問題解決型不動産コンサルタント 伊藤英昭の事件簿|キャリア20年の独立系「問題解決型」不動産コンサルタントが仕事を通じて日々思うこと、感じた事を綴ります。

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先のことは深く考えない・・・老朽マンション問題

令和4年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお付き合いくださいませ。

昨年もコロナに明け暮れた1年でしたが、不動産市況、特に戸建て住宅やマンションの販売は活況でした。コロナ禍によってライフスタイル、ワークスタイルが変わったことによって自らの住まいを見直すきっかけになり住宅を購入する人が増えたようです。新築、中古ともにマンション価格も上昇し、契約率も高い推移を維持しております。

 そんな景気のいい話題とは裏腹に、老朽化マンション増加の問題が顕在化してきております。国土交通省の推計によると2020年末時点でのマンション675万戸のうち、築40年を超えるマンションは103万戸あり、更に2040年には405万戸に増加するとの事ですがマンションは権利関係が複雑で、建て替えがなかなか進まないというのが現状です。

 マンションの法律である区分所有法では所有者の4/5の賛同がなければ建て替え決議ができません。建て替えを推進するためにこれを4/3にしようという動きもありますが、4/5でも4/3でも難しいのは変わりありません。建て替えの合意ができない一番の要因は、区分所有者それぞれの事情が異なるということです。例えば、新築時に購入して住宅ローンを完済した人もいれば、数年前に購入して住宅ローンがまだ多く残っている人もいます。また、多くの収入がある人、年金暮らしの人、貯蓄がある人、ない人、子供の学費が必要な人、高齢な単身者、相続人である子や孫がいるかいないかなど、様々な事情の人が集まっているマンションの建て替えを多数決で纏めようということ自体、非常に無理があると言わざるを得ません。一戸建て住宅のように、お父さんの鶴の一声では建替えできないのです。

そもそも、分譲マンションは1棟の集合建物を不特定多数が共同で所有しているということを基本としたうえで、それぞれが居住している部屋の権利を区分し、その区分した権利(区分所有権)を自由に使用、(居住する)収益、(賃貸する)処分、(売却する)することを認めたという特殊な権利形態ですので、色々な事情をもった所有者が入れ替わるのは当然であり防ぎようがありません。従いまして、現実的には将来の建て替えは難しいという前提でマンションを購入する必要があります。とは言いながらも、はるか数十年先の問題ですし、目の前の綺麗なモデルルームや窓からのビューに魅せられて、売主も買主もなんとなく目を瞑っているのが現状です。建て替えが難しいものを買ってどうする、というと身も蓋もありませんが、とりあえず現実の対応策として考えると、建て替えの問題が顕在化する前に買い替える、という自己中心的で消極的な対応しかありません。

将来の街づくりを考えれば、理想的には定期借地権を活用して50年、60年で権利が消滅するというように、所有権ではなく利用権として販売することが望ましいと考えます。

とは言いながら、私たちはせいぜい23年先のことは考えられても50年後のことまではなかなか想像力は働かないのが現実です。あまり先のことを憂えずに、先のことは、その時に考えればいいや、というくらいの方が豊かな人生が送れるかもしれません。








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見た目が変わると本質が見えづらくなる

世の中には多くの投資商品、節税商品と呼ばれるものがあります。当然、投資にはリスクが付き物ですが、中には、少し複雑でよくわからないという商品や、リスクというよりそもそも詐欺に近いのではないかと思われるものもたくさんあります。では不動産にはどのような投資商品、節税商品があるのでしょうか。

最近耳にすることが多くなりましたが「不動産の小口化商品」という投資、節税を併せ持ったという商品があります。特徴は、比較的少額で投資できる、それなりの配当が得られる、相続税の節税効果が見込める、という触れ込みで、それなりに売れているようです。要するに、複数人共同で収益不動産を購入し、その共有持ち分に応じて賃料を分配するという投資商品です。所有形態は不動産の共有ですので、税金の取り扱いは不動産の現物を保有しているのと同じです。相続税の評価上は土地は路線価評価、建物は固定資産評価、加えて貸家建付地の評価減が適用され、購入(出資)金額より低くなり、相続税の評価引き下げ効果があると言われています。

投資の単位は11千万円程度で、不動産投資にしては確かに少額ではあるのですが、その出資持分(共有持ち分)が1千万円の価値があるかどうかは判断の難しいところです。出資持分の価格の考え方は、その対象となる収益不動産の価値を出資口数で割ったものです。そのように考えると対象となる収益不動産の客観的な価値と、小口化された出資持分の合計は限りなく一致しなければなりません。しかし、現実は出資持分の合計が収益不動産の客観的価値を上回るような商品設計が多く見受けられるようです。マグロ1本の値段と刺身の合計の値段の違いと考えればイメージがつくでしょうか。

 もちろん不動産の価値は絶対的な指標が決められていないため、人によって、考え方によって価格は異なりますが、うがった見方をすれば、収益不動産単独で売却するよりも、小口化にして細かく分けた方が結果的に高く売却できるという、頭のいい売主が物件を高く売却するために考案した方法とも言い換えられます。例えば年間収入4000万円の収益不動産を単独で第三者に売却する場合の客観的価値が10億円(利回り4%)という収益不動産を年間配当20万円、11000万円(利回り2%)という商品設計にした場合、理論的には20万円の配当をベースに200人に売却することが可能となりますので不動産の価値は1000万円×200人で20億円と、単独で第三者に売却する場合の2倍になります。これは分かりやすく計算した例ですが、これが売主側、商品供給側の儲けのカラクリです。

 前述しました通り、不動産には絶対的な価値基準がないためこのような考えが良い、悪いということよりも、それが1千万円の価値があるのかよく考えようということです。小口化商品の相続税の評価引き下げ効果にしても、実際の換金価値があって初めて成り立つ引き下げ効果ですので、そこだけに着目しても本質を見失ってしまします。

 小口化商品はこれまでいろんな問題を引き起こしながらも形や根拠法を変えながら、現在に至りますが、根本は昔も今も変わっておりません。だいたいこういう小口化商品の広告が大々的に露出し始めると不動産価格も頭打ちという感じですね。何度となく繰り返されたパターンです。




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嫌いだからこそ あえて縁を切らない

嫌な相手、苦手な相手とはできるだけ関係をもちたくないものです。嫌な相手が利害関係人であれば、できれば関係を解消したいと考えるのが普通の人です。では、不動産の場合はどうでしょうか。不動産における利害関係人とは隣人や、大家と店子(テナント、入居者)、地主と借地人などが主なところですね。

まず、不動産における隣人との関係は、特に資産価値に影響するので重要です。お互いの土地の境界や越境物など、隣人と紛争状態であったり、そこまでいかなくとも相手から協力が得られない関係であれば売却する際の換金価値は下がってしまいます。それでも当人とすれば売却することによって嫌いな隣人と縁が切れ、関係が解消できることを考えれば精神衛生上はよいと言えるでしょう。

大家と店子の場合はどうでしょうか、賃料を滞納する、騒いで周囲に迷惑をかける、共用部分の利用やゴミ出しのルールを守らないなどという不良入居者がいる場合は、他の良質な入居者までもが退去し、収益に悪影響を及ぼす可能性が高いので、費用をかけてでも退去してもらい関係を解消すべきでしょう。

では、地主と借地人の場合はどうでしょう。地代や更新料などを巡って地主に権利主張ばかりしている。そればかりか更新料は支払う必要ない、などと他の借地人を巻き込んでまでして地主に権利の主張をする。このような借地人とは早く縁を切り関係を解消したいものです。このような借地人との関係を解消するためには土地を売却するよりほかありません。反対に借地人も地代の支払いや値上げ、更新料、各種承諾料などの経済的な面と、交渉など人間関係の煩わしさから、地主との関係を解消したいと考えているため地主から土地を購入したいというのが本音です。売却によって互いの煩わしい関係が解消しますので双方にとってはメリットです。

 と、ここまで考えるのはごくごく普通の思考回路です。しかし、借地の場合、嫌な相手だからこそ土地は手放したくないと考える地主が多いのも事実です。それは土地の売却は借地人が最も喜ぶことだからです。借地人は土地の購入により財産価値があがり、地代の支払いも、各種承諾料、更新料も支払う必要がありませんし、更に地主という最も気を遣う相手がいなくなります。地主はこれを逆手にとって借地人に土地を売却せず、借地の関係を継続することによって、借地人が借地権を売却するときや、建物の建て替え、増改築をする場合などの承諾を拒んで困らせることが可能になります。この段になって初めて地主とは仲良くしておくべきだった、と後悔しても時すでに遅く、地主にとってはこれまでの仕返しというところでしょうか。これが、嫌な借地人との関係を継続する大きな目的ですが、地主にとっても関係を継続することは相当なエネルギー、ストレスがかかることも事実です。

諸々考えると、何だかんだ言いながらもぐるっと回って嫌な相手、苦手な相手とは関係を解消するのが一番ではないでしょうか。嫌な借地人には少し位高い値段を提示しても手切れ金と思えば購入してくれる可能性は高いでしょう。こんなところが理屈や経済合理性ではない不動産の難しいところです。「人間だもの。」




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「負」動産その2 不要な土地を国に引き取ってもらう・・・

所有者不明により管理や活用の妨げになる土地の発生を抑制するための関連法が4月に成立しました。所有者不明土地の主な原因は、その土地が不要であるということです。不要であるがために、管理責任を伴う所有者であることを明確にする為の手続きをとるという意識が希薄になるのはある意味当然の流れといえます。このようなことから、これまで任意だった相続登記や住所変更した場合の登記を義務化し、所有者を明確にするとともに、相続した土地が不要な場合は一定の条件のもと国が引き取るという「相続土地国庫帰属制度」が創設されました。

相続土地国庫帰属制度では、国庫に帰属させるための主な物理的要件として、建物が建っていないこと、地中埋設物、土壌汚染がないこと、担保権や使用収益するための権利が設定されていないこと、境界が明確なこと、権利の帰属について争いのない土地であることがあげられています。このような事から、巷では制度はできたものの国に引き取ってもらうためのハードルが高いのではないかと言われております。しかしよくよく考えてみれば、特に難しい要件ではなく、通常の不動産売買においてはごく一般的な取引条件とされるものです。

相続土地国庫帰属制度はこれからの新たな制度ですが、同じように国に土地を引き取ってもらう制度として、相続税の物納制度があります。これは従来から存在する制度ですが、国に引き取ってもらうための基本的な物理的要件は相続土地国庫帰属法と同じです。

しかも、相続土地国庫帰属制度では、前述の物理的要件を満たしたうえで、10年分の管理費用相当額を納付する必要がありますが、相続税の物納制度では、その土地の相続税評価額を税金に充当する金銭とみなして国が引き取る制度ですので不要な土地を金銭に替えてくれる、要するに国が買い取ってくれるのと同じ効果があります。

ただし、物納制度を利用するには、相続税の金銭納付が困難であり、延納によっても納められないことが大前提となっております。したがいまして一定の財産規模を相続し、相続税を納付しなければならない人は、相続税の物納制度を活用することによって不要な土地を国に引き取ってもらうかどうかの検討をしてみてはいかがでしょうか。

いずれにしましても不要な土地は、将来の売却、相続税の物納制度、国庫帰属制度の利用によって円滑に手放すことができるよう、事前の計画、準備が必要になってきます。

不要な土地、特に遠隔地の土地については管理に要する費用がかからなくとも所有しているだけで精神的な負担となります。その負担を次世代に引き継がないためにも所有者が元気なうちに積極的な解決が望まれるところです。





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「負」動産 〜ただでいいから手放したい〜

 不動産は所有しているだけで負担の生じる財産です。固定資産税や都市計画税、建物の維持修繕費、マンションなどの場合、管理費、修繕積立金など、それなりの金額を所有している限り永遠に負担しなければいけません。もちろん、自身や家族で住居や店舗、事務所、倉庫、駐車場や資材置き場、田や畑などで利用したり、第三者に賃貸して収入を得たりすることで負担相応の不動産の利用価値を見出しています。そして、所有者にとって利用価値の無くなった不動産は売却し、相応の金銭を受け取る。これがごく一般的な不動産の活用サイクルです。

しかし、利用価値がなくなり、いざ売却しようとしても売却できない不動産、売却できないばかりか管理の手間と費用がかかる不動産が顕在化し問題になってきています。代表的な例として、80年代バブル時のリゾートマンションがあげられます。購入当初は年に数回利用したり、バブルによる利用価値を上回る資産性もあったことから維持管理の負担感はありませんでしたが、バブル崩壊後は資産価値が暴落し、売却しようとしても、まったく売れず、管理費用の負担ばかりがのしかかってきました。このような利用価値もなく資産価値もない、加えて保有している限り費用ばかりが嵩む不動産は子供も引き継ぎたくありませんし、親も引き継がせたくありません。たとえ無償であったとしてもなかなか引き取り手がないのが現状です。また、子供が引き継がない方法として、相続発生後に相続を放棄するという方法もありますが、不要な財産だけでなく、ほかの一切の財産も含めて放棄しなければならないことなどから現実的には難しいといえます。

このような所有し続ける限り費用の負担が生じる、無償でも引き取り手がいない不動産の問題解決事例として、引き取り手に一定期間分の維持費を不動産と併せて譲り渡すという方法があります。本来とは真逆の発想ですが、所有者にしてみれば手切れ金のようなもので、一定金額を支払うことによって負担から解放されるというメリットがあります。実際に相談を受けた案件ではリゾートマンションの管理費数年分を管理会社に支払って、その管理会社に物件を引き受けてもらったという事例があります。将来の負担から解放されることはもちろんですが、金銭を支払ってでも、自分の代で解決し、子供に負の財産を残さなくて済んだという精神的なメリットは大きいといえます。これは関与していただいた弁護士の交渉力も多分に影響したと思われますので、すべてがこのように解決するとは限りませんが、このような発想をもつこともひとつです。

相続土地国庫帰属法が成立し、不要な土地を国に帰属させる法律ができました。この法律では10年分の維持管理費相当分を国に納めることを条件の一つとしています。

もはや不動産の処分方法は、売る、あげるに加えて、お金とセットであげるという不思議な時代になりました。





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相続した借地を売却したいのですが

「親から相続した実家を売却したいのですが、どれくらいで売れるのか査定してほしい。その実家は借地だが、この辺だと所有権の6割から7割で売れるらしいが。」

このような相談を受けることがあります。特に難しい相談ではなさそうですが、借地の実務に精通していれば、軽々に回答できない相談ということが言えます。このような相談者には、査定以前に、まずは借地とはどのような権利なのかということを理解いただかなければいけません。このような相談にはまずは次のような回答が必要です。

「借地権付き建物を譲渡(売買)する場合、地主の承諾が必要となります。したがいまして地主が承諾してくれるか否か、承諾いただく場合の条件は何かを確認する必要があります。また、地主に借地権を買い取ってもらうという方法も考えられます。

順番としては、借地権を地主が買い取ってくれるか、その次に借地権を売却する際に承諾してくれるか、その場合の条件(承諾料)はいくらか。という地主との交渉が必要になるでしょう。また、建物が老朽化している場合は、新たな買主は建替えを前提に購入すると思われます。その際はやはり地主の承諾が必要となり、別途建替え承諾料が必要となります。なお、承諾には、地代の納入状況や、更新料などのトラブルがないかなど、これまでの地主との関係も少なからず判断に影響を与えます。

万一、地主が譲渡の承諾をしない場合は裁判所に申し出ることによって地主に代わる許可を受けることが可能です。ただし、このような手続きを経てまで購入したいという人はほとんどいません。(二束三文になってしまいます)

以上のように借地権の譲渡は非常にデリケートであり、地主とのボタンのかけ違いによって資産価値に大きな影響をあたえます。机上で簡単に査定となかなかいきませんが、借地権単独での売却の場合で且つ、買主が建物を建て替えることを想定し、地主の承諾が得られるという前提ですと、路線価に面積と借地権割合を乗じた金額の〇〇割前後で売却できると御の字ではないかと思います。

いずれにしても先ずは地主に相談し、地主の考えを聞かなければ始まりませんので、ご本人から直接地主に挨拶を兼ねて、借地を相続した旨、売却を検討している旨を伝えたうえで、借地権の実務、交渉に長けた会社を間に入れて進めるのがよろしいかと思います。」

これは実際の回答例ですが、地主の考えが分からない状況での価格査定は、絵に描いた餅に過ぎません。最低限、このような借地権の本質を理解、納得できない、借地権の割合に拘りすぎる借地人は売却を上手に進めることができないといっても過言ではありません。





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不動産の価値から考える賃貸条件の変更とその順番

 昨年来続くコロナ禍による飲食店の自粛要請、テレワークの推奨によって店舗や事務所を借りているテナントはもちろん、オーナーも疲弊しきっています。オーナーには賃料減免や猶予の要請が多く寄せられ、オーナーも現状を鑑みると、要請を受けざるを得ない状況が続いています。誰が悪いわけでもない本当に頭の痛い問題です。

テナントもオーナーも互いに協力して頑張ったとしても、力尽き、止む無く撤退せざるを得ないケースも出てきております。このような状況下ですから、なかなかこれまでと同条件で募集するのは難しいのが実情です。どのようにすれば新規テナントが物件に興味をもつか、まずは経済的な条件を検討しなければなりません。

賃貸の経済的条件は主に、保証金(敷金)、礼金(償却)更新料などの一時金と、毎月の賃料に分けられます。募集条件を検討するには、一時金を減額するか、賃料を減額するか、といういずれかの方法がありますが、先ずは一時金を減額する。次に賃料を減額する。という順番で検討することが重要です。経営の安定を考えれば、一時金よりも毎月の収入のほうが中長期的に見て有効ですし、借入金を利用している場合はなおのことです。また、賃貸物件の価値は収益還元価値、すなわちその物件から1年間にどのくらいの賃料収入が得られるかが基本的な指標となっておりますので、賃料が下がるとそれだけ物件の価値は下がり、反対に賃料が上がると物件の価値は上がる、という関係になっています。このようなことから一時金は減額しても、賃料はなるべく下げないほうがよい。ということが言えます。



 そうはいっても、そうそう簡単にテナントが見つかるとも限りません。このような場合は賃料減額を検討する前に、フリーレントの活用を検討することが重要です。フリーレントとは一定期間の賃料を免除するというものです。かつてのリーマンショックやオフィス大量供給による需給バランスの悪化によるオフィス不況など、不動産市況の低迷期に多く活用される手法です。不動産ファンドなどを運営する不動産運用のプロは賃料減額による物件価値の低下を回避するために、フリーレントを多く活用します。ケースによっては
3か月から6か月程度賃料を免除することもありますが、賃料を減額することはほとんどありません。このように資産価値の維持を前提に不動産不況下での賃貸条件を検討するには、まずは一時金の検討、次にフリーレントの検討、最後の手段として賃料の減額の検討という順番で考えることが必要です。

ただし、不動産価値の維持とは言っても、実は実態に少し飾りつけを施した表面上の価値であることを忘れてはいけません。反対に言えることは、不動産もちょっとした飾りつけの仕方、化粧の仕方で価値の見せ方、見え方が変わるということです。

ますます不透明で雑多な情報が溢れる世の中、飾りや化粧に惑わされず、本当の価値を見分けられる人間になりたいものですね。






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奪い合うか、分け合うか、時には奪いに行くことも

不動産実務も長くなると多くの問題に直面し、経験を積み、いろんな知識、知恵が蓄積されてきます。皆が頭を悩ます問題というもののほとんどは、人と人との感情のもつれ、行き違いと言っても過言ではありません。相続の問題、近隣の問題、借地借家の問題などの合理的な解決策、あるべき解決方法は、我々プロはもちろん、当事者もわかっているケースが殆どです。皆、兄弟は仲良くしたほうがいい、隣近所とも仲良くしたほうがいい、店子や地主とは仲良くしたほうがいい。交渉窓口に弁護士を立てたりすることや、調停や裁判はなるべく避けたほうがいい、時間と費用の無駄だ。と、それが分かっていても納得がいかないから問題なのです。そのような相談者に対して、「相手に譲ったほうが早期に解決し、時間の面でも費用の面でも結果的には有利ですよ。」と言っても、相談者は、そんなことは百も承知で、そんなアドバイスはプロに求めていないのです。

不動産売買に伴い、隣接土地の所有者と土地境界の立ち合いをしました。現地には土地境界の標示もなく、参考となる資料もありません。しかし依頼者の記憶では昔はしかるべきところに石杭が設置されていたが、隣接地主が建物の建築に伴い、その石杭を撤去してしまったとのことです。そのことを隣接地主に主張しても、根拠となる資料はありませんし、当事の隣接地主は既に他界し、相続した長男はよくわかりません。現在の状況から客観的に判断したところを互いの地境としようと協議していたところ、依頼者はどうも納得しません。自らの確かな記憶では、あと5cm向こうです。何より、当時の隣接地主は強引なところがあり特に土地境界については腑に落ちない思いをずっと持ち続けていました。結局、依頼者は納得せず、境界の協議が整いませんでした。たかが5cm、されど5cm、それにより減少する面積、金額は大きくありません。しかも土地境界の協議が整わなければ売買は成立しません。依頼者がその5cmを譲りさえすれば、すんなり協議は整い、取引も進みますが、依頼者だってそんなことは百も承知なのです。証拠はありませんが、依頼者の話をよくよく聞き、現地の状況も併せて考えると、おそらく依頼者の記憶が正しいのではないかと推測されます。プロとして客観的、合理的に考えれば、境界線を少し譲って取引を進めるほうに依頼者を説得しがちですが、このような場面では、依頼者を信じ、依頼者が納得するために、境界確定をするための法的手続きを進めることのほうが、時間と費用は掛かっても依頼者が納得した取引が進められることもあるのです。

この事例からも我々プロは経済合理性だけではなく、依頼者が、何を問題にし、どうすれば納得し、問題解決するか、常に創造力を働かせなければいけません。

と、偉そうな事を書いておりますが、事件は現場で起こっていますし、私たちの考え通りになかなか物事はすすみません。

「うばい合えば足らぬ、わけ合えばあまる。」By あいだみつお

皆、頭では理解しているんですけどね。





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あらためて整理する相続対策キホンのキ(対策の優先順位)

不動産を活用した相続対策のうち税金の対策には、現預金から不動産に組み替えることによる「評価の引き下げ対策」、複数の推定相続人に長期計画で財産を贈与する「財産の移転対策」、万一の時に納税に苦慮しないようあらかじめ納税用不動産を確保する「納税財源の確保対策」の3つがあり、それぞれ手法と効果が異なるというお話をしました。

もちろんそれぞれの対策を上手に進めることが重要ですが、どの対策を優先的に進めればよいかは、万一、相続が発生した場合に相続税が課せられるかどうかが一つの判断基準です。万一の場合、相続税が課せられることが確実な場合は「納税財源の確保対策」を優先的に進める必要があります。納税財源を確保しないで、やれ、相続対策とばかりに遊休地や駐車場に借入金をして賃貸マンションを建築したとしても、万一の場合、売却や物納ができず納税に苦慮することにもなりかねません。したがいまして相続税が課せられるであろうことが確実な場合は、売却用、物納用の不動産の準備をする「納税財源の確保対策」を実行したのちに、「評価の引き下げ対策」「財産の移転対策」を進めることが円滑な相続対策のポイントです。

反対に、万一、相続が発生した場合の相続税が、比較的少額、すなわち不動産を売却しなければならない程の額ではないと想定される場合は、贈与などを積極的に活用する「財産の移転対策」、現預金を不動産に組み替える「評価の引き下げ対策」を優先的に進めることによって、相続税の更なる軽減を図ることが可能となります。

以上が相続対策のうち税金の3つの対策のキホンのキと優先順位の考え方です。どの対策をとっても、短期的に大きな効果を得られるものはありませんし、客観的に見て、恣意的であったり、不自然な取引は、後々の税務トラブルにもなりかねません。相続発生直前に評価の引き下げ効果の高いタワーマンションを購入し、相続税を大幅に軽減したのちに相続税評価額より大幅に高い時価で売却して税務トラブルになった極端な事例もありましたが、この問題はマンション購入して居住する、あるいは賃貸するという本来の目的ではなく、相続税の大幅な軽減を主目的にしていることがあからさまであったこと、加えて、このマンション購入が本人の本当の意思なのか、更に意思能力がどこまであったのか、ということが問題となりました。既にこのような手法には相続税の評価の引き下げができないようメスがはいりましたが、いずれにしても節税を前面に出した場当たり的な手法、取引はどこかでその歪みが生じると考えて間違いありません。かといって、将来、たくさんの相続税を納めなければならないことが分かっているにも関わらず、何もしないというのも少し心配です。

いずれにしても、それぞれの家族構成、財産構成、考え方、かけられる時間などによって財産承継の方向性や効果は変わってきます。ただし、相続対策にウルトラCはありません。






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あらためて整理する相続対策キホンのキ(納税財源の確保対策とは 物納編)

不動産を活用した納税財源の確保対策とは、万一の場合に備え、売却用不動産または物納用不動産を確保しておくという対策です。前回は、売却用不動産の目途をつけ、いつでも売却できるよう準備を整えるというお話をしました。今回は物納用不動産の確保対策についてお話いたします。

相続税の納付は金銭一括納付が原則ですが、金銭による納付が困難であり、且つ延納によっても納付が困難な場合で一定の要件を充たすものは、相続税の物納制度を活用する事ができます。これを証明する為に物納制度を利用する場合は「金銭納付困難とする理由書」という書類に、相続により取得した財産の状況や、納税者自身の資産の所有状況や生活に必要な費用、または近い将来の確実な収入や臨時的な支出等を説明資料と一緒に申告します。つまり、相続財産に現預金がない場合でも、相続人に多額の現預金等や換価が容易な財産、臨時収入が見込まれている場合には、物納制度そのものが利用できません。要するに納税に充てる現預金がない人に限って認められる特例の制度なのです。

この大前提を踏まえたうえで、物納に充てる事のできる財産は、相続により取得した国内の財産であり、国が管理または処分に適した財産であることとされています。要するに国も物納によって引き受けた財産を換金処分するということが前提となるため、売れるものでなければ認められません。

 不動産は国債や上場株式などと並んで、物納が認められている財産ですが、国による処分ということを前提とすると、境界が確定していないもの、担保の用に供しているもの、共有持ち分、道路に接していないなど、建築ができない土地、賃借人が明確でない、紛争しているような不動産は原則、物納ができません。

複数の不動産を所有し、どの不動産を物納に充てるかという選択は納税者、すなわち相続人が決定しますので、国が特定の不動産を物納財産として指定する事はありません。

また、物納を利用した場合、相続税評価額がそのまま納税資金として充当されますので、売却する場合の価格(時価)と相続税評価額と比較して、相続税評価額の方が高い不動産などは、物納によるメリットが大きいといえます。したがって、相続税評価額では、なかなか流通しづらい広大地・不整形土地・別荘地、地方の実家(空家)、借地人に買い取る資力がない貸宅地などは物納に適した財産といえるでしょう。

しかし、物納には、隣地と立ち会ったうえでの境界確認書面や越境等の確認書面、貸宅地の場合は賃借地の範囲に関する確認書など、本人以外の利害関係人の協力が必要不可欠となります。これらの書類は原則、相続税申告時(物納申請時)に提出しなければいけません。このような書類の整備には非常に時間がかかりますので、できれば被相続人が健在なうちから早め早めの整備が必要です。





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あらためて整理する相続対策キホンのキ(納税財源の確保対策とは)

不動産を活用した3つの相続対策のうち、前回まで「評価の引き下げ対策」「財産の移転対策」についてお話いたしました。いずれも財産の評価を下げたり、財産を減らしたりして税金を少なくしようという対策でした。しかし、財産の規模によっては、いくらか税金を減らすことはできたとしても、ゼロにすることはなかなか難しいのも現実です。今回は、税金を納めなければならない場合に備えた「納税財源の確保対策」についてお話いたします。

不動産を活用した納税財源の確保対策とは、万一相続が発生した場合の相続税を支払う財源をあらかじめ確保しておくという対策です。特に相続財産の大半が不動産であり、相続財産または相続人固有の財産に、納税に充てるための現金預金などの流動性資産が少ない場合は、いざという時に納税に苦慮しないよう売却用不動産または物納用不動産を確保しておく事が重要です。

不動産による納税財源の確保とは、複数ある不動産を、必要性、資産性、収益性、思い入れなどの観点から優先順位付けをし、優先順位の低いものは、相続が発生した時に、売却や物納によって納税用に手放す不動産として位置づけること、そしてその不動産がいざという時にスムーズに売却、物納しやすいように整備、準備をするということです。

また、いざという時の売却に備え、納税用不動産には建物を建築せずに、駐車場などのように制約の少ない利用をすることも考えなければいけません。

具体的な整備方法は売却か物納かによって若干異なりますが、共通して言えること、準備すべきことは土地の境界を確定し、財産の範囲を特定することです。その土地に接しているすべての土地所有者と土地境界について立ち会った上で、境界の認識について確認し、後日トラブルの無いよう、杭や鋲、プレートなどで境界の標示をし、更に境界点について互いに異議がないということを書面に残します。道路については行政などの道路管理者と立ち会った上で同じ作業をすることになります。これらの作業は、売却する際に、隣接する土地所有者との境界について争いはなく、土地の面積は確定しているということを示すために重要な作業です。仮に隣接土地所有者と境界について争いがある場合などは、土地の範囲が特定できず、また、境界以外でも紛争の可能性が想像されるため、売却は困難を要し、売却できたとしても相場より相当低い価格になることは必然です。また、境界の争いがなかったとしても、隣接土地の所有者が複数人いる場合や、相続による名義変更などをせず、所有者が特定できないなど、境界確定まで相当の時間を要する場合もありますので、いざという時にスムーズに適正価格で売却するためには、早め早めの準備が必要となります。

また、納税財源として見込んでいる不動産が、いざというときにどれくらいの値段で売却できるのかも把握しておきたいところです。



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あらためて整理する相続対策キホンのキ(財産の移転対策とは)

不動産を活用した相続対策には、大きく「税金の対策」と「遺産を分ける」という2つの対策があり、更に「税金の対策」には「評価の引き下げ対策」「財産の移転対策」「納税財源の確保対策」の3つの対策に分けられます。前回は、現金を土地や建物に替えることによって相続税上の評価方法が変わり、結果的に相続税の評価が引き下げられ、相続税が減少する「評価の引き下げ対策」について説明しました。今回は2つ目の対策である「財産の移転対策」のキホンのキとしての考え方、仕組みをお話ししたいと思います。

「財産の移転対策」とは、財産を配偶者、子や孫などの相続人(推定相続人)に贈与(移転)し、本人の相続財産を減少させることによって、将来の相続税を減少させようという方法です。要するに相続が発生する前に贈与によって相続人に先渡ししようということです。ただし、注意しなければいけないことは、財産を貰った人に贈与税が課されるということです。本人の財産が贈与によって減少することによって、その分、相続税は減少しますが、逆に受け取った側に贈与税が発生しますので、将来の相続税と、贈与税を比較検討したうえで、計画的に贈与を実行することが税金を考えるうえで大事なポイントとなります。

贈与税は、相続税と同じく超過累進税率、すなわち贈与を受けた金額が増えれば、それに応じて税率も上がる仕組みになっており、贈与を受けた人が、1年間に(11日から12月末まで)受けた贈与を翌年の確定申告で申告し、納税します。

では、はたして「どれくらいの財産」を、「いつ」、「誰に」贈与すれば、相続対策として有効なのでしょうか。となると何やら難しそうな理屈になりそうですが、考え方は至ってシンプルです。それは、「万一相続が発生した場合の推定相続税率より低い贈与税率の金額を、複数年にわたって、複数の子や孫などの推定相続人に贈与すること。」これがポイントです。よく、1年間の贈与税の非課税枠110万円を毎年、子や孫の複数人に贈与することによって相当の財産を非課税で推定相続人に移転できるという例えを耳にすると思いますが、贈与税を支払ったとしても、想定される相続税の税率より低い贈与税率での贈与であれば有効なのです。また、不動産を活用する場合、現金で贈与する場合に比べ、建物を建築してから贈与したほうが、建築価格より評価の低い固定資産税評価額をもとに贈与税が課されることになりますので、結果的に現金より多くの財産を贈与することが可能となります。これを応用し、アパートなどの建物を贈与した場合は、アパートから得られる賃料収入も併せて贈与されますので、本人の相続財産の増加を防ぐとともに、推定相続人の将来の相続税の納税財源が確保できることにもなります。

そのほか、配偶者に対する居住用財産の贈与の特例や、住宅資金贈与の特例、教育資金の贈与の特例などによって贈与税を軽減する制度がありますので、相続税の軽減に限らず、目的に応じて活用することも検討してみては如何でしょうか。また、勘違いしてはいけないのは、贈与、すなわち無償で与えることですから、贈与した財産を本人が管理したり、使い道を強制したりというのは贈与にはなりません。気持ちはわからなくもありませんが、贈与した財産の管理、処分などの意思決定は、きれいさっぱり受け取った子に任せる潔さが大事ですね。




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今年も変わらぬ賃貸経営

 令和3年、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
昨年は、コロナ禍によってこれまでの価値観を強制的に見直さざるを得ないきっかけができた年といえるでしょう。変わらなければいけない部分、変わらない部分、変わらなくてもいい部分、それぞれ考えることが多かったのではないでしょうか。もちろん私たちが関与する不動産業界も大きな影響を受け、改めて不動産のもつ特性について整理できた一年でもありました。

 昨年のコラムで何度となく取り上げましたが、不動産賃貸業は社会経済の影響を受けるものの、他の事業と比較して大きな影響を受けない安定した事業といえるでしょう。もちろん、経済状況や利用用途によって、賃料が減少したり、空室になったり、滞納などによって収入が減少することはありますし、反対に賃料が上昇することもありますが、その下落幅、上昇幅は限定的です。入居者(テナント)を確保している限り、賃料がゼロになることもありませんが、反対に2倍、3倍になることもありません。他の事業と比較して安定した事業とはいいながらも、当然、事業が破綻するリスクはあります。その原因のすべては借入金といっても過言ではありません。一般的な事業では借入金は事業のスピードを加速するための手段として設備投資や運転資金に用います。それによって収益を何倍に増やすことも可能となります。不動産賃貸事業も借入金によって設備投資をしますが、そこから得られる収益は予測可能であり、限定的です。したがいまして賃貸事業における過度な借入金は経営に大きな影響を与え、特に不況期の賃料減少や空室などに耐えられなくなり、当然、破綻のリスクが高くなります。

 しかし、「相続対策」という名の下では、若干ニュアンスが異なるようです。借入金は相続対策になる、したがって借入金を活用し、不動産を購入する、賃貸建物を建てる、それによって節税できるという理解をしている人がまだまだ多いようです。借入金はあくまで借入金であり、それによって節税になることはありません。相続対策のキホンのキでお話ししましたが、不動産を活用した相続対策(評価の引き下げ対策)は現金が土地や建物に代わることによって相続税上の評価方法が変わり、その不動産の評価と時価との乖離によって相続税が減少することです。借入金は相続財産から債務控除の対象となる、つまり財産から差し引くことができますので、それをもって節税になったと勘違いする人もいるようですが、プラスの財産からマイナスの財産を差し引いた正味資産に対して相続税を課するのは当然のことであり、決して特別に認められた手法ではありませんし、対策などと呼べるものではありません。別の言い方をしますと相続対策と称して1億円借り入れました。しかし、かたや1億円の現金がありますので、相続税評価上はプラスマイナスゼロです。したがいまして現金で賃貸建物を建築しても借入金で建築しても相続税評価上は何も変わらないことがわかります。相続対策、賃貸経営のキホンのキです。

コロナ禍によって賃貸オーナーの多くはテナント賃料の減免や猶予に応じて応援しています。かたや応援したくとも借入金の負担によって応援できない賃貸オーナーもいます。
それぞれが、それぞれの立場でできることをやり、一日も早く不安が拭えるような日がくるよう、そして、みなさまにとって良い一年になるよう心よりお祈り申し上げ年頭のコラムとさせていただきます。





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あらためて整理する相続対策キホンのキ

 不動産を活用した相続対策、不動産の購入やアパート建築、借入金の活用など、昔から何度も繰り返し耳にしている言葉、手法です。相続対策の方法と、その効果は異なりますが、まだまだ相続対策を一緒くたにとらえている人が多いようです。また、昨今では、何かにつけ「相続対策になりますよ」と不動産や金融商品を紹介してくる会社も多く見受けられます。決して嘘ではないと思いますが、相続対策の一面、一つの効果のみに着目し、他の影響を考慮していない、説明していないということもままあるようです。「相続対策」すでに使い古された営業トークですが、おそらく相続対策と称する商品を紹介した当の本人も、相続対策の枠組み、方法と効果を体系的に理解していないと思われます。

 相続対策は大きく分けて、税金の対策と遺産を分ける対策の2つに分けられます。更に、税金の対策は、「評価の引き下げ対策」「財産の移転対策」「納税財源の確保対策」の3つに分けられます。この3つの対策は、それぞれ効果が異なり、その人の財産構成や家族構成によって優先順位を考え、バランスよく組み合わせなければ上手な相続税対策はできません。

 不動産を活用した「評価の引き下げ対策」とは相続税の計算をする際の評価方法の違いを活用した方法です。相続税の評価上、土地は路線価評価(または倍率評価)、建物は固定資産税評価額となっております。したがって土地の場合、土地の時価と相続税評価額を比較して相続税評価額の方が低い場合は、現金で持っているより土地を購入したほうが相続税の評価が引き下げられる事となり、結果的に相続税が減少する事となります。

そもそも土地の相続税評価の基礎となる路線価は、「時価より少し安くしてあげよう」という国の親心から、時価の2割引という設定にしています。国の言うところの時価というのは公示価格と呼ばれるもので、毎年11日時点における国の定めた地点の価格です。したがいまして国の言うところの時価である公示価格を100とすると相続税路線価は80、相続税路線価を100とすると公示価格は125という相関関係になります。この理屈でいきますと、現金で時価1億円の土地を買った場合、その土地の相続税評価額は概ね8000万円となり、現金で持っている場合に比べ、相続税評価額が2000万円減少した分だけ、かかる相続税が減少することになります。もちろん全ての土地がこのように綺麗な相関関係になっておりませんので場所によって当然効果は変わります。例えば時価1億円の土地が路線価で計算すると5000万円という場所もあります。この場合、相続税を減少させる効果は更に高くなります。

建物も考え方は同じです。現金から建物に代わることによって、相続税評価額は固定資産税評価額となります。固定資産税評価額は、建物の建築価格(時価)より大幅に低くなっていますので、結果的にその分、相続税は減少することになります。

 また、土地の上にアパートなどの賃貸用建物を建築する事により、土地、建物ともに更に相続税評価額が引き下げられる事となりますが、前述したように、アパートを建てなくとも、土地は時価と路線価、建物は時価と固定資産税評価額という相続税の評価方法の違いを利用することによって相続税を減少させる効果があるということを理解する必要があります。これが不動産を活用した評価の引き下げ対策のキホンのキです。




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あなたの不動産を一番高く買ってくれる人

 不動産の売却を検討するときに気になるのは、やはり売れる価格です。前回は周辺事例や公的価格から概ねの相場、売却予想価格をつかむ基本的な考え方についてお話いたしました。今回はもう少し掘り下げて、少しでも高く売るにはどのようにすべきかについてお話したいと思います。

 不動産を少しでも高く売るための基本は、高く買ってくれそうな人を見つけることです。当然至極のことですが、では、その不動産を高く買ってくれる人はどのような人、どこにいる人なのでしょうか。どんな不動産にも共通して言える、その不動産を一番高く買ってくれる人は、その不動産を一番必要とする人です。その不動産を一番必要とする人が、その不動産の価値を誰よりも理解し、誰よりも高く購入するのです。

では、その不動産を一番必要とする人は誰なのでしょうか、明らかなのは、その不動産を購入することによって自身の不動産の価値が上昇する人です。例えば、隣り合った敷地の所有者などのケースを考えてみましょう。隣の土地は借金してでも買え、と言われるように、隣の土地は隣人にとって唯一無二の不動産です。自身の土地が、間口が狭い、旗竿状である、地型が悪い、ましてや道路に接していないなどの場合は、その土地を購入することによって価値が上がるのは確実ですので、ある程度の金額を払ってでも購入するでしょうし、また、何としても購入すべきですね。そこまで不良な土地でなくても、将来の子供家族のため、また、実家の親御さんのためなどの理由で隣地を購入する人は多いのが実態です。

また、貸宅地(底地)や共有持分の場合は、前述した不動産の価値上昇の効果がより顕著です。借地人は、底地を購入することによって完全な所有権となるため資産価値が上昇しますし、地代をはじめ、更新料、建替え承諾料などの支払いをする必要がなくなります。何より、地主との人間関係が解消されることによって心理的ストレスから解放される効果は大きいといえます。このようなことから借地人は機会があれば土地を購入したいと常に考えています。共有持ち分についても同じようなことが言えます。共有持ち分を必要とする、購入することによって価値が上がるのは他の共有者です。貸宅地(底地)や共有持ち分の買取りを専業にしている不動産業者がありますが、彼らは、この原理原則に基づき、底地や共有持ち分を購入し、一番、その不動産を必要とし、価値を理解している借地人や他の共有者に売却するのです。ただし、資力の問題などで皆が皆、貸宅地や共有持ち分を購入してくれるわけではありませんので、そのリスクも考慮して、不動産業者が購入する価格は必然的に低くなります。それなりの事情がある場合は、専門業者に購入してもらうこともやむを得ないでしょうが、まずは直接お話をされることが価値を最大限に実現するポイントです。

このように、あなたの不動産を最も高く購入してくれる人は、案外、皆様のすぐ近くにいるものです。そんな時のために隣近所とは仲良くしておきたいものですね。




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どんな人が買うのか?(土地の相場観)

 不動産の売却を検討する場合、やはり気になるのは価格です。いくらで売れるのか、不動産業者に相談する前に、新聞広告やインターネットでおおよその近隣相場を調べる人も多いのではないでしょうか。

土地の場合、まず、参考とするのは周辺の売り出し価格です。ただし、売り出し価格だけを見ても相場はわかりません。売り出されている土地の面積と価格との関係、すなわち崔渦繊坪単価がいくらで売りに出されているか電卓で計算することが重要です。加えて、売り出されている土地の前面道路に付されている公的価格(通常は路線価、その道路に面した土地の崚たりの価格が公表されている)と、売り出されている土地の単価との相関関係を調べます。このような事例をいくつか調べることによって、そのエリアの売り出し価格と路線価との関係が見えてきます。例えば、この地域は概ね路線価の1.5倍前後で売りに出されている、というような感覚、これが相場観です。ただし、土地というのは大きさや土地の形などによって単価に大きな影響を及ぼしますので、いくつかの事例のうち、単価が極端に低いもの、高いものについては事情を考えてみる必要があります。よくよく調べてみると、極端に間口が狭かったり、土地に高低差があったり、極端に広かったり、狭かったり、敷地図をみると大体その理由はわかるものです。

また、その地域の環境、特性を地図や、実際に歩いて観察することも重要です。この地域では、どのような規模の土地、どのような規模、用途の建物が多いのか、不動産の傾向、町の傾向、特徴を観察するということです。例えば、この地域では概ね30坪前後の、ほぼ整型な土地に2階建ての住宅が建っているという傾向がつかめれば、その規模の土地がその地域の標準的な土地となり、これを基準に土地面積が大きい、小さい、土地の形が整型、不整型かによって価格のプラスマイナスのイメージをつかむことが可能です。前述の路線価を基準とした相場観と合わせて考えると、この地域では30坪前後の土地が路線価の1.5倍前後で売りに出されている。(売れている)ということがつかめます。これをエンドユーザー(最終消費者)価格といいます。

このような地域で100坪の土地を売却しようと考えた場合はどうでしょうか。地域の標準的な規模より大きくなるため、想定される買主は、土地を3分割、もしくは4分割に分けて宅地(建売)分譲する不動産業者ということになるでしょう。前述した地域の相場観で考えますと、3分割後の土地が路線価の1.5倍で売れるという計算が成り立ちます。不動産業者の仕入れ、販売経費、造成費、利益などを考えると、エンドユーザー価格、すなわち路線価の1.5倍の価格の2割から3割減額された金額がこの土地のおおよその相場ということが言えます。これは単に不動産業者だから安くなる、ということではなく、この地域でこの規模の土地はエンドユーザーではなく不動産業者(分譲業者)が想定される買主であるということです。

以上が土地の相場観の基本的な考え方です。とはいいながら、土地は同じものが2つとありません。したがって、相場といいつつも、個別の事情によって、いくら出してもいいから、その土地が欲しい、その土地じゃなければダメなんだ、という人がいるかもしれません。




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立ち退きをお願いする前に

 相続税を納付するために不動産を売却しなければならない。よくある相談です。複数ある不動産の中から、どの物件を売却するか悩ましいところですが、考え方の基本は、必要性の低い不動産を売却するということです。必要性の低い不動産とは、遠隔地であったり、収益性が低かったり、建物の老朽化などにより維持管理が煩わしい不動産などです。このような必要性の低い不動産はまた、何かしらの原因によって売却しづらいというのが大体の相場です。それがゆえに、必要性が低く、何かがあれば売却したいと思うのも当然でしょう。

 相続する不動産は、自宅とその周辺の駐車場や賃貸不動産、都心部の区分所有マンションの数戸、そのほか、隣町の古い木造の賃貸店舗兼住宅です。賃借人は同物件で30年理髪店を営み、2階に居住しています。特に家主との交流もなく、賃料も周辺相場に比べると高くはありません。まず、売却を検討するのはこの店舗兼住宅です。収益が低く、建物も老朽化しているため、思うような価格は見込めません。この物件の価値を高めるには、賃借人に退去してもらい、負担のない状態で売却することが望ましいのは頭では理解できます。しかしながら家主の都合で一方的に退去させることはできませんので、退去にかかる補償(立退料)は最低限提供しなければいけません。しかも店舗の立退料は住宅とは異なり、その場所で長年営んでいるからこそ得られている収入、今後も得られるであろう収入を一定程度補償してあげなければなりませんので高額になることが想定されますし、協議が長期化したり、場合によっては紛争まで発展したりするかもしれません。やはり、このような必要性の低い不動産に限って売却の難易度が高くなる傾向になりますね。

しかし、考えていてもことは進みません。が、やみくもに、売却するので退去してほしいというのも良い方向に進むとは思えません。本来の目的に立ち戻って考えると、不動産を売却することが目的であり、退去の要請はその手段の一つなのです。したがって、賃借人には少し言い方を考えて「相続税を納付しなければならないので、借りていただいているこの物件を売却せざるを得なくなった。ついては、ずっと使ってもらっているし、今後も使ってもらいたいからこれを機に購入してはもらえないだろうか」と、お願いの方向を変えるだけで大分、賃借人の心理的抵抗感が少なくなるといえます。賃借人は長年その場所で商売を営んできたので、何とか慣れ親しんだその場所にとどまる方法を考えます。長年の商売の蓄えがあるかもしれませんし、子供の援助を受けて購入するかもしれません。また、購入できなくても、これを機に商売をたたんで息子家族と同居するということになるかもしれません。

このように、話の順番や方向を少し変えることによって、よい展開に進む可能性もありますし、逆に、最初のボタンを掛け違えただけで、紛争になることもあるのです。

これは実際に私が取り組んだ事例です。賃借人は、借りている土地建物を購入し、しばらく商売を続けたのちに息子と一緒に建て替えるとのことでした。

めでたしめでたし。と、すべてがこのように上手く進むとは限りませんが、利害の相反するもの同士でも、まずはめでたい結末を迎えられるよう常に意識したいものです。






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無料査定します

 コロナ禍によって在宅時間が増えたことに伴い、普段忙しくて、そのうち、と先送りにしていた家のことに手をつけた人も多い事でしょう。よく耳にするのは家財等不用品の整理です。不用品は廃棄処分が一般的ですが、最近ではインターネットを通じて個人間で売買するという方法も増えているようです。また、不要な貴金属などは専門業者が査定し、その場で買い取ってくれるサービスが主流です。

 
 「査定」とは、金額などを調査し決定する事、と辞書に書かれています。先ほどの貴金属もそうですが、車なども買取業者に「査定」を依頼し、査定額に納得すれば、査定額で買い取ってもらうことが可能です。もちろん
1社の査定だけでは適正かどうか検討がつきませんので、複数社に査定してもらい、一番条件のよいところに売却する方法も多く見られます。

 不動産においても「査定」という言葉をよく耳にしますが、前述した貴金属や車の査定、買取とはニュアンスが大きく異なります。一般的にいわれる不動産の査定とは、不動産仲介会社が、近隣の相場や事例などから、対象物件の個別的な事情を考慮して、これくらいで売却できるだろう、という売却予想価格です。売却予想価格ですので貴金属や車のように買い取ってもらえる価格ではありません。また、複数の不動産仲介会社に査定を依頼すると、当然ながら査定額もまちまちです。前述したように不動産の査定額はあくまで売却予想価格ですので査定額が高い会社が査定どおりの高い金額で売ってくれるとは限りません。不動産仲介会社の立場で考えると、査定の依頼は仲介の仕事を受注する、いわば仲介手数料を稼ぐ入口でありチャンスです。したがって査定の主眼はどうしたら売却の依頼を受けられるかに置かれています。わかりやすく、しかももっとも依頼者の興味を引くのは査定額です。査定が高い会社に興味をもつのは当然でしょうし、業者も興味を引いてもらえるよう査定額を少しでも高めに出す傾向にあります。しかし、繰り返しになりますが、査定額はあくまで予想であること、そして不動産物件情報は全国の不動産業者間のシステムで共有されることから、基本的にはどの仲介業者に売却の依頼をしても結果に変わりはありません。

また、ポストに投函される「このエリアでお医者さんが探しています、この学区限定で探している人がいます」というチラシを見た方も多いと思いますが、これも、依頼者の興味を引き、売却の依頼をうけることに主眼を置いている営業チラシですので、チラシに書かれている事の真意はあてにしないほうがいいでしょう。

査定額が高い、低い、お客さんがいる、いないというより、信頼できるか、安心できるかどうか、という視点で売却の依頼先を決めることが肝心です。

 今やネットで簡単に不動産の査定が依頼できますし、コロナ禍によってむしろその傾向が強くなっているようです。「人は見た目が9割、会えば良さが分かってもらえるのに・・・」というのは過去の話になるのでしょうか。少し寂しい気もします。






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不況と賃貸経営

  緊急事態宣言の解除からまた感染者が増加し、現在は沈静化してきたような感もあり、少しずつですが、人の動き、経済の動きが活性化してきたようです。それでもコロナ禍によって世界、日本の経済は大打撃を受け、前回のリーマンショックを大きく超える未曾有の経済不況が到来すると言われております。

コロナ不況が不動産に与える影響については前回、前々回とお話しいたしました。賃貸経営についても他の業種同様、少なからずマイナスの影響をうけるものの、賃貸用途によってはその影響は軽微であり、見方によっては不況下に強い事業であることを改めて感じているかたも多いのではないでしょうか。

 コロナ不況下で大きく取り上げられているのは、飲食等自粛要請業種の賃料負担です。当然のことですが賃料は、お店を営業していようといまいと、売り上げが上がろうと上がるまいと、借りている以上、毎月約束した賃料を必ず支払わなければいけません。反対にオーナーは毎月必ず約束した賃料を受け取ることができ、しかもこれは法律で決められている(守られている)絶対的約束なのです。今回の国の経済対策をみても、テナントに対する賃料の補助が対策の柱となっています。いくら国といえども、オーナーに対して強制的に賃料の減額を迫ることはできないのです。このような事からも、いかにオーナーの権利が強いかということがよくわかります。

 このように、いくら法律上、当事者で約束した賃料を支払う義務、受け取る権利があるとはいえ、このような状況下ですから個別には賃料の減額や猶予の交渉に応じているオーナーが大多数です。また、当面は、すべての用途において賃料の下落傾向が続くことになるでしょうから、賃貸経営にマイナスの影響を受けるのは必至です。利用用途から見ますと、住宅のように必要不可欠なものほど賃料のブレ幅(下落幅)は小さく、店舗等人気や景気に直接左右されるものはブレ幅(下落幅)が大きくなる傾向があります。

しかし、どれだけ不況の煽りを受けたとしても、賃貸経営の優れたところは、賃料が半分になることはあるにせよ、ゼロになることはない、ということです。ただし、何度も申し上げておりますが、借入金が多ければ、返済に充てる金額が多くなりますので、賃料が減少するほど経営は厳しくなります。これまでの経済不況における不動産経営の破綻の原因はすべて借入金です。借入金は、不動産価格や賃料が上昇局面の時には大きなプラスの効果を発揮いたしますが、下落局面では一気に破綻の可能性が高くなります。賃料の上昇が見込めない現在は、いかに借入金に頼らず、計画を組むことが、不安定な経済下でも破綻しない賃貸経営のポイントです。

コロナ禍で大きな影響を受け、賃料の支払いに窮している企業の側からみても、逆の立場から、これからは経営リスクの分散ということを考え、賃貸経営というのも一つの選択となるのではないでしょうか。




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コロナショックと不動産のこれから

 

新型コロナ感染症も、予断は許さない状況とはいいながらもピークを越えたかに見え、これからは新たな生活様式を取り入れながら経済活動を徐々に再開していこうという新たな局面に入ってきました。コロナ禍によって、ありとあらゆる、もの、ことが影響を受けておりますが、もちろん不動産も例外ではありません。今回は、コロナ禍による不動産の影響について考えてみます。

自粛要請が続いた飲食店等については今後、一定の対策を講じながら再開となる予定ですが、コロナ以前のような状況には当面、もしくは2度と戻ることはないかもしれません。特に、飲食店は客席数、回転数によって売り上げが大きく変わりますので、いかに配置を工夫し、客席を確保するかがこれまでの常識でしたが、これからは互いの距離を保つことが重要な対策となりますので、当然、これまでの客席数は確保できなくなります。客席数の減少により売り上げも減少しますので、必然的に支払い可能な賃料も減少せざるを得ません。業界全体がこのような傾向ですすみますので、相対的に飲食店舗の賃料は下落の方向に進むと思われます。商業テナントの賃料が下落すると、商業地の地価も下落傾向が進むでしょう。

また、これまでの客席数、回転数を基に雇用していたアルバイト、パートなどの従業員は必要なくなりますので、他の分野での雇用先が確保できなければ、収入を失い、アパートなどの賃料の支払いに滞りが生じる可能性が増えてきます。

事務所はどうでしょうか。在宅勤務(テレワーク・リモートワーク)が推奨され、戸惑いながらも多くの企業が在宅勤務や時差出勤、時短営業、交代制出社に取り組みました。おかげで、この間ではありますが、通勤ラッシュと言われた首都圏の公共交通機関の混雑も大幅に緩和されました。在宅勤務に取り組んだ企業側も試行錯誤しながらも、ITの活用により一定の経済活動を続けられることを認識し、逆に、都心部に大きな事務所を構えることが本当に必要なのか検討する企業も出始めています。特に今回のような緊急事態時には固定費である事務所の賃料は大きな負担になります。このようなことから事務所の賃料も相対的には下落の方向に進み、連動して地価も下がることになりそうです。

今回のコロナショックは、リーマンショックや東日本大震災どころか、今まで経験したことない経済的な悪影響を及ぼすといわれておりますので、相対的には個々人の所得も減少し、住宅の賃料や住宅地価にもマイナスの影響を与えることでしょう。

このように、なかなか明るい材料は見当たりませんが、建売住宅などはこの緊急事態宣言中も思いのほか売れているようです。おそらく、外出自粛要請の中、家族で真剣に、住宅などの生活設計を話し合う機会が増えたものと思われます。

幸か不幸か、今は、考える、話し合う時間が沢山あります。このような機会に、資産の運用、承継、生活設計など、少し、話し合ってみては如何でしょうか。





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