2009年07月26日

「共生」…?

実行委の会議段階で、僕は「共生」という言葉には反対したが、結局議論を徹底できずに「共に(自由に)生きる」という言葉を選んだ。

僕が「共生」という言葉に反対したのは、下記のキム・チョンミさんのような歴史感覚からではなく、もっと曖昧漠然とした感覚からであり、それは、本当にいま僕たちが「共生」を求めることを阻害しているものが何であるのかについての、そして自らの法的・政治的責任にかかわる真剣な考察を経ていないものだったし、そもそも「共生」の実現可能性を嘲笑しているだけの無自覚な強者、ネット右翼どものニヒルな感性と大して変わらないところから出ていた。だからこそきちんと反対できなかった。そのことを僕は痛烈に反省し、そういうニヒリズムにからめとられたナチ、ファシズム、天皇主義、そして「佐藤優現象」とは明確な決別をする。行動を共にした仲間にも継続的に論議を喚起するつもりです。

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 10年ほどまえからしばしば、朝鮮人のがわからも、日本人のがわからも、朝鮮人と日本人が「共に生きること」、あるいは「共生」について提言されています。『共に』という雑誌がだされていたこともあり、最近では、日本の地方行政機関もこの表現をつかうようになっています。
 しかし、わたしは、侵略のインターナショナリズム、侵略の構造のなかでの「共生」は拒否しなければならず、朝鮮人と日本人が、アジア人と日本人が「共に生きる」ためには、基本的に解決されなければならない歴史的問題が残されていると考えています。「共生」することができるかどうか、「共に生きる」ことができるかどうかは、そのあとのことだと思います。
[中略]
日本の侵略の構造を破壊することを前提としない「共生」は、日本ナショナリズムに奉仕するものです。日本の侵略の構造のなかで「共生」しようとすることは、侵略に加担しつづけようとすることです。
 人のいのちはカネにかえることはできませんが、国民国家日本が他地域・他国武力侵略の過程で殺害したアジア太平洋の民衆一人ひとりの遺族に一億円の賠償金を支払うだけで、日本がアイヌモシリ侵略以降蓄積してきた「富」はなくなり、日本は世界の極貧国になるでしょう。そうしたことはしようとしないで、アジアの民衆との「共生」をいい、「反差別国際運動」などをいう日本人があらわれてきています。しかし、天皇(制)をのこし、日本の侵略の構造をそのままにしておきながら日本人がいう「共生」や「国際運動」は「九・一八事変」以降の「五族協和」、「七・七事変」以降の「八紘一宇」、アジア太平洋戦争開始以降の「大東亜共栄圏」とつながっているのではないでしょうか。

(キム・チョンミ「東アジアにおけるインターナショナリズムの歴史と反日思想」『あの狼煙はいま』インパクト出版会)

hesalkun at 02:25│Comments(6)この記事をクリップ!所謂運動関連 

この記事へのコメント

1. Posted by 前田年昭   2009年07月26日 11:16
賛成です。
長くなったので、自分のブログに書きました。
http://www.linelabo.com/han/hanhanroku.htm#090726
2. Posted by (ono)   2009年07月26日 11:45
前田さん、ありがとうございます。キムさんの『水平運動史研究』を読んでいて、その「民衆」に対する豊かで力強い確信と「日本人」に対する徹底的な批判を前に、僕は自分の非力と貧しさを痛感します。その貧しさの中から何かせめて廃物でも出すように何とか原稿を書こうとしています…。
3. Posted by ニヒリストを排外しないで   2009年07月28日 11:02
はじめまして。繙蟠録2009/07/26のリンクをたどってきました。ちょっと異議をさしはさみます。
もちろん共生なんて言揚げは胡散臭いのですが、そこでキム・チョンミ説を依り所にする前に、その「もっと曖昧漠然とした感覚」「ニヒルな感性」に留まりながらそれを内在的に突き詰めて思考してこそ、よほど「真剣な考察」になるのではありませんか。 
「ニヒリズムにからめとられたナチ、ファシズム、天皇主義、そして「佐藤優現象」」とおっしゃるのは話が逆で、ニヒリズムがそれら「右翼」的表象に絡め取られてしまったのです。ニヒリズムに留まったままニヒルな感性を維持することはキツいので(ポストモダン砂漠を放浪しつづける耐性がないので)、既存の何かを依り所にしようとするわけです。その限りで、「ネット右翼」どももキム・チョンミみたいな「左翼」らも同等です。以上の見方も「嘲笑しているだけの無自覚な強者」とされるのかしれませんが、むしろ精神でだけ強がって見せるのは弱者の仕業であることをご理解戴き、むやみと「決別」したり排斥しないで下さればありがたき幸せに存じます。 
4. Posted by (ono)   2009年07月28日 15:20
> 「ネット右翼」どももキム・チョンミみたいな「左翼」らも同等です。

あなたが「右翼」「左翼」をどのように規定しているか知りませんが、少なくとも在日朝鮮人としての歴史的・法的・政治的立場と責任においてものを書いているキム・チョンミさんについて、「ニヒルに留まれなかった左翼」などと何の根拠があるのか知らないが、傲慢にも物陰から(自分が何者であるかも示さずに)レッテルを貼って、「右翼」ともども相対化してみせる…。「ニヒリズム」の定義がどうあれ、僕はそういう態度と決別すると言っているのです。あなたは一体どれほど「上等」のつもりなのでしょうか。何を解説した気になっているのか。何が「ご理解戴き」なのか。それで「ネット右翼ども」と自分は違うつもりだというのは全く恐れ入る。
5. Posted by Dr. Myungsoo   2009年07月29日 11:58
久し振り。体調が良くないけど、僕の方でも色々頑張っています。(ono)さんの活動は励みと刺激になる。

僕がモノを書いてから約半年。日本社会でどのように受容されるか見守っています。僕の意図が全く無視されるなら、新たな方法を模索しなければならないと思っています。またいつか飲みましょう。
6. Posted by (ono)   2009年07月29日 20:09
Myungsoo氏、申し訳ない!まだ御著書読めてませぬ!次会えるときまでに必ず読む。学会内での「評判」など、そのときにでも聞かせてもらえたら。

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