映画好きなひばりさん

思いつくままに映画の感想を書いています。日本映画、海外映画、アニメなどジャンルは問わずいろいろ観ています。

記事タイトルたかが世界の終わり

takagaseksinoowari



スパイものとかによくある

「いつ、バレるか?バレないか?」でサスペンスを煽っていく手法になぞらえるなら、

今作で基調となっているのは、

「いつ、言うか?いつ言わないか?」でサスペンスを煽る、というもの。もうじれったいから早く言えよ!とイライラしながら、まんまと術中にハマっている自分に気付く。



いくらなんでも主人公喋らなすぎでしょ??だし、兄さんの性格は度を超し過ぎ(ほとんどサイコパスだ)。

このように、この家族の在り方はリアリズムというよりは、むしろ演劇的に誇張された世界のように撮っていて、その部分は評価の分かれるところかもしれない。

「どこにでもある仲の良さそうな家族が、実はそれぞれ長年隠し持っている嫉妬と確執と執着」みたいなテーマがハッキリあるくせに、この家族だとまったく「どこにでもある家族」に見えない、という話。

そもそもが、ギャスパー・ウリエル、レア・セドゥ、ヴァンサン・カッセルが同じ家族って、どんな家族だよ!(笑)

いつもは悪女を演じることもあるマリオン・コティヤールが一般人に見えてくるくらい、「顔力」の高さがとんでもないことになっている。

我々が身近だと感じるのは、『男はつらいよ』の「とらや」の面々なんですよ!!(笑)



とにかくこの顔力の高い人たちが超アップで、常にしゃべり続けて渾身の演技を続けられるのだから、ものすごい緊張感だし、ものすごい圧迫感。

ハッキリ言って不快ですらある。

いや、前述の「いつ喋るの?」サスペンスを盛り上げるためにあえて観客に不快に感じるよう計算して演出しているのがドラン監督の恐ろしいところ。

これは明らかに、あの主人公が直面している「体調悪いし、家族気まずいし、愛想笑いも疲れたし、早く帰りたいよ〜」っていう心理を追体験させようという意思がハッキリとある。



この家族ドラマの切り口はありそうでなかったし、単純にドランの演出の冴えは今回もキレッキレなので、かなり評価したい1作。

ありがとう、トニ・エルドマン



父親と娘の微妙な距離感を、娘の側から描いた映画って意外と少なかった気がする。

しかも別に仲違いしているわけでもなく、大切に思ってるんだけど、生き方が違い過ぎてなんとなく話しづらくなった感じの微妙な時期の娘とオヤジ。

多かれ少なかれ誰しもが思い当たる節があるのではないだろうか。このあたり女性監督ならではで、実に真に迫ったリアルな家庭像だったと思いました。

まあ、あのオヤジのすることはかなり狂ってるけど(笑)、決して娘の生き方を否定したり、考え方を押し付けたり、なにかを強制、命令したり、一切干渉しないんだよね。

ただ、イタズラをしながら、「本当に幸せか?」と心配だけしている感じが、心温まる距離の詰め方で良かったです。



あと、主演女優の顔がサイコー!

いかにも「私仕事できますよ」的なオーラをプンプンに醸し出している、わかりやすいキャリアウーマン風で、取り付く島もない感じの雰囲気があるおかげで、オヤジのいたたまれなさ感もさらに際立つ。(微妙に美人でもない感じもイイ)



ただ、あまりに仏頂面過ぎて、この人の幼少期が想像できないというか。

小さなころにあの毛むくじゃらみたいな変装をしたオヤジとキャッキャやってたということがわかる映像を、(回想シーンは野暮だとしても)、なんかアルバムとかで明示してくれたら涙腺が一気に決壊していたと思う(笑)。

これだけリアリズムを重視した演出なので、そこだけウィットになるのはナンセンスなのはわかるけど。

ナラタージュ


行定勲は正直そんなに大好きな監督というわけではなかったのだけれど(当たり外れがあるというか)、これは良かった!!

映像の色合いが、雨が多いせいか深く煙ったような緑色がかっていて、あるいはノスタルジックなオレンジがかっていて、タルコフスキーとかロシアの映画みたいな明度も彩度も低いトーンで統一されていてとても美しかったし、昨今のツンデレ壁ドン女子高生大喜び系の安易なスイーツ恋愛映画とは一線を画していてスタッフとキャストの意気込みが感じられました。


原作では蛇足気味だった泉の家族の話やドイツ旅行エピソードをばっさり削ったのは正解だったと思う。

社会人、大学生、高校生、と回想が入れ子になっている中の、現代パートである社会人の泉の部分もポジティブめにアレンジされていてスッキリ。

出番少ないけど瀬戸くんカッコよかった。



有村架純ちゃんの泉は「怒り」の表情がハッとするほど素敵で、なんというか、この作品の男性二人は方向性は違うながらもどちらも女性からしたら「おいちょっと待て」と思う鈍感だったり無神経だったり意地悪だったりという発言や行動を繰り返しますが、そのたびについ直前まで笑顔だった泉の顔からスーっと笑みが消えて静かな怒りを目に称えている、その変化の瞬間がたまらなくいいと思いました。



坂口健太郎の小野くん、これもハマリ役というか等身大感があって良い。

出番は一瞬なのに強烈な存在感を残す市川実日子の葉山妻役も流石だった。
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