091025
台風はまだまだ去る気配を見せない。
昨日ひととおりまわったし、もう伊江島は去ろうと思う。
沖縄いろいろ巡り11_オリオンビール工場と桜坂ハシゴ酒ナイト

台風はまだまだ去る気配を見せない。
昨日ひととおりまわったし、もう伊江島は去ろうと思う。
10時発の船で本部港に戻る。
これからどうするか。
台風もいつまでもぐずぐずと沖縄にとどまっているようだし、
もう私も観念して、島へ渡るのは諦めようと思う。
残った2泊は、那覇に泊まろう。
ということで、那覇の安い宿を探していたら、
キャンペーン中で今なら一泊2000円で個室の宿があった。
なんかちょっとあやしげな風情でもあるけど、
場所もいいし、まあいいや。
と、ネットで予約。ほんとにネットって便利である。
そうそう、伊江島の宿は無線LANがつながるのである。
ほんとに最近のネット状況は便利になってきてるなあ。

那覇へ戻るとしてもせっかく時間かけて本部半島まで来ているので
こうなったらやっぱり、ちゅら海水族館を見て行こう、と心に決めた。
が、ここに至るまで、全くそこへ行く気がなかったので、
あらゆる情報がよくわかっていないことに気がついたので、
一応ネットで見てみると、けっこう見ごたえがあって
一日中見てまわれそうだ。
台風の中、ここで過ごすのも悪くないかもしれない。

さて。
今回の旅のお供「沖縄・離島情報」は、
離島を旅するには、本当によく出来たガイドブックで、
船の時刻表や連絡先、港までの交通手段、宿の情報、
などなど、欲しい情報がぬかりなく載っている。
B5版と小さくて480円と安いのだけど
これだけあればじゅうぶんにあらゆる離島がまわれる。
もっとこんな情報があればいいのに、という不足が全くなく、
こんなことまで載ってるんだ!と、予想以上にすごい。

と、離島マニアにはものすごく便利な本なのであるが
その分一般の観光客向けの情報はかなり少ない。
一応有名どころは申し訳程度には載っているけど、
離島に関してあんなに注意深く書いていた割に、
観光スポットへの行きかたの情報は、ゼロに近いほど、無い。

なので、もちろん、ちゅら海水族館なっていう、
一般観光客ご用達の観光スポットに関しての情報なんて全く無く、
詳しく記されているバス情報などを自力で読み解く必要がある。
しかしこれがまた、ものすごく難しいのである。
電車の無い沖縄はバスが発達している一方、
バスの経路が複雑すぎて、県民でも乗りこなすのが難しいと言われている。

本部港に着いて、バス停に行ってみると、
なんと、今さっきバスが出てしまったばかりのようだった。
なので、30分ほど港の待合室でバスを待つ。
行き先はよく確認した。
水族館に行くには「65番」というバスに乗ればいいのだ。

そして30分後にやってきたバスに乗る。
「沖縄・離島情報」に掲載されている、全てのバス停の位置付き地図で
チェックしつつの乗車。
しかし、ちょっと気を抜いている間に、どうも水族館方面でなさそうな地名が
アナウンスされた。
地図を見ると、半島のはじっこにある水族館よりも手前の位置の道路で
回って名護の方に折り返してしまっている様子である。
あれれ??もしかしてこのバス、水族館の方に行かないのか?
だけど、どう見ても、水族館行きのバスは「65番」意外には無いのだ。
うーむ。と悩んでいる間にも、どんどんバスは遠ざかる。
これは、一旦降りて、引き返した方がいいのでは?と思ったけど、
外はものすごい暴風雨で、こんな中で立って待っているのは
少しの間でも嫌だ、と思って、そのままバスに乗り続けた。

よくよく調べてみると、どうやら「65番」の中にも4つくらいの
経由地違いのバスがある様子で、私はちょうどその中の
水族館を経由しないバスに乗ってしまったようだ。
というか、道が違うんなら番号を変えてくれ!と強く思った。

しかし今、変えてくれ!と思ったところでバスの行き先が変わるわけでもなく
通常なら20分くらいで着くはずの名護までの道を、
わざわざ半島の逆周りでぐるっと回って向かっているので
倍ぐらいの時間をかけて、名護に着いてしまった。
これから水族館に行く気力はもう無い。

そこでいきなりひらめいたのが「オリオンビール名護工場」の見学だ!
電話番号はわからなかったけど、地図には位置が載っている。
ということで、近そうなバス停で降りて、歩いて行ってみる。
入り口の門のところまで来て、守衛さんに
「見学できますか?」と聞くと
「歩いてきたの?!」とびっくりしつつ、受付へ案内してくれた。
受付のレディーに、予約してないんですけど見学できますか
と聞いてみると、次の13時からの回に1名なら大丈夫です
と言われた。やったー。

実は私は、この工場に見学に来るのはこれで3度目なのである。
だからけっこう平気でいきなり見学させてくれと
飛び込めたのかもしれない。
土曜日なので、ラインが動いているところは見れなかったけど、
長年ビール会社関係の仕事をしていたので、
製造工程も知ってるし、ラインの動いてるところも何度も見ているので
まあよしとしよう。
工場見学の良いところは、何よりも、できたてビールの試飲である!。

昔は20分飲み放題だったけど、今は、おかわり1杯まで、
というシステムになっていた。
まあ、空腹だったし昼間だしなので、2杯程度でちょうどよいとも言えるけど。
そして、昔はお土産にもらえた、オリオンビール缶の貯金箱が
もうもらえなかったのは、非常に残念であった。

ビールでちょっぴりいい気持ちになったのだけど
名護から那覇までのバスに乗るために、バスターミナルまで歩く。
が、これまたひどい雨風。
名護の商店街は、のきなみシャッターが閉まっていて
昼ご飯も食べられない。
バスターミナルは近いかと思ったらなかなかつかなくて、
30分くらい雨にさらされながら歩いていたら
すっかりずぶ濡れになってしまった。

色々とお金かけて移動してきているけど、
なんだか、大変な思いをするためにお金を使っているような気がする。
だけど楽になるためにお金を使うと、なんだか自分がダメになるような気がするというか
もっと自分を鍛えるためにお金は使いたい、、と思っていると
どうしても、こんなことになってしまう。
断食道場とかにお金つかって行く人って、
何で物食べさせてもらえないためにお金使うのか?と
理解できなかったけど、もしや私も同じようなことをしているのかもしれない。
苦労するためと楽するためと、どっちが正しいお金の使い方なのか?
いや、もうそれは、個人の嗜好の問題で、
どっちも正しいのかもしれない。

雨の中を全身ずぶぬれになりながら重い荷物をしょって歩いていると
だんだんそんなことを考えてしまう。
これはなんだか、山のぼりだなあ、と思う。

そしてようやく名護バスターミナルに到着!
バスはけっこうすぐにやってきた。
乗り込むと、バスは非情にも、今私が苦労して歩いてきた道を
逆そうして行った。
そうか。よく考えたら、ここまで歩いてこなくても、
工場の近くのバス停で待ってれば良かったんだ・・。
バスは、ずぶ濡れの私をあざ笑うかのように、
ビール工場のすぐ近くの大きなガジュマルの木の横を通過して行った。
まあ、人はこうやって、失敗を重ねてオトナになっていくのだ。

バスは2時間ほどの長旅を経て、
18時頃、那覇に到着。

国際通りから少し入ったところの浮島通りは、
ちょっとお洒落な洋服の小さなお店がいくつもあったり
バーもあったりして、小洒落た通りであった。
けど、途中で市場へつながる道などもあって、
少しアジアンな空気も醸し出している不思議な道。
その通りにある「柏青荘」が今日の宿。
マンションぽいビルの3階にエレベーターであがると
マンションぽい入り口で、そこが宿だった。
広い居間みたいなところでオーナーのおじさんが出迎えてくれた。
コワモテだけど、丁寧で優しいかんじであった。
なんだかこの宿は不思議なつくりで、
居間の置くの一部屋に鍵をかけて借りる形式。
家の中の一部を借りている、というかんじだ。
他の部屋は、また別の入り口から入るところにあるらしいが、
このメイン受付場所も兼ねた入り口から入る宿泊部屋は
私の泊まるところ一部屋で、
「もう一部屋は、私の母が住んでいます」と言っていた。

お部屋は、かなりキレイ。
ほんとに、「おうちの部屋」ってかんじ。
バス、トイレもまさに、おうちのように設置されているのを使う仕組み。
しかしなんだか全体的に不思議感がただよう。

さて、今夜は、那覇のディープスポット、桜坂周辺の飲み屋を
ハシゴして回ろうと思う。
先日どうしても勇気が出なかったのだけど、
こうなったら残りの日程を有効に使って那覇を堪能しよう。

桜坂までは宿からも近いので、歩いて行く。
あらかじめだいたい行くお店も決めていたのだけど、
なんと日曜日は閉まっている店が多い!
いきなりくじけそうになるが、それではいかん、と
いくつか店を吟味して、勇気を出して
「おでん うらわ」という店に入ってみる。
今日は雨に濡れてるせいもあって、少し寒かったので、
おでんもいいかな、と思ったのだ。

店に入ると、カウンターに離れておじいさんが二人座って
静かに飲んでいた。

「泡盛を・・」「何の銘柄にします?」
目についたので、残波の黒をお願いする。
泡盛と、突き出しのミミガーのピーナツ和えとタコを煮たものが出てきた。
メニューとか無いので、作法がいまいちわからない。
待ってるとそのうちおでんが出てきたりするのだろうか。
しかし他のおじいちゃんたちも、おでん食べてないなあ。
目の前にはフタをされたおでんを煮ている様子だけど、
まだ煮えてないのか?よくわからない。。

「お客さん、沖縄の人?」
「いえ。東京です」
「そっか。やっぱりそうよね。
いや、最初からザンクロ頼むから、慣れてるなあと思ったけど
顔見ると、内地の人っぽくないから・・」
とほほ。確かに、いくら泡盛をたくさん飲もうと、
けっして沖縄県民チックには見えないだろうなあ。

そのうち、夫婦がやってきて、カラオケを歌いはじめた。
女の人が民謡を何曲が歌っていたけど、すごく上手。
更に、若い男子3人組みがやってきて座敷に座っていたけど
あれは観光客かもしれない。
そして、おでんの盛り合わせを頼んでいた!
すると、ママがおでんの具を取り出して、煮汁の中に入れていった。
うーむ。やっぱりおでんくれと言わないと出てこないのか。
当たり前だけど、しかしなんとなく、
おでん屋だから、おでんどうします、とか薦められるもんだと
思っていたのだけど、一向に言われなかった。

なんだかお腹も空いてきたし、
ここから煮込むの待つよりハシゴしたくなってきたので、
お勘定してもらって店を出る。

次に、目をつけていた「餃子 紋次郎」へ入ってみる。
めがねをかけたぽっちゃりとした若めの女性がお店の人。
カウンターには一人で飲んでいるおじさんと、
離れて40代くらいの女性が一名。お客の女性はぽっちゃり女性と友達のようで
カラオケを歌うたびに、歌い終わると
合言葉のような掛け声を二人で掛け合っていた。
アグネスチャンなどの歌を歌っていたけど
あんまり上手ではなかった。

ここではオリオンビールの生を飲む。
そして黙っていては、どうやら餃子屋のここでも
餃子いかがですかとも何とも言われない様子なので、
「餃子ください」と言うと、奥にいたおばさんが焼き始めた。
出てきた餃子は、薄めでパリパリの、
台湾ぽい異国な味付けの個性的な餃子だった。
でもこれ、なかなか美味しい。
後でまた食べたくなる独特の味だった。

アグネスチャンの女性と少し話ししていたら
「沖縄の男はすぐ声かけてくるけど気が弱いさー」
とか言っていたかと思うと、どうやら酔っ払ってきたようで、
だんだん彼女の前の彼に殺されかけた話をしてきた。
縛られてナイフを突きつけられて、警察沙汰になって。。
なんてディープな話をしていた。

餃子とビールで1000円を払って、お店を出て、
更にハシゴ店を探す。
そろそろお店に入る躊躇も少なくなってきたぞ。

最初におでんが食べられなかったこともあり、
目についた「おでんホームベース」というお店に入ってみる。
名前も変わってるし。

入ってみると、お店にはママ一人だけ。
今日の最初のお客だわー、と言っていた。
ここでは「お腹空いてる?おでん食べる?」と
きちんとおでんを薦められた。
出てきたおでんは、
てびち、じゃがいも、大根、糸こんにゃく、青菜
が大盛りであった。
てびちがどーんと乗っかっているのが、沖縄風である。

しかしここのおでんは、
おでんを煮ているわけではなくて、
冷蔵庫から出してきたおでんを、チンして出してきていた・・。
そのせいもあり、味はちょっとイマイチだったか。
だけどおなかがようやくいっぱいになった。

久米仙を飲みながらおでんを食べていると、
ほかのお店のママが入ってきた
「今日は2000円だけ売り上げたから1000円分だけ
おでん食べさしてー」
と、千円札を出していた。
そして、100円玉をいくつか出して、カラオケを歌い始めた。
お店のママも沖縄民謡を歌っていた。

2曲ほどうたうと、他のお店のママは
「残ってる100円玉で、このこにも歌わせてあげてー」
と言って帰っていった。

それならば、歌うか。
沖縄民謡がふさわしいのだろうけど歌えないので、
歌えそうな演歌を選んで、歌う。
氷雨を歌っていると、おじさんがお店に入ってきた。
もうすでに酔っているご様子。

なぜかおじさんの中では、
私が芸能界デビューをしようとしていることになっていて、
そんなかんじで話が進んでよくわかんないのだけど
まあいいか・・。

そして、自分では歌わないのに
100円玉をたくさん出して、歌うように言われるので、
いくつか歌う。
しかし演歌のレパートリーってそんなに無いんだけど・・。

そんなこんなで、意外とこの店で長居をしてしまい、
気がつくと午前1時半になってしまっていた。

ということで、本日のハシゴ酒は3軒で終了。
民宿へ戻り、外の入り口のドアを開けると、
居間みたいな受付スペースのソファに
おばさんが座ってテレビを見ていた。
これが、オーナーさんのお母さんか。
「こんばんは・・」と挨拶すると
こっちを見ただけで、特に声も発しなかった。
自分の部屋に入ると、間もなくおばさんも自分の部屋に入っていった。
もしかして、私の帰りを待っててくれたのだろうか?