090513
遂に沖縄の旅も本日で最終日。
今日は朝6時に起きて、朝のお散歩に行く。

てくてくと歩いて海へ。
昨日行った時はあんなに干上がっていて歩けていた場所が、
今は潮が満ちていて、波が海岸に打ち寄せていた。
24時間以内の中でもこんなに様相が違うって不思議。
地球は。いや宇宙は、動いてるんだよなあと実感する。
時間の流れによる上昇、下降というのは、
必然的に起こるんだよなあ、ということが、
こういうものを見ると、よくわかる。

潮が引いているときには、その場所を簡単に歩くことができるけど
満ちているときにその場所を歩こうとしたら、溺れる。
でも、実生活ではそういうコトをしてしまうことって多いよな。

日が昇ったら起きる、日が暮れたら寝る。
月が満月に近づくと明るくて、新月に近づくと夜は暗い。
お腹がすいたらご飯を食べる。
全部、普通のことなのに、
今までそんなことが世の中できちんと起こっているということを
案外、見えていなかったな。

日がだんだん昇っていくと、海の色がだんだん変わっていった。
濃い青だった海が、だんだんエメラルド色になっていく。
海の色って深さと日の光の強さによって変わるようだ。
だけど、絶対的な場所の違いもあるから、それは
砂の色とかサンゴとかそういう要因もあるのだろう。
黒島の海は、遠浅でサンゴ礁に囲まれてるから
薄青くてキラキラ光ってキレイだ。
遠方の海の深い濃い青も、どしんとして肝が座ったかんじで好きだけど
こういうチャラチャラした青さも好きだ。

海があかるくなってきたら、上にあがると、
東屋に自転車で来ていたIwaさんに「おっはよー」と声をかけられた。
すぐ脇の道から遊歩道に入れて、もう一つの海岸に行けるよ、
と教えてもらったので、その遊歩道に行ってみる。
朝露で濡れている草を踏みしめながら海岸線の道を歩いていくと、
とっても小さな海岸に出た。
超プライベートビーチ的な小さな海岸。
うーん。今日も良い天気だ。
ほんとこの旅の間は、ずーっと良い天気だったなあ。

小さな海岸から歩いて宿に戻ると、ちょうど朝食の時間だった。
朝ご飯は、目玉焼にソーセージ、ベーコン、納豆、のり
というスタンダードメニュー。
今日のお昼は遅い時間になりそうなので
ご飯をお代わりして2杯食べて腹ごしらえをしっかりしておく。

食後、部屋に戻って、荷物をザックにパッキングする。
今回ザックは大きいのを買ったので、パッキングが楽で助かる。
いままで持っていたのは小さかったので全部は中に入らなかったし。
しかし大きくなったにしても、この旅中に何度もパッキングを
繰り返したせいか、最終日になるにつれて、入れ方が上手になったようで
少し物を買ったりして荷物は増えたのに、
だんだんコンパクトに収まるようになってきた。
この最終日なんて、ほんとに上手い具合に偏りもせず収まって
我ながら上手ー!と一人で自分を褒めていたのでした。

さて。荷物をパッキングしてから、牛のセリを見にいった。
会場に行くと、既にセリは始まっていた。
けっこう早いペースで、次々と牛が入場してきて、
次々と値段と落札者が決まっていく。
何頭も何頭も見ていると、だんだん相場がわかってきた。
平均して体重が200kgぐらいで、値段が20万円前後というところか。
300kgとかだと30万台に行ったりする。
(でもこれはけっこう今相場が下がっているらしく、
以前は40万とか普通にいっていたそうだ。)
中には7万とか安いのもいて、一概に体重だけでもないようなのだけど
その辺の判断まではイマイチわからなかった。
一番安かったのは4万から始めてもなかなか買い手が出なくて
更に落として3万から始めてやっと買ってもらえたりとか。
毎度、そういう安くてなかなか買い手がつかないのを見ると
ちょっと悲しくなってくるのだけど、
おなじような心情なのか?そういう時にいつも落札するおじさんがいた。

それにしても、最初に見ててケタがわからなかったくらい
思ったよりも安いのね。
まあ、高くなるのはここからの育て方によるらしいから
まだ原石、というところだからと思うけど。

そうそう。この黒島の牛は、こうやって買われていって、
そこから石垣牛だとか、松坂牛、神戸牛などのブランド牛になっていくのだ。
だから、いろんなトコで売られているブランド牛も
元をただすと黒島の牛ちゃんだったりするということもあるのだ。
ちなみに昨夜居酒屋で飲んでいたときに聞いた情報によると
今いちばん美味しいのは石垣牛だと言っていた。
ううむ。今回は機会を逃してしまったけど、こんど食べてみようかなあ。

そして、今日私はお昼に帰ってしまうので見られないのだけど
この後、変われた牛ちゃんたちは船に乗せられて渡っていくのだそうだ。
まさに「ドナドナ船」だ。うーむ。ちょっと悲しい。

しかしそんな素人の悲しみはよそに
買い手のついた牛ちゃんたちは、商品そのもので、
番号順にキレイに並べられて、
耳やおでこに、番号札がペタペタと貼られているのでした。
体にも番号が書かれてたり。
そんな状態でも純粋無垢な目をしてる牛ちゃん・・。
とか言ってるけど、肉の状態で出されたら、普通に美味しいとか言って
食べてしまうんだもんね。
なので、牛ちゃんは、これがお仕事なのだ、ということで
ありがとう、お疲れさま、と思うことにした。

面白かったけど1時間くらい見ていたらさすがに少し飽きてきたし
そろそろ船に乗らねばいけないので宿に戻って、
宿のオーナーさんに車で港まで送ってもらう。

「また来ます!」とホンキで言った。
なんだか、黒島には、また来たかった。
「また秋にもシルバーウイークがあるから、その頃とか。
でも台風と重なりやすいんだけどね。
でも秋は食べ物も美味しいですよ。魚も油乗って。」
と言っていた。
そっか。また来るといってもずっと先だと思っていたけど
またすぐ、という手もあるのか、とも思ったりした。

12時40分発のフェリーで石垣に戻る。
この旅で合計10回もフェリーに乗ったんだなあ。
よく乗ったもんだ。

石垣港についていそいでバスターミナルに行くと、
ちょうど空港行きのバスが出るところだったので
それに乗って空港まで行く。
持っていた「沖縄・離島情報」の本は、船もバスも時刻表が
ほぼ全て載っているので、こういう乗り継ぎ時の計算ができて非常に便利だった。
この本は、キャンプに行ったみんなそれぞれ、
申し合わせた訳でもないのに、各自で違う出版年のこの本を持参していた。
こうやっていろんな島を回る場合にはホントに便利だった。

バスに乗りこんだら、急にどっと疲れを感じた。
ゆるゆると過ごしていたつもりだったけど
やっぱ13日間もこうやって島をまわっていたらさすがに疲れも出るのだろう。
空港で荷物を預けたあと、出発の時間までお昼を食べようと
空港のレストランに入る。
空港のレストランといえど、普通の食堂チックで、
八重山そば550円と普通のその辺の値段であった。

帰りのチケットは、福岡で乗り継いで羽田に行くという、
「面倒くさい割引」とでもいうのでしょうか、
だから安くなるというそんなチケットだったので
石垣空港を出て、一度福岡で降りた。
福岡から羽田に向かう便は、何故かほぼスーツ姿のサラリーマンが占めていた。
みんな出張帰りか?!
一律みんなスーツなのだ。スーツじゃなきゃ飛行機乗れないのか?!
ってくらいにみんなスーツだ。
私はこの旅の間、超ラフなロクに着替えもしないTシャツ姿で、
靴は終始ギョサン(小笠原式のサンダル)という姿だったけど
でも全く気にならなかったのに、
こんなスーツ姿に囲まれた途端、突然自分の格好が「あれれ。場違い?」
と、気になり出してしまった。
自分の服装をこうやって気にしたのは、13日ぶりだった。


※旅の写真はこちらで紹介しております。
こたびphoto「沖縄島めぐり」2009