ここで念のため断っておくが、
僕と火憐は別に仲のいい兄妹というわけではない―
もう一人の妹であるところの末っ子・月火と火憐というならば、
それは年子ということもあってかなりレベルの高い仲良しではあるのだが、
残念ながら僕とその二人となると、あまり仲がいいとは言えない。

むしろ仲が悪いと言ってもいいくらいだ。
険悪でさえある。

火憐と月火は火憐と月火で、いちいち僕に反抗的だし、
僕は僕で、二人の幼稚な思想にほとほとうんざりしているのである。

特にファイヤーシスターズを名乗っての正義の味方ごっこには、
とても付き合いきれたものではない―
貝木泥舟との例の出来事も、
あの二人を更正させるにはひとつ足りなかったようだ。


阿良々木月火の正体を開示することによって、それではいよいよ僕達の物語に終止符を打つことにしよう。
あの小賢しくも小うるさい、ちっちゃいほうの妹の話で、僕と、僕の愛すべき仲間たちのエピソードは完結だ。

阿良々木月火。
ファイヤーシスターズの片割れ。
下の妹、ちっちゃいほうの妹。
中学二年生で四月生まれで、十四歳で、B型で、ヒステリックで、ずる賢く、感情がピーキーで―
そして不死身な。
ただの、偽物の物語だ。




「兄ちゃん。何かあたしに、して欲しいことってないかな?」
僕の妹がスカートを穿いていた。

彼女にとってのジャージは戦闘服であり、言うなれば聖闘士にとっての聖衣である。
その火憐が、聖衣を脱いで、スカートなる衣服を身につけていた。


誰だこのキレー系女子!?


「か、可愛いな」
「ありがとうっ!
兄ちゃんが褒めてくれて、嬉しいなっ!
嬉しいなったら嬉しいなっ!」

兄ちゃんには絶対に逆らわない兄貴ラブの妹キャラは神原とかとキャラ被るから!
立ち位置的には後輩ってことで、割と近いものがある。

しかし、僕が神原の名を出すと、火憐は急にしおらしくなった。

「兄ちゃん! お願いがありまひゅ!」
「どうかこの愚妹めに神原先生を紹介してはいただけないでしょうか!」

土下座する妹の頭をぐりぐりと踏みにじる兄の姿がここにあった。

「わかった! じゃあ処女やる!
兄ちゃんにあたしの処女やるから!」

ムララギさんとは意見を異にするけれど、貰えるのならば欲しいです!是非!!


火憐は、神原の非公式ファンクラブ『神原スール』により、僕と神原の繋がりを知ったようだ。
ただし、正直言って、僕は神原に妹を紹介するつもりはないのだ。
それは、神原の一般的にはあまり知られていない性癖を、僕は立場上知ってしまっているがゆえの理由である。


「可愛い妹の頼みがきけねーってのかよ。
だったらあたしにも考えがあるぞ」
諦めろと告げた途端、地面にスコップを突き刺したように、僕の腹部に貫手を放つ火憐。
土下座で駄目なら迷わず暴力とか、ぶっちゃけありえない……


「揉めたら勝負だろ。僕達の場合は」
そうして僕は、火憐の歯ブラシを持ち出してきた。


お前の歯を、僕が磨くのだ。
タッチングって言ってな、つまり、他人に歯を磨かれる行為にはかなりの心理的抵抗が生じるんだ。
それに五分間耐えることができたらお前の勝ち。
五分以内に音を上げたら僕の勝ちだ。


「あーん」
「あーん」
口を開かせ、そして歯ブラシを差し入れた。
さあ、その身をもって偉大なる神原先生の恐怖を味わうがいい。
神原先生のフェチ的アイデアで敗北するのだ。

身体の内面をいじる行為には快感が生じる。
要するに気持ちいいのだ。
そもそも、肉体のデリケートな部分を細い毛先で撫で回すというのだから、それで気持ちよくないわけがない。

しかし、これはとんでもない失策だった。

歯を磨く側、つまり僕サイドがどういう気持ちになるものなのかという重要事項を、まったく考慮しないままにこの勝負に臨んでしまったのだ。

喘ぎ声にも似た火憐の声を聞いてると、すげえ変な気持ちになる!
ひょっとしてだけど、僕の妹って世界一可愛いんじゃねえ?
つきひフェニックス1


気付けば僕は火憐をベッドに押し倒していた。
「火憐ちゃん。火憐ちゃん。火憐ちゃん―」
「にいひゃん……いいよ」










「……何してはるんどすか」
「なんでお兄ちゃんが歯ァ磨いたりしたげながら火憐ちゃんを慈愛顔でベッドに押し倒してるの?
なんで火憐ちゃんは私の服を着てお兄ちゃんからうっとり顔でベッドに押し倒されてるの?」
唖然とした表情で僕ら兄妹を見つめる小っちゃい方の妹―月火ちゃんが下したのは、果たして死刑判決だった。

「二人とも、ちょっとそのままの姿勢で待っててくれるかな?
すぐにコンビニ行って、千枚通しを買ってくるから」

コンビニに千枚通しは売っていないという火憐の的外れな呼び掛けも無視して、月火は階段を駆け下りていってしまった。


「ま、まあ、もし兄ちゃんがどーしてもって言うんなら、仕方ないから三本勝負にしてあげてもいいんだぞ」
「ほ、ほら、途中で月火ちゃんの邪魔が入ったし。
普通ああいうときはノーゲームじゃん。
そ、それに、月火ちゃんが帰ってくるまで時間を持て余すし、気散じに延長戦に付き合ってやってもいいんだぜ」

「じゃ、じゃあ……その、再戦を申し込んじゃおっ……かな?」


そんなわけで、今朝を境に、僕と火憐は少しだけ仲良くなったのだった。


☆☆☆☆☆☆☆


エロ物語、もとい、偽物語「つきひフェニックス」第1話の感想でした。

エンドカードはカントクさん。
火憐ちゃんの神原への尊敬の念と同じくらいボクはカントクさんを好きな訳ですが
このセリフ昨日の違う記事でも似たようなこと書いたなw
提供 カントク
だからこの提供文字が死ぬ程邪魔なんですけど。
女の子の下着を不自然に隠すスカート―通称ストレス布や、
局部に貼られた絆創膏ぐらい邪魔なんですけど。
(後者に関しては、完全に見えているより寧ろエロいということにも全肯定しますが)



『偽物語』公式サイト
http://www.nisemonogatari-anime.com/


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