賃貸経営における収入は当然ながら「賃料」です。しかし、「賃料」とは別に「共益費」「管理費」などの名目を受領しているケースも多く見受けられます。

「共益費、管理費」とは、建物の共用部分を維持管理するための実費です。例えば共用部分の清掃費、水道、光熱費などがこれに該当します。しかし、複数のテナント(入居者)が入る賃貸物件では、管理費、共益費がテナントによってまちまちなケースも見受けられますし、入居時期によっては管理費を取らずに賃料に含めたりしていることも珍しくありません。テナントの入居時期によって賃料の額、単価がまちまちな事はよくあることですが、維持管理する上での実費であるはずの管理費、共益費が部屋ごと、フロアごとでバラバラなのはあまり気持ちのいいものではありません。

管理費、共益費を本来の主旨に照らすならば、月々、あるいは半年や一年に管理費明細を明らかにしてテナントから実費のみを請求するのが本来の姿だとおもいますし、仮に暫定的に管理費、共益費を徴収したとしても一年に一度、実費との差額を精算するということがあるべき姿だと思いますが、現実は管理費、共益費をそのように開示して精算することは殆どありません。

賃貸オーナーは、管理費、共益費をテナントから受領するしないにかかわらず、共用部分の水道光熱費など、ビルを維持するための実費を支払います。これは要するに、賃貸オーナーにとって管理費、共益費は受領名目にかかわらず賃料の一部であり、テナントにとっても賃料の一部なのです。よくよく考えると、それを賃料と共益費に分けることの意味がほとんどありません。あえて言うなら、賃料と共益費を分けることによって、賃料をベースに計算する敷金、保証金、礼金、仲介手数料などの金額は変わるということでしょうか。これも単に見せ方と計算の問題です。

このようなことから管理費、共益費とは、その名目の割に、オーナー、テナントにとって実は非常に曖昧な費用であり、場合によっては無用な説明、誤解を生む材料にもなりかねません。無用な疑義を生じさせないために、受け取るものは、実態に合わせてすべて「賃料」とする検討も必要です。

 一時期話題になった更新料の有効、無効の問題についても、本質は「意味不明」「説明不能」な金銭であることが問題の発端です。管理費、共益費についても同様、場合によっては実費を開示し、清算してくれ、返還してくれ、などという争いに巻き込まれるのも余計な時間と費用がかかるだけです。

一部の法律専門家が主導、扇動した「更新料無効、返還訴訟」に次いで「管理費、共益費の返還」というのは考えすぎかもしれませんが、何事も、突っ込まれないように武装するにこしたことはありません。とはいいながら、まずはテナントとの信頼関係が基本ですね。




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