2022年04月22日 22:39

2022/4/25修正(赤字)

元ファイル:公式FAQの上の方

カサンドラファイルは、変更される可能性のあるルールを記したpdfであり、この新しいルールは将来的に採用されるかされないか、どちらもありうる。

これらのルールは、正式な出版製品、pdf、オンラインのFAQで実際に登場するまでは、非公式とみなす。

GMおよびプレイヤー諸氏にはぜひこれを試し、考えを聞かせてほしい。フィードバックや質問はユリシーズシュピールのトーグルールのディスコードサーバーへどうぞ。

ストームナイト

技能

技能なし:技能レベルのない技能判定は、Disfavored(不得意判定:ポシビリティ、高揚、10などでの振り足しなど、追加ロールの1回目は行えない)になる。

専門技能:専門技能を技能レベルなしでも試みられるが、判定に-10ペナルティ。

職業

〈職業〉技能は、適切な能力値判定に用いることができる(GM判断)。例えば《機敏》+〈職業(オリンピック体操選手)〉技能レベルを、人ごみで混雑した道でのチェイスに《機敏》の代わりに使用できる。人をよけたりや山盛りのキャベツ台車くねくねと通り抜けたりするのだ。

〈職業〉をこの方法で使えるのは、能力値判定の代わりとしてだけだ。技能リストに載っている他の技能の代用にはできない。例えば〈職業(盗人)〉を〈錠前破り〉の代わりには使えない。

トリック

《機敏》+〈トリック〉技能レベルを、手品、あるいは誰かから物を盗んだり、持たせたりするために使用できる。

特典

前提条件

前提条件は常に適用される。キャラクターが永続的な変化(あるアクトが終わっても続くもの)を経験したことで、特典の前提条件を満たせなくなったら、その特典は失われ、置き換えるための別の特典を選ぶことができる。

デスティニーカード

手札の枚数

基本となるデスティニーカードの最大枚数は、プレイヤーがアクトの最初、遭遇やシーンの終わりに引く枚数であり、それはプレイヤー人数によって決まる。

手札の枚数

プレイヤー人数 最大カード枚数
2 6*
3 5
4-6 4
7以上 3

プレイヤーが2人なら、(訳注:シーンの最初などに)それぞれ場札に1枚出すことができる。

戦闘

推奨行動

1種類の推奨行動で引けるデスティニーカードは、1ラウンドに1枚だけ。

(訳注:たとえば「トリック 挑発」のラウンドには、トリックと挑発でそれぞれ1枚引ける、という意味)

1ラウンドに推奨行動で引けるカードは1枚だけ。

移動

基本速度は一般的には《機敏》に等しい。移動力6-10であれば、1ラウンドに10mまで移動できる。疾走はアクションであり(複数回行動は可能)、1ラウンドに25メートル移動できる。もし移動力が11以上なら、上記の代わりにペナルティなしに25m移動できる。

もしキャラクターの移動が阻害される状態なら(例えば水中を移動するような能力を持たない者が泳ぐ場合や、移動力を減じる特殊な装備、あるいは移動力が5以下に減じた場合)、1ラウンドに5mしか移動できず、疾走もできない。

ゲームデータとしての水泳や飛行の移動力についても、1ラウンドの移動距離については上記のルールを適用する。

一部のキャラクター(ロケットレンジャーなど)は特に高い移動力を持つこともあるが、代わりに上記のルールが適用される。

移動

移動力 移動距離(m) 疾走移動距離(m)
1-5* 5 -
6-10 10 25
11+ 25 -

移動が阻害される状態を含む

簡単な行動

1ターンには1回の簡単な行動を行えるが、追加の簡単な行動は複数回行動の一部となり、(簡単な行動そのものに判定がなくても)1回につき-2ペナルティを与える。

成功レベル

難易度+15以上の達成値で成功した場合、とてもすごい(Spectacular)成功となる。この成功レベルは、ほとんどの能力(呪文、奇跡、超能力など)には明確に含まれない。しかし、対人行動の結果は変化する(下記参照)し、物理攻撃(訳注:呪文などを含むダメージを与える行動すべて)には常に効果がある。

・ダメージを与える攻撃は、とてもすごい成功で(訳注:すごい成功に加え)+1BDを得る。

対人行動

対人行動の結果が少し変更された。ふつう、よいの結果は変化なし。

・すごい:萎縮と隙を3回分適用する。その相手がエリートではない(「負傷耐性:-」の)オーズならプレイヤーズコール。

・とてもすごい:萎縮と隙を3回分適用し、さらにプレイヤーズコール。

プレイヤーズコール

負傷耐性に等しい負傷を受けている相手(「負傷耐性:-」のオーズは常にこれに含まれる)であれば、ノックアウトされるか、逃亡、崖から落ちる、(特にリアリティ能力者なら)降伏するなどして、そのシーンから除去される。

戦闘オプション

積極防御

攻撃や判定の対象になったとき、次のアクションを失う代わりに積極防御を宣言できる。次のターンには、簡単な行動を行うことはできる。

積極防御は、そのキャラクターを対象にした判定を、対抗判定に変える。通常は(物理攻撃、対人行動あるいはそれ以外の)攻撃に適用されるが、〈発見〉対〈隠れ身〉などの他の対抗判定にも適用される。対抗判定において、攻撃側の判定のあとに防御側が+4ボーナスで判定する(これにはそのほかの全てのボーナスが加わる)。しかし達成値が低くても、元の防御値や技能基本値を下回ることはない。

もし防御が推奨行動なら、対象が攻撃され失敗した時にだけ推奨行動に成功したとみなす。

デザイナーズノート:最低+1ボーナスはなくなったし、(1回ロールをして全ての攻撃で適用するのではなく)攻撃ごとに判定する必要がある。

(訳注:この変更により、積極防御の効果は「ラウンド終了まで」ではなく「次のターンまで」に変更された模様。)

狙撃

1ターンを失うことで狙撃を行える(移動も簡単な行動も行えない)。もし(複数目標や複数回行動をせず)1体の対象に遠隔攻撃を行うなら、白兵戦への射撃のルール無視し、攻撃判定に+4を得る。

協力

協力行動によるダメージには、協力ボーナスだけ増加する。この増加は、あらゆるダメージボーナスと累積する(もともと協力行動ボーナスをダメージボーナスにすることができるような場合も)。

物陰

たいていは戦闘において、対象が煙や闇などではっきり見えない、あるいは完全に見えない場合がある。こうした状況では、遠隔攻撃にペナルティを与える。

このペナルティは、物陰と暗闇(後述)のどちらか厳しいほうを適用する。

例)

・一部:薄い煙や霧

・半ば:濃い煙や霧

・ほぼ:攻撃者の目が見えない、対象が透明あるいは完全に物陰に隠れている。この段階の物陰のペナルティは近接攻撃や〈間合い〉にも適用される。

遮蔽

対象は(特に鎧を着ていない場合)、時に遮蔽をとって身を守る。部位狙いで遮蔽されていない部分を攻撃するのでない限り、攻撃は遮蔽物(そしてそれに守られた胴体)に命中する。

遮蔽は下表のように装甲修正を提供する。もし対象が鎧を着ているなら、装甲修正は累積しない。

遮蔽

装甲修正 遮蔽の種類
+2 丈夫なテーブル
+4 車のドア(鋼鉄)、6インチ以上の厚さの木板、樹木

|+6|コンクリート、厚い金属板、巨木|

暗闇

暗闇は、物陰の特別な一種類であり、そのペナルティは(暗視、暗視ゴーグル、赤外線視力など)ある種の能力で軽減できる。暗闇の影響レベルが物陰より高いなら、代わりに暗闇のペナルティを適用する。



2020年11月26日 21:18

元記事
Orrorsh Preview #2 - Perks (Part 1)

トーグエターニティの次のクラウドファンディング、つまりオーロシュのプレビューの2回目だ。いつも通り、プレビュー内容の大部分はまだ開発中のもので、最終版では異なるかもしれないことはお忘れなきよう。でははじめよう。

オーロシュのクラウドファンディング

備忘:オーロシュのクラウドファンディングは、GameOnにて1月26日に開始される。

サイバーマンデー

サイバーマンデー(訳注:感謝祭の次の月曜、つまり11/30)に提供されるトーグエターニティ関連商品に備えよう。探し物はきっとあるよ。

新パーク

他のコズムソースブックと同様に、オーロシュソースブックには多くの新しいパークが収録される予定だ。そうしたパークの中には新しいカテゴリーのものがある。すなわち、堕落(corruption)パーク、呪詛(Curse)パークだ。そしてオカルト(Occult)パークに、錬金術師や弾薬師(Bulletsmith)向けの新パークもある(殺しの銃/Slayer's Gunのカスタマイズもある!)。一通り説明するには多いので、あとに回せるものはあとで扱うつもりだ。

堕落パーク

堕落パークは厳密にいえば「無料」だ。成長では習得できないし、キャラクターの持つパークの個数にも数えない。その唯一の代償は、キャラクターが死んだ時に、虚(Void)の手下として新たな命を得て目覚めることだ。

堕落と変身

堕落はオーロシュの世界法則と結びついているように見え、そして堕落パークはオーロシュのパーク群なので、もしストームナイトが他のリアリティに変身したら堕落の影響は消失すると結論付ける人もいるかもしれない。

デルファイ評議会にとって不幸なことに、そんなことはないのだ。オーロシュは堕落と直接出くわす場所だが、それはコズムのアクシオムや世界法則によって強化されているわけではない。堕落の大本は虚(Void)の影響であり、そのため堕落は普遍的なものとなっている。超自然的な悪(Supernatural Evil)と同様に。

キャラクターが変身しても、堕落パークは残り、変更されない。魅力能力値(Charisma)から失われた分は、割り振りなおされたあとに適用される。それは失われ永遠に虚のものとなる。

堕落は永遠のものだ。

注意点として、真の死によらない方法で殺された怪物も同様に、いずれ帰ってくるということを意味する。他のリアリティで殺されたとしてもである。

ここで堕落パークの一例を紹介する。

自己犠牲(Martyr)
・前提:自己犠牲カードをオーロシュで起動する

自己犠牲カードによってヒーローが自らを犠牲にしたとき、死以外の選択肢もあると甘い囁き声が聞こえる。もちろん、その声を無視してもいいし、君を生き残らせようとする者を一時しのぎだと非難してもいいが、しかしオーロシュでの殉死はあまり有力な方法とは言えない。もしヒーローがその声の取引に合意したら、自己犠牲カードをプレイしたときの通常の効果を得て、あるいはよりよい結果すら得られ、無傷で生き残ることになる、堕落パークを身に着けて。

もし将来、誰かが自己犠牲カードを起動させたとき、このキャラクターは死人となる。不幸なことに、自己犠牲カードをポシビリティに交換するのも、このカードを起動したとみなされるので、チームメイトに注意を促すこと!


呪詛パーク

オーロシュの怪物に攻撃された時、ほとんどの人は、むごたらしい形で殺されるか、手酷い傷を負うかのどちらかだ。しかし、わずかな「ラッキーな」者たちはそうした攻撃をかろうじて生き延び、そして何かモノになる。生き延びた「らしい」者たちは、実際には殺され、内心の堕落を遠ざけ人間らしさを保とうと戦うことを強いられる。一部の個人を潜在的ポシビリティ能力者であると区別するのと同様の不思議な仕組みで、代わりに呪いが定着するのだ。

どうやっても、呪詛パークを取るたびに次の人生が始まり、堕落判定(corruption test)が必要だ。さらに、呪われた者は実際には死んでおり、永劫堕落の法則(Law of Eternal Corruption)を通じて生かされているだけの存在であり、彼らが他のリアリティに変身したら、代わりに単に死ぬだけである。
しかし、呪いを受けたストームナイトは、(リンク回復判定の災難/mishapで支払うはずの)リアリティ技能レベルが残っていなければ、1点の魅力(Charisma)を支払うことで自動的にオーロシュにリンク回復できる。
呪われたキャラクターは、その行動や倫理観によらず、超自然的な悪(Supernatural Evil)とみなされる。

キャラクター作成時の最初の2つのパークのうちの1つとして、呪詛パークを選択できる。そうでなければ、プレイ中の話の成り行きで修得することになる(この場合は無料で入手できる)。どちらの場合も、成長時のパーク修得数として数える。

ここで一例を紹介する。

ワーウルフ(Werewolf)
★前提:筋力8+

ワーウルフは野獣へと姿を変える。故意に変身を引き起こすことが可能で(完全な手番一つが必要)、負傷を受けた時にフリーアクションで変身し、あるいは満月の間は自動的に変身する。これを元の姿に戻すには、野獣として殺す必要があり、これは自動的に堕落判定を意味する。殺しの対象は動物や敵でもいいが、その呪いごとに決まっているわけではない。元に戻るのは一瞬ではなく、ワーウルフはいつ変身するかを選べるが、それも堕落判定を引き起こす。

この呪いは攻撃によって伝染する。ワーウルフによって深手を負った者が生き延びると呪われると、伝承では語られているが、実際には殺されて呪いの力によって復活した特殊なケースの者だけである。実際は殺されたとしても、攻撃を生き延びたように見えるのだ。

アレルギー:銀の武器や弾丸はライカンスロープに+4ダメージ。さらに、銀による負傷は下記の再生の能力では癒されない。アレルギーはワーウルフが通常の姿でも野獣の姿でも適用される。

噛みつき/爪:野獣の姿でのみ、ワーウルフは噛みつき/爪による攻撃が可能で、筋力+2ダメージを与える。

再生:あらゆる負傷や損傷(injury)はシーンの最後に自動的に回復する、たとえ死んでいたとしても! 銀の武器による負傷だけは通常の速度で回復する。銀の武器による死は永久的な死となる。ワーウルフが瀕死(Defeated)になったあとに銀の武器でとどめをさされた場合も同様である。再生は、ワーウルフが通常の姿でも野獣の姿でも適用される。

野性:野獣の姿でいる間のみ、ワーウルフは筋力に+2ボーナスを得る。攻撃対象は敵と味方を含む。移動後に攻撃できる距離に攻撃対象がいるなら、ワーウルフは全力攻撃(All-Out Attack)を行わねばならず、攻撃できる距離に複数の攻撃対象がいるなら、誤射(Friendly Fire)のルールが接近戦に適用される。ワーウルフの移動力までの距離に攻撃対象がいるなら、攻撃対象の隣で移動を終えなければならないが、こうした制限の範囲において、望むように移動できる。

堕落判定に失敗すると、キャラクターは屈服し、完全な野獣となって決して元には戻れない。その野獣は呪いの感染源になるだろう!

ワーウルフは、単に呪われた種族の1つに過ぎない。コウモリ、虎、そして他の生き物もあり得る。


もう間もなく!

続く数週間、今度のオーロシュ製品版の様々な部分にハイライトを当てる予定で、それには新しいパーク、呪文、奇跡、そして脅威が含まれる。さらに、クラウドファンディング開始に向けて別の計画もある。このプレビューについて質問があるかディスカッションをしたければ、ユリシーズのdiscordサーバ(元記事参照)へどうぞ!

2020年11月24日 20:34

元記事
Orrorsh Preview #1 - One Year Later…

トーグエターニティの次のクラウドファンディング、すなわちオーロシュについてのプレビューをはじめるときが来た。いつも通り、プレビュー内容の大部分はまだ開発中のもので、最終版では異なるかもしれないことはお忘れなきよう。ともかく始めよう。

オーロシュのクラウドファンディング

オーロシュのクラウドファンディングが2021年1月26日に始まる予定だとお知らせできることは大変喜ばしい。またGameOnにおいて行われる予定で、数週間の内により詳しい情報をお届けできるだろう。さらに、今日始まったオーロシュのプレビューも、いくつかの他の要素をファンディング開始日に向けて紹介していく予定だ。

もったい付けるのは無しにして、オーロシュの話をしよう。

ポシビリティ戦争D+365(1年後)の状況

トーグエターニティのコアブックでは、戦争開始から3か月過ぎた時期の世界について記している。各コズム本ではその後9か月で起きた出来事が詳述される予定だ。ハイロードは忙しないが、デルファイ評議会は反攻を試みている。

オーロシュはゴシックホラーコズムで、コアアース侵略を計画した者、つまり忌まわしきゴーントマンの完全支配下にある。他のすべてのハイロードよりも、ゴーントマンはリアリティの働きを最も理解し、(もし真に理解できるなら)他者にはうらやむことしかできない程まで、自身のコズムを巧みに操っている。

オーロシュのアクシオム

現在のオーロシュのアクシオムは、ガイアのアクシオムをベースにしている。しかし、ヴィクトリア人たちはゴーントマン到来後に魔法と信仰のアクシオムが高まったことに気づいており、彼の領域は高い社会アクシオムと低い技術アクシオムを示している。ほとんどの人はこうした修正に気づいていないが、事実としてゴーントマンはそのリアリティをたやすく操作することが可能で、今また同じことが起こるのではないか、つまりオーロシュの社会・技術アクシオムがコアアース同党まで引き上げられることを、デルファイ評議会は恐れている。

オーロシュは、程よく高い魔法アクシオム(16)を持ち、オカルト儀式や闇の魔法呪文がよく理解されることなく利用できる。そして、誘惑にかられた実践者がより強力に、より聡明になるに十分だ……その魂を危険にさらすことによって。

オーロシュの社会アクシオムは中ほどの値である18だ。繰り返すが、十分に便利で(電報の発明はガイア全土に恐怖を拡散するカギとなった)、一方でコズムの怪物たちと戦うのに本当に十分な技術力はヴィクトリア人に許されていない。

オーロシュの世界法則

オーロシュの永劫堕落の法則(Law of Eternal Corruption)、恐怖の法則(Law of Fear)、忍耐の法則(Law of Perseverance)については、トーグエターニティコアブックに詳述されており、大きな変更はない。しかし、いくつかの説明と追加点が一つある。まず永劫堕落の法則は、虚(Void)から生じたもので、したがって普遍的なものだ。もしヒーローがオーロシュの闇の力によって堕落したなら、修得した堕落(Corruption)パークの対象であり続ける。次に忍耐の法則はゴーントマンの部下には適用されない。第3に、忍耐の法則は、オーロシュの怪物と戦うストームナイトたちに(文字通り)怖ろしい不利益を押し付けるものであり、誰かが尊い犠牲になることを心に決めた場合に限り、他者が逃げる事も許容する。オーロシュリアリティの影響下では、自己犠牲カードは共用の場札に置かれ(そして元々そのカードを持っていたプレイヤーは手札を1枚得る)、いつでも使用することができる(しかしポシビリティと交換はできない)。使用後も、そのカードは共用の場札に残る。(訳注:共用の場札/common poolについて詳しく書かれていないが、誰でも使える場札くらいの扱いなのかな?)

恐怖浄化の法則(Law of Catharsis)

この法則は、怪物やナイトメアに対する2つの対抗策のひとつである。恐怖はリアリティに満ちているだけであり、恐怖浄化の法則は一縷の望みとなるが、まさに勝利目前というときにしばしば打ち砕かれる。ストームナイトたちが調査によって情報を得るたび、情報を得た怪物の力を制限する。動機、歴史、行動パターン、望み、弱点といった重大な情報を得るたび、怪物が毎ラウンド回復できるポシビリティを1つ減らす。

そう、もうわかったよね(邪悪な笑み)。大したことない奴はわずかなポシビリティしか持っていないが、より強力な怪物やナイトメアは毎ラウンド5点かそれ以上のポシビリティを回復するのさ!

真の死の法則(Law of True Death)

それぞれの怪物は真の死、つまりそれを殺すことができる唯一の手段が定められており、他の方法で殺された場合、いずれ舞い戻ってオーロシュに出没するようになる。真の死はその怪物に関わる象徴的な重要性を持っているが、それを知るには、証拠や秘密を調査し、その生き物を理解しなければならない。

もし怪物が真の死によって殺されたら、それは(ダメージ軽減の試みの後で)残りのポシビリティを失い、自動的に生死判定(Defeat test)に失敗したものとして扱う。さもなければ、怪物は死ぬが、それは(回復するだろう)ポシビリティを得て、1幕が経過した後にオーロシュに再び出没する。

真の死の法則は、永劫堕落の法則に連なり、そのため(超自然の悪/supernatural evilとして)虚(Void)とも結びついており、従ってあらゆるコズムで適用される。

怪奇現象の法則(Law of the Uncanny)

オーロシュは身の毛のよだつような場所で、この法則は恐怖の法則に結び付いている。時に、この世界法則の影響はわかりにくい。(不気味な店主が、次に訪れた時には全く普通の人に置き換わっているなどのように)物事が説明なしに変化する。そうした人物は、自分はずっとそこにいたと主張するのだ。そのリアリティは、文字通りそして比喩的に、その両方でヒーローたちを困惑させる。時には場面が急に変わり、何が起きたか記憶のないまま時間が過ぎていることに気づくこともある。それはほとんど、コズムがリアリティそのものを制御できるかのようだ。

加えて、ストームナイトたちはオーロシュのアクシオム下では不可能なはずの技術的な物品や出来事に時折気づくだろう。特に、技術的な道具において最も明白に現れる。例えば、ビデオカセットレコーダーとテレビが、電気もないのに稼働しているように見えるなど。しかしこうした、魔法、技術、神聖な道具(holy item)の明確な働きはオーロシュにとって有利なようにしか機能せず、ヒーローのためでは全くないし、今機能していてもあとで機能しなくなるかもしれない。

もう間もなく!

続く数週間、今度のオーロシュ製品版の様々な部分にハイライトを当てる予定で、それには新しいパーク、呪文、奇跡、そして脅威が含まれる。さらに、クラウドファンディング開始に向けて別の計画もある。このプレビューについて質問があるかディスカッションをしたければ、ユリシーズのdiscordサーバ(元記事参照)へどうぞ!

2020年06月20日 13:46

元記事

今週は、サーコルドの魔法と呪文(あとサーコルドソースブックの表紙)を見ていこう!

トーグエタニティ・サーコルドのクラウドファンディングは、ゲームオンテーブルトップにて6/23〜7/14に開催予定だ。備えよう。

デーモン魔法(Demon Magic)

サーコルドゥがやってくるときに、彼ら自身の悪魔的な魔法を持ち込んだが、その知識の大部分はPandasmの間に失われた。魔法アクシオムが低下するにつれて、デーモンの学者たちは、彼らが利用するようになった先進的技術を増幅し、強化し、破壊しさえするような新たな呪文を作成し始めた。

こうした呪文の一部(特に創造呪文/conjuration spell)は、現在はサーコルドで矛盾するが、デーモン学者(Demon Scholar)のパークによりデーモン魔法の呪文リストに載っている呪文が選択可能で、それらは4ケース矛盾を1ケースとして扱う。

レイスの多くの侍祭と魔法使いは、デーモン魔法を冒涜的なものだと考えているが、この流派を学ぶことは、テクノデーモンの強さを使って彼らに対抗することだとみなすレイスの一団がいる。

ここでデーモン魔法の呪文リストと、インペイリング・リムの呪文を見てみよう。

呪文リストは割愛、元記事参照。

インペイリング・リム(突き刺しの腕/Impaling Limb)
アクシオム:13
技能:変成14
詠唱:1ラウンド
難易度:目標の意志力か精神力
範囲:接触
持続:1分

 インペイリング・リムはサーコルドの魔法アクシオムが高かった時期に作られた呪文で、現在はサーコルド内で使用すると矛盾する。
 この呪文は骨格かそれに類する身体構造を持つ目標にのみ使用でき、そうでなければ呪文は自動的に失敗する。さらに、自発的にこの呪文を受け入れる者か、術者に服従している者に対してのみ使用できる。
 インペイリング・リム呪文の行使に成功すると、呪文はその骨を破壊し、目標の片方の腕の肘から指先までの肉が剥がれる。そして腕は一時的に物騒な見た目の棘へと変形し、敵を刺し貫くために使用できる。
 このぞっとする過程は、目標に2ショックを与える。その腕は筋力+4のダメージとAP2を持つ有効な武器となる。攻撃には格闘技能を使う。
 呪文が終了すると、その腕は元に戻る。
成功レベル:
・よい:APは3に増加する。
・すごい:APは4に増加する。


解放の魔法(Free Magic)

レイスはかつて魔術を極め、そして実際に、やがては彼らの強力な主人となる者たちを儀式によって召喚した。サーコルドコズムの侵略からの避難民は、古き魔術を発見し、それを引き継ぐ学者たちはそうした呪文に、テクノデーモンや征服された世界由来の魔術を異なる目的で再利用してブレンドし、解放を目的とした魔術流派を作り上げた。

ここでは解放の魔法の呪文リストと、チリング・ダークネスの呪文を見てみよう。

呪文リストは割愛、元記事参照。

チリング・ダークネス(凍える闇/Chilling Darkness)
前提:ベータクリアランス、メイジ・ダーク呪文を覚えている
アクシオム:14
技能:創造14
詠唱:1アクション
難易度:目標の威嚇か精神力
範囲:半径25メートル、術者が中心
持続:1ラウンド

 冷たい陰が術者から広がり、術者を中心とした25メートルの範囲はすべて闇に覆われる。中にいる者、あるいは中へ攻撃する者は、暗闇(-4)ペナルティを受ける。闇の中で見ることができる能力や装備は、チリング・ダークネスの中にいる間は機能しない。
 さらに、闇の中にいる術者以外の全員は、圧倒的な恐怖の感情を覚える。彼らの手番の最初に、術者以外の各人は、恐怖判定(意志力か精神力)を行わなければならず、失敗するとすごい萎縮となる。
成功レべル:
・よい:その恐怖判定に-2ペナルティ。
・すごい:その恐怖判定に-4ペナルティ。


サーコルドの表紙絵!(元記事参照)

2020年06月17日 21:17

元記事

今週はサーコルドの前ハイロードのクラノッドと、次のハイロード「候補者(applicant)」の一人であり、かつてクラノッドの奴隷だったイェズラエルについて見ていこう。

トーグエタニティ・サーコルドのクラウドファンディングは、ゲームオンテーブルトップにて6/23〜7/14に開催予定だ。備えよう。

クラノッド

クラノッドはアルフ(Alph)のお気に入りだった。アルフとは、レイスとの最終戦争(Final War)終了時点におけるサーコルド最古のテクノデーモンである。クラノッドは、アルフの「お気に入りの」実験対象であり、主人の暗殺を長い事企てていたが邪魔された。他のデュークが手を下したのだ。暗殺を自分の手柄にしようとして失敗し、最終戦争の遺跡へ、大焦土(blasted lands)の中へ、どんなテクノデーモンも調べたことのない遠い場所へと逃げ込み、彼はダークネスデバイスのマルゲストを見つけ出した。

マルゲストはクラノッドを「主人」と呼び、クラノッドが戻ってきた時に、それを使って残りのデュークの半数を殺し、残りのデューク達は彼がサーコルドのプリンスを名乗ることを認めた。しかし、彼はアルフの野心や才気を持っておらず、クラノッドの統治の大部分が怠惰な者であることは明らかだった。クラノッドがようやく最初のコズムを侵略したのが200年後で、それはサーコルドの魔法アクシオム低下にマルゲストが気づいた時だけだった。

ゴーントマンがコアアース侵略に参加する機会をクラノッドに提供したとき、彼は(最初のコズム侵略から1世紀後に)2つ目のコズムを侵略していただけだった。(コアアース)侵略初期の大惨事、そして遅々として進まない彼のレルム拡大に、ついにマルゲストの堪忍袋の緒が切れ、他の者を探している。

(Λ)ハイロード・クラノッド
能力値、技能などの数値は省略、原文参照。
装備:Experimental Pulverizer(ダメージ20、射程20/40/80、小爆発範囲)、Endoskeltal Amor(アーマー+4)、Poison Detector
パーク:ダブルタップ(Double-Tap)、呪文使い(全呪文)(Sepllcaster)、トレードマーク武器(マルゲスト)(Trademark Weapon)、恨み深い(Vengeful)
ポシビリティ:10
特殊能力:
・噛みつき/爪:筋力+2/22ダメージ
・鎖:テクノデーモンは創造魔法(conjuration)で鎖を召喚し、50メートル以内の目標を攻撃できる(15ダメージ)。この攻撃ではつかみ(grapple)が可能。
・ディムスレッド:ハイロードは、瞬間移動で離脱したり、増援を呼び寄せるためにディムスレッドを使える。クラノッドはこの能力で、近くにテクノデーモンミニオンがいないラウンドにおいて、それを1〜3体呼び出せる。
・エネルギー引き出し:ポシビリティがなくなった時に1回、クラノッドは新たに10点のポシビリティをマルゲストから引き出せるが、代わりに爆裂の王笏とディムスレッドの能力を失う。
・恐怖:PCは毎ラウンド意志力/精神力の判定を行い、失敗するとすごい萎縮になる。
・ほくそ笑み:挑発か威嚇が推奨行動の時、クラノッドはPCの全員に、複数目標のペナルティを受けずに影響を及ぼす。そうした対人行為が成功したPCそれぞれの手札から、デスティニーカードをランダムに1枚ずつ奪う。
・飛行:空中では16メートルの速度。
・大型:クラノッドの身長はおよそ3メートル。彼への攻撃には+2ボーナス。
・従僕:テクノデーモンはリアリティ判定に成功すると、自分に命中した攻撃を数メートル距離にいる従僕に移すことができる。
・爆裂の王笏:爆裂は30ダメージ、AP10で、攻撃にはエネルギー兵器技能をを使用する。このダメージを軽減する難易度は、難しい(Hard DN14)となる。

このプレビューのページはまだ編集作業とプレイテストの途中で、最終版ではないことに注意。

イェズラエル

クラノッドがアルフのお気に入りだったように、イェズラエルはクラノッドのそれだった。彼の奴隷は奴隷囲い(slave pen)で生まれ、彼の他世界への戦役で戦った。彼が行う拷問も、移植するオカルテックも、クラノッドはどれも過剰にイェズラエルへと集中し、より物騒な存在が出来上がった。サーコルドのハイロードは、どこまで突っ込めば彼女が壊れるかを見るつもりであるかのように、それらを行っていた。彼女は決して壊れなかった。

そしてとうとう、彼女はクラノッドを殺した。

イェズラエルにはレイスの友人はいない。彼女は奴隷を無価値な生き物とみなし、サーコルドゥを嫌っているが、それに敬意を払う。クラノッドの死によって、彼女はサーコルドのハイロードになれると信じていたが、間違いだった。代わりにマルゲストは、真に支配する資格のある者を決めるために時間を使っている。

そうなるのは自分だと、イェズラエルは決意を固めている。

(β)イェズラエル
能力値、技能などの数値は省略、原文参照。
装備:Chod pinion boosters(移動+4)、Diffrac Exo-Armor(アーマー+3、エネルギー兵器に対して回避+3)、Experimental Adremal Surge(複数目標の最初の-4分のペナルティを無視)、Thav-9 SMG(ダメージ13、短バースト、射程20/40/60)、Digan Darksight Eye MK III(-6分の暗闇ペナルティを軽減)、Zan Slasher(筋力+2/16ダメージ、隠蔽)
パーク:頑健(Endurance)、タフガイ(Hard to Kill)、超能力(Psionic)(Energize、Mend、Pyrokinesis、Strangle)、護りを捨てた強打(Relentless)、トレードマーク武器(Zan Slasher)(Trademark Weapon)、疾風の戦士(Whirlwind)
ポシビリティ:10
特殊能力:
・恐るべき存在:イェズラエルがいる限り、スタンダードシーンは代わりにドラマチックシーンとなる。
・活性化:DN12の念動力技能判定に成功すると、3ラウンドの間、筋力と敏捷度を+1増強する。よい成功なら+2。
・目にも止まらぬ:イェズラエルはストームナイトたちの行動の前後に完全な手番を得る。そのため、遭遇ラインでヒーロー先行だった場合、まず彼女が行動してから、ヒーローたちが行動し、その後に彼女は通常の悪役側の手番を得る。悪役先攻だった場合、彼女は通常の悪役側の手番を行い、ヒーローたちの行動が終わった後にもう一度行動する。
・恐怖:イェズラエルが全速力で最初に移動したとき、衝撃と恐怖を引き起こす。意志力/精神力の判定を行い、失敗するとすごい萎縮になる。
・狡猾な悪漢:イェズラエルが推奨行動を成功したとき、対象の場札からデスティニーカードを1枚捨てる。彼女は頻繁に、Adremal Surgeによるペナルティ軽減を併用しつつTこの能力を使用する。
・発火能力:25メートル以内の対象の回避/敏捷度を難易度に念動力技能判定を行う。成功すると火による14ダメージ。
・締め付け:対象の意志力/精神力を難易度に念動力技能判定を行う。成功すると2ショックを与える。よい成功だと3ショック、すごい成功で4ショックと萎縮を与える。

このプレビューのページはまだ編集作業とプレイテストの途中で、最終版ではないことに注意。

2020年06月09日 20:51

元記事

今週は、サーコルドの「種族」を見ていこう。そう、レイス(Race)と野心家(Aspirant)だ。

レイス

数百年の戦いが、人間とは全く違う何かへとレイスを形作った。コズムの世界法則はどれもこれも、レイスの希望を食い物にしようとしているが、彼らは名誉、友情、愛といった概念すらまだ保持しており、それは彼らが戦っているデーモンにはなっていないという証明である。

レイスは名目上は人間だが、人間用のパークに自由にアクセスできないが、代わりに彼ら用の一揃えのパークにアクセスできる(それらのパークの1つは、人間用パークへのアクセスを与えるものだ)。他のレイス用パークには、「終わらない戦い(Eternal War)」というテクノデーモンへのダメージを増やすもの、「道への目覚め(Awakened to the Way)」というレイスに追加で3つの超能力パワーを与えるもの、そして「道の達人(Master of the Way)」というレイス超能力者があらゆるリストから超能力パワーを選べるものが含まれる。

Freeで育ったものは、Raised Freeのパークを修得できる。

Free育ち(Raised Free)
・前提:奴隷囲い育ち(Born in the Pens)パークを持っていないこと
 Freeの中で育った者は遅かれ早かれ、サーコルドゥ(訳注:テクノデーモン)と戦うときにレイスの仲間達と協力することの恩恵を教わる。
 協調行動(Combined Action)で援助するとき、ヒーローのさらなる努力(Extra Effort)の試みは高揚(Up)となる。協調行動(Combined Action)で主行動者になるとき、参加者の実効人数は2倍になる。


訳注:世界設定がまだ不明確ですが、RaceはPens(奴隷囲い)かFreeの育ちで、前者がテクノデーモンの奴隷、後者がそうではない状態を指すと仮定しています。詳細が分かれば修正します。

野心家(Aspirant)

サーコルドゥは生来の悪という言葉通りの存在で、サーコルドの魔法エネルギーから顕現する。現在まで、超越したすべてのサーコルドゥは破壊の道を選んだ。しかし、コアアースの希望の法則(Law of Hope)によるか、あるいはサーコルドの邪悪量保存の法則(Law of Conservation of Evil)によるのか、地球侵略以降、ごくまれでわずかなテクノデーモンは異なる道を選んでいる。そうしたテクノデーモンは野心家として知られる。

より善い道を選んだものの、彼らはまだ内なる闇と戦い続けており、そして他のサーコルドゥほど強力ではない。この「弱さ」は体格の小ささ(身長は「わずか」2メートル)として現れ、そして翼では本当に飛ぶことはできず、先天的な魔法行使能力を失う。しかし、野心家が能力を発揮するためには、高い魔法アクシオムにまだ依存している。ここに、野心家の種族能力と弱点を示す。

・噛みつき/爪:野心家は生得武器を持ち、格闘で攻撃するとき筋力+2ダメージを与える。
・魔法的生物:デーモンは魔法的生物であり、野心家においてもその本質は変わらない。魔法アクシオム12未満のコズムにいるとき、疲労(Fatigue)の効果により追加で1ショック受ける。
・増強:すべてのサーコルドゥは、顕現してから時間を置かず、オカルテックによって外科的増強を施される。野心家は5000ドルの価値のオカルテックを持ってプレイをはじめ、これにはパークは必要ない。この価値に余剰があれば、後々使用することができる。もしオカルテックのパークを取ったなら、それは通常通り10000ドル分を追加で与える。
・よそ者:変化したとはいえ、野心家はそれでもテクノデーモンだ。彼らは他の種族への説得(persuasion)に-4ペナルティを受ける。
・翼:野心家は、地面からの高さに等しい距離を滑空できるが、常に降下していく。さらに、野心家が意識を失っておらず翼が自由なら、落下ダメージを受けない。野心家は飛行速度10を持ち、これは彼らの敏捷度に依存しない。
・運命の拒絶:野心家は自身の邪悪な運命に抗っている。PCの野心家は、デスティニーカードの枚数が4枚ではなく3枚になる。


野心家のパーク

他の主要な種族と同様に、野心家も彼らの能力を強化する、大抵はハイロードの軍勢と戦うことを選んだときに失った何らかの能力を取り戻すような種族パークを選べる。こうしたパークには、魔法の鎖を呼び出す能力、追加のオカルテックを選べるもの、本当の飛行を得るもの、そして大型クリーチャーになるものが含まれる。さらに、自身のプライド(テクノデーモンの群れ)を率いることにまだ心惹かれている者もいる。

プライドの主(Pride Alpha)
・前提:野心家、ベータクリアランス、最低5レベルの威嚇(intimidation)
 野心家は「善き」生き物だが、彼は支配、獰猛さによって自身のプライドを率い、逆らうものすべてに苦痛を与える誘惑を感じている。古い慣習がこびりついているのだ。
 野心家は恐怖(Fear)の特殊能力を得て、敵が彼とその幕で最初に遭遇したとき、敵は精神力か意志力(willpower)で判定し、失敗するとすごい萎縮(very stymied)となる。


2020年06月02日 21:20

元記事

トーグエタニティの次のクラウドファンディングを始める時だ、そうサーコルドだ! いつも通り、プレビュー内容の多くはまだデベロップ中で、製品版は変わるかもしれないことはお忘れなく。じゃあ面倒な話はこれくらいにしよう。

ポシビリティ戦争365日目の状況

トーグエタニティのコアルールは、戦争開始から3か月目の終わりに基づいて書かれている。各コズムのソースブックは、そこから9か月で起きたことを詳述するつもりだ。ハイロードは活発だが、デルファイ評議会は反攻を試みている。

サーコルドは内戦のレルムだ。イェズラエル(Jezrael)がサーコルドのハイロードであるクラノッド(Kranod)を暗殺し、彼女はその地位を得られると考えていた。しかし、ダークネスデバイスのマルゲスト(Malghest)には別の計画があった。イェズラエルをハイロードとして受け入れるのではなく、他の2人の候補、すなわちデュークのスラッチェン(Thratchen)とロシア大統領ヴォルコフ(Volkov)と対立させて彼女の気概を試すことを望んだ。その要求は、レルムの拡大だった。それをうまくやり遂げ、最大の見込みポシビリティエネルギーを手にしたのが誰であれ、サーコルドの主人としての正当な地位を得るだろう。

サーコルドのアクシオム

サーコルドは、魔法アクシオムが低下しつつあるコズムで、デーモンの存在を完全に支えられない程ぐらついている。魔法アクシオムが11に落ちると、オーズのテクノデーモンすべてが破滅し、ポシビリティ能力者のデーモンでさえ事実上の死を迎えるだろう。この衰退は、テクノデーモン自身の行動の結果である。彼らは召喚呪文によってサーコルドにやってきて、細心の注意をもってその呪文を保持している……しかし同時に、その呪文の使用それ自体が脅威とみなされている。レイス(訳注:サーコルドの人類)による魔法の行使など、根絶やしにしなければならない。魔法アクシオム12になっても、創造魔法はまだ不可能だが、デーモンの魔法流派にはそうした呪文の知識が含まれている。オカルテックを扱うことにも魔法アクシオム12が必要だが、永続的な魔法の物品はそのアクシオムでは不可能で、高い技術アクシオムと魔法を結び付け、サイバネティックインプラントに力を与える。

オカルテック(Occultech)には技術アクシオム25が必要で、そしてこのアクシオムは多くのその他の先進的技術の存在を支えている。しかし、レルムは技術産物の存在を許可しているだけで、ある種の産物は非常にまれだ。レジャー、快適さ、便利さのための技術は、ほとんどの場合は珍しいものであり、最悪の場合は存在しない。

サーコルドにはかつて、数千年前に神々がいたが、デーモンが戦争に勝利しレイスを隷属させたことで、神々は力を失った。サーコルドには宗教的な信仰は残っておらず、レイスは魂と転生(Liberation、解放と呼ばれる)を信じているが、信仰的な力は実際には存在しない。

最後に、サーコルドは侵略レルムのすべての中で最高の社会アクシオムを持つが、そのアクシオムが持つ潜在力のごく一部しか達成されていない。魔法アクシオムの低下と同時に、社会アクシオムは向上した。これによってサーコルドゥ(訳注:テクノデーモンの事)はレイスと戦う能力を減じ、レイスの反乱を可能とする力、すなわち超能力(psionics)が強化されることになった。レイスの社会的団結はサーコルドの世界法則の影響を受けているが、社会アクシオムの高まりによってレイス社会の在り方も進歩している。テクノデーモンは高い社会アクシオムからあまり恩恵を受けていない。自身で超能力パワーを開発するテクノデーモンはいない(しかしある種のオカルテックでそれは可能になる)。彼らは超能力を理解せず、今はただテクノデーモンにとって超能力パワーがどの程度危険かを理解しているに過ぎない。

サーコルドの世界法則

サーコルドの支配の法則(Law of Domination)、苦痛の法則(Law of Pain)、蛮行の法則(Law of Ferocity)はトーグエタニティコアブックに詳述されている。しかし、他のリアリティと同様に、サーコルドにもマイナー世界法則がいくつかある。

邪悪量保存の法則(Law of Conservation of Evil)

邪悪は一定量存在する。傷つけ苦しめようとする行為や考えは邪悪を生むが、救済と寛大さによってのみ、邪悪は減少する。どちらもサーコルドでは足りないものだ。しかし、最近の他コズムへ、そして現在のコアアースへの侵略は、ホームコズムの邪悪を薄めた。デーモンたちは他の世界で邪悪を成し、そこで滅ぼされるものもいる。侵略されたコズムはもっと闇に飲まれる一方で、サーコルドの邪悪は同じ量だけ減少する。結果として、自身の生来の邪悪側面と対決することを選んだテクノデーモンの野心家(Aspirants)を生み出した!

皮肉の法則(Law of Cynicism)

マーフィーの法則が世界法則になった……物事はスムーズにはいかない。これは自分たちの状況を変えようとすることに、市民を無関心にもする。ギャング、指導者、テクノデーモンの犠牲になったとしても、それは大したことではないのだ。侵略前からこの世界法則は効果を発揮してた、みたいに言うロシア人もいる。さらに、ヴォルコフ体制が解消するまでロシアのスティリーを撤去できないと国連は宣言している一方で、偉業(Glory)の物語はサーコルドではゆっくりとしか伝播しない。

憑依の法則(Law of Haunts)

信仰アクシオムが低すぎて霊や幽霊が顕現できないが、世界法則の結果として霊は顕現する。大焦土(Blasted Land)の荒廃した場所、特に何千、何百万の死者が出た無人の街は恐ろしい。壁が倒れてくるとしたら、誰かがその下で休んでいるときだけだ。

もう間もなく!

数週間後、今度のサーコルド製品版の違う部分を取り上げるだろう。それには、超能力、オカルテック、呪文、レイスや野心家の詳細を含む。何か質問があれば、あるいはプレビューについて議論したければ、コメントを!

2019年11月24日 14:57

元記事

ハッピーハロウィン! 今日はめちゃくちゃ気味の悪い脅威、特にサイバー教皇領のゴスポグに重点を置いて見ていこう!

サイバー教皇領のゴスポグ

最初、サイバー教皇マルローはゴーントマンからの贈り物であるゴスポグの種を、悪魔からの贈り物だと考えて拒否した。しかしエベンスローの助言によってほだされ、こうした不浄なクリーチャーは民衆の団結を強固にするために、そして彼の教えが真実だと、恐怖を通じて証明するために使える、と正当化した。さらにゴスポグは、地下トンネルや地下墓地を使って教会から逃れようとするレジスタンスを処理するための、素晴らしい使い捨て兵士となる。

マルローは、ゴスポグを兵士や労働力としては使用しない。どちらにも民衆を潤沢に供給できるからだ。その代わりにカバル(Cabal)に対しては、偽旗作戦(身分を偽った軍事行動)の一部にゴスポグを使うよう指示している。ゴスポグは作られ、罪なき民衆の恐怖を掻き立てるために使われ、教会警察が彼らを救うのだ。その結果、民衆は感謝感激という寸法だ。

サイバー教皇領の世代の進んだゴスポグは、黙示録の四騎士、すなわち、疫病(第2世代)、戦争(第3)、飢饉(第4)、死(第5)を元にしている。

第4世代ゴスポグ

少なくとも民衆にとって、第4世代ゴスポグは、目撃されるよりは噂で耳にすることが多い。ある地域にそれが現れた最初の兆候は、作物が急に腐り、犬、鳥、家畜といった動物が姿を消すことだ。数日以内に、人々が姿を消し始める。7日目の終わりには、十分に「信心深くない」地域住民たちが、数か月を超えて飢餓状態だったかのように痩せ衰え、ベッドで死んでいるのが見つかる。

こうしたゴスポグは、目と耳以外が黒曜石の肌をした人型をしてるが、巨大な口には鋭い歯がびっしり生えている。闇の中で彼らを見つけることはとても難しく、その大きな口のわりには静かである。

能力値などは割愛、元記事参照

特殊能力
・噛みつき:ダメージは筋力+3(13)
・闇の外套:闇の中にいる限り、ゴスポグの耐久力は闇による視覚ペナルティの値に等しいボーナスを受ける。
・影のクリーチャー:何らかの闇の中にいる第4世代ゴスポグを見つける判定は、不得意(disfavered)となる。(訳注:disfavoredはアイルソースブックで導入された新しい状態で、「判定時に1回目の振り足しを失う。得意判定とは互いに打ち消しあう。」)。
・恐るべき存在:第4世代ゴスポグがスタンダードシーンに存在する限り、それはドラマチックシーンとなる。
・恐怖(-2):第4世代ゴスポグにその幕で最初に遭遇したとき、意志力か精神力で-2ペナルティをつけて判定し、失敗するとすごい萎縮となる。
・精神なし:ゴスポグには威嚇や挑発の対人行為が効かない。
・貪欲なるオーラ:これらの残忍なクリーチャーは、近くの生きているクリーチャーを貪欲な飢餓状態にする。第4世代ゴスポグに出会ったクリーチャーは、萎縮になり、隙ありとなる。
執拗:ゴスポグにはショックダメージは効果がない。
アンデッド:ゴスポグには、毒や、呼吸、食事、その他の「生命」機能が必要なその他の効果が効かない。


クリーチャー

いくつかのクリーチャー、つまりヘルハウンド、サイゴイル、ブースタードッグについても詳述されている。

ブースタードッグ

ブースタードッグはサイバネティクスで強化された犬で、教会は施設警備に使っている。「神の怒り」から逃れようとする者を追跡したり、信者の列整理のために、異端審問官も使用している。ブースタードッグは、意図された役割に応じて、その装備の費用は様々だ。

能力値などは割愛、元記事参照

特殊能力
・サイバー牙:ダメージは筋力+3(10)
・アーマー:ハロウメッシュ+3
・サイバーウェアパッケージ
 ・守衛犬:センサーパッケージ
 ・攻撃犬:Compte's Stabiliza、CSI LtFilta、Compte Adrenal Booster、TSE Clamp
 ・追跡犬:Belleview 20-20、TSE Sniffer、TSE Bloodhound
・群れ戦術:複数のブースタードッグが1体の目標を攻撃するとき、協調攻撃によるボーナスは、ダメージにも適用される。


人間

最後に、教会の多数のエージェント、すなわち異端審問官、バベルモニター、ジャックイン司祭などが載っている。

ジャックイン司祭

ジャックイン司祭は、ゴッドネット内で教会に仕える訓練を受けた、低い階位のサイバー司祭である。彼らの主な仕事は、マウンテンにおける敬虔な民衆に対する説法や伝道、そこの構造物の維持、そしてストームナイトにより意味があるのは、ノダー(ハッカー)たちを処置する前線戦力としての役割である。ジャックイン司祭はバベルセントラルからゴッドネットの教区を監視し、異常を探し、侵入に気づいた時はジャックイン司祭の分隊がその処置のために派遣される。戦闘においては、ペニテンスIVサイバーデッキからプログラムを使用して、武器や鎧を具現化する。

ジャックイン司祭はゴッドネット内でのみ仕えているが、そこで生活そしているわけではない。ジャックイン司祭のほとんどは、実際の肉体はアヴィニョンにあるが、サイバー教皇領全土、主に街々に小集団もいる。

ジャックイン司祭のうちでポシビリティ能力者だけが、衛兵(Sentinel)としての訓練を受け、聖骨箱(サーバー)の守備に就いており、鬱陶しいノダーを追い払い、異端の知識を守っている。

能力値などは割愛、元記事参照

特殊能力
・アーマー:ホーリーアーマー+3
・聖なる盾:中型の盾として機能し、回避と白兵戦防御値に+2
・聖なる剣:ダメージは筋力+4(11)
・聖なる炎:ダメージ15、射程100m、エネルギー兵器技能で使用。
・ペニテンスIV:ジャックプリーストはフリーアクションで、アーマーや武器を具現化したり切り替えたりできる。
・衛兵:聖骨箱ににいる間、あらゆる判定は得意判定となり、衛兵はすべての防御値に+2ボーナスを得る。
・ポシビリティ能力者のジャックイン司祭は、ノダーの肉体に致傷ダメージを与えることができる。


2019年11月06日 23:00

元記事

今週は、サイバー教皇領全体を覆うバーチャルリアリティネットワークである、ゴッドネットについて初めて紹介しよう。

ここに、ゴッドネットの概要を述べた、本の序盤のサンプルページを紹介する。

ゴッドネット

 ゴッドネットは単なる巨大な技術的ネットワークではない。その本質はまさに、霊的なエネルギーと信仰心により強い影響を受けており、ゴッドネットにログインすることは単に接続するということではなく、その場にいる、と多くの人たちは考えている。つまり、パリにいたいと思った人は、間違いなくそこに旅することになるのだ。身体は動きなく座ったり横たわったりしているが、その人の魂はゴッドネットの中に本当に存在しているのだ。
 魔法は、ゴッドネットの中でも強力な力であり、これはつまり、教会がゴッドネットを完全に支配するのを食い止められる唯一のものだということだ。
 ゴッドネットは少なくともある程度はエベンスローの拡張部分ではあるが、エベンスローはその完全な支配を握っていない。ハッカーが独立して存在し行動するために使える「隙」となっているが、非常に危険な行為である。ゴッドネット内で死ねば、魂はきみの身体に戻れないが、もっと何か、もっと悪いことが..。

ゴッドネットの物理現象

 ほとんどの目的において、ゴッドネットは現実の場所であり、物理現象は我々の世界とほぼ同じように機能する。人は歩ける。地球の重力下と同じ速度で物は落下する。物体の見た目、音、感触、におい、味は、肉体の中にいるときと同じだ。「現実の生活」での物理現象と類似しているにもかかわらず、そのルールを曲げられる人たちもいる。ほとんどは空を飛べないが、高い敬虔度スコア(Piety Score)を持つ者には、祝福として天使の羽根で飛ぶ能力が授けられるし、教会での地位を持つ者のほとんどは、通常の移動速度で飛行できる。適切なプログラムを持つデッカー、十分に敬虔なサイバー司祭、そしてサイバー魔女は、飛行、瞬間移動、周囲の環境の操作といった形で、ルールを逸脱することができる。
 サイバーデッキとテンプトロード(TempTrode、旧版と同じならヘッドアップディスプレイタイプのアクセス端末)のどちらによってもゴッドネットへ完全にアクセス可能だが、神経ジャックを使うとすべてがより真に迫り現実のように感じられる。しかしこれは、君が正式承認されたジャックを使っているならである。ハッキング(ゴッドネットからの監視を回避する処置)したテンプトロードやジャックを使っていないなら、見ている物が本当にその物なのか、確信が持つことはできない。これは教会が、幻影を完璧に作り人の知覚を微調整する能力を有しているからである。正式承認された機器は、ゴッドネットにアクセスしているときには、実質的に「全てがバラ色に見えるガラス」なのである。

霊的交信

 信者がゴッドネットと接続するとき、地域の聖なる交換機すなわち教区内の教会の中で実体化する。教会は肉体に繋がる道として機能する。ゴッドネットに到着するとき、天国の聖歌隊の歌に迎えられ、神に祈る者に法悦(Ecstasy)を与える。これは肉体の中にいては簡単には経験できない宗教的体験である。この体験は脳の快楽中枢を直接刺激し、文字通りの中毒を引き起こす。最初にこれを体験した者は、ゴッドネットに戻って存分に味わう特権を持ち続けるために、できる限り何でもせざるをえない。
 ゴッドネット内での交信を終えて肉体に戻るには、信者は地域の教会コンストラクト(construct、ゴッドネット内の構造物)に行き、祭壇の前で跪き、そして自分の肉体に戻るよう祈る。
 ゴッドネットは、少なくとも表面的には、非常に快適である。いつでもオルガンの音楽や聖歌隊の歌が、地方の教区のどこででも聞こえてくる。腐敗、老化、汚れはゴッドネット内では目につかず、つまり「きれい好きは敬神に次ぐ美徳」である。ほぼいつでも、ゴッドネット内では太陽が輝いている。

 一般市民にとって、ゴッドネットは買い物、交流、特に崇拝という生活を楽しむ場所である。疑惑の法則は肉体ある人々の関係を腐敗させる。しかし人々がゴッドネットにログインすると、敬虔度スコアは頭上のアイコンになり誰にでも見ることが可能である。この単純な身分証明と(それが嘘であっても)データを追加することで、人々は少しリラックスし、社交的になり、くつろぐことができる。
 こうした透明性は、マウンテンにおいて特に効果がある。表示された敬虔度スコアにより、真なる神は人々を、そしてその集団の一部を恐れていることを万人に知らしめた。ここで人々は、風味豊かな食べ物と飲み物、そしてオープンテラスで天国からの光で日光浴するといったささやかなぜいたくでさえ満喫し、笑い、ほほえんでいる。

ゴッドネットの領域

ゴッドネットには3つの異なる領域がある。約束の地(The Promised Land)は、サイバー教皇領の上に存在する広大な領域であり、しかもゴッドネットのエンティティが「肉体」として組み込まれており、ネットワークにジャックインした人々はゴッドネットの外に立体映像や輪郭だけの光などの姿でとして実体化できる。その他2つの領域、マウンテンと夢の国については以下にまとめてある。

マウンテン(THE MOUNTAIN)

 ジャックインしていないときでさえ、人々はゴッドネットの真に奇跡的な壮大さを体験している。サイバー教皇領の立体映像は周辺環境の見た目さえ変化させ、肉体にいてもゴッドネットを見る。
 地上に戻ると、地域の教会や大聖堂の尖塔から、巨大な立体映像、すなわちそびえたつ電子回路に覆われた山に向けて、黄色い光が発せられている。その光は地域の聖なる交換機からのデータ経路である。交換機は、路傍や庭の祠、家、教会にあるそれぞれ個別の接続回線のすべてを、マウンテンの第一層に繋げる、中央ルーターである。
 マウンテンは、それを見る人がどこにいようと、サイバー教皇領のどこからでも見え、地球上のあらゆる山の倍の途方もない高さで、ぼんやりと見える。山の頂上には巨大な大聖堂が建っており、膨大な電子回路に覆われた黒い十字架が掲げられている。十字架は空に向けて白い光を放ち、その先には巨大な輝く白い球体、すなわち第一天(the First Sphere of Heaven)がある。
 マウンテンと天の球体は、ゴッドネットをヴァーチャルに表したもので、何故苦労を背負い、教会に従うのかをいつでも思い起こさせるため、民衆に肉体に伝えているのだ。十分に敬虔な者だけが、マウンテンに登り、さらに天国へ上ることが可能である。

夢の国(THE LAND OF NOD)

 教会がゴッドネットをしっかり掌握しているにもかかわらず、その影響力が全く及ばない場所がある。夢の国は、約束の地の外側にあるゴッドネットの領域で、グリッチストーム(glitchstorm)、グリッチレイス(glitchwraith)、破門者(excommunicated)の住処である。しかし、そこを探検しようとする機会も提供し、そこで見つけるべき発見があり、教会から隠された領域がVRリアリティの中にまだ残っている。

2019年11月04日 17:12

元記事

今週かけてわずかな変更をおこなっており、サイバー教皇領ソースブックのイントロダクションの挿話を紹介する。

ようこそサイバー教皇領へ

「何かおかしいわ。」
 無秩序に広がるマドリード市における教会警察の巡回についての有益な情報を抽出しようとデータ端末をいじっていたクロエは、視線を上げた。彼女は背負った盾の位置が気になっていたので、それを直し、「私もそう思う」と答えた。
 彼らの思索は足元のうめき声に邪魔された。サイバーウィッチのヴィオラは、コンピュータに立てかけられていた暴徒鎮圧棒(riot stick)をつかむと、それで足元に倒れているジャックイン司祭に電気ショックを与えた。
「このデータが、なんであんなにしっかりロックがかかっているのかはわからない。簡単に入手できた先週のに比べると、あまりにも。」クロエは鬱憤を吐き出すように言い、一歩退いた。青銅の鎧が彼女の胴体、脚、腕を覆い、兜には羽根飾りがついている。それは重装歩兵か、さもなくば女神のようだ。しかし、彼女は歩兵より神のようにずっと堂々としており、まさにギリシャ神話の戦いと智慧の女神アテナのようだ。
 聖なる交換機(Holy Exchange)の外装の窓を見ながら、「警戒レベルは間違いなく上がったわ」とヴィオラは釘をさした。一般市民以外は何もいないようだが、何も知らないサイバー教皇領市民たちは、ビルの屋上に腰掛ける多数のサイゴイル(cygoyle)の監視の目の下をあちこちと歩き回っている。
 クロエが左手を上げると、そこに立体映像の操作パネルが現れた。軽くそれを叩くと、頭を振った。「あなたの言うとおり、警戒レベルは上がってる。でもそれしかできないとは思わないわ。」
 他のゴッドネットの聖なる交換機からメッセージがあり、クロエのヘッドアップディスプレイから通知音が鳴る。それに気づくとクロエが小さな画面を開くと、サイバー司祭かつストームナイトのダミアン神父からだった。
「ダミアン! アストルも!」と、ダミアンの後ろで心配そうなパンクロッカーを見て、クロエは驚いて声を上げた。「リオにいたんじゃ?」
 司祭は気落ちした声で言った。「私たちは、いや私は座標を送る。できれば、会いに来て欲しい。」クロエは場所を確認し、返事をした。「ねぇ、これは無効な住所なんだけど分かってる?」
「違う。今はもう無効じゃない。」とダミアンは答えた。
 クロエは困惑した顔でヴィオラを見る。ヴィオラの顔は、理解していると言わんばかりに見える。「出かけないと、今すぐに」ヴィオラは出口に向かって走った。
 「なんで急ぐの?どこへ行くの?」クロエはドアの前のヴィオラに尋ねた。「変化するためのチャンスを頂戴。彼らは気づいた!」
 ヴィオラは立ち止まり「時間がないわ」と言うと、大通りに走り出した。太陽が彼女を照らし、神聖な装いに姿を変えた。急にサイゴイルの頭が向きを変え、植木鉢の前で立ち止まったヴィオラに狙いを定めた。キーキーと鳴き声を上げると、翼を拡げ彼女に向けて滑空した。
 ヴィオラが手で複雑な動作を行い、まじないの言葉をつぶやくと、クロエの血管は恐怖で脈打った。植えられた花が成長し始めた。サイゴイルは爪の生えた手を突き出したが、それがサイバー魔女に当たる直前に、胸を槍が貫いていることに気づき驚いた。そのサイバー化したクリーチャーはヴィオラの近くの木に衝突した。ヴィオラは気を散らさずベストを尽くした。もう2体のサイゴイルが騒ぎに気付き、飛び立った。
「急がなきゃ」とクロエは注意を発した。
 鉢植えが光を放って爆発し、「今のうちよ!」とヴィオラが叫んだ。クロエが手を伸ばし触れると、鉢植えも何もかもが消滅した。
 気づくと既に、彼女は別の聖なる交換機にいた。公然と、隠されずに。数秒後、ヴィオラが彼女の隣で実体化した。クロエはゴッドミーター拳銃を抜き、身構えを取った後で気づいた。他には誰もいない。
 大通りには人がいなかった。建物はありきたりな石製で、立体映像の使われている部分とそうでない部分がある。ひとっこひとり見当たらない。ヴィオラはクロエに対し、ついて来るように指示して辻堂(wayside shrine)へと歩き出した。「立体映像よ」とヴィオラはサイバーデッキを操作しながら言った。
 クロエはまだ困惑していて、素直に付き従った。彼女は自分の感覚が広がって辻堂の中に入って、ヴィオラの隣にいるように感じていた。2人のデッカーは、実体のある立体映像で肉体を作り出した。雨が降っていて、雨粒がクロエの立体映像の身体に当たって跳ねた。
 暗い。遠くに稲妻が光り、それは奇妙なことに赤色と青色だった。彼女は周囲を見回し、ブラジルのリオデジャネイロにいることを自覚した。ブラジル人たちが周囲を歩き、多くはぼーっとしており、地面に座り込む者もおり、さもなければ祈りながら空を見上げ手を伸ばしていた。
 コルコバードの丘の頂上を見上げると、超常的に雲が分かれ、白い光が天上から降り注いでいた。降り注ぐ光の側を飛ぶヘリコプターのライトが明滅し、それは丘の頂上に着陸しようとしていた。
 クロエは、電器店だったと思われる場所に積み上げられたテレビの画面を見るダミアンとアストルを見つけた。ダミアンは祈り、アストルは逆立った髪を手で整えながら、フランス語で下品な罵声をつぶやいていた。テレビは、周回するヘリコプターの一つからの動画映像を映していた。ナレーターはポルトガル語で話していたが、彼がおびえているとクロエにはわかった。テレビは丘のクローズアップ映像を映し、かつて立っていたコルコバードのキリスト像が、台座だけになっていた。
 クロエは目にしたものに動揺し、うつむいているヴィオラの方を向き、尋ねた。「どうやったらこんなことができるの?」
 そしてようやく腑に落ちた。彼女は立体映像だ。リオデジャネイロにいる。ブラジルの首都は依然としてコアアースなのだから、そんなことは不可能だ。クロエは、遠くの丘の頂上を見上げ、恐怖がバーチャルな骨格に染み込んでくるのを感じた。
 衝撃的な出来事が彼女を打ち据えた。街の建物の上空に、立体映像が映し出されているのに気づいのだ。周囲のあらゆる電子機器もハイテクノロジーの特徴を持っていることにも気づいた。彼女の見上げたコルコバードの丘の頂上、そこはメールシュトロームブリッジの降りた基点だったのだ。
 丘の頂上に瞬く光を見た。積み上げられたテレビの画面を見ると、台座はもはや空席ではなかった。4階建ての高さ立体映像、そうサイバー教皇マルローだ。
 彼の声は不思議なことに街全体に届き、こう告げた。「私は来た。汝らを救うために。」
 クロエとヴィオラの目と目があった。「これであらゆるものが変わるわ」サイバーウィッチは悲し気な声で言った。

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