問題解決型不動産コンサルタント 伊藤英昭の事件簿|キャリア20年の独立系「問題解決型」不動産コンサルタントが仕事を通じて日々思うこと、感じた事を綴ります。

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行き過ぎた対策の末路

 令和8年度の税制改正によって賃貸用不動産と不動産小口化商品の相続税評価方法が変更される予定であることが不動産、相続の業界内で話題となっております。要するに時価と相続税評価額の乖離が著しく大きい賃貸用不動産や小口化商品については課税の公平性の観点から基本的には、従来の路線価評価や固定資産税評価ではなく時価評価してくださいという国からのお達しです。国の言わんとすることはよく理解できます。特に不動産の価格が上昇し始めたここ数年は、賃貸用不動産をはじめ、タワーマンションやら不動産小口化商品やら、相続税対策ということを前面に押し出した商品設定、価格設定、営業文句がメディアに踊っていました。小口化商品を含む賃貸用不動産は、賃料収入を得るということが本来の目的です。しかし、ここ数年は時価と相続税評価の乖離を利用した相続税対策を前面に押し出し、大きな節税効果が得られさえすれば収益は重要視しなくても良いともとらえかねないような価格、利回り設定のものが多く見受けられるようになりました。穿った見方をすれば、相続対策を錦の御旗に掲げた賃貸用不動産を割高に売るための手法とも言えます。
 このような昨今の不動産取引事情が国にとってみれば目に余ったのでしょう。

 
 これらの背景をふまえた上で、相続対策としての販売が難しくなった不動産小口化商品について考えてみますと、そもそも利回りが低く、割高な価格設定であることに加えて、流動性、すなわち換金性が乏しいものを購入する意味があるのか大きな疑問です。不動産を小口化した商品の代表的なものに証券取引所に上場している
REITがありますが、これは賃料収入を裏付けにした証券ですので比較的配当も高く、何よりいつでも市場で売却できるという大きな利点があります。また、REIT以外の金融商品でも債券などは、価格や配当も安定しているという特徴があります。対して不動産小口化商品の最大の難点はいつでも好きな時に換金できない、換金先があったとしても限られており、REITや債券、株式はおろか、土地建物やマンションなどに比べても極めて流動性が低いということです。この難点を、相続税評価が引き下げられるという1点で販売してきたと言っても過言ではないでしょう。不動産価格が上昇している現在はこの点もさほど大きな問題にならないかもしれませんが、混迷の世界経済情勢の影響などで不動産市場が崩れたりして不動産価格が下落基調になると、簡単に売買できないという不動産小口化商品の問題は顕在化するでしょう。

 そもそも不動産の共有は、のちに問題になるのでの避けた方が良い、という相続の専門家が、小口化といういわば第三者同士の不動産の共有ともいえる不動産小口化商品を相続対策として進めるという矛盾がよく理解できません。

 いずれにしましても「みんなでお金を出し合って収益を分配しよう」という商品は、いつの時代もろくな結末を迎えないという印象ですね。



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機動的な賃貸経営のために

 不動産価格、特に都市部のマンション価格の上昇が顕著なのはご承知のとおりですが、最近ではマンション価格に引っ張られるようなかたちで都市部の賃料も上昇しています。もちろん支払う立場にたてば賃料値上げは深刻な問題かもしれませんが、こと不動産においては賃料を受け取る側、すなわち大家さんも立場は変わりますが物価上昇の影響を受けていることに変わりありません。管理費や水道光熱費、維持修繕費用や固定資産税などが上昇すれば、賃料を増額改定せざるを得ない大家さんの事情もそれなりにあるのです。現に、都市部の賃料上昇の流れは、これら影響を受けて、貸主それぞれが賃料の値上げを実行していることが市場に反映された結果と言えます。

賃料改定については、通常、賃貸借契約書に「ただし、契約期間中であっても経済事情や公租公課の変動、周辺相場との比較によって不相応となったときは賃料を改定できる」という一文が入っています。とはいいながら、契約期間中に改定することはほとんどなく、更新時期に改定することが一般的です。ただし、改定と言っても一方的に値上げすることはできず、あくまでお願いであって、双方が合意しなければ賃料値上げは成立しないのが現実です。。借主に事情を理解してもらい、少しでも増額改定できれば良いですが、借主が拒めば貸主は、時間と費用をかけて調停などの法的手続きによって解決するしか方法はなくなります。しかし、借主は法律によって強く保護されているため、いくら時間と費用をかけたとしても貸主の希望が認められることはあまり期待できません。要するに賃料改定のお願いを借主に拒まれたら打つべき合理的な手立てはないと考えてよいでしょう。

このような賃料増額改定の現実を考えれば、借主との契約形態は、通常の賃貸借契約ではなく、定期建物賃貸借契約とするべきです。改めて説明するまでもありませんが、定期の場合は期間満了とともに確定的に終了する契約形態ですが、契約更新という概念が無く、期間満了によって引き続き同じ借主と契約を継続しようとしたときは、新たな契約(再契約)を締結するというのが特徴です。したがいまして、現行の契約内容にとらわれず、再契約の条件として、相場に見合った新たな賃料を条件とし、受け入れられない場合は再契約をしないという方法をとることができますので経済情勢に合わせた機動的な賃貸経営が可能となります。当事者が同じであっても新たな契約となりますので、賃料の他にも契約期間を調整したり、期間中は賃料の変更をしない旨の特約を設けるなど、条件を変更することも可能です。賃料の下落時には、比較的長期の定期建物賃貸借契約を締結し、この間の賃料改定はしないという特約を設けることも多く見受けられましたが、賃料上昇時は機動的に賃料を改定できるような期間や条件の検討も必要です。

改めて、定期建物賃貸借契約は、貸主、借主どちらにもフェアな契約と言えるでしょう。


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不動産をめぐる話題から・・・今年もよろしくお願いします

新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお付き合いくださいませ。

まずは、昨年の不動産界隈の話題をざっと振り返ってみたいと思います。

 やはり目についたのは都心部のマンション高騰でしょうか。地価、建築資材、人件費の高騰に加えて転売目的の購入などが拍車をかけました。この転売問題に行政も介入し、ディベロッパーも一定期間の転売禁止などを契約条件に付すという動きになりました。しかし、海外、日本問わず、世の中にはお金持ちがたくさんいるもので、場所と物が良ければもはや値段は関係ないという人にはかないません。都心部のマンションは高所得のパワーカップルが主な買主だ、という調査結果もありましたが、パワーカップルも手の届かない域に入りつつありますね。そもそも頑張って都心のタワマンを購入しても、この先の収入の保証もなければ婚姻生活を継続する保証もありません。ペアローンなどで購入する手段を考えるより、頑張ってマンションを購入することの考え方自体を改める時期にきているようです。

 都心部のマンション高騰とは相反するように、地方の実家や、別荘、山林など、必要のない不動産を相続する、いわゆる負動産の問題も顕在化してきました。次の世代に負担をかけまいと、国による相続土地国庫帰属制度の申請も増加し、民間企業による不要土地の引き取りも活発です。お金を払ってでも手放したいという、少子高齢化、地方都市衰退の現状を著しています。

 相続税対策としての不動産購入にも更なる見直しが議論されています。相続税評価額とマンションなどの時価との乖離を利用した相続税対策の基本ですが、数年前の最高裁の判決を受けて、すでにマンションの評価は一部見直されました。加えて、購入時期などによって評価を見直す方向のようですが、不動産の時価は株や預貯金などの金融資産と違い、絶対値化するのは難しいので、いずれにしても購入価格より割り引かれることは間違いありません。従いまして、相続税対策としての評価引き下げ効果は少なくなるものの、現金より不動産が有利であることに変わりはありません。ましてや不動産価格が上昇傾向にある時期、場所であれば尚更この傾向は顕著です。

 不動産の小口化商品も多く登場しましたが、やはり破綻した商品、事業者が出てきました。不動産に限らず、金融事故、金融詐欺は皆一緒で、小口化して高配当などというものは大体が、配当するために資金を募るという破綻モデルです。それでも不動産の場合、インフレに伴い不動産価格そのものが上昇することである程度配当を吸収できる部分もありますが、事業者や裏付けとなる投資対象不動産をよくよく吟味しなければ高い授業料を支払うこととなります。

 以上、ざっと不動産の話題を振り返りましたが、同じようなことが繰り返されるのは世の常ですね。本年が皆様にとって良い年でありますようお祈り申し上げます。


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貸し借りをやめる解決とはじめる解決

 先日の経済新聞に「底地ビジネスが活況」という記事が掲載されていました。「底地」とは、土地所有者以外の第三者が建物所有を目的として土地を賃借しているという負担のついた貸宅地のことで、「底地」はいわゆる業界用語です。

戦前から行われていた土地の貸し借りは、戦争を機に、借り手である借地人を強力に保護する法律が制定され、以来、事実上、貸した土地は返ってこないという日本独自の借地制度ができました。地主にとっては収益性も低く、第三者に貸しているため換金性も乏しいということから不良資産の代名詞のようにいわれ、そこに目を付けた不動産会社が、土地所有者から借地人の負担のついた土地を比較的安価にて購入し、その購入した土地を当該土地を借り受けている借地人に売却するというビジネスが、地価の上がり始めた昭和の後半あたりから登場してきました。当初は再開発よる地上げ的な要素が強く、決して品が良いとは言えない業者もいたことから、底地を取り扱うというだけであまり良い印象はありませんでした。しかし、地主にとっては換金性の乏しい不動産が換金でき、借地人にとっても、地代の支払いや、増改築を計画するときなど、いちいち地主の顔色を窺ったりする必要もなくなること、何よりも完全な所有権として資産価値があがるということから、地主、借地人、不動産会社の利害が一致し、いまや立派な問題解決ビジネス、都市再生ビジネスとして認識されています。これがいわゆるこれまでの「底地ビジネス」です。

 昨今の経済新聞等で話題となっている底地ビジネスとは、企業等が所有している工場、店舗やビルの土地のみを切り離して第三者に売却し、その第三者に土地の賃借料を支払ったうえで工場、店舗、ビルなどは従来通り利用するというものです。セールアンドリースバックと呼ばれる手法で、企業にしてみれば土地を売却することによって資金の調達が可能になること、賃借料は発生するが従来通り建物は利用できること、バランスシートが軽くなることなどメリットも多く、土地の購入者にしてみれば、建物の賃貸借と異なり、修繕や空室のリスクもなく長期の安定した賃料収入が得られることから今後も有望なビジネスであり、市場であるとの事です。世界的なカネ余りで有望な投資先を探している投資家などに注目され、海外からも既に多くの資金が見込まれているようです。

 これまでの日本特有の借地問題に着目した貸し借りを解消して資産価値を上げようという底地ビジネスだったものに加えて、これからは新たに貸し借りを作って、借地人は従来通り建物を利用しながら資金調達をしよう、土地の購入者は長期安定収入を得よう、という底地ビジネスが加わってきました。これは新しい制度や仕組みではありませんが、見方や考え方を変えることによって創出されたビジネスです。同じ賃貸借でも目的によって解決方法が異なるということですね。


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繁盛してもらいたい

建物の利用用途は、都市部では主に、住宅、事務所、店舗に大別されます。更に店舗は小売店舗や飲食店舗などに分かれます。当然のことですが賃貸事業における安定経営とは、長期安定した賃料が入るかどうかが一番のポイントです。特に飲食店舗などは人の嗜好や世の中の流行り廃りもありますので、大手企業などのように経営母体がしっかりしていない限りは長期にわたって安定した賃料収入が得られるかどうかの見通しは立てづらいといえるでしょう。また、火器を使用することによる火災等のリスクや、経営が行き詰まって厨房機器や什器備品などを残置して退去した場合の原状回復費用のなどを考えても、賃貸事業のなかでは比較的リスクの高いテナントといえます。

飲食店舗以外の店舗については、それほどのリスクはないものの、生活に密着したドラックストアなどの小売店舗や生活に必要なクリニックなどの業態以外の店舗は、やはり流行などの影響は少なからず受けるでしょう。

このような事から不動産投資という視点でみますと、店舗ビルは事務所ビルや居住用マンションの集合住宅に比べてリスクが高いため利回りは高くなる傾向にあります。すなわち、リスクはあるものの、反面、それなりの利回り(賃料収入)も見込めるということが言えます。不動産投資の対象として店舗物件を検討する際は、店舗の売り上げや経営母体の財務内容に加えて、万一の場合に備えた保証金の額や保証人の内容、店舗が加入している損害保険の補償内容などをよく確認することが必要です。

もちろん貸主としては、店舗に繁盛してもらって安定した賃料を支払っていただくことが何よりですが、繁盛している店舗は店舗でまた別の心配も気にしなければいけません。例えばビルの修繕にともない、やむを得ず店舗の休業をお願いせざるを得なくなった場合、休業になった日数に応じて営業補償を求められる場合があります。要するに営業していれば本来得られたはずの売り上げを貸主に負担してもらおうということです。このような事を回避するためには、貸主都合によるビル修繕によって休業する場合であっても営業補償はしない旨、契約書で約束することで負担を回避することが可能となります。(ただし、賃料は求めに応じて減免に応じる必要があります)

それよりもっと大きな心配は、老朽化に伴うビルの建て替えが必要となったときに求められる立退料です。立退料は移転費用や設備の未償却分の買取り費用などに加えて、その場所で営業することにより得られたはずの利益も営業補償として求められます。繁盛してもらって安定した賃料を支払ってもらうのは貸主として嬉しい事ですが、最後の最後でこのような費用を支払わなければならなくなる事態は避けたいものです。その為にも店舗との賃貸借契約については確定的に契約が終了する定期借家契約を活用することが結果的に店舗ビルの資産価値を維持向上させることに繋がります。ただし、店舗の営業や多額の設備投資のことなどを考えると、契約期間や保証金の設定などにもテナントへの配慮が必要です。

心配してもきりはありませんがテナントにはまず儲かってもらうことが第一ですね。



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土地活用によって変わる土地の価値

 投資した金額に対して、どれくらいの収益が見込めるかを表す指標である投資利回り、不動産投資においては基本となる指標です。不動産投資は、土地建物に投資をして、毎月、毎年の賃料収入を見込む投資です。投資する土地建物を分母とし、年間の賃料を分子として、その不動産の投資利回りを算出します。例えば一億円で購入する土地建物から年間500万円の賃料収入が見込めるとすれば、その不動産の投資利回りは5%です。これはごく単純な算数の話です。

 では、既に土地を保有している人の不動産投資はどのように考えるべきでしょうか、この場合、不動産投資というより土地活用と言い換えた方が分かりやすいかもしれません。先祖から引き継いだ土地に「アパート、マンションを建築しませんか」という営業は、土地を保有している人であれば誰しも経験があると思います。この場合、すでに土地は保有しておりますので、新たな投資は建物となります。前述した投資利回りの考え方ですと、投資した建築価格に対して年間どれくらいの賃料収入が見込めるかで、投資利回りが算出できます。この場合、当然ながら分母を建築価格、分子が年間想定賃料となります。アパートメーカーの営業マンは建築シミュレーションを説明しながら「建築費に対する想定利回りは〇%になります。良い利回りですね」と、ドヤ顔です。もちろん嘘ではありません。確かに投資した建物金額に対する想定賃料収入の利回りで間違いないのですが、新たに建築する建物は、既に保有している土地にがっちり定着するもので、建築した瞬間に土地と建物とが一体となり、切り離せなくなります。したがいまして、アパート建築後に売却をしようとする場合は、当然のことながら土地付きとなります。建築するときは建物投資のみですが、売却するときは建物単独ではなく既に保有していた土地とセットになるのです。この当然の理屈を理解したうえで建物に対する投資利回りをみなければ、土地活用、不動産投資における投資利回りの良し悪しを判断することはできません。

 例えば、新築する予定の建物価格が一億円、年間想定収入が500万円で建物に対する投資利回りが5%とします。事情があって数年後に売却せざるを得なくなった時に、土地建物あわせた売却価格が利回り5%の一億円となった場合、建物価格が一億円でしたので、もともと保有していた土地の価値は建物価格を差し引いた0円という結果になります。

もちろん当初から売却を考えてアパートを建築する人は少ないとは思いますが、土地活用を検討する場合は、建築後、土地と併せた価値がどのように変化するかということも頭に入れなければ、土地活用が土地の価値を上げるどころか下げることにもなりかねません。建築資材や人件費の上昇で建築費が上がっている現在では特に大事な視点です。





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まずは身近なところから

不動産を売りたい、貸したい。その不動産を買う人、借りる人は案外近くにいるものです。また、隣の土地は借金してでも買え、といわれるように、隣の土地を購入できれば地続きである自身の土地の利用価値も高まるため、隣の土地が売りに出た場合は、まず購入を検討してみるものです。このようなことから土地を売る場合は、特別な事情がない限り、まずは隣接する土地所有者に意向を確認してみることが基本的な考えかたとなります。このプロセスを経ずに隣地以外の第三者に土地を売却することも何ら問題はありませんが、後日確認をとってみたら、結局、隣の人が土地を買っていたということは意外とよくあるものです。

また、隣接地ではなくても、同じ街区、同じ町内も購入希望者がいる可能性は高くなります。親世代、子世代との同居はスペース的にも心身的にも難しいものの、何かあればすぐに駆け付けられるくらいの距離に土地を買って子供夫婦を住まわせたい。何かと頼りになる兄弟姉妹の近くに住みたい。などというというニーズは多いものです。

土地に限らずマンションも同じです。家族が増えてマンションが手狭になったので同じマンション内で広い部屋があったら住み替えたい。また、子供たちが独立し、夫婦だけでは広すぎるので、もう少しコンパクトな部屋に住み替えたい。また親家族、子供家族が同じマンション内の他の部屋に住んでくれたら安心だ。というニーズも多いものです。また、同じ地域の一戸建てに住んでいるが、歳とともに利便性がよく安全性も高い駅前のマンションに住み替えたい。など。不動産の取引の多くは身近な需給圏内で行われています。

不動産の権利についても同じことがいえます。共有持ち分は、他の共有者に購入してもらう、貸宅地は借地人に購入してもらう、借地は地主に買い戻してもらう。このように近い権利者に売却することが不動産の適正な価値を見出す一番の方法です。最近では「不動産の共有持ち分を購入します」という不動産会社や「底地(貸宅地)を購入します」という不動産会社の広告も増えてきましたが、共有持ち分や貸宅地を購入した不動産会社は、結局、最終的には他の共有者に共有持ち分を売却していますし、貸宅地は借地人に売却しています。

少し見方を変えて戸建てなどの借家の売却についてはどうでしょうか。まずは入居者に退去してもらってから売却するのが適正価格で売却できると考えがちですが、物件を実際に使用している入居者に購入してもらえれば、退去の手間や費用もかからず、より適正な価格で売却することが可能ですので、入居者に対して、まずは退去の申し出ではなく、購入の意向を確認してみることも重要です。

このように、不動産の売却を検討する場合には、まずは身近なところから意向を確認してみることがひとつのセオリーといえるでしょう。

とはいいながらも、灯台もと暗し、と言われるように、身近であればあるほど、なかなか気が付かないことが多いのも事実です。

まずは家族や社員など、身近なところからもう少し気を付けなければいけませんね。




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理屈を並べたてたところで・・・

ここ数年、全国的な地価上昇が続いており、特に都市部でこの傾向は顕著です。地価上昇は、実際の取引価格が先行して上昇し、これに連動して毎年の相続税路線価、公示地価、基準地価、3年に一度の固定資産税評価額など、すべての公的地価が上昇します。

 賃貸経営は、公的地価の上昇に影響をうけますが、特に貸宅地の場合は大きな影響を受けると言えるでしょう。固定資産税評価額が上昇すれば、当然、固定資産税、都市計画税も上昇しますので、これまでの地代水準では、地代から固定資産税等を差し引いた収益が低くなります。したがいまして多くの地主は地代の値上げを借地人に申し出ますが、「ハイそうですか」といってくれる借地人ばかりではありません。地価上昇の実感がわからず、土地の固定資産税を直接支払わない借地人にとっては、生活に直結する地代の値上げは深刻な問題です。特に平成バブル崩壊から地価下落の時代が大半を占め、長きにわたって地代の増額改定を経験したことのない借地人には一大事です。なかには地代水準についてインターネットなどで調べたり、専門家と称する不動産会社や、弁護士、司法書士、税理士などに聞いてみたりして、自分に都合の良い情報をとり入れ、いかに地代が高いか、増額改定が不条理かを地主に説いてくる借地人もそれなりに存在します。地代の算定方法については特にルールがある訳ではありません。固定資産税の倍率であったり、路線価などの公的価格であったり、周辺取引事例であったり、収益還元であったり、これでなければならないというものではありません。高くしようと思えば、高くするための理屈がありますし、低くしようと思えば低い理屈をいくらでも並べられます。

特に弁護士などの法律家に相談すれば、弱者救済という名のもとに、地主はけしからん、適正と思える地代を供託すればよい、などという無責任なアドバイスをするのは目に見えています。もちろんこれらは借地人に認められている権利ですので否定するものではありません。しかし、地主にとってみれば、権利や理屈をならべて、いかに地代の増額改定が不条理であるかを説かれても、多くの地主は、「ハイそうですか、勉強になりました」という事になりえません。

地代の改定に限らず、借地の更新料や、譲渡、建替えの承諾に伴う承諾料も特に算定ルールはありませんので、専門家に相談すれば、安くする理屈はいくつでも出てきます。こうもなると、地主は、権利主張ばかりして面倒くさい借地人だと思い、譲渡や建て替えなどの承諾は考えた方が良い、またはそれなりの承諾料を請求しようと考え、今後の借地関係に支障をきたすことが想定されます。目の前の地代や更新料、承諾料を安くするために、結果的に肝心の借地権という財産価値を毀損させてしまうということがわかっていないのです。

要するに、何事も感情の伴う人間同士の話し合いです。あれこれと理屈を並べたてるより、「お金がないのでもう少し安くしてもらえませんか」と頭をさげたほうが円滑にまとまるケースがほとんどです。地主の皆さんも、頭を下げられたら少しは考えてあげてください。




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コメの値段も住宅の値段も

 コメの値段が上がった、下がったと連日大騒ぎの7月でしたが、7月1日に公表された今年の路線価も上昇しました。4年連続の上昇となり上昇率も過去最大です。もちろん上昇率のトップは東京、次いで沖縄、福岡とのことです。地価上昇の大きな原因は、観光や再開発などによって人が多く集まることによる土地の利用価値の上昇です。

土地に限らず、建物の建築費も年々上昇しており、一般財団法人建築物価調査会が毎月発表する建築費指数によると2015年を100とした場合に、2025年時点では約140と約40%上昇しています。おもな原因としてあげられるのが建築資材と人件費の上昇です。この傾向は今後も当分続き、建築費は下がる要素がないというのが実態ではないでしょうか。

このように土地建物の価格は上昇し、多くの人にとってマイホームの夢は遠のき、場所や広さなどの希望条件を下げたり、無理をしてローンを組んだり、まさに、いつか来た道のようです。住宅供給側のディベロッパーも決して暴利を貪ろうというのではなく、土地の仕入れ価格も建築価格も上昇している現状では、それを住宅に価格転嫁するよりほかありません。それでもなんとか売れているうちは大丈夫ですが、売れなくなってきたら大変です。もちろん場所によって住宅相場は異なりますが、仮に土地30坪、建物30坪8,000万円がそのエリアの適正相場とすると、土地建物の価格の上昇分を転嫁するために、総額の8,000万円は変えずに、土地25坪、建物25坪と、規模を少し小さくする。という、いわゆるステルス値上げをせざるを得ない状況です。しかし、ステルス値上げにも限度はありますので、総額8,000万円で販売するためには最終的に原価を見直す必要がでてきます。住宅の原価は土地と建物ですが、建物価格は前述のように人件費や原材料費のことを考えると原価を下げることは現実的に難しいでしょう。となると最後は土地の価格をいかに抑えるか、適正価格で購入するかが鍵となってきます。すなわち今後は総額8,000万円の内訳が土地4,000万円、建物4,000万円だったものから、建物価格の上昇により建物5,000万円、土地3,000万円としなければ適正相場である総額8,000万円にはならなくなるのです。それを考えると大都市部などの一部特殊地域をのぞくと土地価格は落ち着く、もしくは建物価格がまだまだ上昇することを考えればむしろ下がることも大いに想定できます。

もちろん土地価格、建物価格の上昇と同等か、それ以上に国民の所得が上昇すれば、住宅価格の上昇も吸収でき、負担感は大きくなりませんが、現状はなかなか追いついていないようです。給料は上がったけど、それ以上に物価があがっている、社会保険料などの上昇により手取りが増えない。など、目の前の現実は厳しいようです。

コメの値段も住宅の値段もモノの値段は原則、需要と供給のバランスによって変化します。コメの値段が落ち着くにはマスコミがひとこと「いまコメは高いので値段が落ち着くまでパンにしましょう。」というだけで大分値段は落ち着くと思います。住宅も買う人がいなければ価格を下げざるを得ません。しかし、生産者や従事者のことを考えると何でも下がれば良いわけではなく、値上げを受け入れた上での適正利益、適正配分が望ましいといえます。



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いつやるか

「いつやるか?」「今でしょ!」すっかりお馴染みカリスマ予備校講師の決めゼリフです。やるべきこと、やりたいことは先延ばしにせず早めに取り組むことによって、それだけ目的の達成、問題の解決、満足度の高まりが早まるということを端的に表した言葉ですね。

これは勉強に限らずとも、仕事や日々の生活など多くの場面に当てはまる言葉です。

この言葉が浸透した背景には、やはり、「今やる」というのは非常にエネルギーを要する事であり、誰しもが、心の中では「明日やろう」「そのうちやろう」「必要に迫られたらやろう」と思っていることの裏返しでもあると思います。「明日やろうはバカ野郎」ということわざもありますが、かくいう私も必要に迫られて、やっとこの原稿を書いています。

 さて、不動産経営においても「いつやるか」という意思決定の場面が度々でてきます。  不動産経営における「いつやるか」という時期の判断は、社会経済情勢や、その人や家族の事情によって変わってきます。例えば、「いつ建てるか、いつ買うか」を検討する場合には、今後も続くであろう建築費の上昇や金利の上昇に、賃料収入の早期確保、相続対策としての相続税の評価引き下げなどを考えると、「今でしょ」という判断になると思われます。

また、「いつ売るか」についても、資金の必要性に迫られている場合や、売るつもりはなくても、タイミングよく条件の良い購入希望者が現れた場合などは、これも縁と「今売るか」となりますし、将来の相続税のことを考えるのであれば、現金より評価の低い不動産で保有し続け、相続が発生したのちに売却することにより相続評価引き下げによる節税効果と納税の為に不動産を譲渡した際の税の優遇などを考えると、今ではなく、その時で、という判断になるでしょう。また、不動産が値上がりしそう、値下がりしそうということも、今か、先かという判断材料になりますが、それは単なる予想にすぎません。

 もう少し、相続税の観点から、今やるか、先にやるかを考えてみますと、今すぐではなくても、そのうちにやらなければならないと考えていることは、「今やる」ことのほうが効果は高くなります。建物のリフォームや、修繕、設備の更新、また貸地などの範囲を特定するための測量など、お金のかかることは相続発生前の元気なうちにやることによって、結果的に相続財産であるお金が減少し、その分、相続税も減少することになります。仮に将来の想定される相続税率が50%と仮定すると1000万円のリフォーム代金や測量代金を支払うことにより、1,000万円の現金が減少した分、それに対する推定相続税500万円が減少したことになり、結果的に500万円でリフォームや測量ができたとも考えられます。

不動産経営と相続という観点から「いつやるか」ということを検証しましたが、いつかやらなければならない多くのことは早めにやったほうが良いと言えるでしょう。

昨今の不安定な世界情勢、社会経済情勢などを考えれば明日何が起こるかわかりません。また、健康寿命も限られています。やるべきこと、やりたいことを整理して大きな声で自身に問いかけてみましょう。「いつやるか!?」

・・・・という問いかけそのものも明日以降になりそうです。



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ストレスはなるべく解消したい

 夏休み、冬休みは親兄弟、親せきで顔を会わせる数少ない機会です。必然的にお墓や家のこと、財産や将来の相続のことなど、細かい事から大きなことまで、普段は日常に紛れてあまり考えていないことも、この時期には、日常とは違うもう一つの現実をあらためて考える機会でもあり、親兄弟それぞれの思い、考えを話し合う大事な機会でもあります。

また、進学や就職などで地元から離れた旧友たちが戻ってくる時期でもあり、懐かしい面々と、昔話に花を咲かせたり、それぞれの近況報告などを話したりする機会も多いのではないでしょうか。ある程度の年齢になると、自分や親の健康のこと、相続のことが話題にのぼることも少なくありません。特に近年は、相続や終活、空き家などの話題がメディアで多く取り上げられていますので自分事として関心も高まっています。

実家の土地建物を親から相続したけれども、今のところ自分も兄弟も利用する予定はないがどうすればよいか、という話題は、空き家問題の典型例ですが、そのまま放置するわけにもいきませんので兄弟の誰かが管理をしなければなりません。相続した不動産の管理者、すなわち所有者を特定するために、相続した不動産の名義変更も義務化されましたので、不動産を必要するとしないとに関わらず、兄弟で話し合って合意の上で名義変更しなければなりません。名義人となったものは空き家となった建物を管理しなければなりませんが、日常的な管理の手間は、それほどかからないものの、人が住んでいないことによる建物の老朽化の進行、破損した部材や倒木、建物倒壊による隣地建物への損害、いたずら、不法侵入などによる防災、防犯上など治安の問題など、そうそう日常的に起こることではなくとも、万一事故が起きたときの所有者である者の責任には重いものがあります。こまめに現地に行って確認できる場合はなんとか状況を把握できますが、遠方に住んでいる場合は、なかなかそうはいきません。近くの知り合いや不動産会社などに管理をお願いする方法もありますが、タダというわけにもいきません。ならば一層のこと建物を解体することが心配解消の方法ですが、建物が無くなって更地になったとしても、雑草の問題やら、廃棄物の不法投棄やら、自動車、自転車の無断駐車、プレハブ小屋や物置の設置などの不法占有など、まだまだ心配の種はつきることはありません。要するに不要なものは持っているだけで大きなストレスなのです。このような不要な不動産は積極的に手放すことによってストレスを大幅に軽減することが可能ですので、売れるものは売る、タダでも、お金を払ってでも手放すということが精神衛生上、良いと言えるでしょう。

ただし、不要な不動産を兄弟の一人に押し付けておいて、いざその不動産が売れたときに、いやいや実は自分にも権利がある、などという都合の良い話はくれぐれもなしですよね。

不要なものを持っていることもストレスですが、また、それを譲るのも、壊すのも、捨てるのも、手放すのは、なかなかエネルギーがいるものです。




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目まぐるしい変化と土地活用

 AIやらChatGPTやらと世の中の進化のスピードが日に日に早まっております。その目まぐるしい変化を人間より7倍速いといわれる犬の成長速度にたとえて「ドッグイヤー」と呼んだのはすでに過去の話で、18倍速いといわれるネズミに例えた「マウスイヤー」も既に過去のものとなりつつあります。

 その間、世の中はリーマンショック、株安、株高、円安、円高、震災にコロナ禍、戦争、異常気象など、いろんなことが起きすぎて、もはや明日、何が起きてもおかしくない状況です。不動産まわりに目を向けると、少子高齢化による人口減、増加する空き家問題、対する都市部マンションの価格上昇、資材高、人件費高による建築費の上昇、ライフスタイル、ワークスタイルの変化やITの普及による在宅勤務の増加、田舎暮らし、外国人観光客の増加による宿泊施設や観光施設の変化などなど、社会経済、流行の変化によってもはや5年後、10年後のことはよくわからないのが正直なところです。

 このような変化の目まぐるしい世の中において、土地活用はどのような視点で考えればよいのでしょうか。一つのポイントは、リスクを自分がとるか、プロにとってもらうかです。

自分でリスクをとるとは、自ら資金の調達をして建築し、賃料収入を得ることで、これまでの一般的な賃貸経営といえるでしょう。一方、プロにリスクをとってもらうとは、活用方法、用途の選定や資金調達、建築、その後の賃貸経営のすべてはプロに任せ、自身は賃貸経営に参画せず、土地のみを提供し、土地の利用料である地代(借地料)を受領するという方法です。要するに、土地活用を積極的に進めたいプロに土地を提供し、プロとの間で借地契約(定期借地契約が望ましい)を締結するということです。特に、敷地が広い、幹線道路に接している、住宅か店舗か事務所かいずれの用途も対応可能である、また、自ら建築する場合は建物規模が大きくなり多額の建築資金が必要となるような場合は借地の検討の余地は十分にあるでしょう。幹線道路沿いの飲食店やコンビニ、ドラッグストア、洋品店などは、時代の目まぐるしい変化によって入れ替わりや営業のサイクルが短くなってきています。このような立地は自ら経営するより、土地を貸して、プロに経営してもらった方がリスクはほとんどありません。また、このような商業立地ではなくとも、高齢者施設の建設や、保育所の建設なども同じことが言えます。特に保育所は待機児童が社会問題化し、行政の旗振りによって多くの保育所ができましたが、既に待機児童問題はほぼ解決し、逆に定員割れしているところが増えてきているようです。過去最低の出生率ですので、冷静に考えればこれも当然のことといえるでしょう。

要するに、変化が激しい昨今、多額の投資が必要な土地活用は、借地を活用しプロに任せることも有効な選択のひとつであるということです。

こんな時代だからこそ、ゆっくり考える、何もしないのも有効な選択のひとつですかね。




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けっきょく最後は売ることになる

 中小企業経営者の高齢化と後継者問題が数年前より話題となっております。技術やノウハウがあっても後継者がいないため廃業せざるを得ないケースも多く、このままでは日本の技術力、経済力も衰退していくため、経営者がまだ元気なうちに会社、事業を売却し、技術、ノウハウを承継していこうという、いわゆるM&Aを国や経済界が積極的に支援しています。

 もちろん不動産賃貸経営も事業ですが、どちらかというと事業承継というより財産承継ですから後継者問題というより、誰がその不動産を相続するかという相続問題といえるでしょう。賃貸事業の規模によっては、所得税や、相続税の節税効果を高めるために、親族で法人を設立して賃貸経営をしているケースも多く見受けられます。この場合は法人の株式を誰が相続するかという問題になります。財産の形は不動産ではなく法人の株式となりますが、不動産の現物を相続することと実態はそう変わりません。

 
 同族法人の設立によって不動産賃貸経営をする場合、推定相続人である配偶者や子、孫を役員とし、賃料収入をそれぞれの給与として分散させることによって、トータルの所得に関する税金を減少させる効果や、万一の場合の相続税の納税財源を確保する効果も見込まれます。

 
 順調に賃貸経営ができているときは、一族による法人の運営も特に問題はありませんが、同族法人の株主に相続が発生したりすると、相続によって子供や孫が株主となり、賃料収入を分け合う役員も、当初は株式を相続した兄弟だったものが、相続を重ねることにより兄弟の子である、いとこ同士となります。兄弟で法人を経営している時は、賃貸事業も順調で特に問題なかったものが、相続によって、いとこ同士の経営となり、同族法人の役員とはいいながらも、次第に縁遠くなり、賃貸経営に関する修繕や入退去の管理、契約の条件など、小さなことでも意思決定が図りづらくなります。普段は本業として企業に勤めている場合などはなおさらです。

 同族法人による賃貸経営は、主に税などの面ではメリットはあるものの、株主や役員に配偶者や子、孫が入る場合などは、法人による賃貸経営とはいいながら、実態は不動産の共有とほとんど変わりありません。法人の役員構成や株主構成が兄弟から、いとこと縁遠くなり、管理が難しくなると、結局最後は不動産を売却して、法人を解散、あるいは法人ごと不動産を売却し、お金で清算するということになるケースがほとんどです。

 要するに同族法人による不動産賃貸経営も、同族間による不動産の共有も最終的には売却してお金で分け合うという結末が見えています。互いの意思疎通ができ、売ってお金で分け合えるうちはいいものの、関係者が増えたり、第三者が入り込んだりするとそれどころではありません。既に法人で不動産所有している、もしくは共有している場合は、売却を想定した運営が必要です。早くお金に換えてスッキリしたい関係者はすぐ近くにいるものです。





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地価上昇の恩恵

先日、2025年の公示地価が発表されました。今年も都市部をはじめ全国的な上昇基調が続いています。地価上昇と聞くと、なんとなく良い事のように感じますが実際はどうなのでしょうか。地価上昇が土地資産家に与える影響について考えてみます。

地価上昇によって土地資産家の保有している土地の総額、いわゆる時価総額は大きくなります。しかし、地価上昇に連動して、固定資産税、都市計画税などの保有税も上昇しますので土地を維持する毎年の費用は増加します。その増加分を補うためには土地や建物を貸して得られる賃料などを増額することが一つの対応策ですが、賃借人が賃料増額に素直に応じてくれるかは、それぞれの事情が異なるので何とも言えません。

また、地価上昇に連動して、相続税を計算する際の基礎となる路線価も上昇しますので、相続が発生した場合の相続税負担も大きくなります。ただし、相続税納付のために土地を売却する際の価格も上昇していますので、納税に困るほどの影響はありません。土地資産家にとっては財産の多くが土地ですので地価上昇によって財産が増えたという実感が少なく、目に見える税金などの負担が増えることのほうの実感が大きいのではないでしょうか。

ならば地価上昇の恩恵を実感しようと土地を売却したとしても、売却によって得られた利益に対して税金が課せられます。また、売却後の現金をそのまま保有していると、万一相続が発生した場合には、現金がそのまま評価され、路線価で評価された土地を保有している場合より多くの相続税を負担しなければなりません。地価上昇時には、時価(売却後の現金)と相続税評価額(路線価で評価した土地)と比較したときに時価が相続税評価額をより大きく上回る傾向が強くなりますので、現金より土地で保有している方が相続税評価上は有利に働くことになります。したがいまして相続税のことを考えれば、土地を売却して売却後の現金を保有しているより、売却せずに、現金より相続税評価額の低い土地を保有していた方が結果的に有利になるということが言えます。

また、そもそも現金を多く保有している人は、このような経済情勢下では土地を購入するだけで相続税を引き下げることが可能となるということが言えます。

このように税金の観点などから考えてみますと土地資産家にとっては地価上昇による恩恵を実感することはあまりありません。恩恵を実感するためには、思い切って土地を売却して、そのお金を使ってみるのも良いかもしれません。お金を使うことによって、経済も良い方向に循環し、使い方によっては人にも喜ばれるでしょう。そして、お金を使った結果、財産が減少して相続税も減少します。

地価上昇によって得られる恩恵をいろいろと考えてみましたが、やはり一番恩恵を受けるのは、いろんな名目で税金を徴収する国ということでしょうか。



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不動産リテラシー

前々回に、お金に関する知識や能力である金融リテラシーを高めることで、財産を守ること、運用することの素養を身につけることが可能となり、不動産においても賃料収入を目的とした現物の不動産投資をはじめ、賃料収入を裏付けとした上場REITや小口化商品などの広がりにより、金融リテラシーがより求められるようになってきたという話をしました。

特に不動産はその特性を理解しなければ上手な運用はできないことから、今回は不動産のもつ特性の基本について、もう少し具体的にお話しします。

まず、不動産は投資した金額、すなわち元本が保証されておりません。その分、元本が保証されている預貯金と異なり、利回りが高くなります。これは元本変動のリスクを利回りで補っているような考え方です。不動産に限らず投資商品の基本は、リスクが低ければ利回りは低く、リスクが高ければ利回りが高くなるという関係です。不動産の元本が保証されていないという事は、将来、売却したときに、投資した金額より下回り損失を被る場合もあれば、反対に投資した金額以上で売却でき、利益を得られる可能性もあるということです。例えば、不動産価格の上昇が期待できない地方都市の場合は元本割れのリスクが高いので利回りが高くなりますし、反対に不動産価格の上昇が期待できる都市部の場合は元本割れのリスクが低くなりますので利回りは低くなります。値上がりが顕著な都心部のマンションがいい例です。地方都市と都市部の不動産価格と利回りについて述べましたが、不動産の収益の源泉である賃料についても同じことが言えます。賃料が下落傾向である地方都市と、賃料が上昇基調である都市部との違い、また、空室になった場合に新たな借主が見つかるまでの期間などの違いなど、都市部と地方都市では抱えるリスクが大きく異なります。必然的に地方都市の不動産は利回りが高く、都市部の不動産は利回りが低くなります。このようなことから不動産は保有する場所によって必然的にリスクと利回りが異なるということが言えます。

また、不動産は保有しているだけで費用が発生するという特徴があります。代表的なものは固定資産税・都市計画税です。共同住宅などの場合は共用部分の水道光熱費や清掃費、設備点検などの保守管理費などがかかります。これらは収益が発生しようとしまいと常に発生する費用となります。さらに建物は時間の経過とともに劣化し、価値が減少していくということから、そもそも元本は保証されているどころか、投資金額が時間経過とともにゼロに向かって減少していきます。その過程では修繕の費用が発生しますし、設備なども更新の必要がでてきます。そして最終的には建て替えるための再投資の必要も生じます。このような建物の特性を考えれば、築年数が経過した建物はリスクが高い、すなわち利回りが高く、築年数が浅い建物はリスクと利回りは低いと言えます。

今回は不動産投資を元本という視点で話しましたが、リスクと利回りの関係の基本を踏まえ、この物件はなぜ利回りが高いのか、低いのかという理由を考える癖をつけることが不動産リテラシーを高める一歩となるでしょう。


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返したいのに返せない

 先代、先々代が良かれと思って貸した土地が返ってこなくなった。戦前、戦中の建物保護法の制定、正当事由によらなければ更新拒絶できなくなった借地法の改正などによって事実上、貸した土地は返ってこなくなりました。返してもらうにしても、借地権を買い戻すというように多額の立退料を支払わなければなりません。しかも借地契約当初は土地が返ってこなくなるとは想定しておりませんから権利金など一時金の授受もありません。なんで貸した土地を返してもらうのに多額の金銭を払う必要があるのか、どうも納得がいかない。借地人も知恵をつけて何かと権利主張をする。これが現在の借地問題の根っこにある部分です。時代の経過とともにこのような感情も薄れつつもあると思いますが、この理不尽な借地制度に対する地主の感情は財産とともに次世代へ脈々と継承されています。

そんな現在でも、地主にはお世話になったということで借りた土地を無償で返還したいという借地人も稀に存在します。このような借地人の申し出に、地主も悪い気はするはずもなく「タダじゃ悪いから建物の解体費用程度はこっちで負担するよ」あるいは「解体費相当額で借地権を買い戻すから、そちらで解体して更地で返してよ」という回答になることは想像に難くありませんし、事実、そのような対応が多く見受けられます。当事者間では非常に円満な解決方法ですが、実務では借地上の建物の規模や構造によって解体費用が大きく変動しますので注意が必要です。しかも昨今は人件費や廃材の処分費なども上昇し、解体費用もそれなりの金額になります。木造家屋ならまだしも、鉄骨や鉄筋コンクリート造の建物の場合は相当な解体費用になります。このような場合は借地上の建物ごと無償で返還されても地主は相当な解体費用を負担しなければなりません。それどころか解体費相当額を借地人に支払うと言っても、借地権を買い戻す場合と同等かそれ以上の負担になる場合もあります。借地人の立場にしても解体費の捻出が難しいので、地主に無償で引き取ってもらいたいというのも本音かもしれません。地主にしてみれば解体費の満額は出せないけど借地権の買戻し金額として解体費相当額の一部を支払い、借地人に、解体してもらって更地にて返還してもらうことも考えられますが、借地人が費用を持ち出してまで建物を解体して地主に土地を返還というのも現実的には難しいでしょう。

相続によって借地権付き建物を取得したものの、利用する予定もないため地主に返還したい。しかし解体費用が高額のため、地主も引き取ってくれず、自身も費用捻出が難しいため空き家の状態で放置せざるを得なくなる。地代の支払いが滞って地主に借地契約を解除されても借地人にとって特に不利益はないが、土地が返ってきた地主も困ってしまう。今後も増えるであろう空き家問題の一類型です。

いずれも最後は地主が対処せざるを得ないケースが多いと思いますが、このような事も考えると借地権設定時の権利金や期間満了時の更新料などの一時金は非常に大事であり、意味がある金銭でといえるでしょう。頑丈な建物は壊すのも大変。100年後が心配です。





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金融リテラシー

金融リテラシーとは、お金に関する知識や能力のことで、預貯金や、保険、ローンや投資に関する仕組みを理解し、その知識や能力を高めることにより、資産形成に役立つことはもちろんのこと、投資詐欺などのお金のトラブルを防衛することにつながります。

警察庁の発表によると、2024年の特殊詐欺、投資詐欺、ロマンス詐欺などによる詐欺被害の総額は、なんと約2,000億円に上るそうです。日本にはお金をたくさん持っている人がいるということに感心するとともに、これほどテレビや新聞やネットなどのあらゆるメディアで詐欺被害防止を啓蒙しても被害が増え続ける現実をみれば、残念ながら詐欺は永遠に無くならないといえるでしょう。また、詐欺とは言えないまでも、もう少し自分に知識があれば防げたであろう金銭トラブルや投資の失敗など、お金にまつわるトラブルはあげたらきりがありません。このような失敗をしないためには、冒頭に述べた通り、お金の基礎や金融の仕組みを理解し、自分で考える癖をつけることが重要となります。これが金融リテラシーを高める。ということです。金融リテラシーを高めることは、投資詐欺などの被害予防になることに加えて、自らの資産形成の役に立つことは間違いないでしょう。

不動産分野においても賃料収入を目的とした不動産投資をはじめ、不動産特定共同事業法を活用した小口化商品、不動産投資信託、いわゆるリート(REIT)など、金融商品としての側面も高くなり、不動産知識はもちろんのこと、より金融リテラシーが求められる時代になったといえます。

不動産投資の指標となるのは投資利回りです。投資利回りとは投資金額、要するに購入金額に対する賃料収入の割合です。同じ金額を投資すると考えた場合、利回りが高ければ収入が多くなりますし、利回りが低ければ収入は低くなります。当然、利回りが高い方がいいと考えがちですが、そこには利回りに比例した不動産特有のリスクが伴うことを忘れてはいけません。リスクとは、危険度や不確実性といいますが、心配事、不安要素と言ってもいいかもしれません。要するに不安要素が高ければ利回りは高くなり、不安要素が少なくなれば利回りは低くなります。いわば不安要素を利回りで補っているともいえます。

不動産はその特性からたくさんのリスク、つまり不安要素を抱えています。不安要素の一例をあげると、投資した金額が将来にわたって保証されていないという事です。要するに将来、売却しようとした場合に、購入金額より高く売れる場合もあれば安くなる場合もあり、投資した元本が保証されていないということです。身近な例を挙げると、預貯金は、最近になってやっと金利が少し上がったとはいえ、利息は雀の涙ほどです。しかし、預け入れられた元本は保証されているので、リスク(不安要素)はほぼゼロと言っても過言ではありません。これが元本の保証されている預貯金と、保証されていない不動産との大きな違いであり、利息、利回りの違いです。金融リテラシーのイロハのイですが、最近では安心して預けたはずの銀行に財産を盗まれるなんてことも起きており、プロのリテラシーというよりモラルが問われているところです。まさに泥棒に財産を預けていたという笑えない話ですね。



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もうええでしょう

さて、「もうええでしょう」とは、実在の事件をモデルにしたネット配信ドラマ「地面師たち」にでてくる名フレーズで、地面師とよばれる不動産詐欺師たちが、売主に対する疑念を抱く時間を与えないように煽った言葉です。このフレーズが逆に怪しさを増幅させているとも思いますが、不動産取引のリアル観と脚本、配役によってブームを起こしました。

 私も仕事柄、原作はじめ、地面師界隈の関連書籍やドラマのモデルとなった被害企業の公表資料など大体目を通しましたが、いろいろな情報を収集し、整理するうちに、これは決して他人事ではなく不動産に携わるものであれば、金額の大小、事件性の有無を問わず、似たようなことは、いつどこで遭遇してもおかしくないというのが実感です。

 不動産詐欺もしくは取引トラブルのポイントは、とにかく「本人かどうか」の徹底した本人確認と、「本人がどうか」という徹底した意思確認にあります。特に後者の「本人がどうか」については、本当に本人の意思なのか、が何よりも大事です。例えば、子供を通じて「親が不動産の売却を検討している」であったり、会社の従業員が「会社が不動産の売却を検討している」などといったりした場合など、さらに「ここだけの話」とか「まだ他には相談していない内々の話」などと特別感をもって囁かれると、購入欲と相まって思考が鈍ってしまいます。まずは、その売却話が所有者本人、代表者本人の意思なのかを、直接本人に会った上で確認しなければ、売買代金全部を騙し取られることはなくても、手付金や申込金を巡ってトラブルになりかねません。大規模なプロの詐欺集団ではなくても、このような地面師予備軍は意外と身近に潜んでいることもあるのです。


 反対に、売主の立場に立つ場合は、子供などに任せるのではなく、意思決定はもちろん、条件交渉の場においても自身が立ち会って、明確に自身の意思を告げることが無用なトラブルを防ぐことになります。

いずれにしてもトラブル防止には、本人確認と本人の意思確認が重要であることは間違いありませんが、地面師詐欺に限らず、投資詐欺など詐欺全体に確実にいえることは「自分に儲け話なんてくるわけがない」ということを冷静に理解することです。もしかして、なんて色気を出したら詐欺師の思うつぼです。

そうです。「あなたなんかに儲け話はくるわけがない」んです。

といいながら、自分はあなたとは違うんです、と都合よく思い込み、どこかに儲け話が転がっていないか常にアンテナを張っている自分がいます。(笑)

今年もみなさまのご健勝をお祈り申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。



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積水ハウス様主催オンラインイベントに登壇いたしました。

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テーマ「SHAMAISON MEET—UP2025、選ばれし土地に、唯一無二の価値を。積水ハウスと実現する”誇れる賃貸経営”とは」2025年1月18日開催



FPジャーナル12月号に取材協力いたしました

日本FP協会発行 FPジャーナル12月号に取材協力いたしました。

テーマ「職業別富裕層の特徴とFPビジネスのヒント」



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