以下、小説のネタバレがあります。
ご無沙汰しております。最後にブログを更新してから随分と経ちました。相変わらずサラリーマン生活で精神を擦り減らしていますが、初めて入った会社のような「体内の不浄なものを洗い流すため、この聖なるお茶を飲みなさい」とスピリチュアル・ハラスメントを受けることはなく、普通に扱ってもらえる場所に入れました。プラマイで言うと、ようやくゼロになれたと言ったところ。時間も少しは作れるようになりました。そこで、今日から精神的なリハビリも兼ね、ブログを再開していきたいと思います。Twitterはやっているのですが、やはりテキストサイトへの郷愁が日に日に強くなると言うか、まとまった量を書きたい欲が増してきており、その鬱憤を晴らすためでもあります。
で、久しぶりに更新をするわけですが、今回は取り上げたい小説があります。『グッバイ・マイ・スイート・フレンド』という本です。
某筋から薦められて読みました。最近は私の読書離れが進んでいたので、ちょうど良いと思って気軽に読んでみたのですが、これがちょっと特殊な本でした。まず表紙と中身が全然違う点が驚異です。だって上の表紙を見てください。普通「青春モノかな?」と思うじゃないですか。いや、実際のところ青春要素はあるんです。主役は十代の男女ですし。でも、そこだけなんです。ぶっちゃけ話の主題もそこにないんですよ。これ、表紙の女の子が活殺自在の古流武術の達人という設定なんです。ここまではよくあるんですが、問題はそんな女の子と相棒関係になる男、そして女の子に立ち塞がる敵であります。
まず男の子なのですが、こっちが桜庭VSホイス戦(2000年に行われた試合。判定なしの完全決着ルールで、一時間を超える長丁場になった)を超える「死闘」を見たがっている格闘マニアなんですね。正直、倫理観が若干おかしいんですよ。『グラップラー刃牙』という漫画で徳川さんというキャラが出てきます。この人は「とにかくスゲェ戦いが見たい!」という一念で地下格闘技場を開き、原始人と現代の格闘家を戦わせ、最近は宮本武蔵のクローンを作りました。端的に言うなら、好奇心系サイコパス。彼もそのケがあります(いわゆる「やれやれ系」の語り口なのが、その狂気に拍車をかけていますね)。
次に戦う相手。一応、人間の相手も出てくるのですが、これ、本当の敵は隙間女という都市伝説の怪物なんですね。詳細はリンクを読んで頂くとして、大ざっぱに言えば口裂け女と同じジャンルにいる人です。つまりこの小説って、素手で人を殺せる女VS人間じゃない女の文字通り異種格闘技戦なんです。全ッ然、表紙と違うじゃねぇか。
で、正直に申し上げまして、気になる部分もあるわけですよ。素手で人を殺せる格闘家やバケモノが相手でも、頑なに男の子が「やれやれ系」キャラを貫いていたりとか。怪物と戦った女の子ではなく、男の子の方が最後に怪物、および怪物に殺された少女に対して「お前もまさしく強敵(とも)だった」的な決め台詞をビシっと決めたりとか。待て待て、なんで今ちょっとカッコつけた?と思うこと必至です。全体的に主人公のやれやれBOYを気取ってる場合じゃないんだぞ感と言うか、人が死んでるんだぞ感がハンパありません(この身勝手な部分も含めて、徳川のじっちゃんっぽい)。
しかしですね、そういった諸問題はありつつも、格闘シーンの描写や、随所に入ってくる格闘技の豆知識からは、たしかに「俺は格闘技が好きなんだよ!」という作者の熱量を感じました。そこだけは間違いありません。と言うか、そもそも都市伝説の怪物を古流武術で倒そうというお話に、一切のギャグなく臨んでいる姿勢が若干狂っています。普通ならもっとギャグによっていいのに、ほとんどギャグはないです。その真面目さに狂気を感じました。
引っかかるところはあれど、トータルで見ると面白かった。これが率直な感想でございます。久しぶりの読書でしたが、いいタイミングで程よい物と出会えました。いや〜久しぶりに本を読んだのですが、やはり本って面白いですね。文字を読むと意味が分かるんですよ。明日から4月にかけて労働が非常に厳しい局面を迎えることになっていますが、今後は文庫本の一冊でも忍ばせて出社しようと思います(『全滅領域』読みたいんですよね)。
最後になりましたが、これからも出来る限りブログを書いていきたいと思います。改めてよろしくお願いします。
で、久しぶりに更新をするわけですが、今回は取り上げたい小説があります。『グッバイ・マイ・スイート・フレンド』という本です。
某筋から薦められて読みました。最近は私の読書離れが進んでいたので、ちょうど良いと思って気軽に読んでみたのですが、これがちょっと特殊な本でした。まず表紙と中身が全然違う点が驚異です。だって上の表紙を見てください。普通「青春モノかな?」と思うじゃないですか。いや、実際のところ青春要素はあるんです。主役は十代の男女ですし。でも、そこだけなんです。ぶっちゃけ話の主題もそこにないんですよ。これ、表紙の女の子が活殺自在の古流武術の達人という設定なんです。ここまではよくあるんですが、問題はそんな女の子と相棒関係になる男、そして女の子に立ち塞がる敵であります。
まず男の子なのですが、こっちが桜庭VSホイス戦(2000年に行われた試合。判定なしの完全決着ルールで、一時間を超える長丁場になった)を超える「死闘」を見たがっている格闘マニアなんですね。正直、倫理観が若干おかしいんですよ。『グラップラー刃牙』という漫画で徳川さんというキャラが出てきます。この人は「とにかくスゲェ戦いが見たい!」という一念で地下格闘技場を開き、原始人と現代の格闘家を戦わせ、最近は宮本武蔵のクローンを作りました。端的に言うなら、好奇心系サイコパス。彼もそのケがあります(いわゆる「やれやれ系」の語り口なのが、その狂気に拍車をかけていますね)。
次に戦う相手。一応、人間の相手も出てくるのですが、これ、本当の敵は隙間女という都市伝説の怪物なんですね。詳細はリンクを読んで頂くとして、大ざっぱに言えば口裂け女と同じジャンルにいる人です。つまりこの小説って、素手で人を殺せる女VS人間じゃない女の文字通り異種格闘技戦なんです。全ッ然、表紙と違うじゃねぇか。
で、正直に申し上げまして、気になる部分もあるわけですよ。素手で人を殺せる格闘家やバケモノが相手でも、頑なに男の子が「やれやれ系」キャラを貫いていたりとか。怪物と戦った女の子ではなく、男の子の方が最後に怪物、および怪物に殺された少女に対して「お前もまさしく強敵(とも)だった」的な決め台詞をビシっと決めたりとか。待て待て、なんで今ちょっとカッコつけた?と思うこと必至です。全体的に主人公のやれやれBOYを気取ってる場合じゃないんだぞ感と言うか、人が死んでるんだぞ感がハンパありません(この身勝手な部分も含めて、徳川のじっちゃんっぽい)。
しかしですね、そういった諸問題はありつつも、格闘シーンの描写や、随所に入ってくる格闘技の豆知識からは、たしかに「俺は格闘技が好きなんだよ!」という作者の熱量を感じました。そこだけは間違いありません。と言うか、そもそも都市伝説の怪物を古流武術で倒そうというお話に、一切のギャグなく臨んでいる姿勢が若干狂っています。普通ならもっとギャグによっていいのに、ほとんどギャグはないです。その真面目さに狂気を感じました。
引っかかるところはあれど、トータルで見ると面白かった。これが率直な感想でございます。久しぶりの読書でしたが、いいタイミングで程よい物と出会えました。いや〜久しぶりに本を読んだのですが、やはり本って面白いですね。文字を読むと意味が分かるんですよ。明日から4月にかけて労働が非常に厳しい局面を迎えることになっていますが、今後は文庫本の一冊でも忍ばせて出社しようと思います(『全滅領域』読みたいんですよね)。
最後になりましたが、これからも出来る限りブログを書いていきたいと思います。改めてよろしくお願いします。