しあわせのねだん
しあわせのねだん
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小さな興奮、大きな「ふふふ」。
内容(「BOOK」データベースより)
「私たちはお金を使うとき、品物といっしょに、何かべつのものも確実に手に入れている。大事なのは品物より、そっちのほうかもしれない」お金には無頓着。だけど、ほしいものはどうしてもほしい!意を決して何かを買ったり、考えた末にあきらめたり。直木賞作家が、そんなお金にまつわるひたむきな思いと体験をつづった。多機能の電子辞書。まあたらしい冷蔵庫。輝かんばかりの女になるための化粧品。年齢にふさわしい所持金。待ち人があらわれるまでの空白の時間。母との忘れられない旅…。その値段は?お金は何をしてくれて、何をしてくれないのだろう?日々と物欲のくらしから垣間見た、幸福のかたち。
 いやあ、相変わらず楽しいんです、これがっ。
 何が楽しいかっていうと、とにかくその生活感覚がリアルに感じられるんですね。こういうエッセーって、小説家が書くと、どうしても「格好つけたがり」になるような気がするのですが、そういうものが一切感じられず、むしろ、角田光代小説の登場人物のように感じられてしまう、そのくらい楽しいエッセーです。
 そして、今回もうひとつ楽しかったのが、私自身を、角田さんらしさの中にいくつもいくつも発見できたこと。物に対する独特な距離感、怖い物知らずの小心ぶり、メカに対するアンビバレントな思い、さまざまに自分自身を見出すような感じがあって、自分が角田光代マニアであることを自任していることの意味づけに微妙に揺らぎました。
 しあわせのねだん。
 例えば最近の私は、千葉県産落花生一袋、780円。
 ピーナッツとともに生きる普段の私がやむなく愛好する中国産にそぐわないと感じる日、いつもはあまり行かないスーパーに行って、その指定席にこの780円の袋を見出したときのちっぽけな幸福感。最近、その頻度が増しているのは、別に私の財布がホコホコしているわけではないことから考えると、ちよっと、どうしたもんでしょう。