先月の寄稿から1か月、新型コロナウィルス感染拡大も、事態はいよいよ深刻となってきました。緊急事態宣言、緊急事態措置の発令による、なかば強制的な営業自粛要請によって、さまざまな業種が甚大な影響を受けています。

このようななか、大きな固定費である賃料を一定期間、猶予または減免できないかという深刻な相談が現場では多く寄せられております。このような問題に、行政も何かしらの対応をと施策を検討しているようですが、スピード感のある対応は期待できません。それでも今月末の家賃は待ったなしです。

このような相談に対して、家主としてできることは、できる範囲で、賃料の支払いの相談に応じてあげることです。賃料の支払いの相談には、減免と猶予の2つの方法があります。

賃料の減免とは、賃料を減額するということです。もちろん恒久的に減額でも構いませんが、今回の事情を鑑みれば、まずは一定期間減額し、一定期間経過後は現行の賃料に戻すという方法が現実的です。

賃料支払いの猶予とは、期日に支払わなければならないものを先送りにするということです。例えば、「今月の家賃を半分にします。ただし本来支払うべき残り半分は半年後に支払ってください。」というように、家主が、借主からの支払い延期の相談に応ずる。言い替えれば家賃の一部を借主に貸すということです。したがいまして、一定期間後は、猶予した賃料を返してもらうこととなります。

賃料の減免や猶予について、借主の立場に立つと、減額が確定する減免の方が、直接的な経済的利益がありますが、猶予でも、資金繰りの事を考えると、支払いを先送りにするという意味ではメリットはそれなりにあるといえます。家主の立場ではこの逆の事が言えます。減免は収入が減少しますが、猶予は収入が先送りになることですので直接的な経済的ダメージはありません。しかも契約時には保証金などを預かっているケースが大半でしょうから、預かっている保証金の範囲内では賃料を猶予したことによる損失、デメリットは家主にほとんど無いと考えてよいでしょう。

賃料の減免にせよ、猶予にせよ、金額や期間は当事者の事情を鑑みて双方で取り決めることとなりますが、いずれも家主にとってはプラスの話ではありません。このような危機に家主として、応援、対応するためにも、経済情勢に応じた賃料設定、賃料改定、すなわち景気が良い時はそれなりに賃料を頂き、景気が悪くなったときには、減額、減免、猶予に応じるという機動的な経営が本来もとめられるところです。また、借入金の返済がある場合は、このような柔軟な対応はとれませんし、賃料の減額や、未払いが発生したときには借主どころか、家主本人の賃貸経営が行き詰まってしまいます。やはり過度な借入金による賃貸経営はこのような危機に対しては非常に弱いという事がいえるでしょう。

いずれにしましても我々が経験した事の無い未曾有の危機です。賃貸経営に関わらず、それぞれがそれぞれの立場で、できることをすることが一日も早い事態の鎮静化につながることは間違いありません。

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