不動産を活用した3つの相続対策のうち、前回まで「評価の引き下げ対策」「財産の移転対策」についてお話いたしました。いずれも財産の評価を下げたり、財産を減らしたりして税金を少なくしようという対策でした。しかし、財産の規模によっては、いくらか税金を減らすことはできたとしても、ゼロにすることはなかなか難しいのも現実です。今回は、税金を納めなければならない場合に備えた「納税財源の確保対策」についてお話いたします。

不動産を活用した納税財源の確保対策とは、万一相続が発生した場合の相続税を支払う財源をあらかじめ確保しておくという対策です。特に相続財産の大半が不動産であり、相続財産または相続人固有の財産に、納税に充てるための現金預金などの流動性資産が少ない場合は、いざという時に納税に苦慮しないよう売却用不動産または物納用不動産を確保しておく事が重要です。

不動産による納税財源の確保とは、複数ある不動産を、必要性、資産性、収益性、思い入れなどの観点から優先順位付けをし、優先順位の低いものは、相続が発生した時に、売却や物納によって納税用に手放す不動産として位置づけること、そしてその不動産がいざという時にスムーズに売却、物納しやすいように整備、準備をするということです。

また、いざという時の売却に備え、納税用不動産には建物を建築せずに、駐車場などのように制約の少ない利用をすることも考えなければいけません。

具体的な整備方法は売却か物納かによって若干異なりますが、共通して言えること、準備すべきことは土地の境界を確定し、財産の範囲を特定することです。その土地に接しているすべての土地所有者と土地境界について立ち会った上で、境界の認識について確認し、後日トラブルの無いよう、杭や鋲、プレートなどで境界の標示をし、更に境界点について互いに異議がないということを書面に残します。道路については行政などの道路管理者と立ち会った上で同じ作業をすることになります。これらの作業は、売却する際に、隣接する土地所有者との境界について争いはなく、土地の面積は確定しているということを示すために重要な作業です。仮に隣接土地所有者と境界について争いがある場合などは、土地の範囲が特定できず、また、境界以外でも紛争の可能性が想像されるため、売却は困難を要し、売却できたとしても相場より相当低い価格になることは必然です。また、境界の争いがなかったとしても、隣接土地の所有者が複数人いる場合や、相続による名義変更などをせず、所有者が特定できないなど、境界確定まで相当の時間を要する場合もありますので、いざという時にスムーズに適正価格で売却するためには、早め早めの準備が必要となります。

また、納税財源として見込んでいる不動産が、いざというときにどれくらいの値段で売却できるのかも把握しておきたいところです。



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