1:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 15:24:13.412 ID:BhapAQJn0NIKU.net

神父「少女ちゃん……」コンコン

少女「!」トトト
ガラッ

少女「なんだ……神父さんか」

神父「きょっ、今日は、少女ちゃん、誕生日だったね! おめでとう!」

少女「……覚えててくれたんだ」

神父「その……少女ちゃん、前に話した、教会に住み込みで働くって話……どうかな。その……少女ちゃんのお父さんとお母さんは、帰ってくるまでもう少し時間が掛かるんじゃないかなって……」

少女「……わかってる。パパもママも、どうせもう、帰って来ないもの」

神父「…………」

少女「でも……もう少しこの家にいたいの」

神父(最近、ここの村で邪教徒の儀式の跡らしきものが見つかったって噂になってるし……女の子一人は危ないんだけどな……)



2:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 15:24:36.343 ID:BhapAQJn0NIKU.net

神父「これ……教会で配ってる、パン。来てくれたら、温かいスープもごちそうできるんだけどな……」

少女「……ありがとうございます、神父さん」

神父(……今日のところは、諦めるか)

神父「それから……はい、お菓子」

少女「えっ……」

神父「少女ちゃん、誕生日だから……誕生日プレゼントだよ」

少女「……ぐすっ」

神父「しょっ、少女ちゃん!?」アタフタ

少女「……もう、一生誕生日プレゼントなんて、もらえないと思ってたから」ポロポロ

神父「…………少女ちゃん」

神父(彼女の父親は……狩りに出かけて、帰らなくなった。恐らく、盗賊にでも遭ったんだ。きっともう、生きてはいない……)

神父(彼女の母親は、昔の友人だという男が訪ねて来てから姿を消してしまったという。こんなことは、考えたくないけど……)

少女「ありがとう……ありがとう、神父さん」

3:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 15:25:16.951 ID:BhapAQJn0NIKU.net

神官「どうも、あんたがこの村の神父か」

神父「そ、その衣服は……王都の……」

神官「今回は異端審問官として来た。村人達にも事情聴衆を兼ねて挨拶に回っているところでな」

神父「ああ、邪教の儀式の痕跡が見つかった件ですね。でも……おひとりだけで大丈夫ですか?」

神官「ははは、任せておいてくれ。何せ俺は、王都で修行を積んだ、上位魔法詠唱の許可を持ってる教会魔術師だからな。邪教にかぶれたいい加減な魔術師に、遅れなど取るものか」

神父「私も一応魔法に心得はありますし、お手伝いできることがあれば……」

神官「いんや、結構。田舎の司祭さんには荷が重かろう。事情だけ話してくれ」ハンッ

神父(よかった……王都の教会から一流の魔術師が来てくれたのなら、もう解決したも同然だな)

7:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 15:26:22.311 ID:BhapAQJn0NIKU.net

神官「くそっ……全然手掛かりがないじゃないか。ただの悪戯じゃないのか」チッ

ガタンッ

神官「うおっと……なんだ、この家からか」

神官「あれ、この家……夫が死んで嫁が他所の街で再婚して、誰も使っていないはずなのに、物音……?」

神官「これは怪しいな……調べてみるか」

――

神父「……急な用事で街まで用事で出かけていたから、少女ちゃんにパンを持っていけなかったな」

神父「さすがにもう寝てるとは思うけど……急に来なくなったから驚いてるかもしれないし……灯りが消えてるかどうかだけでも確認しに行こうかな……」

8:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 15:27:14.069 ID:BhapAQJn0NIKU.net

少女(なんで神父さん今日来なかったんだろう……怪我でもしたのかしら)

少女(……当たり前、かな。毎日私のところ来てくれるほど、暇じゃないもの)

少女(神父さんがずっと教会に住むよう提案してくれてるのに、私の我が儘で断っちゃってたし……愛想尽かされちゃったのかなぁ……)

少女(…………)

ガタッ

少女「!」

少女(神父さんだ! そうだ……灯り、つけなさなきゃ……あ)

少女(どうせだから……ちょっと驚かせてあげちゃおうかな)クスッ

少女(神父さん、いつもすまし顔だもの)

9:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 15:27:41.412 ID:BhapAQJn0NIKU.net

少女「……わぁっ!」ガラッ

神官「うわぁっ! や、やはり邪教徒の隠れ家だったか!」

神官「死ね邪教徒め! ファイアボール!」

少女「えっ……」

ボオオッ!

少女「きゃあぁっ!」

神官「な……た、ただのガキ!?」

少女「あ……あ……熱い……痛い……目、開かない……」

神官「く、くそ! 紛らわしいことを!」ガシガシ

13:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 15:30:59.783 ID:BhapAQJn0NIKU.net

神官「子供が家に残ってたのか……。クソ、神官長の座が掛かってるときに、こんな馬鹿ガキのせいで……」

少女「熱い……痛い……熱い……」

神官「もう長くないな……どうせ孤児なら、犯人を無理して捜すことはないか。幸い今は、邪教徒騒動の真っ只中……適当に儀式の痕跡だけ残しておけば、誤魔化せる……?」

神官「俺は呪術の知識も邪教対策で聞きかじった分はあるし……いける。いけるぞ……これなら……。これをこうして、それらしい術式を描いておけば……。よし、後はこのガキを殺すだけだ」

少女「あ、あああ……」ガクガク

神官「へ、へへへ……悪く思うな、お前が悪いんだぞクソガキめ」

神父「そっ、そこの貴様! 何をしている!」

神官「!?」

15:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 15:32:51.966 ID:BhapAQJn0NIKU.net

神父「ライトソード!」ブゥン

神官「違う! そうだ、このガキが例の邪教徒で……」

神父「この外道が!」ザスッ

神官「ぐああぁっ! あ、ああ……」バタッ

神父「はぁ……はぁ……少女ちゃん! 少女ちゃん!」

少女「よかった……神父さん。ママみたいに、私のこと見捨てたわけじゃなかったんだ……」

神父「し、しっかりしろ! おい!」

少女「ねぇ神父さん……なんだか、寒いの……手……握って……」バタッ

神父「う、嘘だろ……またいつもの冗談……お願いだから、少女ちゃん……目を……」

神父「あ、ああ、あ……」ガクッ

17:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 15:38:13.731 ID:BhapAQJn0NIKU.net

神父「なんて、なんて惨い……至近距離から、ファイアボールを……いったいなんで……どうして……」

神官「」

神父「こ、こいつ……異端審問で王都から来た神官……!」

村人「なんだ、凄い音がしたぞ!」
村人「神父様が血塗れじゃ!」
村人「い、いや違う……少女ちゃんの血だ! あれは!」

神父「み、みなさん……少女ちゃんが、少女ちゃんが……」

村人「あ! 王都の神官様も魔法で殺されている!」
村人「あれは……邪教の儀式の準備じゃ……」

神父「え……あ、ちが……」

村人「し、神父様が邪教徒だったのか! それで神官様を殺したんだぁ!」

神父「わわ、私では……私では……私は、私は……」ダッ

村人「に、逃げたぞ!」
村人「追うな! 殺されるぞ! 神官様の二の舞じゃ!」

21:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 16:11:18.940 ID:BhapAQJn0NIKU.net

神父「……昔の夢、か」

神父「そうか……あれから、七年経ったのか」

神父(動揺して逃げて……死に場所を求めて彷徨っていたのに……無様に生き延びてしまったのだな、私は)

神父(神よ……あなたはなぜ、あのような幼い子供にあんな仕打ちを……)

少女『神父さん』

神父「少女ちゃん!」バッ

女「あ……と、急に声を掛けて申し訳ありません。神父さんの一人旅などあまり見かけないものでして、つい気になって……」

神父「こちらこそ、申し訳ございません……寝ぼけていたもので、知り合いと勘違いしてしまいまして……」

神父(よく見れば、全然違うな……。しかし、あの子が死んでいなければ……このくらいの歳か)ウルッ

女「し、神父さん?」

23:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 16:12:23.973 ID:BhapAQJn0NIKU.net

女「落ち着きましたか?」

神父「え、ええ……なんとか」

女「そんなに似てるんですか?」

神父「え?」

女「その……少女ちゃんって子と」

神父「…………」

女「あ、あまり聞いてはいけないことでしたか?」アセアセ

神父「……そうやって慌てる仕草は、確かに似てるかもしれませんね」ニコッ

25:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 16:13:17.554 ID:BhapAQJn0NIKU.net

神父「あなたはどうして、女の身で一人旅を?」

女「……実は、復讐しなければならない相手がいまして。仇を追って、旅をしています」

神父「…………」

女「神父さんに話す話じゃ……ありませんでしたね。でも、止めないでください」

神父「……いえ、大切な人を殺された傷も痛みも……そうそう癒えるものではありませんから」

女「……神父さんにも、そのような過去が? そのとき……神父さんは、殺してやろうって……思いましたか?」

神父「…………」

神父「さぁ、どうでしょうね」

女「すいません、変なことを聞いてしまい。では、自分はこれで……」

神父「待ってください」

女「え?」

神父「一人旅は何かと大変でしょう。私に……お手伝いさせてもらえませんか?」

女「えっ……ええっ!?」

26:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 16:17:18.724 ID:BhapAQJn0NIKU.net

女「この辺りに、邪教徒の噂はありませんか?」

酒場の店主「さぁ……オレは聞いたことねぇなぁ」

女「……そう、ですか」

神父(女さんの仇は、邪教徒ですか……)

神父(…………)

神父(……嫌なことを、思い出しましたね)

女「今回もまた、成果なし……か」ハァ

神父「他に特徴は、何かないのですか?」

女「ありません……けど、これで充分ですよ」

神父「それはなぜ?」

女「奴が、殺人を何とも思わない異常者だからです……。絶対に、奴が通った後には血の道が残っているはずなんです」

27:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 16:41:08.556 ID:BhapAQJn0NIKU.net

神父「かれこれ……もう、半年になりましたね」

女「まさか、ここまで何の手掛かりもないなんて……」

神父「…………」

女「神父さんには、これ以上付き合わせられませんよ」

神父「あなたも……復讐以外の道を、捜してみては?」

女「っ! そんなこと……できませんよ……。親の死を忘れて、のうのうと生きるなんて……そんなの私は……!」

女「それに今も! アイツは色んな人を殺してるに決まってる!」

神父(親の仇だったのか……)

女「アイツを殺して……それから、それからようやく自分の人生が始まるんです!」

女「私はそう決心して生きて来て、もう七年になります……。今更、曲げるつもりはありません。例え、神父さんの言葉であろうと……」

神父(…………?)

女「神父さん?」

神父「なな、ねん……?」

31:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 16:55:48.068 ID:BhapAQJn0NIKU.net

女「神父さん、顔色が悪いですよ? 大丈夫ですか?」

神父「……え、ええ」

神父「あなたの仇は、父親ですか?」

女「……はい」

女「あまり話したいことではありませんけど……ここまで付き合ってもらっておいて、事情も話さないのは、あんまりですよね」

女「私の父は……王都の神官でした。邪教の噂の聞きつけて、小さな村へと向かったんです」

神父「…………」

女「その先で……小さな女の子を庇って邪教徒に殺されたと……そう聞かされました。父が命懸けで庇ったその女の子も、殺されてしまったそうです」

神父「…………」

女「実は神父さんに声を掛けたのも……一人旅の神父さんなのが引っ掛かって、気になって声を掛けたんです」

神父「…………」

女「でも神父さん、凄くいい人だって、少し話してすぐにわかったから……。挙句の果てには、神父なのに復讐の旅についてくるなんて」クスッ

32:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 17:06:15.922 ID:BhapAQJn0NIKU.net

女「はぁ……今日も、それらしい手掛かりはなしか……」

神父「…………」チラッ

酒場の店主「…………」コクッ

酒場の店主「あ……ああ、ひょっとして、あんたか。仇を捜してるって女は。実はな、関係あるかはわからんが、怪しい噂を耳に挟んだんだ」

女「え?」

酒場の店主「少し離れた町の廃教会で、不審な男が神魔月の日に現れるらしくてな……」

女(神魔月は、悪神の力が強まる日……その日に現れるということは、邪教徒の可能性が高い!)

神父「…………」

酒場の店主「それから、なんでも小さな女の子を狙った誘拐事件が起こっているらしい」

女(あの日も、邪教徒は小さな女の子を狙っていたと聞く……まさか、そいつが……)ゴクリ

女「教えてくださって、ありがとうございます!」

神父(…………)

酒場の店主「あんまり趣味がいいとはいえねぇぞ……何を考えてるのかは知らんが」ボソボソ

神父(金貨を受け取っておいて……今更、よく言えたもんだな)

34:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 17:31:23.897 ID:BhapAQJn0NIKU.net

女「神父さん、ついに、ついに奴を見つけたかもしれませんよ!」

女「これで……これでようやく、父の仇が討てます!」

神父「……敵討ちが終われば、どうするつもりですか?」

女「まだ、何も……。とりあえず、王都に帰ってみようと思います!」ニコッ

神父「そう、ですか……それはいい……」

女「神父さん?」

神父「女さん。実は……私、旅から外れようと思います」

女「え……? あ、そう……ですか」

神父「神に仕える身として……やはり直接的な人殺しの手助けは、戒律に反しますので」

神父「見届けたい思いはあるのですが、ここで離脱させていただきます」

女「そんな……あ、でも、人違いかもしれませんし……」

神父「…………」

女「す、すいません、好意に甘えるようなことを言ってしまって」

女(ここまで半年、ずっと捜査に協力してくれてたのに……)

女(少し、心細いな……)

神父「あなたが無事に仇を討って、幸せに生きられることを願っていますよ」ニコッ

女「は、はい! 今まで、ありがとうございました!」

女「終わってから……また、会えますか?」コソッ

神父「…………そう、ですね」

神父「もしも、縁があれば」

女(待ってては、くれないんですね)シュン

35:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 17:47:36.178 ID:BhapAQJn0NIKU.net

神父「……」ゼェゼェ

傭兵「こんな辺鄙な町に、何の用だ? なんだか、随分と急いでいたようだが」

神父「いえ、実は……この街に、明日にでも女の子が来ると思います。その子のことを、よろしく頼みたいのです」

傭兵「なに……なぜ、俺がそんなことを?」

ジャラッ

傭兵「きっ、金貨……こんなにか!?」

神父「その女の子は、この町に身を潜めている悪を討ちに来ます。その手助けをしてあげてほしいのです」

傭兵「なんだと? あ、危ない奴がこの町にいるのか?」

神父「ええ、詳しいことは、その女の子に訊いてください。それから……決して、私のことは誰にも話さないでください。そのお金には、口止め料の意味合いもあります。当然、その女の子にも話さないでください」

傭兵「じ、事情を話してもらえないことには、協力は……」

傭兵(……すげー大金だ。なかなかない機会……しかし……)

神父「……お願いしましたよ。私は、急ぎますので」スッ

傭兵「あっ!」

37:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 17:54:27.765 ID:BhapAQJn0NIKU.net

女「ふう……ここが、例の……」

傭兵(女の一人旅なんて、そう多くはない。この子が、あの男の言っていた……)

女「あの、そちらのお方……この辺りで、邪教徒の噂を聞いたことはありませんか?」

傭兵(ま、間違いない……)

女「何か知っているのですか?」

傭兵「いや、知らない……」

傭兵「知らないが……そんな危ない奴がいるのなら、見過ごすわけにはいかない。俺を同行させてくれないか?」

傭兵「こう見えて、俺はこの町で一番腕が立つんだ」

女「し、しかし、お金もあまり持ち合わせていませんし……」

傭兵「い、いんや、金なんか結構だ! 俺は、正義感から言ってんだよ!」

女「ありがとうございます……いい人、なんですね」

傭兵「は、はははは……」

傭兵(俺、最低だな……)シュン

38:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 18:03:07.992 ID:BhapAQJn0NIKU.net

傭兵「アンタの仇の邪教徒がいるっていうのは……ここなのか?」

女「は、はい……。本当に、噂で聞いたことはありませんか? ここを、神魔の日に妙な人影が出入りしていると……」

傭兵「いんや、初耳だが」

女「……こちらの酒場でも知っている人がいませんでしたし、少し変ですね」

女「もしかしたら、本当に情報違いだったのかもしれません」シュン

傭兵「い、いや……それは、ないんじゃないかな」

女「どうしてそんなことが言えるのですか?」

傭兵「それは、ほら、勘っていうか」

女「まだ私は、この旅を続けなくてはいけないんですね。今度は、一人りきりで……」シュン

傭兵「お、俺でよかったら……」

女「で、でも、勘違いだったってわかったら、神父さんがまたついて来てくれるかも……」

傭兵(なんか俺、かっこ悪……)ポリポリ

傭兵「はっ、その言い方だと、復讐を遂げるよりも、その神父とやらとまた旅をしたいってふうにも聞こえるな」ボソッ

女「ッ! そ、そんなことはありません! 私は、アイツを殺すためだけに、七年間ずっと……!」

傭兵「わ、悪い……そういうつもりじゃ……ん?」

傭兵「しっ! 誰かいるようだぞ!」

40:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 18:08:55.076 ID:BhapAQJn0NIKU.net

仮面の男「…………」

女「あ、あいつが……」

傭兵「確かに、変な儀式の跡もあるな。魔法を使ってくるなら、素人には下がっておいてほしいもんだが……」

女「…………」

傭兵「そういうわけには、いかんようだな。いいさ、二人で襲撃を掛けるぞ。俺はトドメは刺さんよう心掛けよう。保証ができんがな」

仮面「……」スッ

傭兵「ちっ、気付かれたか!」

仮面「何者だ? 私の、神聖な儀式を邪魔しようというのかね?」

傭兵(なんて恐ろしい声だ。高温の毒煙で燻して喉を潰したみてぇな……。邪教徒っていうのは、こんな頭おかしい奴ばっかりなのかよ!)

41:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 18:30:04.956 ID:BhapAQJn0NIKU.net

女「おい貴様、この勲章に見覚えはあるか!」スッ

傭兵(古いローブの、切り抜き……?)

仮面「…………」

女「どうなんだ! 黙っていないで、答えろっ!」

仮面「ク、ククク……知らないはずもなかろう。王都で馬鹿神を祀っている聖堂の、神官の一部に与えられるものであろう?」

女「…………」

仮面「そういうことを聞きたいのではないのだ、という顔をしているな。ふむ、そういえば……七年前に私の殺した神官が、同じものを身に付けていたな」

女「!」

仮面「ククク……馬鹿な男だったなぁ……。少々手間取ったが、居合わせた子供を人質にして逃れたのだったか。馬鹿な奴め、私が本当に約束を守って、ガキを見逃すと思っておったのか。ハハハハハハハ!」

女「きっ、貴様ぁっ!」バッ

傭兵「なんてクソヤロウだ! 気を付けろ、不意打ちとはいえ、勲章持ちの教会魔術師を殺したのなら……クズで外道だろうが、相当腕の立つ奴だ!」バッ

仮面「ハハハハ! そうか、あの男の娘なのか! これほど愉快なことはない!」

女「もう口を開くなぁっ!」

43:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 18:40:42.327 ID:BhapAQJn0NIKU.net

仮面「ライトソード!」ブゥン

傭兵「くっ!」カァンッカァンッ

女「こ、この魔法……私の父を、殺したときの……」

仮面「ファイアボール!」

傭兵「危ない! ぼうっとしてんじゃねぇぞ!」

女「ぐぅっ!」キィン

女(あの事件のときに使われた、二つの魔法……。こいつは、どこまで私を馬鹿にすれば!)ギリッ

傭兵(思ったより、腕が立つ……なんでただの邪教徒がこんなに……!)キィン

傭兵(俺相手取りながら、女へ牽制もできるとはな。俺単独だと、かなり危なかったかもしれん)

仮面「ファイアボール!」ボウッ

傭兵「くそっ!」シュッ

傭兵(避け方をミスった、まずい、最低でも片腕を持ってかれる……!)

仮面「…………」シュッ

傭兵(助かった……逆側から斬りかかられてたら、避けようがなかった)キィンッ

45:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 18:50:06.563 ID:BhapAQJn0NIKU.net

女「うらぁぁぁっ!」ガァアンッ

仮面「……ぐ」バッ

傭兵「よし、ナイスだ! 光の剣が、手から離れた!」

仮面「この私が、こんな奴らに……!」

女「一言だけ許可してやる。我が父の侮辱を取り消……」スッ

仮面「ならばお言葉に甘えさせてもらおうか! デス!」オオオオッ

女「あっ、暗黒魔法!」

傭兵「うらぁぁぁっ!」ズパァッ

仮面「ぐぅ、き、貴様らに、闇の主の災いを……」バタッ

傭兵「最後の一撃……もらって悪かったな」ハァハァ

女「い、いえ、ありがとうございます。まさか、あんな魔法まで使ってくるなんて」

傭兵「あまり魔法には詳しくないが……使った者の魂は、地獄に送られるんだったか」

女「それは言い伝えに過ぎませんが、邪教徒の中でも、相当の狂信者しか、まず使わない魔法です……」

46:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 18:57:01.862 ID:BhapAQJn0NIKU.net

女「…………」

傭兵「どうだ? 達成感は、あるか?」

女「それは……わかりません」

女「ただ、やっと終わったのだと……今はただ、そう思います」

傭兵「そうか……」

女「…………」タッタッ

傭兵「どうした? そんな奴の死体なんか、触らない方が……」

女「……面を、見てやろうと思いまして」

傭兵「ああ、そう……」

傭兵「…………」

 神父『決して、私のことは誰にも話さないでください』

傭兵(なんでこんなに、嫌な予感がするんだ……)

傭兵「な、なぁ、やっぱやめた方が」

47:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 19:13:53.285 ID:BhapAQJn0NIKU.net

女「この面、なんだか堅っ……キャァアアアアアアアアッ!」

傭兵「ど、どうした!」

女「……す、少し驚いただけです。取り乱してしまい、申し訳ございません」

傭兵「何が、何があったんだ!」

女「い、いえ……顔の肉が、面に焼き付いていまして」

傭兵「なっ、なんておぞましい……やっぱり邪教の奴らなんて、何考えてるかわかったもんじゃ……」

女「……」ポロッ

傭兵「どうした、おい、急に涙なんか流して……」

女「あ、あれ……どうしてでしょう。あれ……あれ、あれ……? やっと、念願の仇を討てたはずなのに……なんだか、この顔を見てたら、なんだか、哀しくて……」

傭兵「厄介な呪いでも掛かってたのかもしれない。この町の教会で、一度見てもらった方がいい」

48:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 19:18:47.802 ID:BhapAQJn0NIKU.net

女「……本当に、ありがとうございました。傭兵さん」

傭兵「この後……どうするつもりなんだ?」

女「王都に、帰ろうと思います」

傭兵「かなり遠いが、一人でか?」

女「大丈夫です。来たときも、途中までは一人だったので」

傭兵「…………」

 神父『その子のことを、よろしく頼みたいのです』

傭兵「……なぁ、それ、俺も、ついていっていいか?」

女「えっ?」

傭兵「女がフラフラと長旅を往復できるほど、平和なご時世じゃねぇぜ。俺が、ついてってやる。迷惑じゃなきゃ、だが……」

49:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 19:25:13.589 ID:BhapAQJn0NIKU.net

神父(使ったものは、神から見放されて地獄に落ちる……か)

神父(悪いが、私はあの日以来、神をどうにも信じられなくなった)

神父(暗黒魔法さえ使えば、あの子も私の正体を勘繰ることもまずない)

神父(おまけに神にも一矢報いられると思えば、これほど都合のいいことはない)

神父(あの子と、同じところへ行けないのは心残りだが……それが、私の罪だ)

神父(…………あれ)

神父「ここは、昔の教会堂?」パチッ

神父「窓ガラスに映っているのは……私? まだ、若い? これは、どういう……」

「神父さん」

神父「な、この声……そんなはず……」

「神父さんってば」

50:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/01/29(日) 19:30:21.862 ID:BhapAQJn0NIKU.net

少女「……もう、何度も呼んだのに」

神父「しょ、少女ちゃん!? どうして、君はとっくの昔に……その……」

少女「神父さんのこと、ずっと待ってたの。一緒に、行きましょ?」

神父「あ、ああ! ああ!」ギュッ

少女「神父さん、涙、出てるよ。昔はすっごくクールだったのに、涙もろくなった?」

神父「そうかも、しれないな……」ポロポロ


?「暗黒魔法……ね。そう簡単に見捨てるくらい、冷酷なつもりはないわよ」スッ

―完―


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