令和8年度の税制改正によって賃貸用不動産と不動産小口化商品の相続税評価方法が変更される予定であることが不動産、相続の業界内で話題となっております。要するに時価と相続税評価額の乖離が著しく大きい賃貸用不動産や小口化商品については課税の公平性の観点から基本的には、従来の路線価評価や固定資産税評価ではなく時価評価してくださいという国からのお達しです。国の言わんとすることはよく理解できます。特に不動産の価格が上昇し始めたここ数年は、賃貸用不動産をはじめ、タワーマンションやら不動産小口化商品やら、相続税対策ということを前面に押し出した商品設定、価格設定、営業文句がメディアに踊っていました。小口化商品を含む賃貸用不動産は、賃料収入を得るということが本来の目的です。しかし、ここ数年は時価と相続税評価の乖離を利用した相続税対策を前面に押し出し、大きな節税効果が得られさえすれば収益は重要視しなくても良いともとらえかねないような価格、利回り設定のものが多く見受けられるようになりました。穿った見方をすれば、相続対策を錦の御旗に掲げた賃貸用不動産を割高に売るための手法とも言えます。
 このような昨今の不動産取引事情が国にとってみれば目に余ったのでしょう。

 
 これらの背景をふまえた上で、相続対策としての販売が難しくなった不動産小口化商品について考えてみますと、そもそも利回りが低く、割高な価格設定であることに加えて、流動性、すなわち換金性が乏しいものを購入する意味があるのか大きな疑問です。不動産を小口化した商品の代表的なものに証券取引所に上場している
REITがありますが、これは賃料収入を裏付けにした証券ですので比較的配当も高く、何よりいつでも市場で売却できるという大きな利点があります。また、REIT以外の金融商品でも債券などは、価格や配当も安定しているという特徴があります。対して不動産小口化商品の最大の難点はいつでも好きな時に換金できない、換金先があったとしても限られており、REITや債券、株式はおろか、土地建物やマンションなどに比べても極めて流動性が低いということです。この難点を、相続税評価が引き下げられるという1点で販売してきたと言っても過言ではないでしょう。不動産価格が上昇している現在はこの点もさほど大きな問題にならないかもしれませんが、混迷の世界経済情勢の影響などで不動産市場が崩れたりして不動産価格が下落基調になると、簡単に売買できないという不動産小口化商品の問題は顕在化するでしょう。

 そもそも不動産の共有は、のちに問題になるのでの避けた方が良い、という相続の専門家が、小口化といういわば第三者同士の不動産の共有ともいえる不動産小口化商品を相続対策として進めるという矛盾がよく理解できません。

 いずれにしましても「みんなでお金を出し合って収益を分配しよう」という商品は、いつの時代もろくな結末を迎えないという印象ですね。



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