March 2007

March 25, 2007

つれづれなるままに近況

だいぶご無沙汰していますが、最近はとにかく公私ともに忙しい状況が続いています。この3月は初の休日出勤も経験し、明日も休日出勤しないといけません。この1週間は平日も夜9時から11時くらいまで働いており、多少は日本復帰に向けてのリハビリになっているのかなと。まあ日本ではこんなものでは済まないですが。

日経とか見ると、関与しているファンドのニュースとかがしっかり出ていますね。見ているとこちらのファンドも日本や中国の不動産を重点地域として投資しているファンドが多いです。まったく日本法が絡まない案件でも、最近はRevolving Credit Facility Agreementのドラフトを担当させてもらっています。やはり契約書は本体だけで100頁くらいになるのでスケジュールがタイトだと本当に大変ですね。ドラフトし終わっても、疲れた頭でプルーフリードする気にはまったくなれません(涙)

こちらでは残業することはまずないだろうと思って、木曜日や金曜日には結構予定を入れていたので、それをドタキャンしなくていいようにするのも大変です。ここまで忙しくなってくると週末の予定も死守しなくては。でも来週のオースティン、サンアントニオ行きは怪しくなってきました。

今日は事務所のパートナーとシニアアソシエイトとオフィシャルなディナーがあって、La Duni Latin Kitchen Baking & Studio(4264 Oak Lawn Highland Park, TX 75219,214.520.6888 )というキューバ料理のレストランに行ってきました。ここはお勧め。デザートもワンダホー!

シニアアソシエイトの奥さんがとても美しかったです。まあ旦那もハリウッド俳優並みの美男子なのでお似合いのカップルです。夫婦共々カラオケ好きらしいので今度一緒にカラオケに行くことになりました。

余談ですが、ダラスは美人が多いです。この話をNYの友人(日本人じゃないです)とかにしてみると有名な話のようで「それは聞いたことがある」と言っていました。渉外弁護士の皆さん、SMUあたりに留学するのもお勧めかと思いますよ(笑)。裁判官は昔からSMUに留学しているらしく、私が東京地裁で修習していたときに名物刑事部部総括もはるか昔にSMUに留学していたそうです。SMUは超お金持ちが通うというイメージですね。学生のくせに皆さんアウディとかベンツ乗り回している気がします。

ここダラスではとにかく交流の範囲がどんどん広がっていきます。Barで交流の輪が広がることもしばしば。あと半年しかないというのもなんだかもったいない気がします。日本もこういう交流の仕方が広がればもっと楽しいのではないかなぁと。

今の事務所はその気になればPermanentベースで採用してくれるらしいのですが、日本の事務所との関係もありそういうわけにはいかないんですよねぇ。

March 18, 2007

ホリエモン判決の感想

有罪は予想していましたけれど、実刑というのは重い気がしますね。株価が急落して個人投資家が被害を被った点を重視したのでしょう。

裁判所は、宮内が中心になって錬金術を進めたという事実認定したという報道もありましたが、そうだとすると1週間後に予定されている宮内氏も実刑判決になるのでしょう。これで宮内氏に執行猶予がつくようだと、実刑と執行猶予の差はまさに否認料ということになってしまいますので。いずれにしても以前のエントリー「富山の冤罪事件について考える」でも指摘した否認料の実務は変更すべきです。この点をもって「反省がない」として量刑を重くする方向にするのは何か違う気がします。

あとは、ちょっと裁判終盤になってホリエモンがマスコミに出て、偉そうに主張していた点や、被告人質問での対応が横柄に見えるところが悪印象に映り裁判官の心証に影響するのではないかとは思っていました(この点は弁護人が止めるべきだった)。でも事件担当裁判官は、当然事件に関するマスコミ報道には接してないのですよね?

しかし、株価が急落したという点も、これも以前のエントリー「ライブドア事件雑感」で指摘した検察の捜査手法やマスコミによる過熱報道によるところもあるわけだし(検察はそのときはもっと大きな事件の構図を描いていたようですが、結局これだけしか出てこないことが分かっていたとしたらあのような捜査手法はとらなかったでしょう)、なかなか厳しい判決ですね。

ところで自社株売却益の点は、会計計上すべき科目が違うだけで、キャッシュの裏づけはある点で、他の粉飾よりは悪質性が低いと思うのですがこの点は量刑上どう反映されたのでしょうか。投資事業組合を使ってキャッシュを稼ぐという手法自体は悪質性があるとは思うのですが、問題になっているのは有価証券報告書の虚偽記載ですので、粉飾という観点では、「ないものをある」と装うよりはましなのではないかという考え方も成り立つのかなと思いますし。

まあ、判決を読んだら「なるほど」と納得するのかもしれませんので、判決が公表されることを望みます。

hibiya_attorney at 00:29|PermalinkComments(2)TrackBack(1)clip!裁判 

March 15, 2007

It's a small world!

今日は、月に1度の日本語・日本文化に興味のある人たちの会合でした。私は英会話を練習すべくそこに通っているのです、今日そこで出会った日本に15年住んでいたことがあるというアメリカ人。なんと、今は違う事務所に所属していますが、私の弁護士としての師匠を知っている人。というか、その人の働いている会社は、その師匠のクライアントで、私も師匠と共にそのクライアントにリーガルアドバイスをしていました。その人に日本で仕事しているときに会ったことはなかったのですが、当然共通の知人がいることが判明。

まさか、このダラスでそんな人と出会うとは。でも、実はその会社の本社はダラス近郊らしいのです。いやーびっくりだ。世間は狭い。



March 14, 2007

Private Equity Fundの組成とTax

これまでのCredit Facilityで取り扱った案件を見る限り、Private Equity FirmのVehicleとして、通常はLimited Patnershipを使う。このLimited Partnershipをどこで形成するかについては、Legalな使い勝手の良さというよりは、むしろTaxが多いに影響する。

これまで見てきた中では、Delaware, Cayman Islands, English、そしてCanadianがあった。ここで考慮しなくてはならないTaxというのはFundの投資家レベルでの話。この投資家は、US Investor, Non-US Investor、US Tax Exempted Entityに分けてそれぞれTaxの影響を考慮する必要がある。

例えば、US Tax Exempted Entity。これらは基本的にはその所得については非課税なのだが、UBTI(Unrelated Business Tax Income)については課税される。したがって、これらのEntityとしては、FundがUBTIを生まないようにしてもらいたい。ここでUBTIは配当や利子などの所得を含まないとされているため、UBTIを避けるために、これらのEntityはFeeder Vehicleと呼ばれる別途のファンドを媒介して当初のファンドに出資する。このFeeder Vehicleは通常海外籍のものを用いることが多いようだが、USのFederal Income Taxとの関係でCorporation扱いすることができれば何でもいいはず(だと思う)。何故なら、そうすることによって当初のファンドの投資活動から生じた所得はFeeder Vehicleから当該Tax Exempted Entityへは配当という形で渡ることになるためである。したがって、この場合UBTIを回避することができ、当該Entityは非課税のまま。

また、ファンドの投資対象となるポートフォリオカンパニーが外国会社である場合には、US InvestorにとってはSubpart Fに注意する必要がある。すなわち、ポートフォリオカンパニーがControlled Foreign Corporation("CFC")の要件を満たす場合には、CFCが配当をしてなくてもSubpart F Incomeについてはすぐに配当を行ったとみなされてUSで課税されてしまう。そこでポートフォリオカンパニーがCFCになりにくいように、Alternative VehicleとしてParallel FundをCayman Islandsなどで組成してそこから投資する。

このようにFundの組成については、去年ロースクールで学んだInternational Taxationの知識が生かされるので非常に面白い。Non-US Investorの場合はTaxが課されなくともIRSへの報告義務を避けるという需要もあるようだ。まだまだ研究段階なので、各ストラクチャーについてしっかり検証して物にしていこうと思う。租税条約もカバーしなくちゃね。

hibiya_attorney at 12:41|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!米国法 | 企業法務

March 11, 2007

Albanyのホテル Morgan State House

3月初旬に、所用でニューヨーク州の州都Albanyに行ってきました。所用というのは、ニューヨーク州弁護士会登録のためのインタビューと宣誓式です。

が、どうやら1月に行われるのとは異なり、全然盛大じゃないし厳かでもないし、感動なんて全くありません。インタビューも、「ダラスでは何やっているの?」とか「何故NY Barなの?」とかほとんど雑談のようなもので、このインタビューで登録拒否された人はいるのか?というような感じでした。こちらは仕事休んで、交通費も結構かかっているんですけど。せめてもう少しインフラの整ったところでやって欲しい(後述のとおりこの日はタクシーで苦労します)。

Morgan State Houseということで宣誓式については特に感動もなかったので、この辺で終わりにして、Albanyで泊まったホテルについてご紹介。

私と妻が宿泊したのは、Morgan State House。なんだかどっかの金融機関の関連ホテルかと思わせるような名前です(笑)。宣誓式の会場であるEmpire State Plazaまで4ブロック、徒歩10分くらいということで便利です。

ほんとは日本人の間で出回っている他のメジャーなホテルに泊まろうと思っていたのですが、あいにくどこもいっぱいで郊外のホテルしか空いてなかったのです。で、ネットでダウンタウンのホテルを探しに探してこのホテルに巡り合いました。でも、結果的には正解。

Dining RoomMorgan State HouseはHPにあるように19世紀後半のヨーロッパ調のホテルです。入り口を入ると暖かい暖炉が迎えてくれます。左側の写真はホテル1階のダイニングで、奥にはリビングが見えます。このことからもお分かりのように、どちらかというと普通のホテルというよりはペンションのような感じです。

ちなみに、ホテルの従業員のサービス精神は結構感動ものです。そのうちの一人はアートの勉強をしていると言っていたのでアルバイトなのかもしれませんが、アメリカ人でここまでケアしてくれるなんてというくらい尽くしてくれました。

この日はタクシーが全然捕まらず、この人に呼んでもらったのですが、この人は複数のタクシー会社に連絡してくれたうえ、それでも全然タクシーが来ないとみるとすぐにリマインドの電話を自主的にしてくれ、さらには、このままでは間に合わないだろうと判断すると、他の従業員に車で会場まで送るよう依頼してくれたのでした。すばらしい!!(4ブロックなのだから歩けよ、という突っ込みがあるかもしれませんが、この日は結構ひどい雨が降っていて、道は雪が積もっていて足元が悪く、おまけに傘は1本しかないという状態だったのです)。

Bedroom部屋はこんな感じ。手前側にはゆったりとしたソファが2脚と小さなサイドテーブルがあります。ホテルは古いのでバスルームは今ひとつです。

ホテルを出入りする際に、いちいち自分で鍵を閉めないといけなかったり、5時以降にチェックインするときはタクシーの中から電話しないといけなかったりとちょこっと面倒なこともあるので、司法試験を受けるときの宿泊先としてはお勧めできませんが、雰囲気もいいので宣誓式のときはお勧めです。HPに各部屋の写真が載っていますが、135ドルの部屋で2人には十分でした。

ちなみに、この日は本当にタクシーが捕まらず、帰りにアムトラックの駅まで行くのに捕まえたタクシーの運転手にどうなってるのか聞いたら、「いやー、実は昨日が多くのタクシードライバーのライセンスの満了日だったんだけど、交通違反歴が悪くてライセンス更新できなかった奴らが多くてね、ハッハッハ」と言ってました。おいおい。

hibiya_attorney at 10:44|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!旅行 

March 10, 2007

そりゃ知事が泣きますよ

愛媛県教育会、著作権法に違反か 教科書から無断使用(Asahi.com)

これは知事が泣きますね(笑)。
え、何でかって?
愛媛県知事は、かの有名な著作権法逐条講義を執筆されている、かの加戸守行さんだからです。彼が現行著作権法の草稿執筆者とまでは知りませんでしたが、知事としてみれば「おいおい、頼むよ」という気持ちでしょう。

著作権法逐条講義

それにしても知事になった後も、ちゃんと逐条講義を改訂しているなんてすごいですねぇ。でも、これ高すぎ。1万5000円って、どうなのよ。弁護士1年目のときに思い切って買いましたが、改訂される度に購入するのはちょっと躊躇しますよねぇ。しかも著作権法は改正多いし。

hibiya_attorney at 14:27|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!企業法務 

March 09, 2007

白い巨塔と弁護士業務

数年前にフジテレビ系で放送された白い巨塔に以下のような場面があります。以下、里見は内科助教授で江口洋介、財前は外科助教授で唐沢俊明です。

里見:なぜオペをすれば大丈夫と断言した、転移が分からない段階で無責任じゃないか。
財前:転移の可能性は極めて低い、そもそも直せないかもしれないなんて言ってる医者に自分の命を預ける患者がいるのか?
   現に彼女は僕の言葉によって癌を受け入れた、そして手術を受ける勇気を持てたじゃないか。
   インフォームドコンセントだなんだと専門的な言葉を並べて患者に媚を売るより、絶対に大丈夫という強い一言の方が患者は安心するものだ。じゃ。
里見:医者は神様じゃない、患者と同じ人間だ。
財前:青臭い議論はやめよう、それより治療を急いだ方がいい、違うか。オペルームを確保して連絡するよ。

まあ、あり得るリスクや取りうる選択肢を全く説明しないのはどうかと思いますが、「絶対に大丈夫という強い一言の方が安心する」というところは、紛争解決型の弁護士業務(紛争ないし法律問題=病気と見れば類似のシチュエーション)では同じことがいえる気がします。「いやー、これは厳しいですね。うーん…」なんて言っている弁護士を見ると依頼者は皆不安になってしまうでしょう。それよりは「分かりました。任せてください。何とかやってみましょう」と言ってくれる弁護士のほうがどれだけ心強いことか。

困って助けを求めてきた依頼者を一安心させるということも弁護士の役割の1つかと思います。周りを見ていると、やはり自信満々な、あるいはどんなときも前向きな弁護士の方が圧倒的に売れている気がします。これは依頼者が企業であっても同様。やはり担当者をある程度安心させてあげられる弁護士が人気となるのは、人間の心理上当然でしょうか。


hibiya_attorney at 05:24|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!法曹界 

March 01, 2007

取締役派遣しなくても企業価値は毀損されうるのか

<追記あり>

アメリカにいる間はアメリカ実務をできるだけ学ぼうと思い、これまで深入りを避けていたのですが、事前警告型の買収防衛策についての疑問をここで少し。

今回のスティール・パートナーズのサッポロに対する方針のように、買収予定者が取締役を派遣するつもりがない場合でも、当該大量取得行為は、「当社の企業価値を毀損する」として防衛策を発動する余地ってあるのでしょうか。

つまり、株式大量取得の目的はあくまでも投資目的であって、例えばPBRが1倍を割れている場合など、株価があまりにもお徳な水準で推移しているので大量購入、ひいては過半数握っちゃいます、というような場合で、でも経営は現経営陣に任せます、こちらも経営能力ある人はいないので取締役を派遣するつもりはさらさらありません、というような場合。

この場合は経営をそのまま経営陣に任せるので、買収後の経営方針の開示を求められても、「現経営陣の策定したプランのとおりで依存ありません、その後も経営を続けてください」という回答になるでしょう。取締役を派遣しないということは会社の経営には一切タッチできず、リストラを行うこともなければ資産売却して増配させるということもできないわけで、そうすると「企業価値の毀損」と観念する余地はないのではないかと思うわけです。

最近防衛策の改定を行ったTBSは、買収者が濫用的買収者に該当するかについてガイドラインを定めており(ガイドラインを含む防衛策はこちら)、これをみると、「3 濫用的買収者」との見出しのもと「当社は、当社企業価値を毀損又は減殺する買収行為を行う者であって、原則として次の各類型に該当しうる買収提案者を、濫用的買収者と位置付け、これらに対し本ガイドラインの定めるところに従い必要かつ相当の範囲での対応策を講じることとする。」として、その類型の1つとして 「 真に会社経営に参加する意思がないにもかかわらず、株価をつり上げて高値で株式を会社関係者に引き取らせる目的で株式の買収を行っている場合(いわゆるグリーンメイラー)ないし当社株式の取得目的が主として短期の利鞘の稼得にある場合。」を挙げています。

私が挙げた設例の場合は、この,領犒燭乏催せず発動できないという解釈も十分取りうると思うのですが、,呂修里茲Δ幣豺腓皀バーすると主張してくることも考えられます。

しかし、そもそもこの,両豺腓牢覿伐礎佑毀損されているといえるのでしょうか。この,領犒燭蓮▲縫奪櫂麒送事件の東京高裁決定の傍論(っぽい部分)からそのまま取ってきたものと思われるのですが、そもそも大規模買付者は経営参加する意思がなければダメと言っているようにも取れ、さらには株で金を儲けることは悪と言っているようにも取れるこの類型って合理性があるのでしょうか。グリーンメイラーという言葉が一人歩きしている感がありますが、この場合は企業価値が本当に毀損されているのかどうか。経営にタッチしてないけれど企業価値が毀損するというのは具体的にどういうことをいうのでしょうか。

ちなみに東京高裁は株主権の濫用という文脈で使っており、企業価値云々とは言ってないと思うのですが、このあたりの乖離は何なのでしょう。

いずれにしても、東京高裁が例示した4類型は真に争われた論点ではなく先例価値がどこまであるかは怪しいところです。あるとしても高裁決定を素直に読めば例外事由は非常に限定的に解釈する必要があるという気がしますので、これ幸いとこれらの例外事由を勝手に広く解釈して乗っかるのはどうなのかなと個人的には思います。

次に、仮に取締役派遣をしない純投資目的である場合は「濫用的買収者」に該当しないという判断が最終的に下されたとしても、やはり当初はこの買収ルールに則って、様々な情報提供をしないといけないのかどうか。

あらゆる事前警告型プランで開示が求められている情報の範囲は広すぎるのではないかというのが私のこれまでの印象です。資金の裏付けなんて大きなお世話でしょうし、TBSに至っては買付方法が適法であるという弁護士の意見書まで要求しています。純投資目的で取締役を派遣するつもりはないと表明していてもここまで情報提供しないといけないとするのは過大な負担のように思われます。

もっとも、買収時点では取締役を派遣するつもりはなくても、その後派遣する可能性がある以上は情報提供を求める必要があるという反論もありそうです。純投資目的という以上は、取締役選任の株主提案をしない旨の念書を差し出せ、差し出さない限りはルールに従ってもらうと。

しかし、買収者としても取締役を永遠に派遣しないというコミットはできないでしょう。現経営陣の策定した経営方針が一向に実現されないときは経営陣の入れ替えを考えるというのは当然のことであり、これは株主権の最も根幹をなす権利であり、それを放棄しない限りはルールに従ってもらうというのは乱暴に過ぎます。

この事前警告型の問題点は、経営陣が定めたルールに買収者が従っているか否かという点をめぐって、買収防衛策の発動について原則と例外が逆転するかのような運用が行われやすいということだと思います。防衛策の発動は東京高裁決定によれば基本的には例外的場合のみ許容されるはずです(しかも、その例外は極めて狭いように読める)。ところが一方的に定めたルールに従わなかった場合には、「濫用的買収者とみなす」と定めて、その場合には防衛策を発動できるとしている企業も多くあるようです。これはかかる原則と例外を一方的に変更していることに他なりません。裁判所がこのみなし規定による防衛策発動を支持するか否かは予め定められたルールの合理性如何によるところが大きいのでしょうが、ルール違反の場合のみなし規定に関してはハードルが相当高いと見ておいたほうがよいと思います。

ルール自体に予め株主総会の承認を得ておくことで、合理性の担保を得ておこうという意図も見えるのですが、それでもみなし規定による防衛策発動については厳しい気がします。この規定はその存在による萎縮の効果が期待されているだけで、実際発動しちゃうのはまずいんだと思います。

まだまだ思うところは色々とあるのですが、考えがうまくまとまらないので今日はこの辺で。

<3/8追記>
経済産業省の企業価値研究会による平成17年4月公表の意見募集結果で、「グリーンメールとは、一般に買収者のみが他の株主の損害の上で利得を得る行為であり、対象会社でなく主要株主が買い取る場合であってもそれに該当すると理解しており」と経済産業省の見解が書かれていることに気がつきました。他の株主の損害=企業価値の毀損なんでしょうか?

hibiya_attorney at 12:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!企業法務