僕は反応に戸惑う。
なんだろう。
ギャグパート終了の気配を感じる。
楽しい時間は終わりなのだろうか。
お遊びはここまでか。


約束を果たすのはなるべく早い方がいいだろうと、月火の千枚通しの魔手からなんとか命からがら逃れえた直後、
僕は神原の携帯へと電話をかけた。

「いや、阿々良木先輩。それは困るな」
「確かに私は阿良々木先輩の妹さんに会ってみたいと言ったことはあるけれど、それはあくまでも冗談として言ったわけであって、決して本気だったわけではないのだ」
「いや、だって阿良々木先輩」
「阿良々木先輩の心遣いは本当に嬉しいと思うけれど、でもだからって、妹さんの処女なんてもらえないよ」

誰がやるか!
お前にやるくらいだったら僕がもらうわ!

そんなわけで。
紆余曲折あった末、今日の正午過ぎに火憐を連れて行く約束を、僕は無事に取り付けたのだった。

「うむ。では服を着て待っている」
なんで基本全裸なんだよ!



「兄ちゃん兄ちゃん。ジャンケン必勝法って知ってるか?」
思いつきで卑怯な方法を考えた妹の顔面をぐーで殴り、反則負けとして僕は火憐ちゃんに肩車を命じた。

根性者の火憐は、言い換えればただのドMでもある。
罰則を受ける姿は何だか嬉しそうで、これではどっちが罰を受けているのかわからない状況だ。

ポニーテイルが邪魔になるからやめようと僕は言ったのだが、それに対して火憐はジャージのポケットから鍵を取り出した。
そしてバナナをむしるようなお気軽さで、ざっくりと自らの尻尾を切り落とした。

「いやあ、長ったらしくて手入れは大変だし、寝るとき面倒くせーし、起きたら起きたで寝グセだし、ずっとうざいと思ってたよ」
小学生の頃からポニテを我慢していた筋金入りのドMだった。



そうして、火憐ちゃんに肩車されて神原の家へ向かう途中。
郵便ポストの上に直立する京都弁の女性に話し掛けられた。

「そこな鬼畜なお兄やん―ちぃと訊きたいことがあるんやけど、かめへんかな?」
「何ゆうか、叡考塾ゆうとこ探しとんねんけど―おどれ、それどこにあるんか、知らんけ?」

「うちはの、影縫余弦ゆうねん―知らんかな?」
名乗り返した僕と火憐ちゃんに対し、彼女はこう続けた。
「鬼畜なお兄やんに―スズメバチの妹け。おもろいやん」
スズメバチ―つったか、今?

ま、まあ、それは終わったこととして置いといて、
僕は日本中にあるすべての学習塾の位置を把握していると言う驚異の女子へと、叡考塾の場所を訊いてみた。

じゃあ電話だ!
羽川さんに電話だ!
やったあ!


「何でもは知らないわよ。知ってることだけ」

とは言え、場所を聞いたら、なるほど僕も知っているはずだった。
それは、忍野が住んでいた廃ビルに入っていた学習塾だったのだ。


影縫さんが去り、それまで静かだった火憐ちゃんが口を開いた。
「なんか―すげえ強そうな人だなって思ってさ。構えちゃってた」
火憐の言う『強そう』とは、戦闘スキル的な意味合いでだよな?



その後、僕は火憐を無事に神原家まで送り届け、門のところで双方を双方に紹介したのだった。


変態と馬鹿を引き合わせて、逆立ちも肩車もなしで家路についたところで―僕は八九寺真宵を発見した。


やれやれ。
どうせみんな、ここで僕が喜び勇んで八九寺に飛び掛かるとでも思ってるんだろうな。
まだ僕の存在にまるで気付いていない、あの危機感がまったくない生まれたての小鹿みたいな少女に、後ろからしがみつきでもして、しこたま頬ずりでもすると、そんな風に思われちゃってるんだろうな。
いや、認めるよ。
確かに僕にはそういう時代もあった。
ありました。
でももう僕は大人だからね。
八九寺真宵という少女に対しては、何の興味も持っていないのだ。
まあまあ。
そうは言っても、逆に八九寺に対して興味を失っているからこそ、ここであえて無視する理由も特にないのかもしれないな。
無視なんかしたら、それは逆に、変に意識しているからだなんて、そんな厚かましくも図々しい勘違いをされる可能性があるじなないか。
それを思えば。
それを思えばだよ?
八九寺のことなんて意識していないというわかりやすい証明として、ここは軽く声を掛けておくというのが賢明な方策なのかもしれないなあ。
よしよし、そういう結論が出てしまったのなら僕ももう逆らうまい、まったくもってやぶさかじゃない。
早く家に帰って勉強しなくちゃ羽川に怒られちゃうんだけど、ほんの一分だけ、八九寺のために時間を使ってやるとするか。


さあ!
思い切りしがみつくぞ!
頬ずりするぞ!
触るぞ、揉むぞ!
心行くまで愛するぞ!
今日こそ僕は、八九寺を抱く!

「はちくじぃーーーーーーーーーー」

八九寺を襲おうとしていた僕を襲ったのは、影から手を伸ばして足を掴んだ忍だった。

僕の人生の最大目標を邪魔しやがって金髪金眼!!


「あのう―木々良々さん」
僕の名前をファンシーグッズのリトルツインスターズみたいに言い間違えるな。
「失礼。噛みました」
違う。わざとだ。
「はにかみました。えへっ!」
可愛すぎる!

メリもハリもない寸胴ボディだが、現在においてはあってないようなその胸の将来性に期待している。
僕は戦場ヶ原と付き合ってるし、羽川のことが大好きだけれど、結婚するならお前だと思ってるぜ。

僕の胸に溢れるこの情念を直に触ったり揉んだりして伝えられないかと悩んでいて、あまつさえ指をアマガミされて歓喜に打ち震えているところに、恐らくは影縫さんが言っていたであろう女の子に声をかけられた。

「ねえ、鬼のお兄ちゃん。知ってるんだったら教えてよ。
僕の知りたい道のこと―僕はキメ顔でそう言った」

「僕の名前は斧乃木余接―僕はキメ顔でそう言った」
口癖うぜえ。
そう言うからには、せめてキメ顔を見せろ。

僕は斧乃木ちゃんに、影縫さんと同じように、叡考塾への道のりを教えてやった。
「ふうん。そうか、ありがとう。助かったよ、鬼のお兄ちゃん、それに蝸牛のお嬢ちゃん―僕はキメ顔でそう言った」


あれ?
なんかおかしくねえ?

八九寺を蝸牛と言った斧乃木余接。
火憐をスズメバチと呼んだ影縫余弦。
そして。
鬼畜―鬼?血を吸う鬼…吸血鬼。

彼女たちは一体何者だ?
とりあえず今言えるのは、八九寺…
「お前に師匠なんかいねえよ」


☆☆☆☆☆☆☆


影縫余弦
新キャラその1。
うりょっちは奈良出身ですからね、関西弁(京都弁)も不自然には感じませんでした。


斧乃木余接
新キャラその2。
乾拭きさんの八九寺への愛と同じくらいボクははやみんが大好きなんですよ!!!―僕はキメ顔でそう言った。



残り話数と原作小説の消化具合を考えるに、前作『偽物語』と同じように、TV放送終了後のWEB配信は充分ありえると思います。

てゆーか、そうしないと、うりょっちとはやみんの出番少なすぎるだろ!
まあ、出番が少ないと言う意味では、はなざーさんなんて皆無と言ってもいいレベルのような気もしますがwww



『偽物語』公式サイト
http://www.nisemonogatari-anime.com/


よろしければ1クリックお願いします。
ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ