1: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:11:01 ID:FzepuWDVh

モニターには大きな時計が映し出されている

大きな針が12時を指し

小さな針が10時を指した

時計は午後22時ぴったしに

そしてステージ中央から

暗闇を裂いて現れる



転載元:http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1403709061/l50




2: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:11:36 ID:qTkXl9lyC


司「レディースアンジェントルメーェン」

司「今夜も生放送でお送りします」

相変わらず割れんばかりの拍手

観客席からは黄色い声援



3: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:12:06 ID:qTkXl9lyC


司「ほらほら、もっと拍手してよ」

司「盛り上がってくれた分だけ僕のマネーになるんだから」

カメラは笑う観客を何人か映し出す



4: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:12:57 ID:qTkXl9lyC


スポットライトは相変わらず中央にある

礼儀正しくお辞儀を繰り返す司会者

拍手が鳴り止むや否やトークが始まる

司「それにしても驚いたね」

先ほど放送されていた10分間のニュース番組

それに取り上げられた事件について話し出した



5: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:13:59 ID:qTkXl9lyC


司「世の中物騒だよね」

司「まっ、金があれば安全は買えるんだけど」

観客席からはブーイング

司会者は宥めながら一言

司「だって僕売れっ子だもん」

過激な発言が人気を博している



9: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:16:30 ID:qTkXl9lyC


スタッフが大きく腕を回して観客を煽る

司「さあさあ、盛り上がってまいりました」



10: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:17:18 ID:qTkXl9lyC


司「今週も始まりまーす」

いつもと同じように大きな横断幕がステージに落とされる

カメラは司会者でなくタイトルを映し出す


【世界の○○者に密着】



11: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:18:06 ID:qTkXl9lyC


いつの間にか用意されている赤いソファー

足を組み座る司会者

手には紙が一枚

司「さて、今日の○○者は……」

ここから暫く黙る司会者



12: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:18:54 ID:qTkXl9lyC


観客からは早く紹介してと催促が

いつもと変わらない流れである

司「ちょっとがっつき過ぎじゃなーい?」

そしてお決まりのジョークを一つや二つ交える

これもお決まりである

カメラは尚も司会者を捉えている



13: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:19:17 ID:qTkXl9lyC


司「今回の方は【仮屋町たかし(仮名)】さん」

司「年齢は17歳の高校二年生です」

司「いやー、若いね」

またもや観客席から声をかけられる

カメラはその声の先を映し出す



14: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:19:43 ID:qTkXl9lyC


司「25歳はもうおじいちゃんだって」

司「僕より年上の人どうなるんだって?」

司「それは生きた化石じゃん」

爆発音のよつな笑い声がスタジオを包む

司会者は満更でもない顔で微笑む



15: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:21:27 ID:qTkXl9lyC


司「通称【かくれんぼ男】だそうです」

子供の頃一度はした遊び

かくれんぼ

鬼が一人

隠れる子は数人



16: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:21:52 ID:qTkXl9lyC


司「かくれんぼは楽しいよね、自由だし」

司「だって飽きて帰ってもバレないじゃない」

また笑い声が起きる



17: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:22:21 ID:qTkXl9lyC


司「さあ、そんな彼の1日を見てみましょう」

スタジオは徐々に暗くなり

モニターにぼんやりと映し出された

黒い背景に白い文字




【かくれんぼ男】







18: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:26:04 ID:qTkXl9lyC



━━━━私たちスタッフはある部屋にいる

男「いやぁ、緊張っすね」

━━━━彼が今日の主役である

男「そんな改めて言わなくてもいいじゃないっすか」
 



19: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:26:33 ID:qTkXl9lyC


━━━━改めてここは?

男「また言うんっすか?ここは俺の部屋です」

━━━━随分と何というか………

男「狭いっしょ」

━━━━えぇ、正直狭すぎます

男「ですよね、でもだから良いんっすよ」



20: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:27:15 ID:qTkXl9lyC


━━━━と、言いますと?

男「安心するんっすよね、なんか守られてる感っつうか」

━━━━まだ若いので外に出たりは?

男「いやー、しないっすね」

男「だいたい高校すら随分行ってないっすね」



21: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:29:27 ID:qTkXl9lyC


━━━━いつから行ってないんですか?

男「んー、一年の二学期辺りだったかな?」

男「まあ、それ以来ずっと一人ですね」



23: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:29:48 ID:qTkXl9lyC


━━━━ご両親は心配されてないんですか?

男「ご両親っても隣の部屋にいてるんで」

男「朝起きたら挨拶するし、ご飯も一緒に食べてるんでね」

男「まあ、ずっと部屋に籠もってるわけでもないんっすよ」

男「だかや親もそんな心配してないんじゃないかな?」



25: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:30:35 ID:qTkXl9lyC


━━━━しかし、学校に行かないというのは……

男「ダメなんっすかね?」



26: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:31:01 ID:qTkXl9lyC


━━━━ダメだと世間的にはなってますが?

男「どんな理由があっても?」 

男「辞めずに在籍だけはしてるんで行きたいって意志はあるんっすよ」

男「まあ、最近はそう考える事も無くなってきましたけど」 



27: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:31:28 ID:qTkXl9lyC


━━━━何故この狭い部屋にいてるんですか?

━━━━そして、何故学校に行かないんですか?

━━━━すいません、連続での質問になってしまいました

男「いや、いいんっすよ」

男「そこに疑問持つのは普通なんっすから」

男「せっかく楽しい番組に出てるのに暗い話になるんっすけどいいっすか?」



29: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:32:34 ID:qTkXl9lyC


━━━━ええ、構いません。お願いします

男「まあ、言わば引き籠もりだって事は結論的に出てるんっすよ」

男「だってね、学校にも行かないわけなんで」

男「そうなった理由も在り来たりなんっすよ」



30: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:32:55 ID:qTkXl9lyC


男「なんっうか、人間恐怖症的な?」

男「まあ、自分でも笑っちゃうんっすけどね」 



33: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:36:30 ID:qTkXl9lyC


━━━━何かそうなる理由があったんですか?

男「いやっ、それがないんっすよ」

━━━━じゃあ、何故この様な生活を?

男「人間って怖くないっすか?」

男「何を考えてるかわかんないっつうか。」

男「それに……」



34: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:39:57 ID:qTkXl9lyC


━━━━それに?

男「仲良かった連れがいるんっすよ」 

男「幼稚園が一緒で小学校の低学年まで一緒だったんっすけど」



35: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:40:39 ID:qTkXl9lyC


━━━━高学年では仲良くなかった?

男「いやいや、仲良かったと思いますよ?」

男「まあ、連れが転校さえしなかればね」

男「一番仲良かった奴が急にいなくなるって辛かったんっすよ」

男「でも、高校入った時に奇跡が起きたんっすよ」



36: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:41:00 ID:qTkXl9lyC


━━━━奇跡?

男「大した事じゃないんっすけど」

男「その連れも地元に帰ってきてて同じ高校に入学してたんっすよ」

男「それ知ったのも入学してから随分と経ってたんっすけどね」



38: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:41:27 ID:qTkXl9lyC


━━━━なら学校に行くべきなのでは?

男「そうなっちゃいますよね」

男「でも、怖いんっすよ」



39: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:41:54 ID:qTkXl9lyC


━━━━何が怖いんですか?

男「もし、覚えてなかったらとか考えるんっすよね」

━━━━なるほど、仲良かっただけ余計に考えるわけですね

男「そうっすね、そう考えるともうパニックすよ」



40: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:42:16 ID:qTkXl9lyC


━━━━そう彼は笑っている

━━━━見た目は爽やかな青年であり

━━━━外を歩けば青春を謳歌しているようにも見える

━━━━だが誰しもがあるように彼にも闇がある



41: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:42:41 ID:qTkXl9lyC


男「そうだ」

男「ちょっとスタッフさん足元失礼しますよ」

━━━━すいません、何かあるんですか?

男「その仲良かった奴との思い出の品をね」

男「今も大切にしてるんっすよ」



42: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:43:02 ID:qTkXl9lyC


━━━━思い出ですか

男「なんだかね、捨てられないんっすよね」

男「あったあった、これっす」



43: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:43:29 ID:qTkXl9lyC


━━━━サッカーボールのキーホルダーですか、ね?

男「正解っす、こんな汚れてたらわかんないって思ってたんっすけど」

男「これお揃いなんっすよ」



44: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:45:04 ID:qTkXl9lyC


━━━━サッカー習ってたんですか?

男「いや、そんなことはないんっすよ」

男「なんかたまたまW杯の年で」

男「流行ってたから互いに少ないばかりのお小遣いを出し合って買ったんっすよ」



45: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:45:04 ID:qTkXl9lyC


━━━━サッカー習ってたんですか?

男「いや、そんなことはないんっすよ」

男「なんかたまたまW杯の年で」

男「流行ってたから互いに少ないばかりのお小遣いを出し合って買ったんっすよ」



46: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:45:04 ID:qTkXl9lyC


━━━━サッカー習ってたんですか?

男「いや、そんなことはないんっすよ」

男「なんかたまたまW杯の年で」

男「流行ってたから互いに少ないばかりのお小遣いを出し合って買ったんっすよ」



47: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:45:53 ID:qTkXl9lyC

 
━━━━なるほど、それは思い出ですね

男「でしょ?」

男「でも、だから怖いんっすよね」

男「もし、とか考えるんっすよ」



48: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:46:19 ID:qTkXl9lyC


━━━━あまり深く考える事はないのでは?

男「そうっすか?」

男「でも、だめっすねー」

男「考えないことを考えると」

男「何か違うイヤな考えが浮かんできて」

男「この部屋から益々でれなくなるんっすよね」



49: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:46:41 ID:qTkXl9lyC


━━━━私たちスタッフは無理強いはしないませんので安心してください

男「まじっすか」

男「今まで来た人は無理矢理外に連れ出そうとしてたんっすよ」

男「まあ、別に外はでれるんっすけどね」



50: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:47:04 ID:qTkXl9lyC


━━━━そうなんですか?

男「まあ、人に会わなきゃなんとでもなりますよ」

━━━━私たちスタッフは大丈夫なんですか?

男「ああ、なんつうか、同年代じゃなきゃ大丈夫っすね、多分」



51: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:47:30 ID:qTkXl9lyC


━━━━ケラケラ笑う彼は本当に何も変わらない青年であった

【BGM】

映像は終わり再びスタジオへ

暗闇からフワッと灯りがつく



52: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:47:59 ID:qTkXl9lyC


司会者が怖い面持ちで観客席を一周見渡し 
そしてカメラ目線となる

司「これ面白い?」

司「なんか、超在り来たりじゃね?」

観客席からはどよめきが



53: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:48:27 ID:qTkXl9lyC


司「引き籠もりとかはいいんですよ」

司「そこはね寛大な心で対応するんで」

司「そもそも僕だって鬼じゃない」

司「まあ、悪魔かもしれないけど」

また笑い声が

スタッフのわざとらしい笑い声も混じっている



54: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:48:48 ID:qTkXl9lyC


司「まあ、まだ後半も有るんでそっちに期待しましょ」

司「では、いったんCMでーす」

【BGM】



56: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:50:31 ID:qTkXl9lyC


【BGM】

司「さっ、後半に参りましょう」



57: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:50:56 ID:qTkXl9lyC


再びスタジオは暗闇となり

救いとなる光は

またもあの部屋を映し出していた




58: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:51:21 ID:qTkXl9lyC


━━━━寂しくはないんですか?

男「んー、どうっすかね」

━━━━たまに誰かに会いたくはなりませんか?

男「さっきも言ったじゃないっすかー人間恐怖症だって」



59: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:51:40 ID:qTkXl9lyC


━━━━それでも毎日一人だと何をしてるんですか?

男「何って聞かれたら困るんっすけど」 

男「まあ、学校行ってないんで勉強なんかは独学でしてるんっすよ」

男「こう見えて」



60: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:51:59 ID:qTkXl9lyC


━━━━教科書か何か使用されてるんですか?

男「いや、基本なパソコンっすね」

男「本当に便利な世の中っすよね」

男「これあれば何でもわかるんっすもん」



61: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:52:28 ID:qTkXl9lyC


━━━━要するにネットをしていると 

男「ストレートな言い方をすれば」

男「そうっすね、否定は出来ないっすわ」



62: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:52:51 ID:qTkXl9lyC


━━━━ほかには何かしてるんですか?

男「まあ、俺もまだ取り敢えず若いんでね」

男「そこら辺の厨房と同じで溜まったら抜いたりはしますよね」

男「運動しないんで、それがちょっとした運動のかわりっす」



63: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:53:07 ID:qTkXl9lyC


━━━━要するに性欲は溜まっていると

男「もう改めて言わなくてもいいじゃないっすかーハズいっすね」

男「これモザイクなかったら瀕死っすよね」



64: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:53:25 ID:qTkXl9lyC


━━━━ご安心下さい。プライバシーはきちんと守ります

男「まあ、部屋に閉じこもってる奴にプライバシーもクソもないんっすけどね」

男「いや、久しぶりに他人と話しますわ」



65: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:53:41 ID:qTkXl9lyC


━━━━もっと話したくなりませんか?

男「んー、当分はいいっすかね」

男「ちょっと顎も疲れてきましたし」



66: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:54:01 ID:qTkXl9lyC


━━━━ずっと気になってたのですが天井のアレはなんですか?

男「あのフックですか?」

男「まあ、万が一の救済アイテムって奴ですかね」

男「深い意味はないっすよ」



68: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:54:38 ID:qTkXl9lyC


━━━━その時「あの、すいません」と言って私たちスタッフの中の一人が急に話し出した

ス「すいません」

男「なんっすか」

ス「実は私も昔引きこもってたんですよ」

男「貴女がですか?」

━━━━私たちスタッフすら知らなかった



70: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:57:04 ID:qTkXl9lyC


ス「でも、今この世界で生きてるのは」

ス「きっかけを与えてくれたのは」

ス「司会者さんなんです」

━━━━彼女は今にも泣きそうになっている

━━━━私たちは黙って聞いていた



72: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:57:47 ID:qTkXl9lyC


ス「この番組ってなんだかわかんないですけど」 

ス「楽しい気分でみれるじゃないですか」 

ス「私みたいな根暗な人間でもあの人の近くで働けば明るくなるかなって」

ス「そう思ったんです」



73: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:58:13 ID:qTkXl9lyC


男「で、今働いてるんっすよね」 

男「どうなんっすか?」

ス「世界は変わりました」

ス「本当に素晴らしい世界です」 

ス「なのででしゃばった言い方になるかもですけど」

ス「どうかきっかけを見つけて下さい」

ス「貴方の話を聞いてると明るい方なのに勿体ないですよ」



75: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:59:24 ID:qTkXl9lyC


━━━━私たちは彼女の過去を少し触れた

━━━━初対面の彼が何より一番近くで触れていたのではないか

ス「すいません、話しすぎましたね」 

男「いやっ、ありがとうございます」 

男「くぁ、なんかちょっと久しぶりに外に出たくなりましたよ」 



76: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)00:59:55 ID:qTkXl9lyC


━━━━彼は笑顔で言った

━━━━今までとは違った笑顔だった 

男「なんだか最後にしてやられちゃいましたね」



77: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:00:17 ID:qTkXl9lyC


━━━━すいません。私たちスタッフが迷惑をお掛けしました

男「さっきも言いましたけど何だか気持ちが少し軽くなったんっすよね」   

男「久しぶりっすよ、こんな気持ち」 



78: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:00:39 ID:qTkXl9lyC


━━━━━では、最後に一つ伺っていいでしょうか?

男「はい、大丈夫っすよ」



79: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:01:14 ID:qTkXl9lyC


━━━━━孤独とは一体なんでしょうか

男「なかなか難しいっすね」



80: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:01:37 ID:qTkXl9lyC


男「あくまで俺の気持ちだけなら」

男「かくれんぼっすね」

男「鬼があっちこちにいて隠れてるのは一人」

男「早く見つけて欲しいとも思い」

男「まだ見つかりたくない的な」

男「寂しいけど負けたくない的な」



81: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:02:12 ID:qTkXl9lyC


━━━━なるほど、わかりました

男「すいません」

男「なんか、ちょっとかっこつけすぎましたかね?」



82: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:02:36 ID:qTkXl9lyC


━━━━そんなことないですよ

男「最近本当にビビってたんっすけど」

男「なんか吹っ切れてきました」

男「部屋にいるのもちょっと勿体ないかなって思ってるんっすよ」



83: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:02:57 ID:qTkXl9lyC


━━━━明日からでも遅くないんで一歩ずつ歩んでみますか

男「そっすね」 

男「いいっすね」



84: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:03:17 ID:qTkXl9lyC


━━━━彼は笑っていた

━━━━明日もきっと笑うのだろう

━━━━例え孤独だったとて

━━━━誰も見つけてくれない木陰で一人

━━━━爽やかな笑みを見せる



85: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:03:37 ID:qTkXl9lyC



モニターは徐々に薄れ

画面はスタジオに戻る

観客席からは拍手が鳴る



86: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:03:58 ID:qTkXl9lyC


司「なるほど、だから【かくれんぼ男】なんっすね」  

司「あっ、うっかり若者言葉がうつっちゃいました」 

観客席からは笑い声

畳みかけるように司会者はくだらないジョークを挟む



87: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:04:26 ID:qTkXl9lyC

司「さて、僕はこの話を聞いた時」

司「一つ名案が浮かびました」  

司「【 仮屋町たかし(仮名) 】さんの友達とアポイントメントを取って」

司「どうにか会ってもらおうと思いました」



88: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:04:43 ID:qTkXl9lyC


観客席からは大きな拍手

司会者は満面の笑みで拍手を収める

カメラは観客席から司会者にかわる



89: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:05:07 ID:qTkXl9lyC



司「彼と会った時の印象は凄くチャラかった」

司「この子と親友だったのかってくらいに真逆でした」

観客席からは何かしら納得する声がちらほらと



91: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:05:38 ID:qTkXl9lyC


スタッフが少しざわつきだした

司会者はそれに気付きながら会話を足早に進ませる

司「直接会って話すのはハズいとのこと」

司「なんでビデオレターにしてもらいました」

司「では、ご覧下さい」

スタジオは暗くなり

モニターには茶色い髪の青年が立っている

【BGM】



92: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:06:26 ID:qTkXl9lyC


友「よっ、久しぶり」

会話はぎこちなく始まり

思い出話と今の話を織り交ぜている

そしてポケットからキーホルダー



93: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:06:52 ID:qTkXl9lyC


友「これ覚えてるか?」

友「まあ、これのおかげで俺サッカーしてるんだ」

友「今度県大会あっから良かったら見にこないか?」



94: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:07:10 ID:qTkXl9lyC


そう照れくさそうに笑っている

長きに渡るビデオレターが終わる

そしてそのまま珍しく二度目のCMへ

【BGM】



95: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:07:31 ID:qTkXl9lyC


【BGM】

長いCMがやっと終わる

画面は切り替わりスタジオへ

先程とは違い暗い顔の司会者



96: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:07:56 ID:qTkXl9lyC


司「生放送」

司「何が起きるかわかりません」

司「今スタッフに彼の母親から連絡が入りました」



97: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:08:16 ID:qTkXl9lyC


観客席はイヤな緊張感が漂う

カメラもそれを賢明に映し出している

証明が少し暗くなる

スポットライトを一人浴びる司会者



98: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:08:38 ID:qTkXl9lyC


司「 【 仮屋町たかし(仮名) 】さんが今し方亡くなったという連絡が入りました」

司「死因は自殺だと見られています」

司「スタッフと話し合った結果このような形で報告させて頂きます」

司「御冥福お祈り申し上げます」

司会者、スタッフ関係者が深々とお辞儀をする



99: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:09:04 ID:qTkXl9lyC


━━━━そして時は遡る

━━━━否が応でも過去を見て今に繋げる

━━━━それはビデオレターが始まった時刻



100: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:09:22 ID:qTkXl9lyC


男「えっ、ビデオレター?」

男「うわっ、まじか」

男「緊張するな」



101: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:09:48 ID:qTkXl9lyC


━━━━パソコンの画面とテレビの画面を

━━━━交互に彼は見ている

男「まじかあ、まじなんだ」



102: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:10:44 ID:qTkXl9lyC


━━━━彼は呟き頬を濡らしながらテレビを見ていた  

男「あれっ?そんな出来事あったけ?」

男「やっべ、全然覚えてねぇわ」

━━━━ふとビデオレターの途中で思い立ち

━━━━ネットで親友の名前を検索した



103: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:11:02 ID:qTkXl9lyC


━━━━今はやりの呟くことだけが目的のサイトに飛んだ 

━━━━それが過ちだと気付くには時間が足りなかった



104: 浅野田幸次郎 2014/06/26(木)01:11:26 ID:qTkXl9lyC


友「昔の親友にビデオレターの撮影なうwww」

友「なんか、ボロッボロッのサッカーボールのキーホルダー持たされたwww」

友「でも、俺これでスカウトとかされちゃっちりしてwwwうはwww俺さらにモテまくりwww」

友「ってかさ、ってかさ、誰だよ親友ってwww知らねーwww」






【世界の孤独者に密着】

おわり



105: 名無しさん@おーぷん 2014/06/26(木)01:12:48 ID:2k7QoLKFZ

>>1



108: 名無しさん@おーぷん 2014/06/26(木)01:14:28 ID:qTkXl9lyC

>>105
ありがとうございます 
誤字脱字もあり読みにくかったと思いますが最後までお付き合いありがとうございます



107: 名無しさん@おーぷん 2014/06/26(木)01:13:44 ID:0lbJ8SRm4


なんか悲しい



110: 名無しさん@おーぷん 2014/06/26(木)01:15:33 ID:qTkXl9lyC

>>107
ありがとうございます
人の本来の悲しさは文字なんかで表せません
しかし
意識するということは出来ますんで
その悲しさを少しでも覚えていて下さい



112: 名無しさん@おーぷん 2014/06/26(木)01:19:04 ID:RBQgTNdOQ

上手



113: 名無しさん@おーぷん 2014/06/26(木)01:19:51 ID:qTkXl9lyC

>>112
お褒めの言葉大変うれしゅうございます
ありがとうございます



114: 名無しさん@おーぷん 2014/06/26(木)01:34:47 ID:qWKRD6Uuj


文章の発想力が羨ましい



115: 名無しさん@おーぷん 2014/06/26(木)01:35:57 ID:qTkXl9lyC

>>114
ありがとうございます
仕事のストレス発散ですんで
雑さが目立ちますが
お褒めの言葉大変うれしゅうございます



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