「賃貸経営は儲からない」というより、あまり儲かりません。特に借入金でアパートなどを建築した場合は意識したほうがよいでしょう。既に何十年も賃貸経営をしてきた方々はそのような実感があるのではないでしょうか。

 建築当初は比較的安定した収入を得られたとしても、築年数が10年、15年と経過するにつれ、供給過剰による空室の増加や、賃料の下落、修繕費の増加など収入が減り、経費が嵩むのは昨今の情勢から、わざわざこのコラムを読まなくても誰でも理解できることです。

 ここでお話ししたいのは、そのような事ではなく、税金の仕組みそのものが、そもそもあまり儲からない仕組みになっているという事です。ご承知のように賃料収入に課される税金は、収入から経費を引いたものに税率をかけて算出します。税金の計算上、差し引ける経費の主なものは、土地建物の固定資産税、都市計画税や、不動産会社の管理手数料、建物の維持管理費用、水道光熱費、修繕費などです。そのほか建物の減価償却費、建物に要した借入金の金利なども経費に含まれます。

実はこの借入金利が、「賃貸経営はあまり儲からない」という大きなポイントなのです。一般的に個人が利用するアパートローンなどの場合は元利均等返済が利用されます。元利均等返済とは、元金、金利併せた返済額が月々定額の方式です。月々一定の返済額ですので、事業計画が立てやすいというメリットがありますが、長期的に見た税金の支払いという観点では、年数を負うごとに税金だけが増えていくという仕組みになっているのです。

前述したとおり、元利均等返済は元金、金利を併せた返済額が定額になりますが、一定の返済額のうち、借り入れ当初は金利が大部分を占め、年数の経過とともに金利部分が減少し、元金部分が増えてくるという特徴をもっています。例えば、月の返済額が元金、金利併せて30万円とすると、返済当初は、その30万円のうち、金利が25万円、元金が5万円というイメージです。これが年数の経過とともに、金利が5万円、元金が25万円と徐々に逆転してきます。

このことから、返済額そのものは一定でも、税金の計算上、借り入れ当初は経費となる金利が多くなるため、その分、税金が減少しますが、年数の経過とともに、経費となる金利が少なくなってくるため、税金の負担は年々増加してきます。そもそも収入と支出が新築当初から変わらなかったとしても、税負担だけは増える仕組みなのです。加えて、昨今の賃貸経営は、年数の経過とともに、空室の増加、賃料の下落、修繕費の増加は避けられませんので、新築当初は儲かっているような実感があったとしても、10年、15年と経過すると、税負担の増加もあり、なんだかあまりお金が残らないな、ということになるのです。(かつて定率法で建物を減価償却していた人は、税負担の増加はより顕著です。)


 しかしながら、アパート建築によって、その間、固定資産税が軽減されたり、相続税評価額が引き下げられたり、という効果も得られますので、賃貸経営は、損はしないけど、あまり儲かる商売でもないな、というのが多くの実感ではないでしょうか。

そして、やっと借入金の返済が終了する頃には、「そろそろ建替えませんか」という案内が、あちらこちらから届く仕組みになっています。すごい仕組みですね。





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