「貸宅地は不良資産の代表格である」と一般的に言われております。特に不動産のプロと称する人にこのような論調が多いように感じます。このような事から「貸宅地は売った方が良い、優良資産に組み替えたほうが良い」とのアドバイスが多く見受けられます。

不良資産と呼ばれる主な理由は「収益性が低い」「換金性が低い」この2つです。今回は貸宅地の収益性について実務家の視点から考えてみたいと思います。


 首都圏の地代の相場は土地の固定資産税額の3倍〜5倍程度です。相続税評価額(貸宅地評価)を基準に地代利回りを換算すると、都市部で概ね1.5%前後です。(地価の低い郊外になると利回りはもう少し高くなります。)この数値を見ますと確かに利回りが低い、収益性が低いともいえますが、これはあくまで相続税評価額ベースでの利回りであり、投資額に対する利回りではありません。

よくよく考えてみますと、現在、貸宅地を保有している地主の大多数は先代から相続で取得しており、貸宅地の投資額という観点で考えますと限りなくゼロに近いというのが実態です。もう少し厳密に言うと、その土地を相続する際に支払った相続税相当額が投資額、取得額といえるでしょう。そのような考え方に立つと貸宅地の取得額に対する地代利回りは、決して低くはありません。

加えて、貸宅地の場合、20年(30年)に一度、更新の機会がおとずれ、その際に更新料を受領することが一般的です。その他、借地人が借地権を譲渡する場合は、譲渡承諾料を、借地上の建物を建替える場合には建替え承諾料を受領することが可能です。更新料、建替え承諾料についてはその地域の慣習や、地主の考えにもよりますが、一般的には、借地権評価額の10%前後、自用地評価の5%前後と考えると、20年(30年)に一度とはいえ、大きな収入となります。借地権譲渡の承諾料については一般的に譲渡価格の10%前後が相場です。実務的には、借地権の譲渡と建替えは同時期に行われることが多いので、このような場合は多くの臨時収入が期待できます。(借地の更新料は法的根拠がないことから、支払いを巡りトラブルになるケースも散見されますが、借地権の譲渡、借地上の建物の建替えについては地主の承諾事項であり、承諾の対価として事実上、受領することが可能です)

 

次に、維持管理の観点で考えますと、貸宅地の運営にかかる費用は実質、土地の固定資産税、都市計画税のみであり、建物のように老朽化に伴う、維持修繕費用は発生いたしません。また、空室のリスクや賃料の滞納リスクも殆どありません。

以上のことを鑑みますと、貸宅地は、決して収益性が低い不良資産ではなく。安定した収入が確保可能な優良資産という事が言えるでしょう。

このような事から、本当の意味で貸宅地に精通した実務家および、貸宅地の特性をしっかり理解し、適正な管理をしている地主さんは、貸宅地の事を、安易に「不良資産」とは呼びません。

次回は「換金性」という観点から貸宅地を考えてみます。






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