6月下旬に「タワマン節税防止!タワマン相続に税の網!」と、センセーショナルな記事が新聞紙面をにぎわせました。不動産を活用した過度な相続税の節税対策を一定程度防止するという国の方針が示されたかたちです。

相続税を計算する上での評価額は基本的には時価が望ましいのですが、不動産の場合はその特性から時価の把握が難しいため、土地は路線価、建物は固定資産税評価額で評価してよいという物差しを国が示しています。しかも相続税評価額が時価を上回ってしまうと納税者に不利益を与えてしまうため、路線価は時価の目安である公示価格の8割を基準としています。このようなことから、相続税対策の王道として現金で保有するより不動産のほうが時価と相続税評価額の乖離が生まれるため有利である。と何十年も前からいわれてきた相続対策のキホンのキです。その時価と相続税評価額との乖離が大きければ大きいほど節税効果が高くなりますが、その代表がいわゆるタワマンです。タワマンはその特性から資産性が高く、都心部では取引価格1億円を超える物件が多くを占めます。しかし相続税評価の上では特に土地の持ち分が少ないため、時価に比べて低く評価されます。国税庁の調査ではタワマンの相続税評価額は概ね実勢価格の4割前後とのことです。これでは不公平だ、けしからん、ということで今回はこの水準を実勢価格の6割に引き上げるとの事です。

さて、新聞紙面ではこれを、増税だ、不動産取引が鈍化、不動産価格に影響、不動産会社の株価が下落、などと騒いでいますが、これはどうみても増税などではなく、節税効果(相続税の評価の引き下げ効果)が少なくなっただけで、依然として節税効果が高いことに何ら変わりはありません。1億円の現金で時価1億円のタワマンを購入することによって相続税評価上は6,000万円と4,000万円もの評価が引き下げられるのですから、これほど大きな評価減効果を得られるのは不動産(タワマン)をおいて他にありません。しかも国が堂々と実勢価格の6割と宣言していますのでタワマンを活用した相続対策にお墨付きを与えたともいえるでしょう。また、実勢価格の6割とするために、まずは実勢価格の算定ルールを作るとの事ですが、その基準となる実勢価格の算定にしても取引時価を上回るようなルールを作るわけにもいかず、保守的な評価にならざるを得ないと想定されますので、実際の運用では取引時価の5割前後の評価になっても不自然ではないと考えます。

このような事からマンションデベロッパーは、取引が停滞するどころか相続税の節税という錦の御旗を掲げて堂々とタワマンを販売することができるでしょう。

さて、今回はタワマンにメスを入れたとのことですが、昨年の最高裁判決で相続税評価額が否認された1棟収益マンションの評価については何も指針が示されませんでした。

何度もいいますが、やはり相続税対策の王道は不動産の購入であることに変わりはありません。なんだかんだ言って経済活性化のために国は不動産を買ってほしいのでしょうね。


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