ケンダマンの生産調整のため、中国に行ってきました。



中国に行くのは久しぶり。

CCPブログにも出ていますが、先週は上京してCCPで打ち合わせをした後、
1日挟んですぐに中国へ。


なかなか慌ただしい1週間でしたが、その分の成果はありました。

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↑中国でのケンダマン打ち合わせ。


現在工房ではスクリューキッドの生産が進んでいますが、
ケンダマンは、金型から成形、下地の彩色までを中国工場で行います。


2体同時に発売したいということで、通常より納期は頂いているものの、
日本で2体同時に進めるのは、スケジュールの面でリスクが高いんです。

というのも、同じ場所で2つの案件をやろうとすると
滞ってしまうことが多いんです。
どうしても、一つ終わってから、次、ということになりますからね。
一つの作業の遅れが全体のスケジュールに関わってくるわけです。

そういったリスクヘッジの意味もあり、今回金型~成形の生産場所を分けました。

どちらかが滞っても、片方が進んでいれば、彩色は自分の工房ですから
やれる作業を消化しておける。
工房で彩色できるものが来さえすれば
あとは努力で何とかなる。
一番怖いのは、金型や成形で詰まって、工房で作業ができない状態です。
これは一番どうにもしようがない。

だから、とにかくどちらかだけでも先に工房に入ってくるように
手配していたわけです。


そんなことでスタートしたネジケンの制作。


スクリューキッドに関しては、過去何年も生産管理をしてきましたが、
ここまで順調なのは初めてなくらい、上手く事が運び、現在
ほぼスケジュール通りに進行中です。

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↑肌は現在最終調整をしていますが、ブーツなどグラデーション含め、
完成パーツが出来てきています。


ただ、ケンダマン

こちらは鎖や、替えパーツの仕様など、生産的に複雑な部分も多いため、
金型製作に時間がかかりました。

そして先日完成した金型でも表面上は問題ないのですが、
構造や生産的に不備があり、その解決のため中国へ渡ったわけです。

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↑パッと見、表面的には問題なかったのですが、このままだと
強度や細かい部分に問題があったんです。


結果、金型自体はもう一度作り直すことになりました。

スケジュール的にも押してはきますが、
現状はまだ想定の範囲内なので、彩色で追い上げが可能です。


それよりも、人によっては「中国で大丈夫?」
クオリティーの面で心配な方もいるかもしれません。


どうしても「中国=低品質」というイメージが強いですからね。

今日はそのあたりを少し説明しておきますね。



結論からいうとフィギュア生産において
全体的には中国の生産レベルはとても高いです。
むしろ日本より上です。

ただ、それ自体も一般論的な話です。

もっとはっきり言えば、日本でも中国でも、
いい工場もあれば、あまり良くない工場もあります。
いい悪いだけでなく、得意不得意だってあります。
これも日本だって同じです。

その見極めは常に難しいです。

自分の感覚的な話ですが、一人一人の意識は
確かに日本人の方が高いかもしれません。

でも、意識だけで、フィギュア生産のレベルを語ることはできません。

中国は、人が多いということもあるのですが、
日本と比べて真っ先に勝っていると言えるのは
「設備」です。


圧倒的に設備が整っている。


例えばタンポ印刷といって、ゴムの版でペイントしていく技法があるのですが、
この設備の差は歴然としています。

美少女フィギュアやプライズフィギュアの瞳などは、ほとんど
タンポ印刷だと思います。

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日本でもタンポ印刷を何回かやりましたが、
上の画像のように何色も続けて押せる機械は
一般の印刷業者にはほとんどありません。大体2色までです。

イメージがしづらいかもしれませんが、2色だと
できる事が限られてくるんです。

フィギュアを生産している会社が、自社生産用に
持っているケースがあるかもしれませんが、
少なくとも僕は見たことがありません。

しかも高い。

生産依頼でタンポの見積もりも当然出しますが
これがネックになることが多いほど、高い。

中国だと、この機械の数も一つの工場で何台もありますし、
早いし、だからこそ安い。

この差は大きいですね。


その他にも金型の設備も段違いに整っていますし、
生産のキャパシティーも日本とはケタが違います。

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↑とにかく人が多い。工程を細分化できるから、各工程の精度、効率も
上がっていきます。みんな凄い集中してやっていました。



説明し出すとキリがないほど、たくさん凄い部分があるのですが、
実はケンダマンを中国で作る最初のきっかけとなったのは、
「ブリスター」です。


なんとなく想像がつくと思いますが、
ケンダマンはデカい。

鉄球もあるから、そのためのブリスターを
作ろうとすると相当デカくなる。

それを日本で、となると、そもそも作れる工場が限られてくる。
ほとんどないんです。
値段も尋常じゃないほど高くなります。

実は、ケンダマンを最初に中国で生産しようと思ったのは
これが原因だったんです。

金型製作を分散させるだけなら、日本国内でも分けれなくはないんです。

でもブリスターの金額だけがどうしてもネックだったんです。

どうせ経費をかけるなら違う部分でかけたいし、
箱で値段が上がるのは、誰も望まないはずです。

それで中国工場に相談したのが始まりです。



そんなこんなで、中国で進行中のケンダマン。

実は、中国効果で、日本の設備だとできなかったことが、
このケンダマンにおいて、奇跡のような恩恵をもたらしています。

前々から言っていた、買って頂いた方が喜ぶことです。

それの調整もついたので、発表します。


それは、


鉄球の分割がなくなります!!




そうです。ソフビでやるデメリットの最たる部分であった
鉄球の分割ですが、中国の金型設備の関係で、
ソフビではありながらも、通常とは違う成型方法となるため
分割を回避することに成功したのです!!

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↑当初、泣く泣く分割になりますと説明していたこの部分。一体になります。


パーティングラインといって、継ぎ目は多少出るので、
その部分は工場で磨いてもらいます。
そのサンプルができたらまたお知らせしますね。

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↑細かい仕様を確認。中国で塗るのは下地までです。
塗り分けやグラデーション等は全てSTUDIO24で行います。


ってなわけで、とにかく効率よく、納期通りに
いいものを作るために、手も動かしますが、
足も使って、さらには足りない頭もフル稼働して
最善の方法を模索しながら進んでるネジケン制作。

何度も言いますが、工房一同想いは一つ。

「最高のネジケンを届けたい」


ケンダマンは順調に行けば6月から日本で細かい彩色に
入っていける予定です!
その頃にはまたご報告します!

来月、また中国行かねばですが、機内で映画見れるのが
唯一の楽しみです(笑)


それでは引き続き生産頑張ります!!







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