10月も終わりですね。早いもので私の会社もこの10月より第7期目に突入いたしました。今日までご飯が食べられたのも社員、家族、取引先等多くの方々に支えられたお陰です。感謝もうしあげます。

さて、先日、借地権の譲渡のお手伝いをしました。地主、借地人等の地権者、関係者含めると10人以上が関与していたので調整が大変でした。さらに一部紛争もあったので神経をつかいましたが無事終了しました。直接間接に関わる弁護士の先生が5人もいて、おそらく、いままで関与した仕事の中で、3本の指に入るであろう難易度でした。関係者全員めだたしめでたし、久しぶりに達成感を味わいました。

そのなかで1点、金融機関の融資に伴う、地主の承諾書について思ったこと。

借地権の場合、金融機関は借地上の建物を担保にとりますが、担保価値は建物そのものより建物に付随する借地権のほうにあります。しかし借地権というのはほとんど登記されておらず、目に見える権利ではないため、建物に担保を設定するわけです。借地権は土地利用者である借地人が土地利用の対価として土地所有者である地主に毎月、利用料である地代を支払います。すなわち地代を支払うことによって借地権という土地を利用して建物を所有する権利を得ているわけです。したがって地代の支払を怠ってしまうと最悪の場合、借地契約の解除となり、借地権という権利は消滅してしまうわけです。


参考までに借地権という権利の価値はどれくらいかと申しますと、所有権の土地の価値を100とすると借地権は(場所によりますが)60〜90となり逆に借地権の設定されている土地の価値は10〜40と、このように借りている人の権利、財産価値のほうが圧倒的にあるのです。ちなみにこれには建物の価値は含まれません。このようなことから建物が古く価値がほとんどゼロだとしても借地権そのものに価値があるのです。

さて話は戻りますが、借地上の建物および借地権を担保に融資をする場合、その条件として金融機関は地主の融資に関する承諾書を求めます。これには概ね以下の内容が記されています。

1.現に借地契約が存在すること
2.借地上の建物に担保設定することを認めること
3.競売等により借地上の建物が第三者に移ったとしてもその第三者に対する借地権を認めること
4.借地人が地代の支払を遅延した場合には金融機関に通知すること
5.その場合、借地人に代わって金融機関が地代を支払うことを認めること

以上のような承諾書に地主がサインして金融機関に提出して初めて借地上の建物に融資が実行されます。

承諾書のなかで上記5にある「借地人に代わって金融機関が地代を支払うことを認める」とは、前述したように担保としての価値は建物より借地権にあるわけですから、借地人の地代の不払いによって借地契約が解除されると担保価値の大半をしめる借地権が無くなってしまう為、金融機関としては立替払いをしてまで、借地権を守ろうとするための内容です。

しかし、借地人の地代の支払がきちんとなされているかどうかは地主でなければよく分からないため、地主に対して、地代の支払が遅延したら金融機関に通知してくださいね。という承諾書の内容になっているわけです。

一見、もっとものように見えますが、本来、担保を管理するのは金融機関の責任であって、直接的には関係のない地主に一方的に地代支払遅延の通知義務を課すというのは、どんなもんかなと思います。言葉は悪いですが、金融機関の担保管理を地主に一方的に委ねる、ともすれば金融機関の担保管理に関する職務怠慢ともうけとれなくもない、ずいぶんと上から見たような内容です。

例えば「金融機関から地代の支払に関する照会があった場合は協力する」程度の内容ならまだわかりますけどね。

金融機関に聴くと「このように決まった書式になってますから」というだけでなんとも腑に落ちません。銀行は強いですね。


と、まぁ今回問題になったわけではありませんが、今回に限らず借地権の問題を多く取り扱っている立場から常々感じていることです。



さて、今年もあと2ヶ月がんばりますか。


アペオス。