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今年の1枚とショートストーリー

みなさまいつもありがとうございます。

1229カブト


















今年撮った写真の中で一番好きな1枚はこれ。写真にまつわるショートストーリーも新たに書いてみました。

大木の根っこの上に立つ2人。木々の間から差し込む朝日がちょうど2人を照らす。2人の背中から伝わる愉しい気持ち。木の根元の窪みに手を差し入れる。「あっ!」… それは僕にとって「最後のピース」が埋まった瞬間だった。



「この2人とは絶対、夏のお泊り会をするんだもん!」、1年前から決めていた。

お泊り会は初めての試みだ。「年長の2人と僕、男3人で園に泊まったらきっと愉しい」、そんなひらめきからスタートした。この形でのお泊り会は、多分最初で最後。思いっきり愉しもう。


「お泊り会といえばカレーでしょ!」、これも僕の中では何故か決まっていた。ひだまりの給食では決して出ないカレー、特別感もたっぷり。

カレー作りは、給食担当の妻が主担当。ピーラー・包丁を使って野菜の仕込をする2人。ゴロゴロに切られた野菜は手作り感たっぷり。

テーブルを囲んで、出来立てをいただく。食後のデザートはすいか、これも欠かせない。


その後、玄関先で花火をした。別のご家族から差し入れられた花火。イベントを応援してくれる気持ちも一緒に受け取った。

暗闇を照らす手持ち花火の光。映し出される2人の顔もにこやかだった。


「眠くなるまでゲーム」、これもやってみたいことだった。僕が選んだのは「おばけ屋敷ゲーム」というボードゲーム。「呪われたお化け屋敷から、君は無事に脱出できるか?」、そんなゲーム。

予想通り、彼らはゲームにのめり込んでいく。不安な顔・笑った顔・ホッとした顔… その瞬間、彼らはおばけ屋敷を冒険していた。


眠っている彼らの様子を見る。布団からちょっとはみ出して、体を折って向こうを向いている。2人のポーズはほぼ同じ。

窓の外はうっすらと明るい。もうすぐ朝だ。朝の静寂の中、「このまま時が止まってしまってもいいな。」とふと思う。


「お泊り、たのしかったな…」

やりたかったことはほとんど実現したのだが、実はひとつだけ心残りがあった。それは、カブトムシを捕りにいくこと。昨晩はイベントが目白押しで、時間的に難しく諦めていたのだ。

でも、「虫捕り」は彼らを象徴する遊びだ。

春先はアリや小さなクモを見て喜んでいた2人。そんな彼らが、カナヘビを見つけて素手で捕まえる喜びや充実感を知った。トンボも素手で捕まえられるようになったし、セミを探して網を片手にたくさん走り回った。カブトムシにも当然興味がある。

「今から朝食を作ろう」、そう考えていた矢先にふと思う。「今行けばいいんじゃない?」 彼らと相談して、急遽出かけることに。

林道の空気はひんやりとしていた。もはや早朝ではないが、林の中は薄暗い。ズンズンと先を進んでいく2人。


そしてあの神々しい写真のシーン。彼らが手を差し入れた次の瞬間、2人がカブトムシを手にしていた。

立派なオスのカブトが2匹。よくもまあ、あの瞬間にあそこにいたものだ。ひだまりの神さまからのプレゼントかな?何も思い残すことはないお泊り会となった。

お読みいただきありがとうございます。

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