問題解決型不動産コンサルタント 伊藤英昭の事件簿|キャリア20年の独立系「問題解決型」不動産コンサルタントが仕事を通じて日々思うこと、感じた事を綴ります。

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2011年09月

遺産分割と不動産の評価

 こんにちは。「暑さ寒さも彼岸まで」のとおり、お彼岸を境にめっきり秋の気配が漂ってきた今日この頃、みなさん如何お過ごしでしょうか。こんなマイナーなブログでも楽しみに読んでくれている人がいる、らしい?ので更新させていただきます。

本日は遺産分割と不動産の評価についてこれまでの自分の仕事上の経験等からお話させていただきたいと思います。


被相続人(亡くなった方)名義の不動産が複数存在し、且つ相続人が複数存在する場合は、遺産分割(故人の財産を分ける)の際に、その不動産の価値、いわゆる換金価値が重要な要素を占めることとなります。

相続税を計算する際、相続財産の評価は、時価が原則ですが、不動産の場合はその時価を客観的に示すことが難しいため、路線価などの一定のルールに従って評価します。しかしこれはあくまで土地の形や利用方法などによる机上の計算に基づき相続税を計算するための簡便的な評価方法であり、実際の時価とは性格が異なります。(ただし路線価評価も一定の目安になることは事実です)

このような事から、遺産分割の際に相続税評価額(路線価評価)をもとに不動産を分けたとしても、その後、売却した際に相続税評価と大きな乖離があった場合などは、そもそもの遺産分割をめぐってトラブルになりかねません。例えば長男と次男がそれぞれ相続税評価額ベースで1億円の更地を相続し、その後、同時期に、それぞれが相続取得した不動産を売却した場合、実際には一方が1億円、もう一方は7000万円ということも実際にはあるのです。均等に分けたつもりが均等ではなかったということになります。(売り急ぎ等の事情は考慮しないこととします)

これは先にも述べましたが、相続税評価額は相続税の評価をするための机上のルールであり、実際の不動産時価に影響を与える要素を細かく盛り込んでいないというのが一番の原因です。

不動産時価に影響を与える要素とは例えば以下のような点が挙げられます。

(更地等の場合)
・登記簿の面積と実際の面積が異なる
・隣地との境界が明確でない
・隣接土地所有者と境界の確認がとれない、境界紛争中である
・地下埋設物や土壌汚染が発見された
・前面が私道であり、私道所有者から掘削の承諾が得られない

上記が発覚した場合などは瑕疵のある不動産として通常の価格(瑕疵のない土地)の2割〜3割、場合によってはそれ以上価値が下がってしまいます。(面積の差異は隣地との境界同意が得られ一定の手続きを経ることによって解消可能です)

また、アパート、マンションや貸宅地などの賃貸用不動産などは売却しないまでも、その借主の属性などによって価値が大きく異なる場合があります。例えば以下のようなケースです。

(賃貸用不動産)
・賃料をしばしば滞納する賃借人が存在する
・周囲に迷惑をかける賃借人が存在する
・賃料が相場より高く、入居者が入れ替わった場合、賃料が相当程度下落する
・貸宅地などの場合で過去更新料などを巡ってトラブルになった。地代が著しく安い

仮に相続税評価が同じであったり、同等の収益を生む不動産であっても借主の属性等によってはやはり価値は大きく異なることがお解かりいただけると思います。

また、同じ評価でも更地のように流動性が高い、すなわちすぐに第三者に売却できる不動産と貸宅地のように流動性が極めて低い、換金しづらい不動産の場合も、土地の利用上の特性をよくよく理解していないとこれもトラブルのもととなります。

したがって不動産を遺産分割する際は相続税評価額ではなく実際の換金価値に着目して分ける事がトラブルを防ぐポイントです。また、不動産鑑定士による「不動産鑑定評価」をもとに遺産分割をするケースも増えていますが、実際は上記のようなポイントまで加味していない評価が殆どです。したがって精度の高い評価に近づけるためには財産評価する税理士はもちろん、不動産鑑定士や、不動産実務家を交えて協議することが今後必要となってくると思います。

とは言っても評価は万能ではありません。あくまで評価の精度を高め、相続人に説明をし、トラブルを未然に防ぐということが一番の目的です。

これは相続発生後の遺産分割に限らず、「遺言」にも言えることだと思います。「遺言」により相続人間のトラブルを未然に防ごうということであれば、このような不動産の実際の価値を判断するための調査をすること、そして瑕疵が見つかった場合はできる限りそれを是正するよう努めることも重要ではないかと思います。


要するに、不動産の相続も不動産の売買も原因は異なるにせよ所有権の移転です。不動産の売買に最低限必要なデューデリジェンス、重要事項の説明と同等の調査を相続等の資産承継にも行うべきと思うのです。


以上、実際に関与した事例等から思うことをつらつら書いてみました。


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では。バイバイ ありがっとーさーよ、おならー。




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借地権の更新料、払う?払わない?

こんにちは。借地権の更新料について私が取り扱った首都圏約700件の実務経験等から考察したいと思います。

借地契約満了時の更新料をめぐる問題は、かなり昔から、その支払い義務の有無やその金額を廻って地主と借地人との間に考え方の相違や紛争も多く見受けられました。

しかし現在は更新料支払いの有無を巡る争いは少なくなり、更新料の金額や支払い方法を巡る協議が多くなっております。この背景には、借地人の立場から「将来の建替えや譲渡する場合の地主の承諾や相続等による世代交代、人間関係等を勘案すると、目の前の更新料を巡って地主と争っても利益になるどころか、借地権の価値を毀損しかねない」という意識が根付いてきたということが言えるでしょう。

このようなことから、実務上、更新料については借地人が仮に弁護士に相談した場合でも「支払う義務は無い」という強硬な姿勢は殆どなくなり、「支払うけど更新料をもう少し減額してほしい」という対応が多くなっております。


更新料の額、算出方法には特に決まりやルールがあるわけではなく、地代同様、地域というより地主によってそれぞれ異なります。更新料は実務上その基礎となる金額(その土地の評価)に対する掛け率(%)で算出する事が多くなりますが、地主によっては坪○○円という方法で受領している場合もあります。また、基礎となる金額を自用地による評価(所有権としての100%評価)にするのか借地権による評価(路線価を基にした借地権割合、一般的な住宅地の場合には60〜70%)にするのかによっても掛け率や金額が異なってきます。(私が相談を受けた場合の金額算定については個別にご相談ください)

このように更新料の額、算出方法は地代同様、地域というより地主によってそれぞれ異なり、ルールがあるわけではありません。中には今まで更新料を請求、徴収したことがないという地主が存在するのも現実です。更新料は受領しなければいけないものでもなければ、支払わなければならないものでもありません。しかし、ほとんどの場合、借地契約設定当初は権利金などの授受がないこと、収益性、流動性が低いこと、借地上の建物が存する限り事実上土地は返還されないこと、返還してもらう為には、借地権の買取などにより多額の金銭を逆に地主が支払わなければならないなど、法律が借地人保護に重心を置いている為、地主と借地人の間には経済的な不均衡が生じているといっても過言ではありません。
その経済的不均衡を調整、補完するために「更新料」という慣習があるとも言えるでしょう。

また、借地人の立場に立つと、更新料を支払い、地主との関係を良好に保つことによって初めて、譲渡の承諾、建替えの承諾が得られ、その所有権価格の5割、6割、7割という価値が担保されているのです。いわば更新料が借地権価値を補完しているといえます。

借地権を譲渡した場合の譲渡税の取り扱いについても、支払った更新料は取得費として認められていることからもこのような事がいえます。

とはいいながらも、まだまだ「借地権譲渡承諾が得られない場合は借地非訟すればいいじゃないか」という借地人あるいは法律家、実務家が存在するのも事実です。この資産デフレの今、借地非訟に付き合ってまで借地権を取得する人はどれだけいるか分かっているのでしょうか。売れたとしても、良くて半値八掛けが関の山です。更にその後、建て替えの必要が生じた場合、金融機関の融資の承諾書を求められた場合、地主が協力してくれると考えているのでしょうか。その都度、非訟すればよいと考えているのでしょうか。そのような専門家は一時の更新料支払を拒むことによる利益ばかりに着目し、残念ながら借地権の将来の財産価値までまったく考慮していないアドバイスといえるでしょう。

私は借地人から相談受けた場合でも、迷わず「払うべき、お金がなければ支払い方法などを相談しましょう」というアドバイスをします。それが借地人のためだと思っているからです。

繰り返しますが、借地の更新料はその経済的不均衡を調整、補完するための慣習という側面をもっています。

不動産の価値は、隣近所や地主などの利害関係人との良好な関係により維持されることをお忘れなく。


*ちなみに借家の更新料とは全く性格が異なるものですので、勘違いされることのないよう。


たまには真面目な記事も書いてみました。


では。ばいばいきん。





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president不動産は個人、企業にとって必要不可欠なものでありながら、法制、税制、実務、慣習ともに非常に複雑です。しかし、不動産については、その専門分野ごとに業態がわかれており、お客様の問題に応じて総合的に提案、実行できる人、組織が少ないのも現状です。
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役員代表取締役 伊藤 英昭
取締役    西岡 篤志(税理士)
取締役    中津 寛子(社会保険労務士)
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設立年月2004年11月(平成16年)
免許宅地建物取引業 東京都知事 (1) 86021号
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  • 社団法人 不動産保証協会
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コンサルティングファーム主催
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私道の問題

ご無沙汰してます。もう9月になってしまいました。

さて、最近、なぜか私道に関するトラブル、問題の相談が多いので少し整理して思うところを書いてみます。

建築基準法では「建築物の敷地は幅4メートル以上の道路に2メートル以上、接していなければならない」とされています。つまりこの要件を充たさなければ建物を建てられません。例えば道路に接している間口が1.8mであったり、前面の道路が4メートル未満の場合は建物が建てられないということです。(ただし4メートル未満であっても一定の要件を充たすことによって建築は可能ですが、これは本旨と異なるので割愛します。)

なお、この道路は建築基準法で定められた道路でなければならず、建築基準法上の道路であれば公道、私道を問いません。

また、広大な敷地を区画割する場合など、この要件を充たすために個人(または法人)が道路を新たに造り、行政に道路としての認可を受けることも可能です。これを「位置指定道路」とよびます。

行政に認可された道路ですので、当然、その道路に接している土地には建物を建築することが可能です。

建物を建築する場合、通常、上下水道やガスを設置しますので、道路から水道管、ガス管、下水管などを敷地内に引き込む必要があり、引き込むためには道路を掘削、すなわち掘らなくてはなりません。

前面の道路が私道の場合、この私道の所有者から水道管などを引き込むために必要な掘削の承諾を得る必要があります。(水道工事業者やガス工事業者に私道掘削の承諾書を求められます。)これは、道路といえども個人の財産であるため、勝手に掘ってトラブルが起こらないようにするためです。この私道の所有者から掘削承諾が得られない場合、水道管などを引き込むことができませんので、建築の許可(建築確認)が行政から降りたとしても、結果的に建物が建築できないということになってしまいます。(自分の敷地内で、上下水をまかなうことは井戸を掘ったり、汚水を敷地に溜め込まない限り、事実上厳しいですからね)

このように建築許可が下りても私道所有者の掘削承諾が得られず、事実上建物が建築できない土地は明らかに瑕疵のある土地として、土地の資産価値は半分以下に下がってしまいます。

実は、このように私道所有者の承諾が得られない事案が意外と多いのです。特に私道所有者が複数存在しているケースなど、原則として全員の承諾が必要になるため、1人でも承諾しない。あるいは相続等により所有者が更に分散しているような場合などは大変です。

私道、特に行政の認可した「位置指定道路」は個人の財産とは言えども、半公共的な役割を果たし、その恩恵として固定資産税が非課税になっています。行政は道路の認定をし、建築の許可は出すが、私道の承諾については、当事者間で話し合ってくださいという、なんとも片手落ちの建築行政だとおもいます。

少なくとも、私道については、道路として行政に寄付することを条件に、位置指定道路の許可を出すなどの対応を検討すべきだと思う今日この頃です。

このようなことから、私道に接している土地の価値は、(掘削承諾を得られる得られないに関わらず)公道に接している土地の価値より若干劣るのが現状です。

野田さんにこの私道問題の解決も期待しましょう。


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では、ばいばいきん




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