2011年01月31日
『芭蕉入門』4(セミ)
次の芭蕉の句は好き。『芭蕉入門』↓
閑（しづか）さや岩にしみ入るせみの声
他の物音は何一つしない静かさの中で、せみの声だけが一筋しみとおるように聞こえるというのですが、
周囲がどんな有様なのかは、この発句だけでは何一つわかりません。
高い山なのか、低い山なのか、平野の丘かもしれないし、盆地かもしれない。
読者は自由に想像してかまいません。
ただせみの鳴き声が岩にしみ透るように聞こえる静かさに焦点を合わせればよいのです。
俳諧の発句は、わずか17字の短い形ですから、
何もかも言うことはできません。
焦点になるところだけを集中的に表現してあとは読者の想像にまかせるのが、俳句というものです。
『芭蕉入門』より
芭蕉入門 (講談社学術文庫 122)著者：井本 農一
講談社(1977-02-08)
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句の中のせみと、その周りの岩に生命を与えている芭蕉は、素晴らしいと思う。(一本の柳を描くにしても、それに生命力があるように描けば、けっきょくそれは生きているのだ。
その木に注意力を全部注ぎ込んで、その木に生命を吹き込むまでやめなければ、あたりのものは、それにこたえて、自然に描けるものである。
また、人物を描く氣で木を描かなければ、それこそ、骨なしの人間と同じことになるのだ。・・・・・ゴッホの言葉参照)
たわ言やうわ言こそ文学だね。
（芸術的な、文学的なおもしろいこと新しいこと意外は書くな。、「たわ言」や「うわ言」こそが文学だ・・・・・『芭蕉入門』3参照）
(『芭蕉入門』の別の記事をもっと読みたい方は、『芭蕉入門』1へどうぞ)
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