さてどうする。
どこに行けばいい。

火憐自身が目的地を定めていない以上、こちらもあてずっぽう以外では行動のしようがない――
一番厄介な行方不明者だ。

戦場ヶ原と違って、火憐は貝木と直接の連絡をとることはできないはずだ――
仮にできたとしても、貝木が素直に会ってくれるわけもない。

自転車を羽川に貸していてよかった。
そうでなければ、火憐は確実に、僕の自転車を勝手に使用していたはずだ。
自転車と徒歩とでは、行動半径が全然違う――

いや、バスに乗られていたら、それもアウトか。妹達は僕と違って、定期券を持っているのだった。

考えろ。
僕だ火憐だったらどうする?

身体は本調子じゃなくて、それでも自分にはやるべきことがあって、
周囲は止めるけれど、それでは止まれないとき――

つーかわかんねーよ、あんな馬鹿の考えること!


結果から言えば、囲い火蜂の毒を全て僕に移すことはできなかった。

どうにか火憐を寝かしつけ、月火に大人しくしているようにと書き置きを残し、自転車は羽川に貸しているため、徒歩で戦場ヶ原の家に向かう途中、僕は八九寺の姿を見かけた。

「はあ……阿良々木さんですか」
「いや、名前噛めよ!」
「阿良々木さん、普通に声をかけてくるなんて随分とつまらない人間に成り下がりましたね。何かあったのですか?」
「随分と辛辣だな!
そもそもお前だって嫌がってただろうが!」
「あれはもっとしろという振りでしょう?
やめろって言われて本当にやめてどうするんですか。まったくもう、わたしのナイスパスが台無しですよ」

「わたしの仲良しだった阿良々木さんは死んでしまいました……阿良々木さんからセクハラ行為を抜いてしまったら、ミジンコくらいしか残りませんよ」
「ミジンコなんて最初から僕を構成する要素に含まれてねえよ!」
「もう顔も見たくありません。消えてください」
「戦場ヶ原から百回は言われてる台詞だけど、お前に言われると本当に消えてしまいたくなるからやめて!」
「あれ?消えてって言ったのに何でまだいるんですか?
阿良々木さんは消えることもできないんですか?」
「セーブポイントからやり直してえ!」


火憐ノ病氣ヲ半分ホド引キ受ケタトハ言エ、
目ニ見エテ變化ハ無イハズダガ。
イヤ、八九寺ニハ――
ソレガワカルノカ。


体調が悪そうに見えると言われた僕は、八九寺に怪異のことを話した。

「妹達の言ってることは正しいし、それについては尊重してやりたいとも思うんだが―どうにも短絡的すぎる。
やりたいことは正しいのに、やり方がわかってない。そんな風に見える」
「……それは阿良々木さんがいつも言われていることでは?
それに、阿良々木さんがそういう人じゃなかったら、わたしもこんなところで暢気にお散歩なんかできていませんし。
でしたら、その妹さん達に救われている人も、いっぱいいるということではありませんか。」
身体は子供、頭脳は大人な名探偵・八八寺、いや、八七寺、もとい八六寺と別れ、僕は戦場ヶ原の家に着いたのだった。



「貝木と話をつけに行くのよ。
阿良々木くんが私の保護を拒否する以上、私は攻撃に打って出るしかないわ」
「拉致監禁を保護と言い換えるな」

貝木から受け取ったという名刺を手懸かりに奴と連絡をつけたという戦場ヶ原。
妹のため、そして両親を離婚へと促した貝木との決着をつけようとする戦場ヶ原のために、僕もついていく。
「行くなら一緒に行こう。お前は僕を守ってくれ―僕はお前を守ってやる」


「貝木は寝ぼけた頭で相手のできる詐欺師ではないわ。
寝ておきなさいな。今夜―眠れるとは限らないのだから」
徹夜で鉛筆を削っていたらしい戦場ヶ原も疲れが溜まっていたのだろう。
そう言われた僕は一旦家に帰ることにしたのだが………



「お兄ちゃん!火憐ちゃんがいなくなった!」
信用はしてないが、心配はしてる。でもそれ以上に怒ってんだよ!
おそらく貝木を探しに出ていった火憐ちゃん。
取り乱す月火ちゃんを宥め、僕は火憐ちゃんの居場所を考える。

考えろ。
僕が火憐だったらどうする?
「まず、家から離れようとするだろう―見つかったら連れ戻されるんだから、それは最低条件で、そして問題はそれからだ。それから、それから―それから」

「……うるさいのう。
お前様が動揺すれば、その動揺はダイレクトに儂に伝わるのじゃ」

僕の影の内から現れた忍がそこにいた。
「協力してくれるかって、訊いていい?」
「残念ながら、今の儂はお前様に逆らうことのできん立場でな―
協力してやるがこちらからそう申し出るのは決まりが悪いので、体面上命令という言葉を使えという意味じゃと、なぜわからん」

お前も立派なツンデレだよ。

こうして、火憐を探せと僕は忍に”命令”した。
忍によれば、僕と同じ匂いがする火憐ちゃんは近くにいるようだが………


☆☆☆☆☆☆☆


あのガハラさんがバサ姉にいじめられてるなんて!www
そこがどこであろうとご主人さま、いや、羽川様の前では正座するのが当然ですよね!!

今回はエロ物語と揶揄されるような展開はなく、ストーリー的には最終決着一歩手前といったところでしょうか。


『偽物語』公式サイト
http://www.nisemonogatari-anime.com/


よろしければ1クリックお願いします。
ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ