切なさが少しじんじんしてくる…。
内容(「BOOK」データベースより)
ふかえりはきっと特別な存在なんだ、と天吾はあらためて思った。ほかの少女たちと比べることなんてできない。彼女は間違いなくおれにとって、何らかの意味を持っている。それなのにどうしてもそのメッセージを読み解くことができない。…『空気さなぎ』、宗教集団さきがけ、リトル・ピープル、そして夜空に浮かぶ月。謎に満ちた「1Q84年の世界」を生きる天吾と青豆の運命は―。
BOOK1を読み終えました。
ただおもしろいですね。
この「ただ」という、一見意味不明なワーディングがみそです。
メタファー解読や謎解きを楽しませるのも村上春樹ワールドですが、それと相反するようですが、意味も思想も関係なく、その物語世界に浸っていること自体が楽しい、というのも村上春樹作品ワールドでしょう。私は、どちらかというと、面倒くさがりなところがあるので(ある面においては面倒こそを趣味にしてしまうようなところもあるのですが、それはごく限られた部分です)、後者派です。
ただ(笑)、意味解読を全く抜きにして楽しめないようなところもあり、備忘のために、こんな一節だけ抜き出しておきます。
「やった方は適当な理屈をつけて行為を合理化できるし、忘れてもしまえる。見たくないものから目を背けることもできる。でもやられた方は忘れられない。目も背けられない。記憶は親から子へと受け継がれる。世界というのはね、青豆さん、ひとつの記憶とその反対側の記憶との果てしない闘いなんだよ」(p.324)
婦警のあゆみによる言葉です。
ひとつの記憶とその反対側の記憶との果てしない闘い?
そういえば、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』には、パラレルワールドという形で二つの世界が表れていたっけなあ。次はこれだな。