』



定年後は紋切型に落ちる、しかないのか。
内容(「BOOK」データベースより)
大手銀行の出世コースから子会社に出向、転籍させられそのまま定年を迎えた田代壮介。仕事一筋だった彼は途方に暮れた。妻は夫との旅行などに乗り気ではない。「まだ俺は成仏していない。どんな仕事でもいいから働きたい」と職探しをするが、取り立てて特技もない定年後の男に職などそうない。生き甲斐を求め、居場所を探して、惑い、あがき続ける男に再生の時は訪れるのか?ある人物との出会いが、彼の運命の歯車を回す―。
どうしてこんな本を読んだのか。
本を読むとは、まずは、どんな動機で選書するか、から始まるものでしょう。
選書の動機が薄ぼんやりしていることも多々あるのですが、これは、明快でした。前の職場の上司が今年の春に定年退職され、その後一緒にお酒を飲む機会があったとき、その方からこの本をめぐる話があったのです。「退職して家に帰ったら、娘からこの本をプレゼントされたんだ」と。元上司は、もうすでにこの本を読み終えていたのですが、それでも、というか、だからこそ、娘の真意を測りかね微妙な困惑から逃れられずにいらっしゃったのでした。
その時の微妙な困惑が、私も、何となく頭に残りつづけ、図書館で検索してみると、何百人待ちの状態で、こりゃあ、買って読むしかないかと(内館さんのハードカヴァーなんて普通は絶対買わないんですが)、夏ごろに買って読んだものでした。
で、読んでみたのですが・・・。
元上司の微妙な困惑の謎解きはできませんでしたね。もし私が定年退職の日に娘にこの本をプレゼントされたとしても、確かに困惑することでしょうね。
まっ、それはさておき、この本の中身にについて、ですが。
定年後。たくさんの紋切型がドラマを彩っていました。図書館、ジム、サークル活動、旅行、再就職、そして、熟年恋愛。プライドの高い主人公は、むしろ、それら紋切型に対して一定の距離をとりたがるのですが、その距離の取り方自体もある意味紋切型に感じられる、いやあ、そんなふうに考えると、本当に定年後の生き方って難しいですね。
そして、こんな紋切型地獄に陥るのはきまって男性。仕事という生き方に深〜くコミットしつづけた者にとって、仕事、役職から見放された末路は、何とも弱々しくみみっちい感じの時間しか用意されていない。ああ、むなしいっす。
私もいい歳です。定年までを指折り数えられる段階です。
現在のところ、私の定年後のイメージとしては、まずはできる限り長く働き続けることです。今の仕事を65歳まで続けたら、その後は無理なくトレーニングを兼ねられるような仕事をやりたいなあ、駐車場誘導とか(他にどんな仕事があるだろう?)。なんせ、定年退職後の本業はランナーになる予定ですから、レース参加費用等を稼ぎつづけなきゃならないですからね。定年退職で「終わる」のじゃなく、むしろランナーとしていよいよ脂がのってきて「始まる」「花咲く」ような人生を希求しつづけたいと思っています。
25 11月

山口拓朗『なぜ皇居ランナーの大半は年収700万以上なのか』



走ることの価値は走ること。
内容(「BOOK」データベースより)
2007年に始まった東京マラソン以来、市民ランナーは全国で増え続けている。その数1000万人超。成人の10人に一人は、もう「走る喜び」に出会っているのだ。ダイエットなど身体面だけでなくメンタルにも効果絶大、走る習慣をつける過程で生活からよどみがなくなり、またランニング中のクリアな思考が仕事に新たな発見をもたらす…。なぜランニングが現代人の福音になるかを総合的に解き明かす初の一冊。
読んでいくうちに不思議な感覚になっていましたが、「不思議な感覚」ですから、それがいったいどんな感覚なのか、はっきりとはわからずにいました。
この本は、新書ではよくあることですが、タイトルとは別なことが書かれていました。
何が書かれてあるのかというと、筆者の言葉を借りるとこうなります。
 例えば本書ではランニングの効能について、それなりの紙幅を割いた。健康にいい。脳にいい。ダイエットできる。仕事ができるようになる。他人とつながりがもてる。セルフイメージが上がる−−などなど。(p.183)
そうなのです。これでもか、これでもかと、ランニングの効能がつづられていくのです。私は、へーっという顔で読み続けました。確かに、確かに、と。
〃鮃 検診の数値が劇的によくなっています。
脳 これはちょっとよくわからないかな。
ダイエット 体重が10kgほど、体脂肪が6%ほど落ちました。
せ纏 これもどうでしょう・・・
イ弔覆り 間違いなく新たな交友関係が広がりました。
Ε札襯侫ぅ瓠璽検ヾ岼磴い覆上がりました。
ランニングには本当にいろいろな効能があるということを実感しながら読むことができました。しかしながら、しかしながら、何となくそれらの感触は上滑りし続けるというか、変にくすぐったいだけで腑に落ちないようなところがあったのです。実は、こう書き進めてきた筆者自身が、その上滑り感の謎解きをするように、この本のまとめに取り掛かるのです。さきほど引用した部分に続けて、筆者は「しかし、だ。ランナーははたして何かの効能を目的に走っているのだろうか?」と書き、哲学者ランナーのマーク・ローランズのこんな言葉を引用します。
 わたしたちがすることで、それ自体のために価値があるのは、あらゆる形の遊びである。そして、走ることは、少なくともおとなの人間にとっては、もっとも古くてもっとも単純な形の遊びである。わたしたちはさまざまな理由で走ることもできる。これらの理由のほとんどは手段であって、道具的な価値だけの基板をなす。けれども、走ることの真の価値は、この道具的な価値をしのぎ、それ自体で走ることを「骨折りがいのあるもの」にする。走ることの目的と価値はそれ自体に内在する。走ることの目標と価値は単に走ることなのだ。(『哲学者が走る』)(p.184)
何と、そうきましたか(笑)。自ら延々と説いてきたランニングの効能を最後になって裏切るような一太刀。
しかしながら、これで私も落ち着きました。
走ることの目標と価値は単に走ること。
走ることは生きること、生きることは走ること。とにかく、走ることでじぶんの人生の地平がどんどん拓けていくあの感触を言葉にすることって、なかなかむずかしいと感じるのですが、今回は、一つの至言をいただきました。

さあ、今年最後のレース、来週のハーフマラソンに向けて、気を高めていこう。
6 11月

金哲彦『金哲彦のランニング・メソッド』



丹田・肩甲骨・骨盤・・・。
内容紹介
ランニングを楽しみたいあなたにおすすめの一冊
---"丹田・肩甲骨・骨盤"を正しく動かすことで、走りは劇的にラクになる---
日常生活での動作で「子どもの頃と違って動きが重い…」と思ったり、「ぜんぜん走れなくなった…」と思ったりしたことは誰しもあるはず。この悩みは、本書の正しい走り方をマスターすることで一気に解消します!
この本を読んだのはおよそ一か月前。内容はよく覚えていません。
同僚というか、ほぼ同僚から借りて読んだものでした。正直、「丹田・肩甲骨・骨盤"を正しく動かすことで、走りは劇的にラクになる」と言われても、どのようにどう動かすの?みたいな感じ。魔術というか、秘教というか、何だかそんな感じに受け取るしかなく、はあ、みたいな読後感でした。参考になるところも多かったんですけどね。
さて、本日、二度目のハーフマラソンに参戦してまいりました。
何だか調子いいなあと思って走ってはいたのですが、ゴール、記録証をみてびっくり、1時間38分23秒。GPSウォッチでラップは確認していて、おおっ、いいいねとは思っていたんですが、このレベルで走ることは考えてもいなかったものですから、出来上がりの数字にびっくりしてしまった次第です。
風が結構強かったものですから、追い風もあり、でも、向かい風も相当きつく、でも、タイムを確認しながら走っていると、あらら、落ちないな、という感じ。振り返ってみれば、最初の10kmが47分35秒、次の10kmが46分53秒と、いわゆるネガティブスプリットですか〜。最後の約1.1kmは4:07/kmまであがっていました。
今日は、何となくとっておいていた出羽桜純米大吟醸をあけ、祝杯。ちょっと・・・心がざわついています。
22 9月

鈴木清和『確実に速くなる ランニングの科学』



「科学的」って、ウリの大切なポイントだけど。
内容(「BOOK」データベースより)
本書では、ランニングに必要なスポーツ解剖学・生理学・力学をまとめ、科学に基づいた正しい走り方を紹介しました。栄養素の基礎知識、休養のとり方、故障したときの対処法、レース対策もまとめています。基礎を身に付けたい初心者はもちろん、サブ4、サブ3を目指すランナーまで、幅広くオススメすることができます。
この間の日曜日、初めてハーフマラソンを走ってきました。
惨敗でした、、、何に負けたの?
自分に? う〜ん、よくわかりません。
当日は、9月18日というのに、気温20度以下、弱い雨が降る中のスタート。終盤は結構雨が強くなってきたものの、この時期にしたら相当走りやすいコンディションだったかと思います。
で。私のレースプランは、15kmあたりまで5:00/kmで自重して、そこから可能な範囲でのギアチェンジ(イメージは4:50/km程度にあげる)、最後の1kmは死ぬ気で走る・・・・というものだったのですが、入りの10kmが48:33、15km時点では「よっし、ここから!」みたいな感覚にはなれず、挙句の果てには、18kmあたりで左膝外側に痛みが出て、一気にペースダウン、19kmあたりで痛みはひいたものの、ペースを上げるような余裕はさらさらなく、だらだらとゴールに向かい、結果、1時間45分22秒。実は、1時間45分は切りたいというのが目標だったものですから、あえなく撃沈、いろいろと課題を頂戴するレースとなりました。
でも、一回ハーフを走ってみて、相当いろいろいな意味での視界はよくなりました。次は11月初旬に県内でまたハーフを走ります。今回の学習をどうつなげられるか、ああ、楽しみです。
なお、この本は、「科学」を売りにしている本だったのですが、その細かい論理や数字のほとんどは腑に落ちてきませんでしたね、「科学的」というものを売りにする時のポイントとして、「データがそう言ってんだよ」的ディスクールに陥らないということが大切だということを再確認させられました。いや、この方の書きぶりがそうだったというわけではありませんよ。
この本に帰ろう。
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