問題解決型不動産コンサルタント 伊藤英昭の事件簿|キャリア20年の独立系「問題解決型」不動産コンサルタントが仕事を通じて日々思うこと、感じた事を綴ります。

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あらためて整理する相続対策キホンのキ(納税財源の確保対策とは 物納編)

不動産を活用した納税財源の確保対策とは、万一の場合に備え、売却用不動産または物納用不動産を確保しておくという対策です。前回は、売却用不動産の目途をつけ、いつでも売却できるよう準備を整えるというお話をしました。今回は物納用不動産の確保対策についてお話いたします。

相続税の納付は金銭一括納付が原則ですが、金銭による納付が困難であり、且つ延納によっても納付が困難な場合で一定の要件を充たすものは、相続税の物納制度を活用する事ができます。これを証明する為に物納制度を利用する場合は「金銭納付困難とする理由書」という書類に、相続により取得した財産の状況や、納税者自身の資産の所有状況や生活に必要な費用、または近い将来の確実な収入や臨時的な支出等を説明資料と一緒に申告します。つまり、相続財産に現預金がない場合でも、相続人に多額の現預金等や換価が容易な財産、臨時収入が見込まれている場合には、物納制度そのものが利用できません。要するに納税に充てる現預金がない人に限って認められる特例の制度なのです。

この大前提を踏まえたうえで、物納に充てる事のできる財産は、相続により取得した国内の財産であり、国が管理または処分に適した財産であることとされています。要するに国も物納によって引き受けた財産を換金処分するということが前提となるため、売れるものでなければ認められません。

 不動産は国債や上場株式などと並んで、物納が認められている財産ですが、国による処分ということを前提とすると、境界が確定していないもの、担保の用に供しているもの、共有持ち分、道路に接していないなど、建築ができない土地、賃借人が明確でない、紛争しているような不動産は原則、物納ができません。

複数の不動産を所有し、どの不動産を物納に充てるかという選択は納税者、すなわち相続人が決定しますので、国が特定の不動産を物納財産として指定する事はありません。

また、物納を利用した場合、相続税評価額がそのまま納税資金として充当されますので、売却する場合の価格(時価)と相続税評価額と比較して、相続税評価額の方が高い不動産などは、物納によるメリットが大きいといえます。したがって、相続税評価額では、なかなか流通しづらい広大地・不整形土地・別荘地、地方の実家(空家)、借地人に買い取る資力がない貸宅地などは物納に適した財産といえるでしょう。

しかし、物納には、隣地と立ち会ったうえでの境界確認書面や越境等の確認書面、貸宅地の場合は賃借地の範囲に関する確認書など、本人以外の利害関係人の協力が必要不可欠となります。これらの書類は原則、相続税申告時(物納申請時)に提出しなければいけません。このような書類の整備には非常に時間がかかりますので、できれば被相続人が健在なうちから早め早めの整備が必要です。





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あらためて整理する相続対策キホンのキ(納税財源の確保対策とは)

不動産を活用した3つの相続対策のうち、前回まで「評価の引き下げ対策」「財産の移転対策」についてお話いたしました。いずれも財産の評価を下げたり、財産を減らしたりして税金を少なくしようという対策でした。しかし、財産の規模によっては、いくらか税金を減らすことはできたとしても、ゼロにすることはなかなか難しいのも現実です。今回は、税金を納めなければならない場合に備えた「納税財源の確保対策」についてお話いたします。

不動産を活用した納税財源の確保対策とは、万一相続が発生した場合の相続税を支払う財源をあらかじめ確保しておくという対策です。特に相続財産の大半が不動産であり、相続財産または相続人固有の財産に、納税に充てるための現金預金などの流動性資産が少ない場合は、いざという時に納税に苦慮しないよう売却用不動産または物納用不動産を確保しておく事が重要です。

不動産による納税財源の確保とは、複数ある不動産を、必要性、資産性、収益性、思い入れなどの観点から優先順位付けをし、優先順位の低いものは、相続が発生した時に、売却や物納によって納税用に手放す不動産として位置づけること、そしてその不動産がいざという時にスムーズに売却、物納しやすいように整備、準備をするということです。

また、いざという時の売却に備え、納税用不動産には建物を建築せずに、駐車場などのように制約の少ない利用をすることも考えなければいけません。

具体的な整備方法は売却か物納かによって若干異なりますが、共通して言えること、準備すべきことは土地の境界を確定し、財産の範囲を特定することです。その土地に接しているすべての土地所有者と土地境界について立ち会った上で、境界の認識について確認し、後日トラブルの無いよう、杭や鋲、プレートなどで境界の標示をし、更に境界点について互いに異議がないということを書面に残します。道路については行政などの道路管理者と立ち会った上で同じ作業をすることになります。これらの作業は、売却する際に、隣接する土地所有者との境界について争いはなく、土地の面積は確定しているということを示すために重要な作業です。仮に隣接土地所有者と境界について争いがある場合などは、土地の範囲が特定できず、また、境界以外でも紛争の可能性が想像されるため、売却は困難を要し、売却できたとしても相場より相当低い価格になることは必然です。また、境界の争いがなかったとしても、隣接土地の所有者が複数人いる場合や、相続による名義変更などをせず、所有者が特定できないなど、境界確定まで相当の時間を要する場合もありますので、いざという時にスムーズに適正価格で売却するためには、早め早めの準備が必要となります。

また、納税財源として見込んでいる不動産が、いざというときにどれくらいの値段で売却できるのかも把握しておきたいところです。



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あらためて整理する相続対策キホンのキ(財産の移転対策とは)

不動産を活用した相続対策には、大きく「税金の対策」と「遺産を分ける」という2つの対策があり、更に「税金の対策」には「評価の引き下げ対策」「財産の移転対策」「納税財源の確保対策」の3つの対策に分けられます。前回は、現金を土地や建物に替えることによって相続税上の評価方法が変わり、結果的に相続税の評価が引き下げられ、相続税が減少する「評価の引き下げ対策」について説明しました。今回は2つ目の対策である「財産の移転対策」のキホンのキとしての考え方、仕組みをお話ししたいと思います。

「財産の移転対策」とは、財産を配偶者、子や孫などの相続人(推定相続人)に贈与(移転)し、本人の相続財産を減少させることによって、将来の相続税を減少させようという方法です。要するに相続が発生する前に贈与によって相続人に先渡ししようということです。ただし、注意しなければいけないことは、財産を貰った人に贈与税が課されるということです。本人の財産が贈与によって減少することによって、その分、相続税は減少しますが、逆に受け取った側に贈与税が発生しますので、将来の相続税と、贈与税を比較検討したうえで、計画的に贈与を実行することが税金を考えるうえで大事なポイントとなります。

贈与税は、相続税と同じく超過累進税率、すなわち贈与を受けた金額が増えれば、それに応じて税率も上がる仕組みになっており、贈与を受けた人が、1年間に(11日から12月末まで)受けた贈与を翌年の確定申告で申告し、納税します。

では、はたして「どれくらいの財産」を、「いつ」、「誰に」贈与すれば、相続対策として有効なのでしょうか。となると何やら難しそうな理屈になりそうですが、考え方は至ってシンプルです。それは、「万一相続が発生した場合の推定相続税率より低い贈与税率の金額を、複数年にわたって、複数の子や孫などの推定相続人に贈与すること。」これがポイントです。よく、1年間の贈与税の非課税枠110万円を毎年、子や孫の複数人に贈与することによって相当の財産を非課税で推定相続人に移転できるという例えを耳にすると思いますが、贈与税を支払ったとしても、想定される相続税の税率より低い贈与税率での贈与であれば有効なのです。また、不動産を活用する場合、現金で贈与する場合に比べ、建物を建築してから贈与したほうが、建築価格より評価の低い固定資産税評価額をもとに贈与税が課されることになりますので、結果的に現金より多くの財産を贈与することが可能となります。これを応用し、アパートなどの建物を贈与した場合は、アパートから得られる賃料収入も併せて贈与されますので、本人の相続財産の増加を防ぐとともに、推定相続人の将来の相続税の納税財源が確保できることにもなります。

そのほか、配偶者に対する居住用財産の贈与の特例や、住宅資金贈与の特例、教育資金の贈与の特例などによって贈与税を軽減する制度がありますので、相続税の軽減に限らず、目的に応じて活用することも検討してみては如何でしょうか。また、勘違いしてはいけないのは、贈与、すなわち無償で与えることですから、贈与した財産を本人が管理したり、使い道を強制したりというのは贈与にはなりません。気持ちはわからなくもありませんが、贈与した財産の管理、処分などの意思決定は、きれいさっぱり受け取った子に任せる潔さが大事ですね。




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今年も変わらぬ賃貸経営

 令和3年、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
昨年は、コロナ禍によってこれまでの価値観を強制的に見直さざるを得ないきっかけができた年といえるでしょう。変わらなければいけない部分、変わらない部分、変わらなくてもいい部分、それぞれ考えることが多かったのではないでしょうか。もちろん私たちが関与する不動産業界も大きな影響を受け、改めて不動産のもつ特性について整理できた一年でもありました。

 昨年のコラムで何度となく取り上げましたが、不動産賃貸業は社会経済の影響を受けるものの、他の事業と比較して大きな影響を受けない安定した事業といえるでしょう。もちろん、経済状況や利用用途によって、賃料が減少したり、空室になったり、滞納などによって収入が減少することはありますし、反対に賃料が上昇することもありますが、その下落幅、上昇幅は限定的です。入居者(テナント)を確保している限り、賃料がゼロになることもありませんが、反対に2倍、3倍になることもありません。他の事業と比較して安定した事業とはいいながらも、当然、事業が破綻するリスクはあります。その原因のすべては借入金といっても過言ではありません。一般的な事業では借入金は事業のスピードを加速するための手段として設備投資や運転資金に用います。それによって収益を何倍に増やすことも可能となります。不動産賃貸事業も借入金によって設備投資をしますが、そこから得られる収益は予測可能であり、限定的です。したがいまして賃貸事業における過度な借入金は経営に大きな影響を与え、特に不況期の賃料減少や空室などに耐えられなくなり、当然、破綻のリスクが高くなります。

 しかし、「相続対策」という名の下では、若干ニュアンスが異なるようです。借入金は相続対策になる、したがって借入金を活用し、不動産を購入する、賃貸建物を建てる、それによって節税できるという理解をしている人がまだまだ多いようです。借入金はあくまで借入金であり、それによって節税になることはありません。相続対策のキホンのキでお話ししましたが、不動産を活用した相続対策(評価の引き下げ対策)は現金が土地や建物に代わることによって相続税上の評価方法が変わり、その不動産の評価と時価との乖離によって相続税が減少することです。借入金は相続財産から債務控除の対象となる、つまり財産から差し引くことができますので、それをもって節税になったと勘違いする人もいるようですが、プラスの財産からマイナスの財産を差し引いた正味資産に対して相続税を課するのは当然のことであり、決して特別に認められた手法ではありませんし、対策などと呼べるものではありません。別の言い方をしますと相続対策と称して1億円借り入れました。しかし、かたや1億円の現金がありますので、相続税評価上はプラスマイナスゼロです。したがいまして現金で賃貸建物を建築しても借入金で建築しても相続税評価上は何も変わらないことがわかります。相続対策、賃貸経営のキホンのキです。

コロナ禍によって賃貸オーナーの多くはテナント賃料の減免や猶予に応じて応援しています。かたや応援したくとも借入金の負担によって応援できない賃貸オーナーもいます。
それぞれが、それぞれの立場でできることをやり、一日も早く不安が拭えるような日がくるよう、そして、みなさまにとって良い一年になるよう心よりお祈り申し上げ年頭のコラムとさせていただきます。





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あらためて整理する相続対策キホンのキ

 不動産を活用した相続対策、不動産の購入やアパート建築、借入金の活用など、昔から何度も繰り返し耳にしている言葉、手法です。相続対策の方法と、その効果は異なりますが、まだまだ相続対策を一緒くたにとらえている人が多いようです。また、昨今では、何かにつけ「相続対策になりますよ」と不動産や金融商品を紹介してくる会社も多く見受けられます。決して嘘ではないと思いますが、相続対策の一面、一つの効果のみに着目し、他の影響を考慮していない、説明していないということもままあるようです。「相続対策」すでに使い古された営業トークですが、おそらく相続対策と称する商品を紹介した当の本人も、相続対策の枠組み、方法と効果を体系的に理解していないと思われます。

 相続対策は大きく分けて、税金の対策と遺産を分ける対策の2つに分けられます。更に、税金の対策は、「評価の引き下げ対策」「財産の移転対策」「納税財源の確保対策」の3つに分けられます。この3つの対策は、それぞれ効果が異なり、その人の財産構成や家族構成によって優先順位を考え、バランスよく組み合わせなければ上手な相続税対策はできません。

 不動産を活用した「評価の引き下げ対策」とは相続税の計算をする際の評価方法の違いを活用した方法です。相続税の評価上、土地は路線価評価(または倍率評価)、建物は固定資産税評価額となっております。したがって土地の場合、土地の時価と相続税評価額を比較して相続税評価額の方が低い場合は、現金で持っているより土地を購入したほうが相続税の評価が引き下げられる事となり、結果的に相続税が減少する事となります。

そもそも土地の相続税評価の基礎となる路線価は、「時価より少し安くしてあげよう」という国の親心から、時価の2割引という設定にしています。国の言うところの時価というのは公示価格と呼ばれるもので、毎年11日時点における国の定めた地点の価格です。したがいまして国の言うところの時価である公示価格を100とすると相続税路線価は80、相続税路線価を100とすると公示価格は125という相関関係になります。この理屈でいきますと、現金で時価1億円の土地を買った場合、その土地の相続税評価額は概ね8000万円となり、現金で持っている場合に比べ、相続税評価額が2000万円減少した分だけ、かかる相続税が減少することになります。もちろん全ての土地がこのように綺麗な相関関係になっておりませんので場所によって当然効果は変わります。例えば時価1億円の土地が路線価で計算すると5000万円という場所もあります。この場合、相続税を減少させる効果は更に高くなります。

建物も考え方は同じです。現金から建物に代わることによって、相続税評価額は固定資産税評価額となります。固定資産税評価額は、建物の建築価格(時価)より大幅に低くなっていますので、結果的にその分、相続税は減少することになります。

 また、土地の上にアパートなどの賃貸用建物を建築する事により、土地、建物ともに更に相続税評価額が引き下げられる事となりますが、前述したように、アパートを建てなくとも、土地は時価と路線価、建物は時価と固定資産税評価額という相続税の評価方法の違いを利用することによって相続税を減少させる効果があるということを理解する必要があります。これが不動産を活用した評価の引き下げ対策のキホンのキです。




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あなたの不動産を一番高く買ってくれる人

 不動産の売却を検討するときに気になるのは、やはり売れる価格です。前回は周辺事例や公的価格から概ねの相場、売却予想価格をつかむ基本的な考え方についてお話いたしました。今回はもう少し掘り下げて、少しでも高く売るにはどのようにすべきかについてお話したいと思います。

 不動産を少しでも高く売るための基本は、高く買ってくれそうな人を見つけることです。当然至極のことですが、では、その不動産を高く買ってくれる人はどのような人、どこにいる人なのでしょうか。どんな不動産にも共通して言える、その不動産を一番高く買ってくれる人は、その不動産を一番必要とする人です。その不動産を一番必要とする人が、その不動産の価値を誰よりも理解し、誰よりも高く購入するのです。

では、その不動産を一番必要とする人は誰なのでしょうか、明らかなのは、その不動産を購入することによって自身の不動産の価値が上昇する人です。例えば、隣り合った敷地の所有者などのケースを考えてみましょう。隣の土地は借金してでも買え、と言われるように、隣の土地は隣人にとって唯一無二の不動産です。自身の土地が、間口が狭い、旗竿状である、地型が悪い、ましてや道路に接していないなどの場合は、その土地を購入することによって価値が上がるのは確実ですので、ある程度の金額を払ってでも購入するでしょうし、また、何としても購入すべきですね。そこまで不良な土地でなくても、将来の子供家族のため、また、実家の親御さんのためなどの理由で隣地を購入する人は多いのが実態です。

また、貸宅地(底地)や共有持分の場合は、前述した不動産の価値上昇の効果がより顕著です。借地人は、底地を購入することによって完全な所有権となるため資産価値が上昇しますし、地代をはじめ、更新料、建替え承諾料などの支払いをする必要がなくなります。何より、地主との人間関係が解消されることによって心理的ストレスから解放される効果は大きいといえます。このようなことから借地人は機会があれば土地を購入したいと常に考えています。共有持ち分についても同じようなことが言えます。共有持ち分を必要とする、購入することによって価値が上がるのは他の共有者です。貸宅地(底地)や共有持ち分の買取りを専業にしている不動産業者がありますが、彼らは、この原理原則に基づき、底地や共有持ち分を購入し、一番、その不動産を必要とし、価値を理解している借地人や他の共有者に売却するのです。ただし、資力の問題などで皆が皆、貸宅地や共有持ち分を購入してくれるわけではありませんので、そのリスクも考慮して、不動産業者が購入する価格は必然的に低くなります。それなりの事情がある場合は、専門業者に購入してもらうこともやむを得ないでしょうが、まずは直接お話をされることが価値を最大限に実現するポイントです。

このように、あなたの不動産を最も高く購入してくれる人は、案外、皆様のすぐ近くにいるものです。そんな時のために隣近所とは仲良くしておきたいものですね。




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どんな人が買うのか?(土地の相場観)

 不動産の売却を検討する場合、やはり気になるのは価格です。いくらで売れるのか、不動産業者に相談する前に、新聞広告やインターネットでおおよその近隣相場を調べる人も多いのではないでしょうか。

土地の場合、まず、参考とするのは周辺の売り出し価格です。ただし、売り出し価格だけを見ても相場はわかりません。売り出されている土地の面積と価格との関係、すなわち崔渦繊坪単価がいくらで売りに出されているか電卓で計算することが重要です。加えて、売り出されている土地の前面道路に付されている公的価格(通常は路線価、その道路に面した土地の崚たりの価格が公表されている)と、売り出されている土地の単価との相関関係を調べます。このような事例をいくつか調べることによって、そのエリアの売り出し価格と路線価との関係が見えてきます。例えば、この地域は概ね路線価の1.5倍前後で売りに出されている、というような感覚、これが相場観です。ただし、土地というのは大きさや土地の形などによって単価に大きな影響を及ぼしますので、いくつかの事例のうち、単価が極端に低いもの、高いものについては事情を考えてみる必要があります。よくよく調べてみると、極端に間口が狭かったり、土地に高低差があったり、極端に広かったり、狭かったり、敷地図をみると大体その理由はわかるものです。

また、その地域の環境、特性を地図や、実際に歩いて観察することも重要です。この地域では、どのような規模の土地、どのような規模、用途の建物が多いのか、不動産の傾向、町の傾向、特徴を観察するということです。例えば、この地域では概ね30坪前後の、ほぼ整型な土地に2階建ての住宅が建っているという傾向がつかめれば、その規模の土地がその地域の標準的な土地となり、これを基準に土地面積が大きい、小さい、土地の形が整型、不整型かによって価格のプラスマイナスのイメージをつかむことが可能です。前述の路線価を基準とした相場観と合わせて考えると、この地域では30坪前後の土地が路線価の1.5倍前後で売りに出されている。(売れている)ということがつかめます。これをエンドユーザー(最終消費者)価格といいます。

このような地域で100坪の土地を売却しようと考えた場合はどうでしょうか。地域の標準的な規模より大きくなるため、想定される買主は、土地を3分割、もしくは4分割に分けて宅地(建売)分譲する不動産業者ということになるでしょう。前述した地域の相場観で考えますと、3分割後の土地が路線価の1.5倍で売れるという計算が成り立ちます。不動産業者の仕入れ、販売経費、造成費、利益などを考えると、エンドユーザー価格、すなわち路線価の1.5倍の価格の2割から3割減額された金額がこの土地のおおよその相場ということが言えます。これは単に不動産業者だから安くなる、ということではなく、この地域でこの規模の土地はエンドユーザーではなく不動産業者(分譲業者)が想定される買主であるということです。

以上が土地の相場観の基本的な考え方です。とはいいながら、土地は同じものが2つとありません。したがって、相場といいつつも、個別の事情によって、いくら出してもいいから、その土地が欲しい、その土地じゃなければダメなんだ、という人がいるかもしれません。




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立ち退きをお願いする前に

 相続税を納付するために不動産を売却しなければならない。よくある相談です。複数ある不動産の中から、どの物件を売却するか悩ましいところですが、考え方の基本は、必要性の低い不動産を売却するということです。必要性の低い不動産とは、遠隔地であったり、収益性が低かったり、建物の老朽化などにより維持管理が煩わしい不動産などです。このような必要性の低い不動産はまた、何かしらの原因によって売却しづらいというのが大体の相場です。それがゆえに、必要性が低く、何かがあれば売却したいと思うのも当然でしょう。

 相続する不動産は、自宅とその周辺の駐車場や賃貸不動産、都心部の区分所有マンションの数戸、そのほか、隣町の古い木造の賃貸店舗兼住宅です。賃借人は同物件で30年理髪店を営み、2階に居住しています。特に家主との交流もなく、賃料も周辺相場に比べると高くはありません。まず、売却を検討するのはこの店舗兼住宅です。収益が低く、建物も老朽化しているため、思うような価格は見込めません。この物件の価値を高めるには、賃借人に退去してもらい、負担のない状態で売却することが望ましいのは頭では理解できます。しかしながら家主の都合で一方的に退去させることはできませんので、退去にかかる補償(立退料)は最低限提供しなければいけません。しかも店舗の立退料は住宅とは異なり、その場所で長年営んでいるからこそ得られている収入、今後も得られるであろう収入を一定程度補償してあげなければなりませんので高額になることが想定されますし、協議が長期化したり、場合によっては紛争まで発展したりするかもしれません。やはり、このような必要性の低い不動産に限って売却の難易度が高くなる傾向になりますね。

しかし、考えていてもことは進みません。が、やみくもに、売却するので退去してほしいというのも良い方向に進むとは思えません。本来の目的に立ち戻って考えると、不動産を売却することが目的であり、退去の要請はその手段の一つなのです。したがって、賃借人には少し言い方を考えて「相続税を納付しなければならないので、借りていただいているこの物件を売却せざるを得なくなった。ついては、ずっと使ってもらっているし、今後も使ってもらいたいからこれを機に購入してはもらえないだろうか」と、お願いの方向を変えるだけで大分、賃借人の心理的抵抗感が少なくなるといえます。賃借人は長年その場所で商売を営んできたので、何とか慣れ親しんだその場所にとどまる方法を考えます。長年の商売の蓄えがあるかもしれませんし、子供の援助を受けて購入するかもしれません。また、購入できなくても、これを機に商売をたたんで息子家族と同居するということになるかもしれません。

このように、話の順番や方向を少し変えることによって、よい展開に進む可能性もありますし、逆に、最初のボタンを掛け違えただけで、紛争になることもあるのです。

これは実際に私が取り組んだ事例です。賃借人は、借りている土地建物を購入し、しばらく商売を続けたのちに息子と一緒に建て替えるとのことでした。

めでたしめでたし。と、すべてがこのように上手く進むとは限りませんが、利害の相反するもの同士でも、まずはめでたい結末を迎えられるよう常に意識したいものです。






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無料査定します

 コロナ禍によって在宅時間が増えたことに伴い、普段忙しくて、そのうち、と先送りにしていた家のことに手をつけた人も多い事でしょう。よく耳にするのは家財等不用品の整理です。不用品は廃棄処分が一般的ですが、最近ではインターネットを通じて個人間で売買するという方法も増えているようです。また、不要な貴金属などは専門業者が査定し、その場で買い取ってくれるサービスが主流です。

 
 「査定」とは、金額などを調査し決定する事、と辞書に書かれています。先ほどの貴金属もそうですが、車なども買取業者に「査定」を依頼し、査定額に納得すれば、査定額で買い取ってもらうことが可能です。もちろん
1社の査定だけでは適正かどうか検討がつきませんので、複数社に査定してもらい、一番条件のよいところに売却する方法も多く見られます。

 不動産においても「査定」という言葉をよく耳にしますが、前述した貴金属や車の査定、買取とはニュアンスが大きく異なります。一般的にいわれる不動産の査定とは、不動産仲介会社が、近隣の相場や事例などから、対象物件の個別的な事情を考慮して、これくらいで売却できるだろう、という売却予想価格です。売却予想価格ですので貴金属や車のように買い取ってもらえる価格ではありません。また、複数の不動産仲介会社に査定を依頼すると、当然ながら査定額もまちまちです。前述したように不動産の査定額はあくまで売却予想価格ですので査定額が高い会社が査定どおりの高い金額で売ってくれるとは限りません。不動産仲介会社の立場で考えると、査定の依頼は仲介の仕事を受注する、いわば仲介手数料を稼ぐ入口でありチャンスです。したがって査定の主眼はどうしたら売却の依頼を受けられるかに置かれています。わかりやすく、しかももっとも依頼者の興味を引くのは査定額です。査定が高い会社に興味をもつのは当然でしょうし、業者も興味を引いてもらえるよう査定額を少しでも高めに出す傾向にあります。しかし、繰り返しになりますが、査定額はあくまで予想であること、そして不動産物件情報は全国の不動産業者間のシステムで共有されることから、基本的にはどの仲介業者に売却の依頼をしても結果に変わりはありません。

また、ポストに投函される「このエリアでお医者さんが探しています、この学区限定で探している人がいます」というチラシを見た方も多いと思いますが、これも、依頼者の興味を引き、売却の依頼をうけることに主眼を置いている営業チラシですので、チラシに書かれている事の真意はあてにしないほうがいいでしょう。

査定額が高い、低い、お客さんがいる、いないというより、信頼できるか、安心できるかどうか、という視点で売却の依頼先を決めることが肝心です。

 今やネットで簡単に不動産の査定が依頼できますし、コロナ禍によってむしろその傾向が強くなっているようです。「人は見た目が9割、会えば良さが分かってもらえるのに・・・」というのは過去の話になるのでしょうか。少し寂しい気もします。






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不況と賃貸経営

  緊急事態宣言の解除からまた感染者が増加し、現在は沈静化してきたような感もあり、少しずつですが、人の動き、経済の動きが活性化してきたようです。それでもコロナ禍によって世界、日本の経済は大打撃を受け、前回のリーマンショックを大きく超える未曾有の経済不況が到来すると言われております。

コロナ不況が不動産に与える影響については前回、前々回とお話しいたしました。賃貸経営についても他の業種同様、少なからずマイナスの影響をうけるものの、賃貸用途によってはその影響は軽微であり、見方によっては不況下に強い事業であることを改めて感じているかたも多いのではないでしょうか。

 コロナ不況下で大きく取り上げられているのは、飲食等自粛要請業種の賃料負担です。当然のことですが賃料は、お店を営業していようといまいと、売り上げが上がろうと上がるまいと、借りている以上、毎月約束した賃料を必ず支払わなければいけません。反対にオーナーは毎月必ず約束した賃料を受け取ることができ、しかもこれは法律で決められている(守られている)絶対的約束なのです。今回の国の経済対策をみても、テナントに対する賃料の補助が対策の柱となっています。いくら国といえども、オーナーに対して強制的に賃料の減額を迫ることはできないのです。このような事からも、いかにオーナーの権利が強いかということがよくわかります。

 このように、いくら法律上、当事者で約束した賃料を支払う義務、受け取る権利があるとはいえ、このような状況下ですから個別には賃料の減額や猶予の交渉に応じているオーナーが大多数です。また、当面は、すべての用途において賃料の下落傾向が続くことになるでしょうから、賃貸経営にマイナスの影響を受けるのは必至です。利用用途から見ますと、住宅のように必要不可欠なものほど賃料のブレ幅(下落幅)は小さく、店舗等人気や景気に直接左右されるものはブレ幅(下落幅)が大きくなる傾向があります。

しかし、どれだけ不況の煽りを受けたとしても、賃貸経営の優れたところは、賃料が半分になることはあるにせよ、ゼロになることはない、ということです。ただし、何度も申し上げておりますが、借入金が多ければ、返済に充てる金額が多くなりますので、賃料が減少するほど経営は厳しくなります。これまでの経済不況における不動産経営の破綻の原因はすべて借入金です。借入金は、不動産価格や賃料が上昇局面の時には大きなプラスの効果を発揮いたしますが、下落局面では一気に破綻の可能性が高くなります。賃料の上昇が見込めない現在は、いかに借入金に頼らず、計画を組むことが、不安定な経済下でも破綻しない賃貸経営のポイントです。

コロナ禍で大きな影響を受け、賃料の支払いに窮している企業の側からみても、逆の立場から、これからは経営リスクの分散ということを考え、賃貸経営というのも一つの選択となるのではないでしょうか。




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コロナショックと不動産のこれから

 

新型コロナ感染症も、予断は許さない状況とはいいながらもピークを越えたかに見え、これからは新たな生活様式を取り入れながら経済活動を徐々に再開していこうという新たな局面に入ってきました。コロナ禍によって、ありとあらゆる、もの、ことが影響を受けておりますが、もちろん不動産も例外ではありません。今回は、コロナ禍による不動産の影響について考えてみます。

自粛要請が続いた飲食店等については今後、一定の対策を講じながら再開となる予定ですが、コロナ以前のような状況には当面、もしくは2度と戻ることはないかもしれません。特に、飲食店は客席数、回転数によって売り上げが大きく変わりますので、いかに配置を工夫し、客席を確保するかがこれまでの常識でしたが、これからは互いの距離を保つことが重要な対策となりますので、当然、これまでの客席数は確保できなくなります。客席数の減少により売り上げも減少しますので、必然的に支払い可能な賃料も減少せざるを得ません。業界全体がこのような傾向ですすみますので、相対的に飲食店舗の賃料は下落の方向に進むと思われます。商業テナントの賃料が下落すると、商業地の地価も下落傾向が進むでしょう。

また、これまでの客席数、回転数を基に雇用していたアルバイト、パートなどの従業員は必要なくなりますので、他の分野での雇用先が確保できなければ、収入を失い、アパートなどの賃料の支払いに滞りが生じる可能性が増えてきます。

事務所はどうでしょうか。在宅勤務(テレワーク・リモートワーク)が推奨され、戸惑いながらも多くの企業が在宅勤務や時差出勤、時短営業、交代制出社に取り組みました。おかげで、この間ではありますが、通勤ラッシュと言われた首都圏の公共交通機関の混雑も大幅に緩和されました。在宅勤務に取り組んだ企業側も試行錯誤しながらも、ITの活用により一定の経済活動を続けられることを認識し、逆に、都心部に大きな事務所を構えることが本当に必要なのか検討する企業も出始めています。特に今回のような緊急事態時には固定費である事務所の賃料は大きな負担になります。このようなことから事務所の賃料も相対的には下落の方向に進み、連動して地価も下がることになりそうです。

今回のコロナショックは、リーマンショックや東日本大震災どころか、今まで経験したことない経済的な悪影響を及ぼすといわれておりますので、相対的には個々人の所得も減少し、住宅の賃料や住宅地価にもマイナスの影響を与えることでしょう。

このように、なかなか明るい材料は見当たりませんが、建売住宅などはこの緊急事態宣言中も思いのほか売れているようです。おそらく、外出自粛要請の中、家族で真剣に、住宅などの生活設計を話し合う機会が増えたものと思われます。

幸か不幸か、今は、考える、話し合う時間が沢山あります。このような機会に、資産の運用、承継、生活設計など、少し、話し合ってみては如何でしょうか。





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それぞれの立場で出来ること(賃料の猶予、減免)

 先月の寄稿から1か月、新型コロナウィルス感染拡大も、事態はいよいよ深刻となってきました。緊急事態宣言、緊急事態措置の発令による、なかば強制的な営業自粛要請によって、さまざまな業種が甚大な影響を受けています。

このようななか、大きな固定費である賃料を一定期間、猶予または減免できないかという深刻な相談が現場では多く寄せられております。このような問題に、行政も何かしらの対応をと施策を検討しているようですが、スピード感のある対応は期待できません。それでも今月末の家賃は待ったなしです。

このような相談に対して、家主としてできることは、できる範囲で、賃料の支払いの相談に応じてあげることです。賃料の支払いの相談には、減免と猶予の2つの方法があります。

賃料の減免とは、賃料を減額するということです。もちろん恒久的に減額でも構いませんが、今回の事情を鑑みれば、まずは一定期間減額し、一定期間経過後は現行の賃料に戻すという方法が現実的です。

賃料支払いの猶予とは、期日に支払わなければならないものを先送りにするということです。例えば、「今月の家賃を半分にします。ただし本来支払うべき残り半分は半年後に支払ってください。」というように、家主が、借主からの支払い延期の相談に応ずる。言い替えれば家賃の一部を借主に貸すということです。したがいまして、一定期間後は、猶予した賃料を返してもらうこととなります。

賃料の減免や猶予について、借主の立場に立つと、減額が確定する減免の方が、直接的な経済的利益がありますが、猶予でも、資金繰りの事を考えると、支払いを先送りにするという意味ではメリットはそれなりにあるといえます。家主の立場ではこの逆の事が言えます。減免は収入が減少しますが、猶予は収入が先送りになることですので直接的な経済的ダメージはありません。しかも契約時には保証金などを預かっているケースが大半でしょうから、預かっている保証金の範囲内では賃料を猶予したことによる損失、デメリットは家主にほとんど無いと考えてよいでしょう。

賃料の減免にせよ、猶予にせよ、金額や期間は当事者の事情を鑑みて双方で取り決めることとなりますが、いずれも家主にとってはプラスの話ではありません。このような危機に家主として、応援、対応するためにも、経済情勢に応じた賃料設定、賃料改定、すなわち景気が良い時はそれなりに賃料を頂き、景気が悪くなったときには、減額、減免、猶予に応じるという機動的な経営が本来もとめられるところです。また、借入金の返済がある場合は、このような柔軟な対応はとれませんし、賃料の減額や、未払いが発生したときには借主どころか、家主本人の賃貸経営が行き詰まってしまいます。やはり過度な借入金による賃貸経営はこのような危機に対しては非常に弱いという事がいえるでしょう。

いずれにしましても我々が経験した事の無い未曾有の危機です。賃貸経営に関わらず、それぞれがそれぞれの立場で、できることをすることが一日も早い事態の鎮静化につながることは間違いありません。

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新型コロナ不安と賃貸経営(用途とリスク)

 日々、深刻な状況が伝わってくる新型コロナウィルス、イベントや人の集まる会合などの自粛要請で経済、社会に与える影響は計り知れません。東京オリンピックイヤーとして明るく希望に満ちた年の幕開けから、誰が今日のような事態を想像できたでしょうか。まさに明日の事は誰もわかりませんね。

 さて、このような状況が不動産に与える影響を考えてみますと、インバウンド需要を見込んだ観光業、飲食業、旅行業などのような直接的な影響はありませんし、リーマンショックの時のように金融システムが崩壊したわけではありませんので、不動産業界を直撃するほどのインパクトはありませんが、時間とともにじわじわと影響が表れてくるのは必至です。

 例えば、飲食店に人が入らなくなり、売り上げが激減します。短期間であれば、まだ持ちこたえられると思いますが、これが長期に渡るとお店を閉めざるを得なくなります。お店が退去した後は当然、新たなテナントを募集することになりますが、このような状況では新たなテナントが現れるまでには相当の時間を要するでしょうし、これまでの条件で貸すのはなかなか難しいでしょう。また、何とか店を維持する為に固定費である賃料の値下げ要求があるかもしれません。新たなテナントを見つけられるまでに相当の時間を要する可能性が高ければ、賃料減額の要求をのまざるを得ないかもしれません。

 事務所も同じです。景気が悪くなり、事業規模を縮小する。賃料の安いビルに移転する。賃料の減額を要求する。また、今回の問題でクローズアップされたテレワーク(在宅勤務)の普及により、事務所の存在意義自体が問われてくるようになるでしょう。

住宅はどうでしょうか。やはり景気悪化により、収入が減少する、または職を失うなどによって、賃料の値下げや、事によっては滞納という事態も増加することが考えられます。

 このような事から、景況悪化が続けば、不動産から得られる収入が減少することになりますので、じわじわと不動産の価値は下落せざるを得なくなります。

ただし、賃料に与える影響のスピードは用途によって異なります。やはり飲食店舗が最初に直接的な影響を受け、次に事務所、最後に住宅という順番です。ということは、賃貸経営においては利用用途によってリスクが異なるということが言えます。景気が上向きの時は、店舗も事務所も景気よく賃料を支払ってもらえますが、景気が悪くなると、店舗、事務所は撤退や賃料減額リスクが高いため、住宅に比べるとリスクが高いと言えるでしょう。別の言い方をすると、賃貸経営において、賃貸住宅は店舗、事務所に比べ、景気悪化時の影響の受け方が比較的少ない事業ということが言えます。

いつまでこのような状況が続くのか誰もわかりません。地域社会、日本、世界が一丸となって乗り越えなければならない危機です。お互い、協力できることは協力し合って、この難局を乗り越えたいものです。

まずは、手洗いうがいに加え、栄養と睡眠をよくとり、笑って免疫力を高めることからでしょうか。




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いい人

令和2年、明けましておめでとうございます。
本年も引き続き本ブログにお付き合いくださいますようお願い申し上げます。

 「いい人」になると、いい仲間が集まり、いい情報が集まってきます。あたりまえの事のようですが、こと、自分事となるとなかなか難しいですね。自分では、いい人のつもりでいても他人から見たら、決していい人ではないかもしれません。特に利害の絡む仕事の場面では、いい人でいることの方が難しいかもしれません。生き馬の目を抜くと言われる不動産業界ではなおのことです。

 私自身、不動産コンサルティングを生業として今年で27年目になりますが、本当にいい人、いいお客様(地主家主様)に恵まれて今日もご飯が食べられることに感謝しております。いいお客様には、決して損をさせないよう、全力で役務提供、情報提供をするよう自然に意識します。いい人(いいお客様)は、常に、関係者はもちろん、利害が反する相手の事も考えています。考えているというより尊重していると言った方が適切かもしれません。

東京も大きな被害を蒙った東日本大震災の直後、自粛ムードで飲食店などはしばらく閑古鳥が鳴く状態の時、「大変な時はお互い様。」と言って、テナントの賃料を半額にしたオーナーがいました。まさに「いい人」です。その後、将来のビル建替えに向けて、契約形態を普通借家から定期借家に切り替えを進めていますが、ほぼすべてのテナントが切り替えに応じてくれました。また、子育てで大変だろうと言って、借地の更新料や、地代を減額する地主さんもいました。のちにお世話になりましたと言って土地を地主に、ほぼ無償で返還しました。なかなかこのような対応はできるものではありませんが、「いい人」には意識せずとも結果的に経済的な利益もついてくる好例です。

「いい人」は私たちの仕事も適正に評価していただき、報酬も値切りませんし、速やかに気持ちよく支払っていただけます。当然、問題が起きたら直ぐに全力でサポートしますし、いい情報があれば率先して提供します。「いい人」の周りはすべてが好循環です。

 何かいい情報があったらくれ、良い物件があったら譲ってくれ、儲かる話をくれ、また、費用の話になると口癖のようにもっと安くしてくれ、という人もたまにいます。まさに、くれくれ星人です。このような人には、いい情報はなかなか集まりませんし、仮に取引をしたとしても長続きはしませんね。

 と、偉そうなことを言っておりますが、いろんな意味でゆとりがなければ、「いい人」になるのは難しいですね。私自身いつも自問自答、自戒の念も込めて新年冒頭のコラムとさせていただきます。

さて、これから滞納地代の督促に更新料の請求、賃料の値上げ交渉と、まだまだ私は「いい人」にはなれそうにありません。

本年も皆様のまわりに「いい人」が集まり、「いい年」になりますよう心よりお祈り申し上げます。




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不動産の共同所有のかたちと将来

 不動産を共同で所有すると、共有者単独の意思では、利用、処分が難しいことから不動産の共同所有はなるべく避けた方がいいことは誰しもが理解していることです。しかし、さまざまな事情により、共同所有にせざるを得ない、また、今後の管理、処分の事を深く考えずに共同所有するケースはまだまだ多くあります。最初は良かれと思って、また、深く考えずに共同所有したとしても、最終的には売却してお金で分けたり、共同所有者の一人が持分を買い取ったりするなどして、共同所有状態はいつか必ず解消することになります。

 共同所有は、相続によって生じるケースが大半ですが、隣り合った第三者同士が、それぞれの小さい土地を最大限有効に活用する為に、互いの土地を一体利用し、共同でビルを建てる(建てた)というケースも意外と多く存在します。第三者同士で建築した建物の老朽化によって、所有者同士の意思が統一できず、売却も建替えも一向に進まず、ビルがスラム化してきた、という事例も増加しております。まさに、一緒に建てて良かった、と感じたのは最初だけです。

 ここまであえて共同所有という言い方をしましたが、不動産の共同所有の形態は、共有と区分所有があるということを理解する必要があります。共有は全員合意によらなければ、その不動産の利用、処分ができませんが、区分所有の場合は、建物の独立した区分(共同住宅の住戸部分やオフィスのフロアなど)を区分所有者の単独の意思で利用、処分が可能です。巷に溢れている分譲マンションがその典型です。まさに画期的で実用的な権利のはずなのですが、最近では老朽化したマンションの増加とともに、なかなか建て替えが進まないことが問題となっております。今後、この問題は更に増加し、深刻な社会問題となるでしょう。

 マンションの建て替えが進まない理由は沢山ありますが、権利者が多いこと、それに伴いそれぞれの考えが異なること、加えて、それぞれの財布の事情が異なることなどが大きな要因です。このような事から、そもそも全員一致は難しかろうという前提で、区分所有法では、共有と異なり、全員一致ではなくても多数決によって、修繕や、建て替えが可能なルールを定めております。しかし、現実には前述した事情によってマンションの建て替えはほとんど進んでおりません。それは、区分所有といえども、やはり実態は一つの建物を多くの第三者で所有する共有と変わりがないからです。

 同じ共同所有でも、かたや共有は全員一致によらないと利用処分できないということから、最も望ましくない権利形態と言われておりますが、共有状態を解消するためのルールが法律により定められており、共有者は裁判によって共有を解消するための手続きをとることが可能となっております。裁判では最終的に不動産を物理的に分けるか、難しい場合は強制的に売却(競売)することによってお金で分けるという方法がとられます。これを共有物分割請求といいます。このような事から考えると共同所有の解消を実現するためには、区分所有より、共有の方が確実ということが言えるでしょう。

共有は望ましくないといって、便宜上、建物をフロアごとに区分し、親家族、息子家族、娘家族などの同族間でそれぞれ区分所有しているケースを見かけたりしますが、本質を理解していない安易な権利形態といえます。やむを得ず、共同所有せざるを得ない場合、いつか必ず到来する共同所有状態の解消を考えると、共有にすることは大事な選択肢です。

 人生100年時代、年金の事は気になっても、頑張って買った憧れのタワーマンションの50年後はそれほど気にならないようです。




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人間関係と資産価値

貸宅地を保有している地主に不動産会社から連絡がありました。「土地を借りている借地人から、借地権の売買の依頼を受けたので、承諾料はいくらか」あるいは「借地権を売却することになったので譲渡承諾してほしい」との内容です。言いたいことの意味はよく理解できます。借地権の譲渡には地主の承諾が必要ですから、手続き的にも法的にも対応に誤りがあるとは言えません。

ただし、何かすっきりしないものがあります。そう、順番が違うんじゃないの?ということです。本来あるべきは、借地人自らが地主に連絡し、できれば出向いて、「借地権を譲渡しようと考えている、ついては知り合いの不動産会社にお願いしたのでよろしくお願いします。」最低限、ここからスタートしなければ物事は円滑にすすみません。

特に地主の立場で考えると、住宅難の時代に権利金も受けとらずに土地を貸した、それがいつの間にか還ってこなくなった、必要が無いのなら土地を還してほしい。というのが偽らざる本音です。このように相手の立場になって筋道を立ててよくよく考えることで、お願いの仕方も相手に与える心証も大きく変わります。この順番をはき違えて頭書のような不動産会社任せの対応をとってしまうと、承諾いただけるものもいただけません。これによって自身の借地権という資産価値を大きく毀損してしまうのです。借地権を取り扱う不動産会社にもこのことは良く理解していただく必要があります。逆に、地主は、このようなことを理解していない借地人(不動産会社)には承諾する必要はありません。「法律に従って借地非訟なり進めてください。」と、ひとこと言えば大丈夫です。

 

 別の場面で、貸宅地を円滑に管理する為、また、将来、相続が発生した場合に貸宅地を売却、あるいは物納などの検討をしている場合には、権利関係、契約関係を事実にあわせて整備する必要があります。具体的には、測量をして借地の範囲を特定し、実測面積に合わせて契約書を差し替える作業などです。これには借地人の理解と協力が必要です。このようなケースでは、地主といえども測量会社やコンサルティング会社に丸投げするのではなく、地主自らが借地人を訪問し、「このような事情で測量と契約関係の整備をします。ついては彼らに作業をお願いしたのでご協力お願いします。」という最初の挨拶からスタート出来れば、借地人の協力が得られ、円滑な整備が可能です。

不動産を売却するときも同じです。隣地との境界が確定できなければ不動産の価値は大きく毀損してしまいます。この場合も不動産会社や測量会社任せではなく、最初に隣地などの関係者にあいさつに回ることが重要です。

 お願いする立場、される立場、事情によって立場は変わりますが、何事も円滑な人間関係が不動産の価値を維持向上させることは間違いありません。とはいっても誰しもが聖人君子ではありませんので、それがなかなか難しくもあるのですが。

まずは気持ちの良い挨拶からでしょうか。






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売りやすい活用と契約形態を考える

 賃貸経営のキーワードは「分けやすく」「売りやすく」「早期回収」という点が重要である。というお話を前回させていただきました。今回はその一つである「売りやすく」をもう少し掘り下げて、「売りやすい賃貸経営」について考えてみたいと思います。

 賃貸経営は賃料収入を得ることを第一とし、将来、売却することまで視野に入れて計画することは、ほとんど無いようです。しかし、相続税納付や遺産分割などの事情により売却せざるを得なくなった場合に、売りやすい物件か売りづらい物件かによって換金のタイミングを逃してしまったり、目論みどおりの金額で売却できなかったりなど不利益を被る可能性があります。

 では、売りやすい賃貸物件とはどのようなものでしょうか。その前にまず、売りやすい不動産について考えてみましょう。売りやすい不動産の代表例は更地です。その理由は、土地の上に何の制約(負担)もなく、購入者が自由な用途で利用できるという事です。住宅に限らず、アパートでも店舗・事務所でも駐車場でもかまいませんので、購入者のターゲット層が広いということも言えます。その点から賃貸物件を考えてみますと、賃貸物件は土地上の建物および建物の賃借人という利用上の制約(負担)があることから、おのずと賃料収入を目的とした投資物件という用途に限られてしまします。この場合の購入者はある程度の資産や収入を背景にした層に限られてきます。

この事から考えますと、売却しやすい賃貸物件とは、制約(負担)が少なく、購入者層が広がる可能性のあるものということが言えます。具体的には賃借人による制約(負担)を少なくするための契約形態の検討が必要です。賃借人は借地借家法で保護されており、正当な事由が無ければ退去を求めることができません。また、明け渡しには多額の立退き料も必要になります。しかし「定期借家契約」を締結することにより、正当な事由なく期間満了とともに明け渡しを求めることが可能となり、賃借人による利用上の制約(負担)を軽減することが可能となります。この方法により、一定期間後は購入者の自由意思での土地利用が可能となることから、投資目的以外にも購入者層の幅が広がることにつながり、売りやすさが増すといえるでしょう。もちろんオーナー自らが定期借家契約による期間の満了とともに明け渡しをもとめ、更地で売却する事も可能となります。要するに定期借家契約の導入によって物件の価値が高まると考えてもいいでしょう。

ただし、定期借家契約は当事者の合意が必要であり、通常の賃貸借契約からの変更は難しいため計画段階からの導入を検討することが必要です。特に店舗や事務所などに賃貸する場合は明け渡しを求める際に多額の立退き料(営業補償など)が必要となるため、将来の売却、建替えなどの可能性までを考えると、定期借家契約によって将来のリスクを軽減することが重要です。

令和となり、平成の30年間もあっという間に過ぎてしまいました。これから新たに賃貸経営をはじめても、気が付いたら20年、30年すぐに経過しています。分けやすく、売りやすく、早期回収という視点で今一度、賃貸経営を見つめなおしてはいかがでしょうか。






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分けやすく、売りやすく

 賃貸経営を取り巻く環境は時代とともに変わってきています。20年前、30年前と現在では社会経済情勢も大きく変わり、当然、土地活用の考え方も時代とともに変化しています。

 現在における賃貸経営のキーワードは「分けやすく」「売りやすく」「早期回収」の3つです。「分けやすく」とは、相続の際に分けやすい土地活用です。既にご承知の通り、不動産は現預金と異なり、分けづらい財産です。相続人が複数存在する場合は、将来の遺産分割を考慮して土地を活用する必要があります。例えば相続人である子が2人の場合、一つの敷地に1棟建築した場合は、相続の際に賃貸物件を2人で共有するか、あるいは1人が賃貸物件を相続し、もう1人が他の財産を相続する方法があります。賃貸物件の他に適当な財産があれば紛争も避けられるかもしれませんが、適当な財産が無い場合は、2人の共有となり、単独では処分、活用が出来なくなってしまいます。また賃貸物件の運営をどちらがするのか、また、次の相続が発生した場合は、共有持ち分が細分化し、当事者が増えることによって、更に財産の管理、処分が困難になってしまします。一方、2棟建築した場合は、それぞれ単独で、賃貸物件を管理運営、処分することが可能となり、将来の無用な相続紛争を回避することが可能です。これは、相続人単独の意思で売却等を判断できることから「売りやすく」とい観点でも有効です。売りやすい土地活用とは、意思決定のしやすさ、という人の問題に加えて、どのようなものを建築するかという物理的な問題や、市場環境、法規制など、多くの要素が関係してきますので、次回以降、この「売りやすさ」という点についてはもう少し掘り下げてお話しさせていただきます。

 3つ目の「早期回収」とは投資効率、投資利回りという観点です。かつては鉄筋コンクリートなどの堅固な建物を、法令で建築できる限度いっぱいに小さな部屋をとれるだけたくさん建築するようなことを多く見かけました。賃貸需要も旺盛で貸し手主導の時代は、このように目いっぱい建てて、目いっぱい収益を得るという考え方で良かったのかもしれません。しかし、現在は供給過多による借りて主導の時代であり、賃貸経営においてはこれから先の明るい要素はなかなか見当たりません。時代の変化は目まぐるしく10年後20年後の社会経済、ライフスタイルがどのようになるのか、どのような物件や間取りが入居者に支持されるのかは想像できません。このような事から、いかに事業として早期に投資回収を図れるかが、このような先行き不透明なリスクを回避する重要なポイントのひとつになります。かつての最大収益ではなく投資効率を重視する時代です。また、建築資金の調達についても借入金に多くを依存しないことが重要です。賃貸経営の破たんの多くは借入金過多です。借入金がなければ、賃料下落も空室リスクも命とりにはなりません。

 新たに賃貸物件の建築を検討しているかたは、今一度立ち止まって、「分けやすく」「売りやすく」「早期回収」という観点でじっくり検討してみては如何でしょうか。

何も急ぐ理由はありません。




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地面師考

 昨年、大手ハウスメーカーの地面師による巨額の詐欺事件が発生いたしました。事件の書籍も販売され、改めて詐欺の手口の概要が見えてきました。悲しいかな、不動産業界は昔から魑魅魍魎が跋扈する業界と呼ばれていますので、取引の安全性を考えるうえで、今一度、この問題について考えてみたいと思います。

 「地面師」とは、他人の土地を所有者になりすまして売却し、その売却代金を搾取する詐欺集団のことです。これまでも地面師詐欺事件は度々発生していましたが、被害者の多くは不動産を専業とするプロが多いのも事実です。言葉巧みに、土地の購入、転売(事業化して売却)を生業とする不動産会社の購入欲を煽り、加えて、所有者の実印、印鑑証明書、身分証明書。権利証(登記識別情報)などを偽造し、本人役はもちろん、弁護士や司法書士などの専門家なども加担しているとなると、なかなか表面的に見破るのは大変だろうと想像できます。一にも二にも所有者の本人確認が重要なのは当然ですが、取引に至るまでの過程や当事者を注意深く考察することによって、多くは未然に防ぐことが可能です。やはり怪しい取引は、そこに至るまで、必ず怪しい臭いがあり、我々プロは、その臭いを嗅ぎ取るのが仕事といえます。登場人物、取引背景、取引理由、顔つき、話ぶり、そこかしこに気になる臭いが漂っているものです。

 まず、詐欺の基本は儲け話である、ということです。土地が安く手に入る、一等地が売りに出ている、など、そんな儲け話はそうそう転がっておりません。何より、その儲け話が何故、自分のところに舞い込んできたのか頭を冷やして考える必要があります。

 また、取引に急ぎの事情がある場合、中間金の受領を求める場合、司法書士が売主指定の場合、中間省略や取引にSPCなどのペーパーカンパニーが登場するような場合は、より一層の注意が必要です。

更に、情報が持ち込まれた経緯と登場人物にも気をつけなければいけません。情報に至るまでの登場人物が多いと信憑性は低くなります。所有者の親戚筋、銀行OB、顧問税理士、弁護士など、もっともらしい登場人物の名前がでてきても、何故そのような人を介した情報なのか、売却の事情は何なのか注意深く考察しなければいけません。登場人物に政治家や秘書の名前が出るようでは、まず疑ってかかるべきでしょう。また、大なり小なり何かを誤魔化そうとしている人は往々にして雄弁であり、聞いてもいない事をもっともらしく上手に話します。要するに、喋り過ぎの人は要注意です。

一番大事なのは、信頼のおける人をブレインにすることです。信頼のおける人には信頼のおける人や情報が集まります。怪しい情報であっても、精査する能力があります。逆に、怪しい人には怪しい人や情報が集まり、そして、怪しい情報を好む人、儲け話に目が無い人のところへ持ち込まれます。まさに類は友を呼ぶとはこの事です。

このコラムを読まれている人は地面師には縁のない人ばかりだと思いますが、振り込め詐欺や投資詐欺などの特殊詐欺が後を絶たないどころか、むしろ形を変えて増えてきております。世の中そうそう儲け話は転がっておりません。詐欺被害防止の啓蒙のようになりましたが、まずは、私だけは大丈夫、という過信を改めることが被害防止の第一歩でしょうか。



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賃貸経営は儲からない

「賃貸経営は儲からない」というより、あまり儲かりません。特に借入金でアパートなどを建築した場合は意識したほうがよいでしょう。既に何十年も賃貸経営をしてきた方々はそのような実感があるのではないでしょうか。

 建築当初は比較的安定した収入を得られたとしても、築年数が10年、15年と経過するにつれ、供給過剰による空室の増加や、賃料の下落、修繕費の増加など収入が減り、経費が嵩むのは昨今の情勢から、わざわざこのコラムを読まなくても誰でも理解できることです。

 ここでお話ししたいのは、そのような事ではなく、税金の仕組みそのものが、そもそもあまり儲からない仕組みになっているという事です。ご承知のように賃料収入に課される税金は、収入から経費を引いたものに税率をかけて算出します。税金の計算上、差し引ける経費の主なものは、土地建物の固定資産税、都市計画税や、不動産会社の管理手数料、建物の維持管理費用、水道光熱費、修繕費などです。そのほか建物の減価償却費、建物に要した借入金の金利なども経費に含まれます。

実はこの借入金利が、「賃貸経営はあまり儲からない」という大きなポイントなのです。一般的に個人が利用するアパートローンなどの場合は元利均等返済が利用されます。元利均等返済とは、元金、金利併せた返済額が月々定額の方式です。月々一定の返済額ですので、事業計画が立てやすいというメリットがありますが、長期的に見た税金の支払いという観点では、年数を負うごとに税金だけが増えていくという仕組みになっているのです。

前述したとおり、元利均等返済は元金、金利を併せた返済額が定額になりますが、一定の返済額のうち、借り入れ当初は金利が大部分を占め、年数の経過とともに金利部分が減少し、元金部分が増えてくるという特徴をもっています。例えば、月の返済額が元金、金利併せて30万円とすると、返済当初は、その30万円のうち、金利が25万円、元金が5万円というイメージです。これが年数の経過とともに、金利が5万円、元金が25万円と徐々に逆転してきます。

このことから、返済額そのものは一定でも、税金の計算上、借り入れ当初は経費となる金利が多くなるため、その分、税金が減少しますが、年数の経過とともに、経費となる金利が少なくなってくるため、税金の負担は年々増加してきます。そもそも収入と支出が新築当初から変わらなかったとしても、税負担だけは増える仕組みなのです。加えて、昨今の賃貸経営は、年数の経過とともに、空室の増加、賃料の下落、修繕費の増加は避けられませんので、新築当初は儲かっているような実感があったとしても、10年、15年と経過すると、税負担の増加もあり、なんだかあまりお金が残らないな、ということになるのです。(かつて定率法で建物を減価償却していた人は、税負担の増加はより顕著です。)


 しかしながら、アパート建築によって、その間、固定資産税が軽減されたり、相続税評価額が引き下げられたり、という効果も得られますので、賃貸経営は、損はしないけど、あまり儲かる商売でもないな、というのが多くの実感ではないでしょうか。

そして、やっと借入金の返済が終了する頃には、「そろそろ建替えませんか」という案内が、あちらこちらから届く仕組みになっています。すごい仕組みですね。





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