所有者不明により管理や活用の妨げになる土地の発生を抑制するための関連法が4月に成立しました。所有者不明土地の主な原因は、その土地が不要であるということです。不要であるがために、管理責任を伴う所有者であることを明確にする為の手続きをとるという意識が希薄になるのはある意味当然の流れといえます。このようなことから、これまで任意だった相続登記や住所変更した場合の登記を義務化し、所有者を明確にするとともに、相続した土地が不要な場合は一定の条件のもと国が引き取るという「相続土地国庫帰属制度」が創設されました。

相続土地国庫帰属制度では、国庫に帰属させるための主な物理的要件として、建物が建っていないこと、地中埋設物、土壌汚染がないこと、担保権や使用収益するための権利が設定されていないこと、境界が明確なこと、権利の帰属について争いのない土地であることがあげられています。このような事から、巷では制度はできたものの国に引き取ってもらうためのハードルが高いのではないかと言われております。しかしよくよく考えてみれば、特に難しい要件ではなく、通常の不動産売買においてはごく一般的な取引条件とされるものです。

相続土地国庫帰属制度はこれからの新たな制度ですが、同じように国に土地を引き取ってもらう制度として、相続税の物納制度があります。これは従来から存在する制度ですが、国に引き取ってもらうための基本的な物理的要件は相続土地国庫帰属法と同じです。

しかも、相続土地国庫帰属制度では、前述の物理的要件を満たしたうえで、10年分の管理費用相当額を納付する必要がありますが、相続税の物納制度では、その土地の相続税評価額を税金に充当する金銭とみなして国が引き取る制度ですので不要な土地を金銭に替えてくれる、要するに国が買い取ってくれるのと同じ効果があります。

ただし、物納制度を利用するには、相続税の金銭納付が困難であり、延納によっても納められないことが大前提となっております。したがいまして一定の財産規模を相続し、相続税を納付しなければならない人は、相続税の物納制度を活用することによって不要な土地を国に引き取ってもらうかどうかの検討をしてみてはいかがでしょうか。

いずれにしましても不要な土地は、将来の売却、相続税の物納制度、国庫帰属制度の利用によって円滑に手放すことができるよう、事前の計画、準備が必要になってきます。

不要な土地、特に遠隔地の土地については管理に要する費用がかからなくとも所有しているだけで精神的な負担となります。その負担を次世代に引き継がないためにも所有者が元気なうちに積極的な解決が望まれるところです。





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