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第二部突入のデスノートが表紙&巻頭カラー。
カラー扉絵は閉じ込みワイドサイズ。
センターカラーは銀魂。

ピックアップ

DEATH NOTE

第二部開始。
いきなり初っ端からウェディとアイバーがぶっ殺され、
おいおいそんな簡単に……と思いながらカラーページを進めて
本編続きに辿りつくと、ヨツバの皆さん全滅。
なっ、奈南川〜、ヨン様〜、あ、あとはどうでもいいけど、
せっかく心を入れ替えてたのになぁ。ともかくたった2ページで
ヨツバ編の不良債権は完全排除。
そして物語はいよいよ第二部へ――。

夜神家のほのぼのコントとライトの現状確認が終わると、
話は一気に本題へ。
Lの後継者と目されていたニアとメロだが、
ニアの方はFBIに、メロの方は何故か犯罪組織の一員に。
この二人がタッグでライトに迫るものとばかり思っていたので、
この裏切りは心地いい。三つ巴でのデスノート争奪戦かー。
考えてみれば、キラの存在によって一番脅かされたのは
警察でも国家でもなく犯罪組織なわけで、
そこからの反撃というのは必然的な展開ではある。
ニアとメロを善悪に役割分担することで、
より複雑高度な展開を可能とする構成は見事という他ない。
ライト対Lの焼き直しにしかならないんじゃないかという
懸念もこれでほぼ払拭された。
あとはより複雑化していく物語をこれまで同様のクオリティーで
維持していけるかどうかか。

沙裕と松田にフラグが立ちかけた感じだが、
今回のヒキからすると、もしかしてメロと沙裕で
恋愛要素が発生する可能性の方が高いかな。
まああっさり沙裕が殺されたりするかも知れないが。
しかもライトが殺っちゃうかも知れないが……。

4/19追記。ニアとメロが所々ニロとメアになってた……修正。

NARUTO

尾獣と、忍界大戦の負の遺産。
この作品世界の根幹に関わる部分がようやく顔を覗かせ始めた。
九尾に里が襲われたという歴史的事実を極秘扱いにしているというのが
どうも解せなかったのだが、つまりは軍事利用しようとして
しっぺ返し食らったということなのか。
恐らく一般レベルでは単に危険な獣に襲われたという認識なんだろうけど、
その裏には木ノ葉の隠された闇の部分が横たわっていると。
そこにうちは一族の秘密なども絡んでくるのかな。
木ノ葉の存在自体を揺るがすような秘密が眠っていたりすると、
ナルトの「火影になる」という夢も揺らいでくる。
自分の里(国)が過去に犯した過ちを重荷として背負わされ、
今またそのせいで大切なものが潰されそうになったとしても、
まだ少年は里を愛し、未来へと己の道を貫いてゆくことが
出来るのか――みたいなテーマが前面に出てくると、
この作品の価値そのものが深まっていきそうで興味深い。

BLEACH

ソウ様の、「全部ぼくと浦原のヤラセでした」発言に業界激震!!
ルキアの義骸がおかしい、一護の虚化など
細かな伏線は張られてはいたのだが、「崩玉」という
最重要キーアイテムがいきなり出てきたのでやっぱり唐突な感は否めない。
まあキーアイテムをヒロインの体内に隠しておくというのは
ベタっていえばベタなネタなんですけどねー。
アイテム取り出そうとするとヒロインが死ぬとか。
主人公が必死で守ろうとしたけど結局駄目でヒロイン死亡、
けどそのアイテムが砕け散ることによりヒロイン復活でハッピーエンド、とか。
そういえばルキアの魂魄が人間になるなら
一護とくっつくエンディングに何の障害もなくなるな。
もしかして浦原の狙いもそれか? まあ一護とくっつくまでは
考えてなくても、何らかの理由で人間にしてやるのが幸せだと思ったのかも。

ムヒョとロージーの魔法律相談事務所

最後はハートフルな締め。
罪は罪だから地獄行きは免れない、というのはいいんだけど、
魔法律というルール設定自体にまだ疑問点が多いことと、
具体的に地獄で何されるのかがわからないので後味がちょっと引っ掛かる。
しかしドラマの構成や盛り上げ方は見事だった。

ONE PIECE

どうやって助けるのかと思ったら、友情パワーかい。
まあルフィらしいといえばルフィらしいし、
この前の「助けていいんだと分かった時のあいつらの強さ」というのを
端的に表現していてよかったといえばよかったのかな。
しかしゾロの方はどうやって剣振ったんだ……?
つーか引っ張ってないで煙突壊そうよ、チョッパー。

D.Gray−man

「白いオレと黒いオレ どっちもあるから楽しいんだよ」

いきなりタイトルテーマにモロに言及してきたか、ティキ。
この物言いといい、人間とアクマの狭間にいるような存在感といい、
アレンとの対比構造、対決の構図が今から楽しみ。
それにしてもロード・キャメロットちゃんの椅子の座り方エロ過ぎ。
何ですかあれは、見せそで見せない感じで誘ってるんですか?

ボボボーボ・ボーボボ

モエモエ真拳VSデンプシーロール!!
もうジャンプ読者完全に置き去りにしてるよこれー!?
この作品のメイン読者である小学生男子は
思いっきり引くんじゃないかと他人事ながら気が気じゃないぞ。
いや、ある意味他人事じゃないわけですけど。
ごめんなさい、田ボ萌えとか決死隊の女キャラがどうとか
色々言ってきたけど……ギャグとしても露骨にやられると困るんです。

銀魂

キャラ&名セリフ人気投票結果発表。

腐女子票、爆発!!

ええと、あの〜、このマンガってそういう層のお嬢様方に
支えられているマンガだったんでしょうか?
そういうファンがだいぶ付いているとは認識していましたが、
まさかキャラ投票でもセリフ投票でも真選組や高杉晋助が
ここまで上位に食い込むとは思ってもみませんでしたよ。
っていうか高杉晋助に何で1500票も入ってんのよ!?
しかも2位の総悟と3位の土方が三票差、3位と4位が十二票差?
何だそのハイレベルな激戦……。
載ってるイラストがまた、ことごとくそっち方向、
もしくはそっち方向に順調に育っていくであろう予備軍な絵柄してるのなぁ……。
いや、悪いことじゃないですよ。女性に受けることは現代少年マンガの
必須条件ですし、何より固定ファンが付けば作品人気が安定する。
ただ、無知だったがゆえにちょっとびっくりしただけです。
そうか……この作品もアニメ化したらキャラソンCD出して、
総悟「今回のアルバムは真選組をフューチャー」
土方「たまらんタイトルだ!!」
みたいなことになるのか(それはどうだろう?)。

たとえ異星の人とはいえ、人を見かけで判断しちゃいけません。
コワモテの心優しい隣人にビクビクするなんていうのは
「ジャガー」でもやってるように非常にベタなネタなんだけど、
会話の間とツッコミの的確さが冴え渡っていて笑ってしまう。
基本が成っているなーという感じを受けた。

HUNTER×HUNTER

タコのイカルゴ様の男気に、ちょっとほだされるキルア。
キルアが変わってきたということなんだろうけど、
イカルゴ様が変わってたという感じの方を強く持ってしまうなー。

いちご100%

真中、土下座。
けどドア越しじゃあんまり意味ねー!!
東にすっぱり別れを告げ、ついでに間接的に北も振り、
もはやこれ以上どうしようもない状態で西エンド一直線。
これはもう、さすがに動かないだろうと普通なら思うんだけど、
何せこのマンガは「いちご100%」なので何が起こるかわからない。
西野をベッドに押し倒すも、つい「東城ーっ!!」って言っちゃうくらいの
無茶な展開をやらないとは言えない。
もしくは風呂場で転んで頭打った真中が記憶喪失になるとか。
まあ、このまま素直に西エンドにならないことは確実だろうなー。
やはり強引にでも東エンドに持っていって終わる、という可能性が
一番高いような気がする……。

武装錬金

次号、クライマックス!!

うぁちゃーーーーっ!!!?
恐れていたものがいよいよ来てしまったか……しかし何で
ワクワクでもいちごでもミスフルでもなく、これが真っ先に!?
単行本売り上げだって結構高かったのにー。
人気の翳りや最近の展開の迷走っぷりを冷静に考えれば、
打ち切り自体は仕方のない部分が大きいんだけど、
タイミングに納得がいかない。
せめて最終決戦くらいちゃんと本誌でやらせてやってよ!!
噂によると夏発売の赤マルに完結編掲載とのことだけど……。

これまで積まれてきた伏線の山に加えて、
今回もヴィクトリアがホムンクルス化した謎が出てきて、
その辺の過去話の数々はとてもじゃないが最終回&完結編で
語り切れるとは思えない。単行本での作者フォローに期待するくらいか?
嗚呼しかし……終わるとなると勿体ないなぁ。
せっかく照星さんやヴィクトリアといった面白くなりそうなキャラが
動き出してきて復調軌道に乗ったところだったのに……。

総合感想

アイシル。ヒル魔の超暗記。いつものこととはいえ、
やっぱり無茶なキャラだよなぁ……。ムサシはキックの場面で駆け付けるのかな。
リボーン。清々しいまでの学年設定ごまかしが凄かった。
ロンシャンは女の趣味だけは尊敬出来る。
テニ王。菊丸の、大石不用宣言。これは大石なしでもやるということか、
それとも大石が出てないからダブルスやらないということなのかどっちだろう?
ネウロ。あの状況下ですっかりメロンに心奪われている弥子萌えー。
こち亀。実際、今の小学生セレブってあんな感じらしいぞ……。
ユート。展開は予想通りなんだけど、それでも地味に読ませる。
しかし地味では人気がついてこない。袋小路のようだ。
ミスフル。煽ったわりには瞬殺か。これまでの反省を活かしたのか、
それとも何らかの事情で展開を早めるしかなくなったのか……。
ワクワク。ラスボスは巨大化してこそだよなー。
妙に変身ヒーローものやSFロボもののセオリーに忠実なところあるなぁ。
ジャガー。銀魂と花粉症クシャミネタが被った……けどこれは
銀魂の方が今回ジャガーっぽかったんだと思う。

総評

さいですかー、武装打ち切りすかー。
単行本売り上げでは確かミスフルを上回ってたはずなんだけど、
何でなんだろうなー、作者の側の問題もあるんだろうけど。
とりあえずまあ、一時的にせよ次回どうまとめるのか待つ。

ところで……前々から和月伸宏という作家について
まとまった文章を書いてみたいと思っていたんだけど、
今やっとかないともう二度と機会がないような気がする。
というわけで、アマゾンリンクを使った過去感想というのも含めて、
今日のサイト実験。
この下に簡単ではありますが和月伸宏とその作品に関する
コラムのようなものを書いてみます。
そう! 知っている人は知っている「駄目コラム」の復活です!!
アマゾンリンク画像なんかもありますし、基本的には駄文ですので
読みたくない人はスルーして下さい。では。

第1考

「和月以前・和月以後という浪漫譚」和月伸宏考


まず最初に。
この文章は「感想」です。「論文」でもなければ「批評」でもありません。
あくまで筆者の主観と思い込みと不確かな記憶に頼った情報によって構成される
駄文の一種です。
それは基本的に「批評」なるものが抱える責任からの逃避ですが、
それ以上に感想文でしか書けない文章というものもこの世にはあるだろうという
これまた不確かな想いによるものだったりもします。
まあ、情報が間違っていたり内容が気に食わなかったりしても
あんまり気にしないで下さい。

1・ブックオフで「るろ剣」は揃えやすい。

何故、るろうに剣心(以下、るろ剣)はああもブックオフで簡単に
全巻揃っているのだろうか?
作者名が「わ」行、作品名が「る」行なので、ジャンプコミックス棚の
最後尾を見れば発見が容易、ということがあるにせよ、
あの派手な背表紙が1巻から最終巻までずら〜っと並んでいる様は、
祭りのあとに取り残された紅白幕でも見ているようで、寂しい。
例えば。
「スラムダンク」はどうだろう? 全巻揃っているだろうか?
「幽☆遊☆白書」は? 「ドラゴンボール」は?
「北斗の拳」は? 「聖闘士星矢」は?
これは完全に筆者の主観、しかも筆者の生活圏での印象でしかないのだが、
かつて少年ジャンプ誌上で「看板作品」と呼ばれたような作品は、
ほとんど全巻きれいに揃っていることはない。
皆、その作品に愛着があるのでそうそう簡単に手放さないのだ。
それは愛蔵版や文庫版が出ても変わらない。
皆ボロボロになった古い単行本に、思い出という価値を見出している。
で、るろ剣である。
るろ剣は手放される。ブックオフに売られる。
最終巻のあとがきで、わざわざ作者が「古本屋に売ろうが読者の自由ですが、
せめて本棚の奥に置いておいてくれれば……」と書いているにもかかわらず、
何故か容赦なく売られる。何故だ? みんな思い出がないのか?
じゃあ何故るろ剣を買っていたんだ? るろ剣って何なんだ?

2・「マサル幕張時代」って知ってる?

ジャンプ黄金期といえば、大体八十年代の序盤から九十年代の中盤である。
始まりの時には諸説あるが、終了の時はみんな知っている。
ドラゴンボールが終わったあと、スラムダンクも終わった。
それで、ジャンプも終わった。
一般的にスラダンが終了したあとの暗黒期を支えたのがるろ剣、と思われているが
それは微妙に違う。るろ剣の連載開始は94年、幽白の終了と同年で、
その翌年の95年にDBが終了、96年にスラダンが終了なので、
実はるろ剣は暗黒期の作品というよりは、最後の黄金期作品なのである。
DB&スラダンの終了後に出てきた、真に暗黒期を支えた作品は別にある。
「セクシーコマンドー外伝 すごいよマサルさん」と「幕張」だ。

今にして思うと恐るべきことだが、確かにあの一時期、あったのだ、
「マサル幕張時代」というものが……!!
マキバオー、ぬ〜べ〜といった中堅作品や禁断のこち亀アニメ化という
奇策まで繰り出して必死で部数減少を食い止めようとしていた当時のジャンプ、
そこでもっとも勢いを持ち、読者を繋ぎとめていたのは間違いなく
新鮮な刺激に溢れたマサルと幕張だった。
しかし、だ。
マサルも幕張もギャグマンガ、ジャンプの看板としてはさすがに頼りない。
何より、メディアミックス向きではない。中堅作品のアニメ化ラッシュからも
わかるように、当時も今も、ジャンプの生命線はメディアミックスなのだから。
ジャンプは痛切に欲していたのだ。
看板を張れるバトルマンガを!! アニメ化出来るバトルマンガを!!
そこで白羽の矢が立ったのがるろうに剣心だった。
そう、るろ剣の「看板化」は、半ば仕組まれたものだった。

るろ剣は、本質的には少女マンガテイストを少年マンガに盛り込み、
内面描写と(ジャンプとしては)地に足の着いたドラマ展開を重視する、
いわば地味目の作品だった。
初期の黒笠編、御庭番衆編、雷十太編などもバトルを徐々に
盛り上げていってはいても、基本はドラマ重視の姿勢である。
それが変わるのが斉藤編、そして続く京都編――。
この路線変更は、作者が単行本で解説しているように、
編集者から「もっと大きな話をやろうよ」と言われたことに起因する。
つまり、中堅作品だったるろ剣を看板を張れるバトルマンガへと
変革しようとしたのだ。編集としては当然の提案であっただろう。
しかしここで、ジャンプの歴史を紐解けばこのような編集サイドによる
作品の路線変更によって、壊れたと言われた作家が何人いたことかと
多少知識のあるものならすぐに思い至る。
当時、いわゆる編集主導・アンケート絶対主義の「ジャンプシステム」は
悪の権化のような酷い言われ方をしていたのだ(大体、冨樫義博のせいで)。
だが。
敢えて和月伸宏はそれに乗った。そしてそれを成し遂げた。
それだけなら、まだ前例はある。だが、彼は単行本で恐るべきことを口にする。

「やってみたら、少年マンガの面白さに目覚めた。」

覚醒したよオイ!?

3・もう、剣の時代じゃないらしい。

編集の介入によって作者が覚醒する。
これはジャンプシステムのある種の革命だった。
幽白の無残な最期、ダラダラ引き伸ばされ続けたDB、
作者の意図を無視したと伝えられたスラダンの展開……。
もはや害悪でしかないと言われていたジャンプシステムの、
それは華麗なる復権であり、またジャンプ復活の可能性であった。
実際、覚醒した和月伸宏とるろ剣京都編の面白さは格別だった。
旧来のジャンプらしいハッタリやウソ薀蓄によるバトルの盛り上げと、
作品が本来持っていた少女マンガテイスト、そして当時の空気であった
エヴァ系の取り込みすら可能とした多方向な展開は、
まさに新時代のメディアミックス作品を切望したジャンプの救世主……に見えた。
和月伸宏は、確かにあの時、新たな時代を切り拓いた。
拓いたんだけど……。
ある男がその拓いたそばから颯爽と飛び出して、
物凄いスピードで新大陸を目指して海を駆けていってしまった為、
和月伸宏の印象がほとんど残っていなかったりする。
その男というのは、言わずもがな、ONE PIECEの尾田栄一郎である。

和月組、という言葉に筆者はプチトキワ荘的な幻想を覚える。
一つの場所に集い、マンガの未来を共に語り合った若者達……。
そしてそこから飛び立った尾田栄一郎は、見事にジャンプを、
いや、マンガ界そのものに新たな光を与えてみせた。
だが忘れてはならない。尾田栄一郎が世に出るには和月伸宏の存在は不可欠だった。
単に技術的なことではない。尾田栄一郎のマンガは当時編集部から
それほど評価されていたわけではないからだ。
当時の編集長、マシリトこと鳥嶋氏はワンピのブレイク後、
インタビューなどで「このブレイクは予想外だった」と何度も語っている。
実際、ワンピースというマンガはそれまでの少年マンガのセオリーを
相当無視したもので(一番わかりやすいのは1コマ当たりの情報量、
電車で通勤中に読み終わりそのまま網棚に捨てられるといわれた
黄金期の作品と比べると、読み進めるのが非常に困難で時間がかかる)、
それまでのジャンプシステムからは決して出てこないタイプの作品だったのだ。
それが連載を獲得出来たのは、新人作品にチャンスを与えようという
当時の編集方針もあっただろうが、やはり看板作品であるるろ剣の
元アシスタントという信頼感は決め手としてあったのだろうと思う。
また、るろ剣自身がこれまでのジャンプマンガのセオリーを
破って成功した例であったことも見逃せない。
尾田栄一郎の登場は、和月伸宏が地ならしをした上で成されたのだ。

そして、それによって皮肉なことに、和月伸宏は「時代遅れ」になった。

BSマンガ夜話において岡田斗志夫が提唱したバトルマンガの区分けに、
「バカマンガ」と「カシコマンガ」というのがある。
「バカマンガ」というのは根性重視。とにかく熱い心も持った奴が勝つ、
より哀しみを背負った奴が勝つ、という精神論重視のバトルマンガ形態。
「カシコマンガ」というのは、これこれこうしてこういう伏線があったから
あれがこうなってオレの勝ちだ、となる理屈重視のバトルマンガ形態のこと。
前者の代表が、まさにワンピース。後者の代表はジョジョの奇妙な冒険などか。
るろ剣はカシコマンガである。
正確には、カシコマンガだった。
剣心の技にはハッタリとはいえ納得のいく理屈が常に付けられていたし、
その勝負も機知に富んだ技の読み合いという要素が強かった。
それが、人誅編では一変した。
特に弥彦である。弥彦の戦い方が、急激にバカマンガ化した。
巨漢の男が振り下ろすアームストロング砲を十歳の少年が素手で受けとめ
カウンター、などという場面はまったく理屈を無視している。
何故そうなってしまったのか。
また、人誅編は無残な迷走を繰り返し、その結果として
るろ剣という作品の評価を引き下げる原因にもなっているが、
何故そんなことになってしまったのか。
やはり和月伸宏もジャンプシステムに潰されてしまったのか?

違う。ワンピースのせいである。少なくとも筆者はそう考える。

和月伸宏は、元々少女マンガテイストで、カシコマンガな人だった。
それが京都編でたまたま「少年マンガの面白さ」に目覚めてしまった。
当初はそれでよかった、二つの異質な要素が絶妙に混ざり合い、
ほどよいバランスを形成していた。
しかしそれと前後するように、弟子であり仲間でもある尾田栄一郎が、
「これぞ少年マンガだ!! これこそがあるべき少年マンガの姿だ!!」と
言わんばかりのものを描き始めた。
不幸である。和月伸宏は、自分も“それ”が描きたいと思ってしまったのだ。
描けると思ってしまったのだ……その時代、その場所にいたがゆえに!!
これほどの矛盾があるだろうか?
彼がいなければ何も始まらなかったというのに、
いざ始まってみれば時代は真っ先に彼を置き去りにした。
彼は追いかけて行きたかった。知ってしまった楽しさがあるから。
目指したいと思う場所を見付けてしまったから。
けど無理なんだよ!! あんたの手には日本刀がある。
それは捨てられないだろう? 身体にだって剣の道が染み付いてるだろう?
どんなに髷を落としたって、洋装を着こなしたって、
土方歳三は新撰組副長でしかないんだよっ!!
偉大なる海を駆けていくことは出来ない、
幕末の京都でのし上がった新撰組は、新時代に呑まれていく……。

4・以前と以後を分けるもの。

人誅編の失敗、それは作者の思考と身体が分離していた為だと思われる。
未だに議論の絶えない「薫を殺すべきだったか否か」。
これは答えははっきりしている。作者自身単行本で断言している。
作品の質のみを取るならば、殺すべきだった。
それはつまり、作者本来の資質のよって生まれた作品本来の流れ、
作品が持つ背骨とも言える部分に忠実であるのなら、ということだ。
要するに作者は、自分の作品の本質を否定し自然に逆らってまで薫を生かしたのだ。
全ては、「少年マンガ」である為に。
何でそこまでしなければならなかったのか?
そこには和月伸宏の立ち位置がもたらした、究極の選択があった。

和月伸宏が切り拓いたものは、ワンピースに繋がる新たなる少年マンガの形、
だがそれだけではない。
まず一つは、女性ファン層の拡大である。
これはキャプ翼、星矢、幽白、スラダンと続いてきたものだが、
主人公をアンドロメダ瞬・蔵馬系の優男に設定したのは新しかった。
これによって女性読者のジャンプへの壁はほぼ打ち壊された。

二つ目は、同人テイストの導入。
これまでも同人誌の要素を持つ作家は、冨樫義博・萩原一至などいたが、
それらは八十年代的な「パロディ」であった(Drスランプなどもそうだ)。
和月伸宏がやったのは「オマージュ」である。
わかる人だけ笑って下さい、というスタンスではなく、
誰もわからないだろうけど自分が好きだから入れる、
自分は好きでやっていて相手を尊敬しているんだから、
デザインを拝借したりすることを悪いなどとは思わない、というあり方。
これはかなり画期的というか、当人に自覚はなかったのだろうが、
マンガ界――ひいては日本の創作界全般に渡って多大な影響を及ぼしている。
まあ、和月伸宏が広めたというよりは、同時多発的にそういう「気分」を持った
作家が登場し、そのなかの一人が和月伸宏だった、というのが正解ではあろうが。
その影響も最も悪い形で受けたのが
矢吹健太朗や真島ヒロであることは言うまでもない。
最近は編集部ぐるみで平気でやったりすることもあるので、
すでに悪いことでも何でもないのかも知れないけど。

そしてもう一つ同人的、いやそれ以上に九十年代半ば的だったのが、
単行本での詳細な元ネタばらし&自己語り。
これは先ほどの「パロディではなくオマージュ」という意識と連動している。
オマージュである以上、元ネタを開示するのは礼儀というわけだ。
しかしそれ以上にその行為は、「こんな作品を自分は好きなんだ」と
自己語りをしているに他ならない。
それは別段、自意識過剰というわけではなく、現代であれば
それこそHPやネット掲示板やブログで誰もがやっているようなこと。
和月伸宏はたまたま単行本のフリースペースという「喋り場」があったので
それを利用したにすぎない。
和月伸宏はそんな部分でも、一時期は時代の風を一身に受けていた。

和月伸宏とるろ剣が起こしたことを簡単にまとめると――。

1・作品ジャンルの融合。
2・読者層の融合。
3・商業誌と同人誌の融合。
4・商業作品発表と自己実現の融合。

要するにあらゆる壁を取っ払ってしまった。
ワンピースもその壁が取っ払われたことによって出てきた作品の一つなのだ。
そして、出てきた作品は勿論ワンピースだけではない。
いわゆる「マガジンの三バカ」。
レイヴ・KYO・ゲットバッカーズはるろ剣がなければ決して存在しない。
当然その後のアニメ絵路線、萌え路線への進行もなかったはずで、
エアギアもツバサもスクランも、もしかしたらネギまもなかったはずだ。
そしてガンガン系。
るろ剣による同人層の掘り起こしが同人作家を商業誌に釣り上げるという
ガンガン系や、各種マニア系雑誌の現在の隆盛に繋がっていることは
充分考えられる。
他にも、あらゆる場に実はるろ剣の影響というのは顕著なのである。
るろ剣、それ自体は、はっきりいえば失敗作だ。
結局、一つの時代を流れて消えた「流行りもの」でしかなかった。
だからみんなブックオフに平気で売ることが出来る。
しかし。
その存在そのものが、ある時代の節目のちょうど中間点にいる。
るろ剣と和月伸宏が変えたのか、それとも変わり目にたまたま
るろ剣と和月伸宏がいたのか、それはわからない。
わからないが……そこにいたことがすでに価値なのだ。

手塚以前・手塚以後という言葉がある。
手塚治虫こそは戦後マンガの発明者、などとよく言われるがそれは違う。
手塚治虫が子供の頃に読んでいた戦前の日本マンガというのは
相当高いレベルにあり、手塚は戦後、戦火に消え誰もが忘れ去った
それらを復興してみせたのだ。勿論そこにはディズニーに代表される
新しい風も多分に混じってはいたが。
歴史は連続している。それでも手塚が以前・以後と分岐点として扱われるのは、
その時代の節目を思い返す時、誰もが手塚の顔を、存在を思い返すからだ。
実質ではなく、象徴なのである。
同じように、大友以前・大友以後という呼び方がある。
大友克洋が斬新な画面とテーマ性でマンガ界に革命を起こし、
大友克洋の影響を受けた作家が多数現れマンガの形を変えたからだ。
これも、実質「大友以後」の世界を作ったのは
当然大友以後の作家なのだが、やはり分岐点として大友克洋が上げられる。
象徴的だからだ。
そこで、だ。
何が言いたいかもうわかるかと思うが、

和月以前・和月以後って

アリじゃないか?


というか、当然そう呼ばれるべきであろうと思う。
あの時代の変わり目に、中心にいたのは和月伸宏なのだから。
いや、それを言うならエヴァ以前・エヴァ以後だろ、という意見もあろうが、
マンガ界限定では和月伸宏なんだよ!! いや絶対に。
何故そう呼ばれないのか、理由はわかりきっている。
和月伸宏に手塚や大友のような存在感や尊敬の眼差しがないからだ。
二人は一発屋ではなかった。自身が時代の変わり目の中心にありながら、
その「以後の時代」にきちんと適応してみせた。
和月伸宏に欠けているのはまさにそれであり、
それこそがるろ剣を破壊してまで「少年マンガ」にこだわった理由なのだ。

自身が拓いた新たな時代に、自身の道を通す為に。

「以前」に引っ込むわけにはいかないのだ、
何としても、何としても自分は「以後の世界」の住人なのだと証明したいのだ。
でなければ意味がないじゃないか、あまりにも哀し過ぎるじゃないか。
だから適応しなくちゃいけない。
熱血主人公が描けなきゃいけない。
ハッピーエンドが描けなきゃいけない。
バトルヒロインが描けなきゃいけない。
いや、何より増して、描いてみたい!!

るろうに剣心の連載開始から、もう十年以上になる。
あれから……ワンピースは未だに大看板を維持し続け、
そして和月伸宏は二度、新たな連載に挑み、どうやら二度敗れたようだ。
師匠である小畑健は、あの頃は泣かず飛ばずの絵描きマシーンだったのに、
今や最先端の絵を描くヒットメーカーと認知されている。
和月伸宏は……絵柄が古臭いとか言われるようになってきた。

和月以前・和月以後。

笑うか、この呼び方を? そりゃ笑うわな。
くだらぬロマンティック、それでもそんな浪漫を信じた時代もあったのさ。

今でも思い出せるんだ、季刊ジャンプに載った最初の「るろうに」を。
まだ苗字が神谷だった弥彦が満天の星空を見上げて泣いてたんだ、
――強くなりたいって。

――――――――――――――――――――――――――――――――――


簡単に書く予定だったのに……予定の三倍くらいの分量になった……。
しかも結局何が言いたいんだかよくわかんねー。何だ最後の語りは???
あー、そもそも武装錬金について書こうと思ってたんじゃないのか?
るろ剣だけで終わっちゃったよ……。
また来週、最終回を読んで武装錬金編を書くか?
いや、どうせなら完結編まで待つか?
ていうかこんなんそう何回も書けねーし。
やっぱこの企画、今回だけで終わるかも。
書くとしても分量は削ろう、ほんと……。

るろうに剣心 検索リンク

るろうに剣心-明治剣客浪漫譚- 星霜編 ~特別版~るろうに剣心TVアニメ版