朝7時にN家を出る。
眠い目をこすりつつ起きてきていた子供達と
「9月にまた会おうね」と言いつつお別れする。
8時に札幌駅付近から発車する高速バス「はぼろ号」に乗り、出発。
ここから4時間半の旅路だ。
車内にはテレビもついていて、各席のイヤホンから声が聞けるので
酒井ノリピーの失踪事件のワイドショーなどを見て過ごす。
途中まで中央部の高速を走り、高速を降りた後は海沿いへ向かい、
そこからはずーっと海のすぐ脇の道を走る。
地図上でも海ギリギリを通るように書かれていたが
実際走ってみてもまさに海のすぐ脇を道路が走っていて
ガードレールを越えるとそこは砂浜という状態だ。
こんなに海に近い道をずっと道路が続いているのもすごい。
しかしそこは北の海。沖縄のように青いわけでもなく
そして誰も泳いでいない。
そう。あの常夏感満載の泳ぎたい欲をかきたてるような沖縄の青い海と違い
こちらはきちんと北っぽく、泳ぎたい欲というよりも
海を眺めてしみじみと涙を流したりする方が合っているような色を出している。
海の色ってどうしてこんなに場所によって違うのだろうか。
途中に3回の小休憩をはさみつつ、13時26分に天塩のバス停に到着。
バス停にはこれからお世話になる牧場のお母さんが迎えに来てくれていた。
車に乗って牧場に向かう。
牧場も同じ天塩の町なのだが、ここから車で更に20分ほどの距離を走り、
山を一つ越えて行く。
あたりは山と畑と牧場が広がるのみの風景。
「前に来た子で、“淋しくて仕方が無い”と言って3日で帰った子がいたわよ。」
と言っていた。
私は、こういう何もない風景に対峙するとテンションがあがるのだが、
淋しくなるという人も、まあ確かにいるだろうな。
お母さんは気さくな人で、N家の子供達同様(?)人見知りせず道中も話がはずんだ。
山を通り抜けて更に山に囲まれた中にY牧場はあった。
まわりもみんな、牧場だ。
2階の一室を私のお部屋として与えてもらった。
ベッドも机もテレビもあって、そして本棚にも本があるので退屈しなさそうだ。
お昼にラーメンを作ってもらって食べてから、夕方の仕事まで部屋でゆっくりする。
牧場の仕事は、朝5時から8時半と、夕方16時から19時の
2回に分けて行う。
間の昼間は休憩時間になって自由に使えるので、
けっこう効率のいい労働時間だと思う。
16時になったら、初めてのお仕事開始だ。
つなぎと長靴と帽子を借りて牛舎へ行く。
ちなみに中に来たTシャツとジャージのズボンなどもたくさん貸してくれたので
そんなに服をたくさん持ってくる必要なかったな、と思った。
牛舎に入ると、お父さんに棒を渡されて、
「これで牛を追って進めさせて」と言われた。
牛舎に散らばっている牛達を、搾乳する場所まで誘導するのだ。
棒は細い竹の棒なんだけど、こんな棒っ切れでちょいちょい叩いて
「はい、行って、行って」とか言うだけで、
けっこう牛達は素直に搾乳場所の方へ進んで行くから不思議。
この牛は、けっこうでっかかった。
沖縄の黒島で見た牛は、子牛しかいなかったから
それと比べると倍ぐらいでっかい。
そして乳牛と肉牛の違いももしかしたらあるのかもしれない。
ともかく、乳牛って、びっくりするほどでっかいのだ。
さすが「大動物」と言われるだけのことはある。
(食肉市場の区分では、豚は「小動物」だった)
牛が、どこどこ向かってくる中に立っていたとき、
お母さんに「怖くない?」と聞かれた。
そう言われて、そういえば、「でっかいなあ」とは思ったけど「怖い」とは
思わなかったなあ、と気がついた。
確かに改めて見ると、これは動物がダメとか、でかいものが怖いとか
いう人には、怖いかもしれないなあ、と気がついた。
牛舎内の牛を集めたら、搾乳場所へ行く。
この搾乳場所に左右5匹づつ牛が入れるようになっている。
ドアを開けて、牛が5匹入ってきて、きちんと低位置にセットされる。
これも、ちょっと叩いて声をかけるだけで、
ちゃんと自分から入ってうまい具合の位置に立つんだから大したもんだ。
牛の乳搾りの仕方を教わる。
まず、消毒したタオルで牛のお乳を拭く。
そして、たまっている乳を5絞りほど手で搾って出す。
この最初のあたりには雑菌が入っているらしいので、まず出す。
尿検査の最初は捨てろ、というのと同じようなものか?。
そして、カップに入った消毒液をお乳に浸してつける。
消毒液を紙で拭いて、搾乳機を取り付ける。
と、乳を搾る前までに、けっこうキレイに消毒するのだけど
考えてみたら、裸で土や糞の上を転がりまわっている牛の乳を搾って
それを人間が飲むのであるから、当たり前なのか。
それにしてもこの汚れの仕方が牛によって全然違う。
ウンチや草まみれで、いくら拭いてもなかなかキレイにならないのもいれば、
拭く前からやたらとプリプリにキレイな牛もいる。
性格の違いだろうか。
確かに性格の違いはあるらしく、搾乳のたびにロープで足と頭を
縛られてしまう牛もいるのだ。
こうしないと暴れてうまくできないらしい。
さて、お乳がキレイになったら搾乳機の取り付け。
これが慣れるまで少し難しかった。
上下前後の位置を間違えたり、つけようとしたら蹴っとばされそうになったり。
おとなしい牛だと楽なのだけど、すぐ足を動かしてじっとしていない牛の場合は
冷や冷やするし、着けずらい。
乳が絞り終わって出なくなると、自動的に搾乳機がぽこん、と外れる。
場合によっては自分で蹴っ飛ばしてはずしてしまう牛もいる。
もうミルクが残っていないか、お乳を触って確かめて、
ふにゃふにゃになっていたら、終了。
搾乳機をどけて、仕上げの消毒液をつける。
5匹の1セットが終わると、柵を空けて、牛を出して、次の5匹を入場させる。
この繰り返し。
この搾乳場所には、積極的に入ってくる牛もいれば、
「入りたくないモー」と鳴いて嫌がる牛もいる。
牧場のお父さんによると、搾り慣れると、搾られるのも気持ちいいのか
自分から入ってくるけど、初めての頃の牛とか、逆に搾られすぎた年配の牛なんかは
「モー飽きたんですけれども」と入るのを嫌がるそうだ。
それでも全ての牛がきちんと毎日2回、並んで搾乳の場所について
乳を搾られて退場していく、というのを行うんだから、すごいもんだ。
こんなでっかい動物に抵抗されたら勝てないと思うけど
あんまり抵抗しないお利口さんなのだ。
この搾乳作業を、お父さん、お母さん、息子のSくんと私の4人で行った。
150頭くらいの牛に対してこの作業を繰り返し、全て搾り終わったら終了。
そんなに動いてるつもりはなかったけど、お腹が空いた。
戻って着替えたらすぐに、おばあちゃんが作ってくれたご飯タイム。
働いて、ご飯を食べる、といういいリズムかもしれない。
そしてやっぱり北海道のご飯は美味しいのであった。
明日は5時からお仕事なので、22時には電気を消して、寝た。
疲れてるし眠いんだけど、早起きのプレッシャーで、
途中で何度も目が覚めながらの睡眠になってしまい
あまり熟睡はできていないかもしれない。
ここから4時間半の旅路だ。
車内にはテレビもついていて、各席のイヤホンから声が聞けるので
酒井ノリピーの失踪事件のワイドショーなどを見て過ごす。
途中まで中央部の高速を走り、高速を降りた後は海沿いへ向かい、
そこからはずーっと海のすぐ脇の道を走る。
地図上でも海ギリギリを通るように書かれていたが
実際走ってみてもまさに海のすぐ脇を道路が走っていて
ガードレールを越えるとそこは砂浜という状態だ。
こんなに海に近い道をずっと道路が続いているのもすごい。
しかしそこは北の海。沖縄のように青いわけでもなく
そして誰も泳いでいない。
そう。あの常夏感満載の泳ぎたい欲をかきたてるような沖縄の青い海と違い
こちらはきちんと北っぽく、泳ぎたい欲というよりも
海を眺めてしみじみと涙を流したりする方が合っているような色を出している。
海の色ってどうしてこんなに場所によって違うのだろうか。
途中に3回の小休憩をはさみつつ、13時26分に天塩のバス停に到着。
バス停にはこれからお世話になる牧場のお母さんが迎えに来てくれていた。
車に乗って牧場に向かう。
牧場も同じ天塩の町なのだが、ここから車で更に20分ほどの距離を走り、
山を一つ越えて行く。
あたりは山と畑と牧場が広がるのみの風景。
「前に来た子で、“淋しくて仕方が無い”と言って3日で帰った子がいたわよ。」
と言っていた。
私は、こういう何もない風景に対峙するとテンションがあがるのだが、
淋しくなるという人も、まあ確かにいるだろうな。
お母さんは気さくな人で、N家の子供達同様(?)人見知りせず道中も話がはずんだ。
山を通り抜けて更に山に囲まれた中にY牧場はあった。
まわりもみんな、牧場だ。
2階の一室を私のお部屋として与えてもらった。
ベッドも机もテレビもあって、そして本棚にも本があるので退屈しなさそうだ。
お昼にラーメンを作ってもらって食べてから、夕方の仕事まで部屋でゆっくりする。
牧場の仕事は、朝5時から8時半と、夕方16時から19時の
2回に分けて行う。
間の昼間は休憩時間になって自由に使えるので、
けっこう効率のいい労働時間だと思う。
16時になったら、初めてのお仕事開始だ。
つなぎと長靴と帽子を借りて牛舎へ行く。
ちなみに中に来たTシャツとジャージのズボンなどもたくさん貸してくれたので
そんなに服をたくさん持ってくる必要なかったな、と思った。
牛舎に入ると、お父さんに棒を渡されて、
「これで牛を追って進めさせて」と言われた。
牛舎に散らばっている牛達を、搾乳する場所まで誘導するのだ。
棒は細い竹の棒なんだけど、こんな棒っ切れでちょいちょい叩いて
「はい、行って、行って」とか言うだけで、
けっこう牛達は素直に搾乳場所の方へ進んで行くから不思議。
この牛は、けっこうでっかかった。
沖縄の黒島で見た牛は、子牛しかいなかったから
それと比べると倍ぐらいでっかい。
そして乳牛と肉牛の違いももしかしたらあるのかもしれない。
ともかく、乳牛って、びっくりするほどでっかいのだ。
さすが「大動物」と言われるだけのことはある。
(食肉市場の区分では、豚は「小動物」だった)
牛が、どこどこ向かってくる中に立っていたとき、
お母さんに「怖くない?」と聞かれた。
そう言われて、そういえば、「でっかいなあ」とは思ったけど「怖い」とは
思わなかったなあ、と気がついた。
確かに改めて見ると、これは動物がダメとか、でかいものが怖いとか
いう人には、怖いかもしれないなあ、と気がついた。
牛舎内の牛を集めたら、搾乳場所へ行く。
この搾乳場所に左右5匹づつ牛が入れるようになっている。
ドアを開けて、牛が5匹入ってきて、きちんと低位置にセットされる。
これも、ちょっと叩いて声をかけるだけで、
ちゃんと自分から入ってうまい具合の位置に立つんだから大したもんだ。
牛の乳搾りの仕方を教わる。
まず、消毒したタオルで牛のお乳を拭く。
そして、たまっている乳を5絞りほど手で搾って出す。
この最初のあたりには雑菌が入っているらしいので、まず出す。
尿検査の最初は捨てろ、というのと同じようなものか?。
そして、カップに入った消毒液をお乳に浸してつける。
消毒液を紙で拭いて、搾乳機を取り付ける。
と、乳を搾る前までに、けっこうキレイに消毒するのだけど
考えてみたら、裸で土や糞の上を転がりまわっている牛の乳を搾って
それを人間が飲むのであるから、当たり前なのか。
それにしてもこの汚れの仕方が牛によって全然違う。
ウンチや草まみれで、いくら拭いてもなかなかキレイにならないのもいれば、
拭く前からやたらとプリプリにキレイな牛もいる。
性格の違いだろうか。
確かに性格の違いはあるらしく、搾乳のたびにロープで足と頭を
縛られてしまう牛もいるのだ。
こうしないと暴れてうまくできないらしい。
さて、お乳がキレイになったら搾乳機の取り付け。
これが慣れるまで少し難しかった。
上下前後の位置を間違えたり、つけようとしたら蹴っとばされそうになったり。
おとなしい牛だと楽なのだけど、すぐ足を動かしてじっとしていない牛の場合は
冷や冷やするし、着けずらい。
乳が絞り終わって出なくなると、自動的に搾乳機がぽこん、と外れる。
場合によっては自分で蹴っ飛ばしてはずしてしまう牛もいる。
もうミルクが残っていないか、お乳を触って確かめて、
ふにゃふにゃになっていたら、終了。
搾乳機をどけて、仕上げの消毒液をつける。
5匹の1セットが終わると、柵を空けて、牛を出して、次の5匹を入場させる。
この繰り返し。
この搾乳場所には、積極的に入ってくる牛もいれば、
「入りたくないモー」と鳴いて嫌がる牛もいる。
牧場のお父さんによると、搾り慣れると、搾られるのも気持ちいいのか
自分から入ってくるけど、初めての頃の牛とか、逆に搾られすぎた年配の牛なんかは
「モー飽きたんですけれども」と入るのを嫌がるそうだ。
それでも全ての牛がきちんと毎日2回、並んで搾乳の場所について
乳を搾られて退場していく、というのを行うんだから、すごいもんだ。
こんなでっかい動物に抵抗されたら勝てないと思うけど
あんまり抵抗しないお利口さんなのだ。
この搾乳作業を、お父さん、お母さん、息子のSくんと私の4人で行った。
150頭くらいの牛に対してこの作業を繰り返し、全て搾り終わったら終了。
そんなに動いてるつもりはなかったけど、お腹が空いた。
戻って着替えたらすぐに、おばあちゃんが作ってくれたご飯タイム。
働いて、ご飯を食べる、といういいリズムかもしれない。
そしてやっぱり北海道のご飯は美味しいのであった。
明日は5時からお仕事なので、22時には電気を消して、寝た。
疲れてるし眠いんだけど、早起きのプレッシャーで、
途中で何度も目が覚めながらの睡眠になってしまい
あまり熟睡はできていないかもしれない。
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