January 2006

January 28, 2006

映画「Philadelphia」

今日、1993年公開の映画「Philadelphia」を見ました。
トム・ハンクスがアカデミー賞主演男優賞を受賞した作品なので知っている方も多いと思います。エイズについて初めて取り上げた社会派作品!!

フィラデルフィア


この作品は公開当時一度見ているのですが、現在住んでいるフィラデルフィアの街がまさに舞台で知っている場所があちこち出てくるということで同じアパートの友人にDVDをお借りして再度見てみました。

いやー、確かに見慣れた光景があちこちに出てきてなんだか感慨深いですねー。映画も良くできているし、何よりトム・ハンクスの演技が素晴らしい!1回目みたときもかなり印象的でしたが、今回もなんだか色々考えさせられました。

そんな映画の中で印象に残った一言。
トム・ハンクス扮する弁護士アンドリューが本人尋問の中で語った弁護士になった理由。

「It's that every now and again - not often, but occasionally - you get to be a part of justice being done. That really is quite a thrill when that happens. 」

正義に対する貢献の仕方は色々あると思うけれど、ビジネス・ロイヤーであっても、どこかの部分で正義の一翼を担っていければなと、そう思った次第です。

日本に帰ったらまた頑張ろうっと。

p.s. ちなみに、フィリーでは、現在ロッキー6のロケ進行中らしく、スタローンを見たという幸運な日本人もいるらしいです。やはり美術館前に張り込むべきか?(笑)

hibiya_attorney at 16:19|PermalinkComments(2)TrackBack(0)clip!その他 

January 27, 2006

ライブドア事件雑感

かなり出遅れた感がありますが、ライブドア事件の検察の捜査方法その他についてちょっとした感想を。私、何気に特捜部による強制捜査にも公取による立入調査にも立ち会った経験があったりするので、そのときの経験も紹介しつつ。

1. 捜査手法について

まず、何故いきなり検察による強制捜査だったのか?というのが疑問です。何故証券取引等監視委員会による調査が先で、それから告発という流れにならなかったのでしょうか。今回の件はマスコミの煽り方がひどかったということもありましたが、とっかかりが特捜部による強制捜査ではなく証券取引等監視委員会による強制捜査(証取法211条)であれば、マーケットへのインパクトもこれほど強いものではなかったのではないかという気がします(実証されているわけではないですけど)。むしろ、通常はその流れのほうが普通だと思うので、このあたりに何か政治的意図を感じるのですが・・・。

2.強制捜査について

捜索・差押の時点で被疑事実が明らかにされないことや、一切合切の書類を差し押さえられてしまうと、被疑者としては防御のしようがないのではないかという点について少しばかり。

そもそも、捜索・差押令状の記載事項には被疑事実やその要旨は含まれておらず、重要なものでは罪名と捜索・差押の対象や場所が含まれているくらいです。これは被疑事実を明らかにすると、被疑者側に先回りして関係ありそうな証拠を隠滅される可能性が出てくるからということではないでしょうか。一切合切持って行かれたら罪証隠滅のおそれなんてないだろうと思われるかもしれませんが、このとき持ち帰った証拠を検討することにより、さらに他の場所を捜索する必要性が出てくるかもしれません。そのときに先回りされたら困るわけで・・・。

ちなみにこの捜索・差押の対象はこれでもかというくらい細かく拾われており(私が関与した事件ではA4の紙1頁にびっしり記載)、最後に「これらに関連する一切の物」というような包括的な記載があり、漏れがないように配慮されてます。

なお、私の経験では、検察は捜索・差押令状を提示はしますし、見たいといえば好きなだけ見せてくれますが、コピーは許してくれません。許さない理由は全く持って意味不明です。色々交渉してデジカメで撮影しようとしましたが、これもダメ。交渉のすえ手書きで写すことは許されましたが。だったらコピーさせろよとホントに思いました。このあたりのプラクティスは検察は改めるべきではないですかね。これは防御権を不当に奪っている気がします。

なお、捜索の様子をビデオカメラで撮影することについても立会事務官は非常に抵抗しましたが、電話で主任検事を話し合った結果(捜索の適法性を担保するためと説得)、許可が出ました。ただ、あくまでも捜索の邪魔にならないようにとのこと。

ところで、ホリエモンがPCのデータはコピーすることを許してくれたとブログで語っているそうですが、これには驚きました。書類のコピーはどうだったのでしょうか?私が立ち会った事件でもコピーは許されませんでした。ここでコピーを許してくれれば防御権も最大限保障されるのですが、コピーと称して重要証拠を隠滅されるおそれがある、かといって捜査員がいちいちコピーをとっている余裕はない、ということでダメなのでしょうね(ちなみに公取の立入調査の場合は、かなり渋ってましたが書類のコピーは許されました。)。

結局、「捜査の必要性」の前では、この段階での被疑者の防御権やビジネス活動への配慮というのは一歩後退してしまうということですね。以前、知り合いの刑事裁判官に「一切合切持って行かれるとビジネスに支障が出るし何とかならないのか」と聞いたところ、手段としては(仮)還付請求するしかなく、一旦没収されるのは容認せざるを得ないとのことでした。

被疑者が逮捕されれば被疑事実も明らかになるのだから、その後から本格的防御活動をすればいいじゃないか、ということでしょうか。被疑事実は明らかになっても持って行かれたものを取り返すことはほぼ不可能なんでしょうけれど。

正直、弁護人としては捜索・差押の段階ではできることはほとんど何もないというのが感想です。ただ、捜索に立ち会って「少しでも違法なことがあれば徹底的にやるよ」というプレッシャーを事務官にかけて適法性を担保することくらいはできますし、検察事務官も弁護人の立会いの際は警戒するので、企業の方々はどんな真夜中でも駆けつけてもらえるように顧問弁護士の携帯番号は必ずおさえておいたほうがいいと思います。

3.検察のマスコミの利用の仕方について

今回一番よろしくないなと思ったのは、検察が逮捕前にちょこちょこマスコミに違法行為を抽象的にリークしたことだと思います。

被疑者との刑事手続との関係では逮捕するまでは証拠隠滅の可能性もあるし被疑事実は告げないでおいて、本格的防御活動は逮捕後にさせればいいというスタンスだったのかもしれませんが、このような行為によりマーケットへ多大な影響を与えている以上、被疑会社には、マーケットへの説明という観点から実質的防御活動が保障されなければならないはずです。したがって、検察は抽象的にではなく具体的に被疑事実を被疑会社に知らせるべきでした。それができないのであれば抽象的に「風説の流布」、「偽計取引」などのキーワードのみを使用して徒にマーケットを動揺させるべきではなかったのではないでしょうか。

報道によれば、逮捕を早めたのは「経済の混乱を早期に収拾させたい」ということだったようですが、混乱に拍車をかけたのはこういった検察のマスコミへのゆがんだリークの仕方だったのだと思います。しかも、リークした情報の中には「これって違法?」と思われるようなことも多々。それをマスコミがこぞって「還流」とか「釣り上げ」といういかにも違法というような言葉を使って報道するものだから・・・。

特捜が動くということは立件確実なので、遅かれ早かれマーケットは混乱するよという反論が帰ってきそうですが、被疑企業も混乱を収拾するべくマーケットに対して説明する必要が出てくるわけですからね、タイミングについても配慮すべきかと。

検察と司法記者クラブの関係も何とかして欲しいですね。マスコミとしては検察からハブにされると困るということなんでしょうけど。

うーん、とりとめのないエントリーになってしまいましたが、思うところを率直に書いてみたのでご容赦を。

hibiya_attorney at 18:40|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!企業法務 

January 26, 2006

何でもかんでも

規制するのね。
消費者金融やキャッシング、借入総額に上限・金融庁検討(NIKKEI NETより)

最近の金融業界は規制緩和より規制強化の方向に転換したのでしょうか。
借入総額に上限なんて契約の自由への介入もいいところだと思うんですけど。それに上限を設けたって、他社から借入をするだけだし。消費者金融の世界では「LE件数」と言って他社から何件借入をしているのかを示す指標があります。複数の消費者金融から借入をしている債務者も既に珍しくないんですけど、その傾向が強くなるだけのような気が・・・。

金利もまた引き下げですか。
消費者金融会社が黒字を出しているからもっと引下げは可能だという判断なんでしょうかね。もっとリスクは取れるはずだろうと。

hibiya_attorney at 00:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!企業法務 

January 20, 2006

Spring Semester履修科目

Spring Semesterの履修科目が確定しました。
当初はこんな感じで意気込んでいたものの、その後の風邪で苦しんだこともあってこういう方針に変更に。

ところがケイマンでのバカンスで気力が充実してしまったためか(その割にはあんまり予習してなかったけど)、再びSecurities Regulationを取る気になってしまいました。しかし、2回出席した段階でDropを決断(英断!)。neon98さんが「Securities Regulation履修の薦め」というエントリーで履修を奨励しており、私もその趣旨には賛同するのですが泣く泣く落とすことに。授業はうわさ通り非常にオーガナイズされていて教授の教え方も素晴らしいと思ったのですが、‐攘凜蹈ぅ筺爾任發覆い里33年法の原則と例外規定を細かく追って覚える作業はかなりつらいこと(これが半分)、興味のあるProxyやTOBは全体の3分の1程度を占めるに過ぎず、これらはコーポレーションである程度やっているしM&Aの授業で扱う際にも独学で勉強すれば足りること、これらを考慮すると、他の科目への影響を顧みずにMidtermとFinalと8回のAssignment提出をこなすのは合理的でないこと、からドロップしたのでした。ちゃんと教科書は維持してますけどね。

Valuationのゼミもやはりコーポレートファイナンスの知識が必須ということですが、コーポレートファイナンスとValuationの並行履修もヘビーだろうということで回避。コーポレートファイナンスの勉強がゼミの進行に間に合わないだろうと冷静に判断してみました。このゼミはデラウェアのVice ChancellorであるLeo E. Strine, Jr.がPennの教授と共同で担当しており、ゲストとしてSimpson ThacherやSkadden Arpsの弁護士も招待される予定だったことを考えるとこれもほんとに名残惜しかったです。

しかし、そもそも秋学期は15単位も履修してしまったために各科目にじっくり取り組むことができず、英語力自体も磨くことができなかったということを忘れてはいけないと思い返し、負担が重い科目は落とすという英断(結構時間がかかりました、これは)。学期初めでやる気が溢れているが故に目標を見誤ってはいけないということです。ということでコーポレートファイナンスは研修中か日本に帰ってから独学ですかね。

その代わりに取ったのが、Corporationと同じSkeel教授によるCommercial Credit II(Chapter7を中心とする倒産法)とIRS勤務のTax AttorneyであるFrank教授によるInternational Taxationを履修することに決めました。

倒産法は、手続法はともかく実体法を一応学んでおくことは意味があるかなということで。International TaxationはもちろんUS法を扱うのですが、大枠は日本と大体同じであろうということ(知らないけど)とアメリカ企業の日本へのInboud案件では役に立つかと思い履修することに。

驚いたことにInternational Taxationのクラスは8人しかおらず、そのうち4人が日本人LLM。Pennの学生ももうちょっとTaxに興味をもったほうがいいのではないかなぁ。おかげさまで授業中に質問しやすく楽しい授業になりそうなのでいいのですが。

ほんとは最低の9単位にして楽しようかと思ったんですけど、4科目12単位にしてしまうあたり真面目だなぁ、オレ。単に貧乏性なだけかもしれないけど(笑)。

ついでに英語力向上ということで週2回英会話のクラスにも通うことにしました。ということでそこそこ忙しいSemesterになるのではないでしょうか。

<追記>
ホントはSecuritizationと倒産法を取扱ってくれるような授業をとりたかったのですが、なかったですね。昨日のCommericial Credit IIの授業でほんの少しだけSecuritizationを取り扱いましたが、さすがに浅すぎ。


hibiya_attorney at 16:46|PermalinkComments(2)TrackBack(0)clip!ロースクール 

January 18, 2006

ライブドアの強制捜査(続報)

毎日新聞の記事に本件の事実関係が詳細に記載されています。

これによれば、
1.バリュークリック社とマネーライフ社との間で株式交換は実施されている。
2.株式交換後にバリュークリック社は株式分割を実施。
3.これによりバリュークリック社の株価が高騰。
4.マネーライフ社の株主たるVMLA2号投資事業組合は株式交換により取得したバリュークリック社株式を海外ファンドに8億円余で売却。
5.VMLA2号投資事業組合が上記売却により得た収益約6億円がライブドアに還流。
ということのようです。

記事の途中で「4カ月後の同年10月25日、ライブドアの関連会社「ライブドアマーケティング」(LDM、当時バリュークリックジャパン)が、既に実質ライブドアの傘下だったマネーライフを「子会社化する」と虚偽の発表をした。」と「虚偽の発表」という言葉が出てきますが、記事全体からすると株式交換は実施されているのだから虚偽ではないと思います。

そもそもちょっと前から気になっていたのですが、プレスリリースの主体はバリュークリック社であってライブドアではありません。そうすると、マネーライフ社はバリュークリック社の親会社たるライブドアの実質的支配下にあったとしても、バリュークリック社の子会社ではないのだから、「株式交換により完全子会社化する」というプレスリリースは何ら虚偽ではないのではないでしょうか。このあたりの「虚偽」という言葉をどういう意図で使っているのかを説明して欲しいものです。

いずれにしても記事によれば、特捜部は「既にマネーライフが実質ライブドア傘下だったことを隠してLDM側が「株式交換し、子会社化する」と発表したことが同法(注:証券取引法)違反の偽計に当たると判断している」とのことですが、そうすると、やはり論点は「偽計」の概念に積極的開示義務が含まれるかということになりそうですね。過去に判例があるのかどうかも知らないのですが、私の感覚からすると少なくとも本件では否定されるべきだと思うのですが、どうでしょう?

ただ、特捜部がこれだけ大々的に動くということは立件可能な証拠が集まっているはずなのですが、まさか、別で話題になっている粉飾決算のほうは立件確実だから、最悪そちらだけでも立件することにして、この偽計のほうはSEC・検察が新たな判例をつくって証券取引規制範囲を強化したいからトライしてみた、ということはないでしょうね?

あと、捜査の端緒が知りたいですねぇ。ライブドアが企業買収をてこに拡大しているのを気に入らない連中がいて、あら捜しをしていたのではないでしょうか。内部告発とも言われてますが、非公式に捜査官の方から接触したのではないかという気もします。オー怖い。

最後に、別の報道によれば堀江社長は宮内取締役の辞任を否定したそうですが、これはライブドアが顧問弁護士と相談して十分戦えると判断したからなのでしょうか。今後も要注目。本件が気になってロースクールの予習どころじゃありません。

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January 17, 2006

会社法施行規則(案)のパブリックコメント

ちょっと前の話になるのですが、会社法施行規則(案)について早稲田大学の教授陣が意見書を提出しているみたいですね。

内容を少し読んでみるとかなり痛烈に批判していますね。「法務省令のあり方に対する意見」というタイトルの下、法務省の姿勢に対してまで意見しており、中でも、

「‐蔑瓩竜定内容について、会社法が委任している事項と各省令の規定内容との関係を厳密に精査し、会社法の省令委任規定に照合しない提案を削除して学説の動向に委ねる等の禁欲的な姿勢を保持すべきである。

△泙唇豸委任規定に照合するかに見えて、従来の一般的な理解と異なる見解を前提にして法務省令が作成されるようなことがあってはならない。この点も十分に精査されるべきである。

3慇眈綢侘のある問題について、法務省令が安易に決着を付けるという姿勢を有するべきではない。法務省令案は、従来の学説の対立を深いレベルで理解し咀嚼した上で提案されていないのではないかと思われる点も存在する。この点も法務省令案の確定に際して特に心すべき問題点である。

げ饉卷,北榲規定はないのであるから、法務省令に目的規定を設ける必要はない。法務省令は会社法の特定の規定に存在する委任規定ごとに淡々と規定すれば足りるものである。とりわけ業務の適正確保省令案1条・3条は、会社法の目的とは何かという深遠な問題に、法務省令レベルで決着をつけようという僭越な規定であり、法務省令案の策定姿勢自体に疑念を生ぜしめるものといえる。」と批判している点がとても興味深いです(意見書2頁)。

各論においても、「法務省令委任事項を逸脱した規定である」(意見書4頁)や、「株主の議決権行使の代理人の資格制限については少なくとも定款の定めを要するとする現在の判例法理を超えており、会社法310条の司法解釈を変更するものである。また、そもそも定款で議決権行使の代理人資格を制限できるかどうかについては、学説上の激しい対立があり、法務省令でそうした問題に決着を付けようとする姿勢自体が、法務省令策定者としての分を超えている。」、「本号は会社法による省令委任の範囲をまったく逸脱するものという以上に、省令委任なしに規定されたものであり、憲法違反の恐れすらありうる規定として、直ちに削除されるべきである」(意見書8、9頁)など、かなり厳しい批判をしています。その他も多数。

私自身はまだ施行規則案に目を通すことさえもできてないのですが、先日のエントリーでも紹介しましたが、最高裁が貸金業法施行規則15条2項は法律の委任の範囲を超えており無効としたばかりですし、委任の範囲については慎重に検討すべきでしょう。会社法施行規則が無効と判断された場合には実務に影響が大きすぎますし。

ちなみに日弁連の意見書も同じスタンスのようで、「法の委任の範囲を超えていると考えられる部分が見受けられ、さらに各法務省令案には精神規定あるいは訓示規定と見られるべき規定が多数混在しており、あたかも法律案のごとき内容となっている。法務省令は法律の授権の範囲内でのみ規定しうるのであって、その範囲を逸脱する場合には憲法第41条に反する疑いがある。」と手厳しいです(意見書1頁)。

しかし、これらの意見書の厳しい内容には少なからず法務省立法担当者が執筆した解説書「新・会社法 100問」やブログが間接的に影響している気がしてなりません(真実は知りませんが)。

新・会社法 100問


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ライブドアの強制捜査

証券取引法違反の疑いでライブドアに強制捜査が入ったということで昨日から日本は大変な騒ぎになっているようですね。こちらではネットでしか情報が分からないのですが、報道が錯綜しておりいまひとつ被疑事実がよく分かりません。

asahi.comの記事によれば、
「調べでは、同社は「バリュークリックジャパン」という社名だった04年10月25日、出版社「マネーライフ」社を株式交換の形で完全子会社にすると発表した。しかし、マネー社はライブドア本体が同年6月、別の投資ファンドに買収資金を出す形で事実上買収済みだったという。バリュー社はこうした事実を隠し、ライブドアグループとして新たにマネー社を買収したかのように装った疑いが持たれている。特捜部は新事業などでバリュー社の企業価値を高め、同社株の価格をつり上げるための偽計取引だったとみている。」と報道されています。

この報道からすると、バリュークリック社の2004年10月25日付プレスリリースが不正確であった、すなわち、マネーライフ社は投資ファンドを通じてライブドアが実施的に買収済みであったという事実を積極的に開示していなかったことを問題にしているように読めます。そうだとすると、各報道において「風説の流布」、「偽計」という用語がとびかっているので、検察が視野に入れている罰条は証券取引法158条ということを前提とすると、158条との関係で積極的開示義務違反という不作為が対象となるのかが注目されます。コンメンタールも基本書も手元にないので直感なのですが、これは厳しくないでしょうかね。リリースしている内容に誤った事実は記載されてないのですから。むしろ157条2号?このあたりは土地勘がないので調べてみないとちょいと分かりません。

他方、NIKKEI NETの記事では、
「調べによると、東証マザーズ上場の関連会社、ライブドアマーケティング(当時バリュークリックジャパン)は04年10月、出版業のマネーライフ社を株式交換で買収すると公表。しかし、実際には公表前に買収先企業の株主に現金を渡して事実上、傘下に収めており、開示した内容が虚偽だった疑いが持たれている。」と報道されています。

NIKKEI NETの記事によれば、バリュークリック社が2004年10月25日付プレスリリースで株式交換を発表しているにもかかわらず、同社は実際には株式交換を実際には行わなかったことを問題にしているかのように読めます。同社は、その後「ライブドア、本体でも株式交換偽装か」という見出しの記事も配信していることからすると、株式交換とプレスリリースしながら株式交換ではない手法で買収を行ったということなのでしょうか。この場合は発表している内容が事実ではないということで「偽計」なのでしょうね。

いずれにしても正確な事実関係が分かるまではなんともコメントしようがないのでしばらく静観しようと思いますが、特捜部が強制捜査に乗り出した以上、検察は確実なものを既におさえているのでしょうね。株価への影響を考えたときに安易な強制捜査はできませんから。それにしてもマスコミも被疑事実が何であるかをもう少し正確に掴んで欲しいと思うのは僕だけでしょうか

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January 14, 2006

制限超過利息の期限の利益喪失約款とみなし弁済規定

また消費者金融業界にインパクトを与える最高裁判決が出た。
平成18年1月13日 第二小法廷判決 平成16年(受)第1518号貸金請求事件

ということで、今日は同じアパートの友人宅で楽しく焼酎を飲みつつDVD鑑賞&友人の奥様方2人にプロ級のマッサージを受けて(ありがとう!!)超リラックスモードになって帰宅したにもかかわらず、結構インパクトが大きそうなのでちょいとエントリーしてみます(後日判決をしっかり読んだ後で変更するかもしれませんが)。

判決のポイントは3点。
1つ目は、貸金業法第18条書面の記載事項について定める内閣府令である施行規則第15条2項を法律の委任の範囲を超えるものであり無効であるとしたこと。
2つ目は、期限の利益喪失約款のうち利息制限法所定の制限超過部分の支払を怠った場合に期限の利益を喪失するとする部分は無効であり、債務者は、支払期日に約定の元本及び利息の制限額を支払いさえすれば、制限超過部分の支払を怠ったとしても期限の利益を喪失することはなく、支払期日に約定の元本又は利息の制限額の支払を怠った場合に限り、期限の利益を喪失するとの判断を示したこと。
3つ目は、利息制限法所定の制限超過部分の利息の支払いを怠った場合にも期限の利益を喪失する旨の特約が存在する場合には、債務者の制限超過部分の支払いは、特段の事情のない限り、自己の自由な意思に基づくものではないとの判断を示したこと。

まず、1つ目。貸金業法施行規則第15条2項は、「貸金業者は,法第18条第1項の規定により交付すべき書面を作成するときは,当該弁済を受けた債権に係る貸付けの契約を契約番号その他により明示することをもって,同項第1号から第3号まで並びに前項第2号及び第3号に掲げる事項の記載に代えることができる。」と規定していますが、貸金業法第18条1項6号は、18条書面の記載事項について「前各号に掲げるもののほか,内閣府令で定める事項」と規定しているにすぎないのですから、施行規則第15条2項が貸金業法第18条1項1号乃至3号に代わる記載事項を定めたのは、省令への委任の範囲を逸脱するものです。したがって、この点に関する最高裁の判断は至極当然ということになるでしょう。

次に2つ目と3つ目。この点のインパクトは大きいと思われます。最高裁は、制限超過部分の利息支払の懈怠に関する期限の利益喪失約款が無効であることの根拠として、当該約款の存在自体が利息制限法により支払義務を負わない部分の支払を強制する結果となることを挙げています。この点については、その後貸金業法第43条の適用によりグレーゾーンインタレストの受領が有効になったとしても(すなわち弁済を強制してなかったと個別具体的に判断されたとしても)影響を受けず、絶対的に無効と解しているように思われます。最高裁は、貸金業法43条の「みなし弁済」との関係については、債務者に、支払期日に約定の元本と共に制限超過部分を含む約定利息を支払わない限り期限の利益を喪失し、残元本全額を直ちに一括して支払い、これに対する遅延損害金を支払うべき義務を負うことになるとの誤解が生じなかったといえるような「特別の事情」がある場合には、その適用可能性を認めているものの、その立証責任は貸金業者側にあるため貸金業法43条が適用される場面はかなり限定されることになるでしょう。

みなし弁済規定との関係を考えると、最高裁の考え方は至極納得がいくものだと思います。みなし弁済規定が「債務者の任意の支払」を要件としている以上、本判決のように考えるのも仕方ないように思われます。

しかしながら、他方で利息制限法所定の制限利率を超過する利率での貸付は実務上とても需要が大きいものです。消費者金融会社は銀行が与信しないような者に対しても与信しますが、当然そのような者に対しては貸倒リスクが高いため利率を高く設定しなければビジネスとして成り立ちません。本判決の制限超過部分の利息の支払いを怠った場合に過ぎない場合は期限の利益を喪失しない旨の判断は、貸金業者から制限超過部分の利息を債務者に支払わせるための有効な手段を奪ったといいうるものです。貸倒リスク等を考慮して設定された経済合理性に適う利率が利息制限法所定の制限利率を超過する場合に、回収手段として有効な期限の利益喪失約款が無効とされたのではビジネスに多大な影響が出るのは間違いないでしょう。いずれにしても、実務としては、貸金業法43条の恩恵を確保するべく、一刻も早く期限の利益喪失約款に利息制限法所定の制限利率で計算した場合の利息の支払いを怠った場合に限定される旨を明記せざるを得ないと思われます。

本判決は、近年の貸金業法43条のみなし弁済はあくまでも例外中の例外規定であるという最高裁の立場を改めて明確にしたものといえそうです。しかし、こうなってくると現在の利息制限法上の制限利息が現在の実務に照らして妥当であるか否かの検証作業も必要になってくると思われます。


hibiya_attorney at 18:44|PermalinkComments(2)TrackBack(0)clip!企業法務 | 裁判

January 09, 2006

NDA

今日から春学期がスタートした。月曜日はM&Aの講義とIP Transactionのセミナーの2つ。IP Transactionは夜7時から9時までの2時間。というのも以前も紹介した講師の弁護士がNYのLaw FirmからAmtrak(アメリカの新幹線のようなもの。新幹線には到底及ばないとんでもない代物だけど)に乗ってフィリーまで駆けつけるため。

このセミナーは14名でLLMがうち6名程度。人数として適正で講師のJacoby弁護士もとても気さくで熱心でいい人そう。質問はいつでもしてくれ、携帯にかけてくれてもかまわないとのこと。この際、しっかり予習して不明な点はバンバン質問して、日本で取扱ってきた実務について、欠落していた部分などを補ってある程度の完成形にしてしまおう。

で、初回に扱ったテーマは、Transactionの基本中の基本であるNon-Disclosure Agreement。いやぁ、それでも知らないことがありました。アサインメントでとある論文を読んでいたら、Confidential Informationの定義の例外規定としての"Information that is or becomes publicly available other than through acts by the interested party or by its representatives in violation of the agreement"の解説の中で、interested party(ここでは情報受領者のこと)は、"public domain"という用語より"publicly available"という用語を使用することが肝要であると書かれていました。その理由は、public domainというのは法律上の使用権原を示唆するものであるからということでした。むー、確かにそういわれてみると、publid domainのほうがpublicly availableより範囲が狭いように思われますが、今までNDAをレビューしてきたときにここまで厳密にチェックはできてなかったなと思います。

正直なところ、今までは、英語についてはネイティブではないということで、各条項の意味を抑えるレベルにとどまり各類義語の厳密な意味の違いまでは追い求められてなかったですね。せっかくこのセミナーで色々聞ける環境にいるのだから、この姿勢を反省し、これを機にあらゆることについて質問しちゃいましょう。

やはり法律家たるもの、1つの用語にも徹底的にこだわる姿勢が必要なのだと思いました。

January 05, 2006

Maples & Calder

ファイナンス・ロイヤーの皆様、お待たせしました。今日はケイマン諸島で随一の名声を誇る法律事務所Maples & Calderのオフィスについての報告です。贅沢に写真4枚もアップしちゃいます。クリックすれば拡大されますので是非クリックしてくださいませ。

Maples & Calder Office 1Maples & Calder Office 2






Maples & Calder Office 3






Maples & Calder Office 4 オフィスは緑を基調とした建物でおよそオフィスらしくありません(笑)。オフィスの周りはヤシの木で囲まれておりこれがまたリゾートムードを高めています。オフィスのあるサウスチャーチストリートは海沿いを走る道路で、ジョージタウンの中心地に近い超一等地。その先は庭先が色とりどりの美しい花で彩られた超大豪邸が並ぶ高級住宅街。行くまで知らなかったのですが、ケイマンは高級リゾート地として有名らしく、物価も異常に高いです。そんな物価の中、Maplesの弁護士はもしかするとあの大豪邸に住んでいるのだろうかと思うとなんだか羨ましくなりました。

ちなみにMaplesのオフィスに行ったのは1月4日でしたが、かなり頻繁に車が入ってきてましたし、翌1月5日の午後7時過ぎにオフィスの前を通ったときは明かりがついていたので一応ちゃんと仕事をしているようです(笑)。

それにしても大きなオフィスですねぇ、リゾート仕様なのに。こんなにスペースが必要なのかしら?とも思ったけれど、ほとんどは各SPCの書類置き場と化しているのでしょう。ケイマンには貸倉庫とかなさそうですし。

グランドケイマンをドライブしていたら、UBSの支店もありました。UBSでは「君はこの3年間よく頑張ってくれたから1年間ケイマンでゆっくり羽を伸ばしたまえ」みたいな人事があるのでしょうか(笑)。給料をもらってのケイマン生活は最高に違いありません

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January 01, 2006

謹賀新年

あけましておめでとうございます。
試験が終わってからもブログの更新を完全に怠っていました。まぁ、気分屋なので仕方ないのですが・・・。今年のお正月はケイマン諸島で過ごしています。ケイマン、素晴らしい!まさにカリビアンブルーという色の綺麗な海、どこまでも続く白い砂浜、空は青く澄み渡り、雲は夏らしい入道雲。いやー、やはり休暇はリゾートですなぁ。

Cayman IslandsSeven Mile Beachしかしながら、私、失態をやらかしました。年越直前にホテルのバーで頼んだカクテルでお腹を冷やしたらしく年越の瞬間はトイレの個室の中・・・。私の計算では3分前くらいにトイレから出たつもりなのですが、スピードマスターが5分以上遅れていたようで。おかげさまでカウントダウンには参加できず。かろうじて花火はちょこっと見ることが出来ましたが・・・。時計は日本製のほうがいいかもしれませんねぇ。

ということで冴えないスタートですが、今年もよろしくお願いします。試験後の生活についてはそのうち徐々に(バックデートで)アップしていく予定。あくまでも予定ですが。


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