June 2007

June 08, 2007

全部取得条項付種類株式とフリーズアウト

今日の疑問は全部取得条項付種類株式の発行+端株交付によるフリーズアウト(注1)について。

全部取得条項付種類株式の発行は、株主総会の特別決議で認められますが、元々はこれは100%減資を効率的に行えるようにとの実務上の要請に応える形で会社法に盛り込まれたもののようです。法制審議会の段階では、「正当な目的」が必要とされていましたが、内閣法制局の審査で法技術上の問題で、この「正当な理由」という文言が外されたようです。

しかし、法制審議会会社法(現代化関係)部会の平成16年11月17日の第31回会議録によれば、「そういうことで、前回の案の方がよかったのではないかと思いますけれども、どうもこれもやむを得ないので、解釈上そういうことだと、前回どおりこれは正当事由が要る、はっきり言えば100%減資ができる正当事由があるケースについてのみ適用ある規定である、そういう解釈で、ただ文言はどうもこれ以外にはなかなか難しいようでありまして、少しでも分かりやすい規定にするようになお御努力はいただきますけれど、一応御了解いただけますでしょうか」と記載され、どうも文言上は削られてしまったが、解釈上は「正当な理由」というのは必要としているようです。

江頭先生の基本書を読んでもそのあたりのことは触れられていないのですが、どうもそういう経緯があったようです。

こうした前提に立った場合、フリーズアウト目的で全部取得条項付株式の発行ないしは、当該取得条項に基づく取得というのは法的に可能なのでしょうか、というのが今回の疑問です。

アメリカでは確か、純粋にフリーズアウト目的でキャッシュアウト・マージャーを行うのは違法であるとして差し止められた事例があったかのように記憶しているのですが(違ったっけな?)、そこでの議論を本件に応用してみると面白いと思ったわけです。(注2)

既に実務上ではフリーズアウトに用いられているようで(訴訟になっているようですが)、条文上、「正当な目的」を要求されていない以上、立法者は要件としていないという解釈なのでしょうか。他の制度とのバランスも考慮して検討する必要がありますが、法制審議会の議事録に上記のように残っているのに、単に少数株主の締出し目的に使用するのはなかなか勇気がいる気もするのですが。。。株式買取請求権による救済も法定されていることも、不要説を推し進めているような気がしますが、個人的にはここのところ(帰国したら)少し深く検討したいところです(今は手元に資料ないし)。それとも、その後の立法担当者の解説か何かで正当目的は不要であることが明確化されているのでしょうか。

仮に正当目的がなくてもOKとした場合には、株式買取請求権の実務上の運用が極めて重要になってくるわけですが、この点については前から私案をあたためています。自分が価格決定申立事件の代理人になったら主張してみたいなぁと思っているのですが、帰国した後では遅いかもしれませんね。

(注1)ロースクールのコマーシャル・アウトラインで有名なエマニュエルによれば、一般的には、フリーズアウトは、少数株主を法的に締出すことが可能な手法を意味し、スクイーズアウトは、法的にではなく、事実上締出す効果がある手法を意味するとのことです。

(注2)後ほどエマニュエルのコーポレーションを見てみたら、Going Privateの事案でデラウェア州ではかつては何らかのBusiness Purposeがないとダメで、純粋に少数株主を締出すことのみが目的である場合には違法とされていたようです。デラウェア州ではその後Weinbergerという有名な判決によりこれは踏襲されなくなったようですが、ニューヨーク州やマサチューセッツ州ではその後もこのBusiness Purpose Testは維持されているそうな。エマニュエルにしかあたっておらずすみません。。。


hibiya_attorney at 07:27|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!企業法務