こんにちは、前回の更新から1月経ってしまい、気がついたらもう師走ですね。
お陰さまでその後、私の自転車は平和に定位置を確保しております。(笑)

さて、今回は土地の相続税評価額についてお話したいと思います。

土地の相続税評価額は基本的に路線価×面積で算出します。この方法により算出された評価額は実際の時価とは異なります。国のいうところの時価の指標となる公示価格を100とすると路線価は概ね80で設定されております。この制度の趣旨から考えますと、土地の相続税評価額は時価から2割引きしてあげようという、いわば相続税おける国の親心を感じ取ることができます。

しかし当然ながら実際は相続税評価額と比較して時価が高い土地もあれば、残念ながら時価のほうが相続税評価額より低い土地もあります。特にバブル崩壊後の資産デフレと土地価格の二極化によってこの傾向は顕著になってきております。もはや路線価の制度そのものの存在意義が問われてきているといってもいいでしょう。と、これは本題ではないので話を戻しますが、要するに現在、相続税の観点で見る土地の評価は以下の2つに分けられているのです。

1.相続税評価額 ≦ 時価 
 (時価のほうが相続税評価額より高い、本来あるべき評価)
2.相続税評価額 ≧ 時価 
 (相続税評価額のほうが時価より高い、本来の主旨とは異なる評価)

上記1は、例えば時価10億円の土地が相続税評価では8億円という相続税評価の本来あるべき望ましい状況です。しかしながら上記2のように相続税評価と時価との逆転現象が起きている場合、相続税評価上は10億円なのに対し、時価は8億円という状況になり、相続税上は実際の時価より過大評価され、結果的に本来持っている価値以上の余分な税金を支払わなければいけないという不公平な状態になっています。(*都市部の土地においては時価が相続税評価額を上回る傾向があり、郊外の土地は逆転現象を起こしている傾向があります)

この不公平な状態を解消するため、相続税評価の現場では実際の時価に近づけるために相続税評価を引き下げようという意思が強く働きます。これは当然のことです。

多く用いられる方法としては本来のルールである路線価ではなく不動産鑑定士による「不動産鑑定評価」によって、「実際はこんなに安い」ということを理論付けをして申告します。しかし、基本的には路線価による計算が相続税のルールとなっていますので、この「不動産鑑定評価」も万能ではありません。確実なのはこのような逆転現象が起きている土地については相続が発生する前に実際の時価で売却することです。しかし、これには譲渡税(土地の譲渡益に対して20%)という別の税金が課せられますし、先祖代々の土地を簡単に手放すということについて精神的負担があることも事実です。

と、ここからが本稿の本題ですが、時価よりも相続税評価額の方が高い土地の最有効活用方法としては相続税の納税財源として「物納」を活用することが最も有利なのです。「物納」とは相続税を納めるお金がない場合で、一定の要件を充たした場合に利用できる特例ですが、その最大の特徴は土地の相続税評価額をお金とみなして相続税を納めることができるということです。例えば時価5000万円の土地の相続税評価額が1億円だった場合、物納することによりその土地は1億円の現金と同様の価値をもつということです。いわば最後の砦として国は相続の対象となった土地を国の定めた相続税評価額によって買取り保証しているのと同じことです。

このように物納が活用できる場合は、なにも一生懸命評価を引き下げる必要はありません。物納制度を活用する場合、時価と相続税評価額の乖離が高いほど(相続税評価額が時価を上回っている)納税には有利に働くこととなります。

しかしながら物納には「相続財産および相続人の財産に金融資産のないこと」など多くの要件が必要です。したがってこのような時価と相続税評価額が逆転している不動産を所有している人は、相続発生前に金融資産を組み替える、物納予定の不動産を物納できるよう整備するなどの対策を実行することにより有利な納税が可能となります。また、財産の殆どがこのような逆転現象を起こしている土地の場合は、物納用の土地を残し、他の土地は相続発生前に売却するなど、総合的にバランスのとれた対策を練る必要があります。

以上のことから相続税の土地の評価においては不動産鑑定評価をもちいて相続税の評価を引き下げるべきか、納税財源として「物納」できるよう対策を練るか、時間をかけて多面的に検討する必要があります。

んー、不動産は個別性が強く、価値算定が難しいので今後もこのような問題は続くのでしょうね。

あ、一応、物納実務における個人としてのコンサル実績は恐らく日本で一番だと思いますよ。(笑)
自画自賛ですみません。

さて、久しぶりに脳みそを遣ったので糖分でもとりに行きますかね。

ばいなら。




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