ピンクサイドを歩け

ピンク映画やストリップ・レビュー等、R-18系の文章を書いて行きます。

2018.9.16 池袋ミカド劇場

今年、僕がストリップを見たのはこれが43回目。開場と同時に入って三回目の桃歌まで見た。この劇場としては実に珍しいことだが、進行は三回とも通常だった。

当日の香盤は、以下の通り。

1 かすみ玲
2 桃歌
3 水原メノ
4 松本なな
5 宮野ゆかな
6 水咲カレン

一回目

1 かすみ玲
(7.8生,2006.4.21Debut,フリー)
青い花の髪飾り、青と赤のトップ、ウエスト部分に赤いリボンのベルトがついた花飾り付きの白いロングスカート、黒いショートブーツ、ブーケを手にゆったり踊る一曲目。紺色と赤のトップ、ベージュの模様が入った黒い布の巻きスカートにチェンジすると、ロックンロールなノリで踊る二曲目。
黒いTバックで挑発的に踊ると、トップレス姿で椅子に腰かけるベッド入り。黒いベッド着にハイヒールで盆に出ると、アンニュイな色っぽさではだけるベッド中。ゆっくり大きなポーズを決める立ち上がり。
オーソドックスに淡々と進むステージで、もう少し踊りにアクセントが欲しいところである。

2 桃歌(2018.4.11Debut,道頓堀劇場)
演目は「ピンクママレードボーイ」で、前回僕が見たのは8中の渋谷道頓堀劇場である。
よく似合うボーイッシュな繋ぎの作業服姿で、テンポよく芝居がかったダンスを踊る一曲目。ハート形の大きなフレームのファンキーなサングラスにビキニで、リゾートムードのリラックスしたスローなダンスの二曲目。
ちょっとシリアスな表情を浮かべて、力みのないリラックスした動きの中に感傷をたたえたベッド入り。盆でゆっくり脱衣すると、キュートな表情を浮かべてすっと伸びていくポーズが美しい立ち上がり。
どこかPV的なイメージでヴィジュアル構築されたステージ、独特のタイム感と個性的な動きで踊るいい意味でユニークなオリジナリティを持った踊り子だと思う。

3 水原メノ(1981.2.27生,2001.11.11Debut,TSミュージック)
赤と黒の花飾り、銀色の飾りを施した白黒の着物、出した片肌から覗く赤い襦袢、赤と白の帯、黒いストレッチブーツ、白い羽根扇を繰ってクール&スタイリッシュに踊る一曲目。脱衣して赤襦袢になると、リリシズムあふれる舞いを見せる二曲目。
黒いシュッシュのツインテール、ホワイト・ストライプのワイシャツ、黒いTバックにチェンジするベッド入り。盆でシンプルにポーズを決める立ち上がり。
キュートさと引き締まったカッコよさのコントラストが鮮やかな、いいステージだった。

4 松本なな(2.12生,2016.1.14Debut,東洋ショー劇場)
シルバーのカチューシャ、シルバー・スパンコールのジャケットの下に紫のセパレート、黒い手袋、素足、キレのあるアップテンポのダンスに引き込まれる一曲目。ジャケットを脱ぐと、アイドル的な振付で踊る二曲目。
焦らすように脱衣すると、黒いパナマ帽、白いワイシャツ、黒いTバックで盆に出るベッド入り。かぶり客に帽子をかぶせると、スウィートなバラードで愛らしいポーズを決める立ち上がり。
やや懐かしいムードでまとめた作品。メリハリをつけたリズミカルなダンスが好印象である。

5 宮野ゆかな(1988.3.2生,2009.12.11Debut,TSミュージック)
8結の渋谷道頓堀劇場三回目にも出していた演目。
黒と白の髪飾り、赤と黒のタータンチェックのタンクトップに黒赤フリルの巻きスカートとグリーン・スパンコールのショーパン、黒いショートブーツでクールに踊る一曲目。斜に被った黒いハンチング帽、ブルーデニムのジージャンというストリート系ファッションで挑発するように踊り、スカートを外す二曲目。
悩ましい腰つきで煽ってから、一度袖にはけると黒でそろえたレースのベッド着、Tバック、ハイヒール、手には黒い櫛を持ってステージに戻るベッド入り。はだけると、妖艶なグラマラスさに圧倒されるベッド中。シャープに展開してポーズを切る立ち上がり。
この人のダイナマイトボディが存分に堪能できるステージでだった。

6 水咲カレン(1984.12.19生,2005.10.1Debut,TSミュージック)
黒と赤の花飾り、黒いシュシュで束ねた髪、裾の長い赤のノースリーブ・ドレス、黒い手袋、銀色のハイヒールでシックに踊る一曲目。髪飾りをとって髪を下ろし、脱衣していったんはけると、銀色の花柄をあしらった黒いシースルーのベッド着、ピンクの帯、その下にはゴールドのセパレート、銀色のハイヒールでステージに戻る二曲目は、ダンスにぎこちなさを感じる。
アップにまとめた髪、赤い花柄の青い襦袢、素足から脱衣して髪を解き、盆に出る官能的なベッド入り。煽情的なオナベを披露して、ポーズを決める立ち上がり。
迫力ある肉感的なボディを前面に出した見応え十分のステージである。

二回目

1 かすみ玲

黒と赤の髪飾り、水色のショール、紺色と銀色のトップとベルト、紺色のロングスカート、青いアームカバー、銀色のハイヒール、アラビックなダンスを踊る一曲目。ショールを外し、腰をグラインドさせて踊る二曲目。スカートを脱ぎ、黒いTバック姿になると、ブラを外して袖にはける三曲目。
バイオレットと黒のベッド着、白いレースのTバック、黒いハイヒールで盆に出るベッド入り。はだけて、エキゾチックなムードで艶やかに見せるベッド中。滑らかな動きからポーズを切る立ち上がり。
この人の長身がよく映えるエスニックなテイストで固めたステージだった。

2 桃歌
新作「七色発光猪物語(仮)」。
白いベールに白いドレス、銀色のハイヒール、跪いて祈りを捧げるポーズからゆっくりと立ち上がり、ベールを上げてスローモーションを見ているようなゆっくりした動きで踊る不思議なムードの一曲目。ベールをとり、紫の花飾りをつけ、衣装を着崩して紫のブラを覗かせて、揺らめくように踊り紫のTバック姿になる二曲目。
フードのついたパステルカラーのベッド着、素足、表情が見えないようにフードを深くかぶり、浮遊感のあるちょっとアヴァンギャルドなテイストで踊ってから、顔を出すベッド入り。エスニック・ミュージックをバックに柔らかな表情で盆に出ると、脱衣して滑らかに踊りポーズを決める立ち上がり。
実にユニークで個性を持った人だと思う。この新作も、独特の世界観を見せてくれた。やっぱり、気になる踊り子である。

3 水原メノ
2頭のシアター上野二回目にも出していた演目。
黒いハット、クリームブラウンのトレンチコート、白いワイシャツの胸元に細いリボンをかけ、その下は黒いキャミソール、黒いパンストに黒いハイヒール、男装をしてダンディにカッコよく踊る一曲目。帽子とコートを脱ぎ、椅子に腰かけるとワイシャツのボタンをはずしてメランコリックに踊るセクシーな二曲目。
黒いキャミソール、パンスト、ハイヒールで感傷的に踊ると、再び帽子を被って哀愁を漂わせる芝居がかったベッド入り。はだけて盆に出ると、センチメンタルにポーズを切ってから盆を降り椅子に腰かけて終演する立ち上がり。
スタイリッシュなダンスと細やかな感情表現のベッド。細部まで神経が行き届いた、素晴らしいステージだった。

4 松本なな
シルバー・ブルーのショートウィッグにシルバーのカチューシャ、シルバーのセパレートに手袋、白いロングブーツというレトロフューチャーなコスチュームで、アンドロイドのようにダンスする一曲目。ピンクのリボンがついたゴールドのセパレートにチェンジすると、テクノポップに踊る二曲目。
バイオレットのベッド着、白いレースのTバック、素足で明るく踊るベッド入り。盆に出て脱衣すると、感傷的に踊るベッド中。シンプルにポーズする立ち上がり。
アップテンポなダンスとしっとりしたベッドという、ストレートなこの人らしいステージだった。

5 宮野ゆかな
去年1頭の渋谷道頓堀劇場二回目にも出していた演目。
白い髪飾り、白と黒のフリルがついた青いドレス、黒いパンプス、表情を消してスムーズにダンスする一曲目。目深にかぶった黒いハット、黒いストライプのスーツ、開いた真紅のワイシャツの胸元にはモノトーンのブラ、クールでスタイリッシュに踊る二曲目。
真紅のワイシャツから覗くトップレスの豊かな胸、黒い網タイツ、Tバック、ハイヒールにチェンジするベッド入り。盆に出てグラマラスに見せるベッド中。シンプルで開放的なポーズを決める立ち上がり。
豊満なダイナマイトボディを最大限魅力的にアピールできるよう計算され尽くした圧倒的エロさのステージだった。

6 水咲カレン
赤と金色の髪飾り、白いシュシュで束ねた髪、黒いメッシュ地のトップ、黒と赤のロングスカート、素足、タンバリンを手にしてエスニックに踊る一曲目。タンバリンを置くと、スカートの裾を翻して踊ってから、ベリーダンス的な動きを披露する二曲目。金銀のきらびやかなブラとロングスカート、素足で揺らめくように踊り、トップレスになる三曲目。
赤と黒の大きな布を身にまとい、黒いTバック、金色のローヒールで踊るベッド入りは、布の使い方がとても効果的。濃厚なエロティシズム漂う圧巻のベッド中。浄化されるような清廉なポーズを切る立ち上がり。
ダンス・パートに物足りなさはあるものの、ベッドの充実ぶりは特筆に値するステージだった。

三回目

1 かすみ玲
2 桃歌は一回目と同演目

9中のミカドには、このところ気になる存在だった桃歌のステージを見たくて足を運んだ。
彼女のパフォーマンスには、「何ものにも囚われない自由な感性から生み出される肉体表現」があるように思う。これから、どんな踊り子になって行くのかとても楽しみである。
あと、エロさという意味では宮野ゆかなと水咲カレンは、正真正銘ダブル・ダイナマイトだと思う。

2018.9.15 シアター上野

今年、僕がストリップを見たのはこれが42回目。開演40分前に入って、三回目の北川れんまで見た。進行は各回とも通常だった。

当日の香盤は、以下の通り。

1 左野しおん
2 相田樹音
3 北川れん
4 KAERA
5 時咲さくら

一回目

1 左野しおん
(1993.4.21生,2015.11.11Debut,ニュー道後ミュージック)
ポニーテール、黒いタンクトップ、シルバーがアクセントになった濃紺のオーバーオール、青いスニーカー、彼女らしいアッパーでハッピーなダンスの一曲目。髪を下ろし、青と白のブラ、黄・水色・白のスカート、素足、滑らかな動きで踊る開放的な二曲目。
ゆっくりした動作で流れるようにはだけ、カラフルな柄の付いた青いTバックで盆に出て踊るベッド入りは、回転盆で見たいところである。力強くダイナミックにポーズを決める立ち上がり。
彼女の魅力の一つである前向きな明るさに満ちたステージだった。

2 相田樹音(1973.1.23生,5.1Debut,フリー)
小麦色に焼けた肌、水着の跡、赤い髪飾り、サーモンピンクのセパレート、青と黒のブラ、ゴールドのヒップアクセサリー、薄い水色の布を効果的に使い、見事な腰のバイブレーションでベリーダンスを披露する一曲目。スピード感あふれるスケールの大きな荒々しいダンスを踊る二曲目。
白いレースの髪飾りとベッド着、素足、水色の布を手にしてドラマチックに踊るベッド入り。引き締まったソリッドなポーズを切る立ち上がり。
ダンサースキルのショーケースを見るようなさすがのステージだった。

3 北川れん(12.15生,2011.3.1Debut,道頓堀劇場)
演目は「Enargy」で、前回僕が見たのは8頭のDX歌舞伎町である。今回は、衣装がマイナーチェンジされていた。
白い髪飾り、重ね着した白いドレス、素足、アップテンポの曲に合わせてクールな表情で颯爽と踊るスタイリッシュな一曲目。重ね着していた服を一枚脱ぎ、白いストライプのノースリーブ・ドレス、胸には白いカップ、白い髪飾り、素足、パワフルさと繊細さを兼ね備えた凛々しいダンスの二曲目。
カップを外して胸を露出すると、流麗でエレガントに踊り盆に出る美しいベッド入りは、表情も魅力的。はだけて透明感のある静謐な踊りのベッド中。シュッと伸び上がるシャープなポーズを切る立ち上がり。
手狭なステージ空間をしっかり計算して、一切スケールダウンを感じさせないフレッシュなパフォーマンスに引き込まれてしまった。

4 KAERA(9.8生,2005.6.11Debut,TSミュージック)
黄色い帽子に黄色いオフショルダーのロングドレス、黒いローヒールで淡々と踊る一曲目。帽子をとると髪には黄色いリボン、スカートの裾を翻して踊る二曲目。ラテン系トロピカルなノースリーブ・ドレスにチェンジして、いつもの無表情でスウィングする三曲目。
スピーディに脱衣して、黒いTバック姿になるベッド入り。黄色いリボン、モノトーンのベッド着に黒いベルト、黒いTバックでダンサブルに踊り、はだけるベッド中。細やかな動作で踊り、素っ気ない表情でポーズする立ち上がり。
今ひとつダンスがスウィングし切れておらず、躍動感不足なのが残念だった。

5 時咲さくら(12.15生,2011.3.1Debut,道頓堀劇場)
演目は新作「はじまり」。
セパレートになった白い羽織と袴、白足袋、緑の枝を手に持って厳かに見せる一曲目。緊張感漂う神妙な舞いの二曲目。
次第に高揚していく祝祭的な舞いから、白いチューブトップ姿にチェンジするベッド入り。トップレスに白い腰巻、白足袋姿になるベッド中。穏やかな表情で、すべてを浄化するように踊る立ち上がり。
まるで、奉納の舞いを見ているような神事的な印象のステージ。相当な集中力を要するであろうこの演目を、この劇場で出してくることも含めて感心しきりである。

二回目

1 左野しおん

演目は「ワイルドライフ」で、前回僕が見たのは去年10頭のシアター上野である。
盆からスタート。ちょっと尖った異形のフレンチ・ロリータなムードで、白いバラ一輪が入ったケージを慈しむように扱ってから、盆を降りて踊る一曲目。まるで操られているかのように、アンドロイド的な動きで踊る二曲目。
可憐な表情でしっとり踊ると、盆に出て感傷的に見せるベッド入り。ケージの取っ手を使い、性的高揚を喚起させる仕草を見せる挑発的なベッド中。リリカルでブライトなポーズを切る立ち上がり。
詩情あふれる耽美的でシアトリカルなステージ。表情の豊かさも、実に魅力的だった。

2 相田樹音
演目は「アバ」。
青と白の髪飾り、背中が広く開いた青と白のセクシーなドレス、素足で華やかに踊る一曲目。若草色の髪飾りとノースリーブ・ドレスで、ポップに踊る二曲目。
白い髪飾り、薄紫色のフリルがついた白とピンクのベッド着、素足でリズミカルに踊るベッド入り。はだけて、自ら回転してセンチメンタルに踊るベッド中。大きくポーズを切る立ち上がり。
ややレトロな雰囲気のショーを見ているような、懐かしい気分になるステージだった。

3 北川れん
演目は「キャバレー」で、前回僕が見たのは5結の渋谷道頓堀劇場である。
白い羽根扇の扱いも巧みに、妖艶なムードで滑らかに踊る一曲目。キュートな遊び心が楽しい二曲目。
ムーディーでコケティッシュに見せるベッド入り。絶妙な焦らし具合からしっとり踊るベッド中。やや挑発的な表情で、スタイリッシュにポーズを切る立ち上がり。
表情の作り方、ファッショナブルさ、ユーモア、エロティシズムとすべてがそろったほとんどパーフェクトの素晴らしいステージ。しかも、上野の猥雑なムードにピタリとはまったパフォーマンスが見事である。

4 KAERAは同演目だったが、二曲目でラテン系のトロピカルな衣装にチェンジして光るバトンを扱うなど、マイナーチェンジされていた。

5 時咲さくら
演目は「情念無念」で、前回僕が見たのは2016年10結の池袋ミカド劇場である
黒と赤の派手な髪飾り、朱色の花柄を施した白い着物、朱色と白の帯、白足袋でしっとり舞う一曲目。ゆっくりと帯を解き、色っぽい視線を客席に投げて袖にはける二曲目。
朱色の襦袢、ピンクの帯、白足袋、ピンと張りつめたような静けさの中で着崩すと、盆で深みのある踊りを見せるベッド入り。はだけてエモーショナルに見せる立ち上がり。
緻密な構成で見せるまったく隙の無い素晴らしステージだった。

三回目

2 相田樹音

白と青の髪飾り、シルバーがアクセントになった白い着物風衣装に白い帯、素足で颯爽と踊る一曲目。白いパナマ帽、パイナップル柄の白いタンクトップにロングパンツ、素足、ダンディにキレキレの踊りを披露する二曲目。
白と青の髪飾り、白いベッド着、素足で情熱的に踊るベッド入り。何回もスピンしてから盆に出てはだけるベッド中。ダイナミックなポーズの立ち上がり。
スピード感抜群のソリッドでフィジカルなステージだった。

1 左野しおん3 北川れんは一回目と同演目

9中の上野は、バラエティに富んだ香盤。
中でも、北川れんの好調なステージと、シアター上野を別の空間のように見せてしまう時咲きさくらのステージが強く印象に残った。

臼坂礼次郎『でんきくらげ 可愛い悪魔』

『でんきくらげ 可愛い悪魔』(英題『The Good Little Bad Girl』)
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監督:臼坂礼次郎/企画:関幸輔/脚本:白坂依志夫、安本莞二/撮影:上原明/美術:間野重雄/照明:久保江平八/音楽:八木正生/挿入歌:「可愛い悪魔」歌:渥美マリ、作詞:橋本淳、作曲:筒美京平(大映レコード)/編集:糸井敬男/録音:飛田喜美雄/助監督:山本洋/衣裳協力:安斉慶子ファッション コア/製作主任:井上信彦/現像:東京現像所/スチール:塩見敏彦
製作:大映東京撮影所/提供:ダイニチ映配
公開:1970年8月23日/カラー83分/ワイドサイズ/モノラル

こんな物語である。ネタバレするので、お読みになる方は留意されたい。

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19歳の石川ゆみ(渥美マリ)は、信州から長距離トラックをヒッチハイクして東京に向かった。何する当てもなかったが、東京には出版社で編集をやっている姉の伸子(笠原玲子)がいる。石川姉妹には両親がなく、ゆみはおじの家で厄介になっていたのだが、ボーイフレンドと付き合っただけで“ズべ公”扱いされ、田舎暮らしに辟易して伸子のアパートに転がり込んだのだった。
ゆみの奔放さに呆れながらも、たった二人の姉妹なので伸子は妹を自分のアパートに迎い入れてやった。お陰で、伸子は恋人で証券マンの谷沢征一(森矢雄二)とはラブホテルで愛を交わさざるを得なかった。

ゆみが世話になってばかりはいられないと言うので、伸子は手に職をつけた方がいいとアドバイスした。学費は出すから美容師の専門学校に行ったらどうかと勧められたゆみだったが、「一生、人の頭をいじる暮らしなんて耐えられない」と姉に何の相談もせず入学をやめてしまう。
おまけに、街中でたまたまやっていたミュージカルのオーディションが面白そうだと、ゆみは何の経験もないのに受けに行った。当然、結果は不合格だったが、同じ不合格組でフォトモデルをやっているという久子(甲斐弘子)とアングラ劇団の役者清水五郎(金子研三)と意気投合。憂さ晴らしをしようと、三人は久子が行きつけのゴーゴー・クラブに踊りに行った。
そのクラブで、いい稼ぎになるからモデルをやらないかと久子からカメラマンだという小泉(草野大悟)を紹介された。ところが、小泉が撮る写真というのは墓地で久子とレズっているヌード写真や鎖で繋がれて鞭打たれるSMといったもので、それをゆみに何の断りもなく小泉はエロ雑誌に掲載してしまった。この二人がグルで、ブルー・フィルムの撮影までしているという。
激怒したゆみは、この二人との縁を切った。

やることもなく、伸子のアパートでゆみが退屈していると、そこに谷沢がやって来る。伸子の様子をうかがう振りをして谷沢はゆみのことを拝みに来たのだが、そんなことはゆみも先刻承知だった。
海に行きたいが水着がないと暗にねだるゆみの言葉に、「俺が買ってやるよ」と言って、谷沢はゆみを連れて海までドライブに出かけた。誰もいない波打ち際で戯れているうちに、開放的になったゆみは谷沢に言い寄られて何の抵抗もなく体を許す。
ところが、ゆみと谷沢が一緒にアパートから出て行くところを目撃した同じアパートの女性(一条淳子)がそのことを伸子に告げ口したため、谷沢との結婚まで考えていた伸子は激高してゆみをアパートから追い出した。

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行き場を失ったゆみは、「ここでバイトしてるから」と五郎に教えられたスナックを訪れた。もちろん、五郎は大歓迎だ。結局、その夜ゆみは五郎のアパートで一夜を過ごした。ゆみは、五郎が所属するアングラ劇団の公演にも参加してみる。バカ騒ぎしているようで楽しいは楽しいが、それが金になる訳でもなく食べるものにも事欠く始末。
空腹を抱えて食堂のショーケースを見ていたゆみに、声をかけてきた者がいた。利恵(猪股光世)という女性で、彼女は食堂で奢ってくれた。利恵は、女性施術師のばかりを集めた北川マッサージで働いており、ゆみもそこで働くことになった。
利恵は北川マッサージの稼ぎ頭だったが、歌手の黒崎謙二(平泉征)に入れ上げており稼いだ金を彼に貢いでいた。利恵に連れられてゆみもスナックのステージで歌っている黒崎を見に行ったが、歌好きの彼女は自分も歌いたくなり、黒崎に頼んで飛び入りで「可愛い悪魔」を歌って利恵を呆れさせた。

男のスケベ心を利用したデリバリー店の北川マッサージだが、抜群のプロポーションとお色気で、ゆみはたちまち人気マッサージ嬢となった。北川マッサージの女将(村田扶実子)も、売り上げ倍増でホクホク顔だ。
またしてもご指名が入り、ゆみが指定されたホテルへ行ってみるとそこにいたのは黒崎だった。黒崎がゆみを呼んだのは、もちろんマッサージ目的ではなかった。
レコードも出している自分は業界にコネがあるから、自分と組んで歌手デビューしないかと黒崎は持ちかけつつ、ゆみの体を抱き寄せた。ゆみを抱きたいだけの見え透いた下心に腹を立てたゆみは、思い切り黒崎の股間を蹴り上げるとホテルから逃げ出した。
黒崎は、腹いせに自分はゆみから誘惑されたが恋人のお前がいるから断ったと自分の行動とは真逆のことを利恵に吹き込んだ。その言葉を真に受けた利恵は、ゆみと取っ組み合いの大喧嘩をした。この一件で居づらくなったゆみは、女将が止めるのを振り切って北川マッサージを辞めた。

マッサージで稼いだ金で、しばらくゆみは豪華なシーサイドホテルに宿泊することにした。彼女がホテルのプールで泳いでいると、自分の姿を写真に撮っている者がいた。CMカメラマンの津川洋(岩崎信忠)だった。津川は、プールサイドでCM用ポスターの撮影に来ていたが、空き時間にゆみのルックスに目が留まりシャッターを切ったのだった。
ゆみがプールサイドのテーブルにいると、ボーイが「あちらのお客様から」と言ってカクテルを運んできた。その女性(近江輝子)がゆみの元へやって来て、「兵頭興業グループ株式会社 取締役社長 兵頭貴子」と印刷された名刺を差し出した。
貴子は、女手一つで育てた箱入り息子の正男(松川勉)が極度の女性恐怖症で部屋に引きこもり絵ばかり描いていることを気に病んでいた。近い将来、自分の会社を継がせるべき息子をちゃんと結婚させるためには女性恐怖症を克服させることが肝要だと考えた貴子は、その役目をゆみに依頼してきた。

お金には困ってないからと一度は断ったゆみだったが、何者かに財布の金を盗まれていることが発覚。ホテルの宿泊代を払ってくれた貴子のために、ゆみは正男の女性恐怖症を治すのに一肌脱ぐことにした。
外界との接触を避け、当初は頑なだった正男も天真爛漫で自由奔放なゆみのペースにいつしか巻き込まれて行き、二人は愛し合うようにさえなる。しかし、あまりにも親密になった二人のことを当然よく思わない貴子は、契約は履行されたのだからと約束の報酬を支払い、ゆみに暇を出した。

またしても行き場を失ったゆみだったが、津川がモデルにならないかと声をかけてきた。前にも一度誘われて断ったゆみだったが、今回は二つ返事で引き受けた。
一流企業サン化粧品のキャンペーン・ガールとして当初予定していたモデルにキャンセルされ、頭を抱えていたシネ・モダン社のディレクター神山(仲村隆)に津川がシーサイドホテルのプールで撮影したゆみのスナップを見せたところ、神山が乗って来たので津川は再度ゆみにアタックしたのだった。
サン化粧品の専属モデルになったゆみの写真は評判を呼び、彼女は一躍人気モデルの仲間入りを果たす。

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そのゆみに、谷沢が声をかけてくる。ギャンブルで負けた穴埋めをするため顧客の金に手を付けたから、金を貸して欲しいという厚かましい頼みごとだった。今のゆみにとっては、どうってことない金だろうと谷沢は悪びれずに言った。ゆみは谷沢の本性を伸子に教え、伸子は谷沢と別れる決意をして姉妹は仲直りした。
すると、今度は小泉が以前に撮ったゆみのいかがわしい写真を持ってシネ・モダン社に押し掛けてきた。300万でネガを買い取れというのが小泉の要求だった。津川と神山は、このスキャンダルを逆手にとって逆境から這い上がってゆみが人気モデルの地位を手にしたとアピールすることを提案するが、間髪入れずにゆみは断った。

彼女は、自分一人で自由に生きることを選んで去って行くのだった。

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親に恵まれず、田舎を飛び出して大都会東京で自由奔放にたくましく生きていくヒロインというのは軟体動物シリーズの定型パターンだが、こうも短期間に量産してしまうとさすがにネタ切れというか展開が粗雑になっている印象である。
弓削太郎監督の前作『夜のいそぎんちゃく』のヒロイン浜口洋子もキャラクター像が曖昧で、場当たり的に物語が展開していく作品だったが、本作にもそれは言えるだろう。

この映画のヒロイン石川ゆみの場合は、さしたる考えもないまま成り行きに任せるだけで、次から次へと偶然の出会いが積み重なって行くという“ザ・ご都合主義”の極みのような展開を見せる。
セクシーで快楽主義的な部分が前面に出ている一方、女性的な強さがちゃんと描かれていないためヒロインとしての輝きに乏しいように感じる。そのいい加減さも含めてのプログラム・ピクチャーと言えなくもないが、かと言ってラストだけ「自分の力だけで自由に生きること」を標榜されても、カタルシスに繋がらないのである。何といっても、それまでの展開が、すべて主体性なき巻き込まれエピソードなのだから。
そんなエピソードの中でも、特にエロ写真とかアングラ芝居の描き方に尖ったものがなく、何だか明後日方向の演出が施されていて痛い。北村マッサージをめぐる一連の場面にも、それは言える。

そんな本作の見どころといえば、やはり渥美マリのグラマラスな肢体とファッションというビジュアル面である。また、実直な姉を演じる笠原玲子もなかなかに魅力的だ。
逆に言えば、この二人以外は見るべきところに乏しいというのが個人的な感想である。

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本作は、いささか精彩を欠いた軟体動物シリーズ第五作目。
大映末期ということもあり、さすがに制度疲労のようなものを感じさせる一本である。
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