令和3年、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
昨年は、コロナ禍によってこれまでの価値観を強制的に見直さざるを得ないきっかけができた年といえるでしょう。変わらなければいけない部分、変わらない部分、変わらなくてもいい部分、それぞれ考えることが多かったのではないでしょうか。もちろん私たちが関与する不動産業界も大きな影響を受け、改めて不動産のもつ特性について整理できた一年でもありました。

 昨年のコラムで何度となく取り上げましたが、不動産賃貸業は社会経済の影響を受けるものの、他の事業と比較して大きな影響を受けない安定した事業といえるでしょう。もちろん、経済状況や利用用途によって、賃料が減少したり、空室になったり、滞納などによって収入が減少することはありますし、反対に賃料が上昇することもありますが、その下落幅、上昇幅は限定的です。入居者(テナント)を確保している限り、賃料がゼロになることもありませんが、反対に2倍、3倍になることもありません。他の事業と比較して安定した事業とはいいながらも、当然、事業が破綻するリスクはあります。その原因のすべては借入金といっても過言ではありません。一般的な事業では借入金は事業のスピードを加速するための手段として設備投資や運転資金に用います。それによって収益を何倍に増やすことも可能となります。不動産賃貸事業も借入金によって設備投資をしますが、そこから得られる収益は予測可能であり、限定的です。したがいまして賃貸事業における過度な借入金は経営に大きな影響を与え、特に不況期の賃料減少や空室などに耐えられなくなり、当然、破綻のリスクが高くなります。

 しかし、「相続対策」という名の下では、若干ニュアンスが異なるようです。借入金は相続対策になる、したがって借入金を活用し、不動産を購入する、賃貸建物を建てる、それによって節税できるという理解をしている人がまだまだ多いようです。借入金はあくまで借入金であり、それによって節税になることはありません。相続対策のキホンのキでお話ししましたが、不動産を活用した相続対策(評価の引き下げ対策)は現金が土地や建物に代わることによって相続税上の評価方法が変わり、その不動産の評価と時価との乖離によって相続税が減少することです。借入金は相続財産から債務控除の対象となる、つまり財産から差し引くことができますので、それをもって節税になったと勘違いする人もいるようですが、プラスの財産からマイナスの財産を差し引いた正味資産に対して相続税を課するのは当然のことであり、決して特別に認められた手法ではありませんし、対策などと呼べるものではありません。別の言い方をしますと相続対策と称して1億円借り入れました。しかし、かたや1億円の現金がありますので、相続税評価上はプラスマイナスゼロです。したがいまして現金で賃貸建物を建築しても借入金で建築しても相続税評価上は何も変わらないことがわかります。相続対策、賃貸経営のキホンのキです。

コロナ禍によって賃貸オーナーの多くはテナント賃料の減免や猶予に応じて応援しています。かたや応援したくとも借入金の負担によって応援できない賃貸オーナーもいます。
それぞれが、それぞれの立場でできることをやり、一日も早く不安が拭えるような日がくるよう、そして、みなさまにとって良い一年になるよう心よりお祈り申し上げ年頭のコラムとさせていただきます。





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