ピンクサイドを歩け

ピンク映画やストリップ・レビュー等、R-18系の文章を書いて行きます。

吉行由実『股間の純真 ポロリとつながる』

2017年4月21日公開、吉行由実監督の新作『サニーサイド』(公開タイトル『股間の純真 ポロリとつながる』)。

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脚本は吉行由実、撮影は藍河兼一、編集は中野貴雄、録音は光地拓郎、助監督は江尻大、ポストプロダクションはスノビッシュ、仕上げは東映ラボ・テック、スチールは本田あきら。制作はオフィス吉行、提供はオーピー映画。


こんな物語である。ネタバレするので、お読みになる方は留意されたい。

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少年時代から道場に通い空手初段だった中原ひかる(あゆな虹恋)は、トランス・ジェンダーだった。ある時、意を決してそのことを両親に告白。今後の人生を女性として生きることを宣言したひかるだったが、理解を示してくれた父・武(竹本泰志)とは真逆で母の久美子(吉行由実)は、ひかりを拒絶。
ひかるは、家を出て一人で生きていくことにする。

夜の街を歩いていたひかるは、若い男が二人の男に殴られている現場に出くわす。正義感の強いひかるは、間に割って入ると、男二人を叩きのめした。助けられた桂木玲二(可児正光)は、女の子に助けられるなんてと言いつつもひかるに感謝した。

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ケンカで出血したひかるの手を取る玲二。ひかるは思わず手を引っ込めると、「私の手ってゴツいでしょう…」と目を伏せた。見つめ合った二人は、どちらからともなく自然に唇を合わせた。
ホテルで愛し合う二人。ところが、玲二がひかるの股間に目をやるとそこには膨らみがあった。言葉に詰まるひかるだったが、驚いたことに玲二は彼女のことを受け入れてくれた。

5年後。玲二とひかるは結婚することに。パーティーの会場は、ひかるのバイト先でゲイのマスター・ジョージ(柳東史)が経営するカフェ。祝祭ムードに包まれて、ひかるも玲二も幸せそうだった。
周りの仲間たちにも祝われつつ、二人はパーティーの準備を進める。ジョージの店の壁にも結婚パーティーのポスターが貼られ、ひかるは祝福メッセージの動画編集やSNSでのアピールにも余念がない。

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ただ、残念なことにはパーティーに親族の出席だけがない状況だった。それを玲二は気にしている。玲二は施設育ちで親の顔も知らず、一方のひかるも久美子とはほぼ絶縁状態のままだ。
理解者の武は婿養子で、彼は久美子の父親が起こした会社の社長に収まっている身ゆえ、久美子の意向に反してひかるの結婚パーティーに出席できるはずもなかった。いつかきっと分かってくれるはずと玲二は励ますが、ひかるは半ば諦めていた。

そんなある日、ひかるはSNSにメッセージをもらう。ひかるのアップ結婚パーティーの画像を見た玲二の母・藤野真紀(倖田李梨)からだった。そのことを伝えると、玲二は動揺を隠せない。
家族というものに人一倍敏感な玲二の心を知っていたひかるは、真紀と玲二を会わせようと考える。自分が男であることも告白するつもりだとジョージに言うと、彼は即座にやめた方がいいと止めた。言わなければ、ばれないんだからと。

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そして、真紀が二人の家にやって来る。二人に、玲二が生まれた時のことを話す真紀。当時14歳だった真紀は、同じ年の男の子と真剣に愛し合い子供を授かった。しかし、周囲は二人の若さと生まれた子供の将来を考えて、二人を引き離し玲二を施設に入れた。
複雑な事情から父親の名前を教えることができないと真紀は言ったが、彼女は数回だけ玲二のことを抱いて、授乳もしたのだと懐かしそうに言った。
真紀は、こっそり母親の口紅を玲二の掌に塗りたくって手形を取り、それを今でも大切に持っていた。
二人の部屋でワインを飲みながら、ひかるが焼いたケーキを食べて美味しいと目を輝かせる真紀。ナーバスになっている玲二は、言葉少なくグラスを傾けている。占い師をしている真紀が手相を見てあげると持ち掛けると、ひかるは自分の手を引っ込めて「じゃあ、玲二から」と言った。
玲二の掌を見て、「大丈夫。二人はきっとうまくいくはずだから」と優しく言う真紀。次にひかるの手を取った真紀は、ハッとした表情になる。彼女の様子に気づいたひかるが本当のことを告白すると、真紀もまるで何でもないことのようにすんなりと受け入れてくれた。

玲二に背中を押されたひかるは、思い切って実家を訪ねたもののやはり久美子から門前払いされてしまう。いつまでも頑なな久美子の態度に、怒りを露にする武。
それでなくても、武には婿養子という後ろめたさが常に付きまとっている。久美子は久美子で、大事な跡取りのために苦労してようやく生んだ一人息子が、こともあろうに女として生きることを選択したことが今でも受け入れられなかった。
夫婦の仲もすっかり冷え、今の武は社長秘書の愛子(しじみ)と関係を持っていた。

自分に対して変わらぬ優しさと愛情を注いでくれる玲二。ひかるは幸せだったが、自分と付き合うまでは、玲二の恋愛対象は当然異性だった。そのことを彼女はずっと不安に思っていることも事実だ。

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ある夜、ひかるは自分の知らない女と玲二が一緒に歩く姿を目撃してしまう。金髪のウィッグにケバい服装でフェロモンをまき散らすような女だった。
その夜、何もなかったように帰宅した玲二は、仕事で飲んできたと言った。それ以上、問い質すこともできないひかる。

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翌日、ひかるが昨夜の一件をジョージに相談していると、何とあの女が店にやって来た。おまけに、常連客でジョージが想いを寄せる健吾(樹カズ)にまとわりつくと、女はこのところ健吾の物が勃たないとのたまう始末。
もちろん、ジョージはカンカンだが「バイセクシャルだったの!?」と叫ぶ言葉に「えっ!そっち?」とひかるは呆れた。

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女の名は、恵(相澤ゆりな)。彼女は、玲二の元カノで自分から玲二のことを振っていた。にもかかわらず、今の男関係がうまくいってない彼女は、玲二にちょっかいを出そうとしていた。
相談に乗ってほしいと恵に持ちかけられて、玲二は渋々会社を抜け出した。ところが、彼女は喘息の発作が起きたとうずくまる。病院に行こうと抱きかかえる玲二に、恵は家に帰れば薬があるからと言った。寒がる恵の首に自分がしていたマフラーを巻いてやり、玲二は彼女を家まで送った。
ところが、恵は服を脱いで玲二を誘惑してきた。自分はもうすぐ結婚するんだと告げ、玲二は慌てて恵の部屋から出た。マフラーを置き忘れたまま。
帰宅した玲二がマフラーをしていないことに気づくひかる。そのことを問われて、「会社に忘れてきたかな」と言いつつも動揺を隠せない玲二。

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恵は、腹いせにひかるに会いに行くと、「この前、玲二があたしの家にこれ忘れて行ったから」と言ってマフラーを投げつけた。そして、「うまく化けたもんねぇ~」と挑発するように吐き捨てると、恵は去って行った。
ひかるは、胸が押しつぶされそうになった。彼女は、本気で性転換手術を受けようかと悩み始める。

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ひかるは、久しぶりに武を会った。武に招かれたのはマンションの一室。武は、久美子と別居しており、この部屋は愛子の部屋だった。テーブルに並んでいるのも、愛子の手料理だ。ひかるの目にも、武と愛子は深く愛し合っているように見えた。
武の携帯が鳴った。電話の主は久美子で、突然の呼び出しに嘆きつつも「愛子と食事をして行ってくれ」と言い残して武は席を外した。その言葉に甘えて、ひかるは愛子と食事を続けた。愛子に勧められてアルコールを飲み、彼女にマッサージしてもらっているうちにいつしかひかるは眠ってしまう。
ふと目を覚ましたひかるは、愛子が自分の下着を脱がせて跨ろうとしている姿に愕然とする。愛子は、ひかるの子供を妊娠して武の会社の跡取りにしようとなりふりかまわぬ行動に出たのだった。
愛子を突き飛ばすと、ひかるは部屋を飛び出した。

玲二は、部屋に置かれた性転換手術に関する本を目にして、激しく心揺さぶられた。

ひかるが夜の街を歩いていると、酔ったサラリーマン風の中年が若い女に絡んでいた。言い寄られていたのは、恵だった。ひかるは、思わず男に蹴りをお見舞いしてしまう。恵は毒づきながらも、あの日玲二と何もなかったことを白状した。誘惑したにもかからわず、相手にされなかったのだと。

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「助けなきゃよかった」と言いつつその場を去るひかるだったが、その目には安堵の色が浮かんでいた。
寒さに凍えながら、玲二は外でひかるの帰りを待っていた。「心配性なんだから」と言って玲二の手を取るひかる。

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結婚パーティーを目前に控えて、もう一度だけひかるは久美子に会いに行く。今度は、玲二も一緒だ。例によって玄関から出てこようとしない久美子。すると、インターフォンに向かって玲二が言った。
「僕はひかるさんのことを愛しています。お母さん、ひかるさんを生んでくれて本当にありがとうございます」。玲二は、深々と頭を下げた。

ひかるの携帯が着信する。久美子からだった。「お母さん、何だって?」と尋ねる玲二に、「結婚パーティー来てくれるって!」と弾んだ声で答えると、ひかるは幸せそうに玲二の腕を取るのだった。

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ナイーヴにして、やや過剰なロマンチシズムとセンチメンタリズム。どこを切っても、吉行由実印の作品と言っていいだろう。
映画のつかみともいえるひかると玲二の感傷的なキスシーンをじっくり見せるカットからして、濃厚な吉行イズム全開である。

ただ、やはり男の娘をヒロインに据えたピンク映画というのは、何とも居心地の悪さを感じてしまう。
エロを売りにした低予算ジャンル・ムービーの題材としては如何なものか…と首を傾げてしまう訳だ。登場人物たちが複雑な心情を胸にしまいつつ繊細な表情を見せれば見せるほど、見ている僕は気持ちの置き所なさで落ち着かないし、誰にも共感できず途方に暮れるばかりだった。
これは狭量に過ぎるのかもしれないけれど、やはり性的にストレートな玲二が何の葛藤もなくひかるをフィジカルな意味で受け入れてしまうくだりに違和感を払拭できなかった。
だから、ピンク映画を見ているというのに二人の濡れ場でまったく高揚できなかった。これは、甚だ困ったことである。

ヒロインのひかるを演じたあゆな虹恋は健闘していると思うし、可児正光の繊細な玲二像も好感が持てる。
また、久しぶりのピンク映画出演となった倖田李梨も、力みのないナチュラルさで生き生きと真紀という女性を演じていたと思う。

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ただ、本作におけるエロ・リリーフ的な相澤ゆりな演じる恵のキャラクターが、あまり感心できない。
そもそも、何故彼女は一昔前のアメリカン・フッカーの如きなんちゃってビッチ的なコスチュームなのかまったく意図が分からなかった。

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むしろ、濡れ場に魅力を感じるのはしじみ竹本泰志の絡みだが、しじみにちゃんと脱がせないことと、中盤あたりから寄りのバストアップ映像を多用するため、エロ度が低めに抑えられてしまう恨めしさがあった。
そしてしじみの演技だが、愛子という女性のキャラクターを彼女自身がつかみ切れていない印象で、演技の端々に“素のしじみ、そのまま”みたいな感じがほの見えてしまった。それが、どうにも不満である。

そもそも、こういうテーマはピンク映画というジャンルでなく、R15くらいのレイティングで描いた方がより見応えある作品に仕上がるように思うのだが、どうだろう?

本作は、ピンク映画としてはもう一つ煮え切らない一本。
見ていて、何とも不完全燃焼な気分にさせられる作品である。

2017.4.21 上野綾、春野いちじく@池袋ミカド劇場

今年、僕がストリップを観たのはこれが21回目。今回のお目当ては、上野綾春野いちじくである。三回目に入って、四回目の終演まで見た。進行は、三回目がダブル、四回目が通常だった。

当日の香盤は、以下の通り。

1 葵マコ
2 相田樹音
3 かすみ玲
(アニバーサリー)
4 春野いちじく
5 目黒あいら
(アニバーサリー)
6 上野綾(アニバーサリー)

三回目

1 葵マコ
(6.4生,T155,B85,W58,H88,2008.7.21Debut,DX東寺)
演目は「光」で、僕が前回見たのは2中のシアター上野である。
回を重ねるごとに洗練さを増している印象で、この日も二曲目の快活さからベッドのスムーズな動きとシックさが眩しかった。
表情も生き生きとしていて、大好きな作品である。

2 相田樹音(1973.1.23生,5.1Debut,フリー)
演目は「千本桜」。
朱色の着物に緑色の帯を締め、白足袋に赤と白い花の髪飾りをつけて登場すると、桜の枝、レインボーカラーのリボンや大きな羽根扇を次々に持ち替えて、この人らしいスピーディな展開で踊る一曲目。ステージ周りのお客数名に帯を解かせて桜色の襦袢姿になり、じっくりと見せる二曲目。
襦袢をはだけて白い網タイツ姿になると、エアフェラからエアセックスを披露するベッド入りとベッド中の二曲。大きく派手なポーズを披露する立ち上がり。
まさしく、ベテランの巧みという言葉が相応しいステージだった。

3 かすみ玲(7.8生,2006.4.21Debut,フリー)
ワインレッドのドレスに手袋、黒いメッシュのつば広帽子、二枚の大きな羽根扇を操って、リズミカルに踊る一曲目のクールなファッショナブルさ。パープルのセパレートに銀色のコルセットを合わせて、銀色のハイヒールでダイナミックに踊る二曲目の美しさ。
ハードな音楽流れる中で脱衣してボンデージ・ブラと黒のTバック姿になると、シャープにドライヴするベッド入り。長身がステージ映えする官能的なベッド中からの立ち上がり。
選曲のセンス、ショー構成、表現力とすべて申し分のない素晴らしいステージに目が釘付けだった。

4 春野いちじく(2016.3.11Debut,TSミュージック)
演目はデビュー作で、僕が前回見たのは3結の大和ミュージック劇場である。
透けるような白い肌、華奢なボディライン、ストレートのロングヘアー、美しく儚げな顔立ちでしなやかに踊る一曲目は、浮遊するようなポップさと柔らかな表情が魅力。不思議なアングラ感漂うアンニュイな二曲目は、プラスティックなフランス人形のようだ。トップレスになっての焦らし方も絶妙である。
ベッドにおけるレイジーでキュートなたたずまいにも、心惹かれてしまう。
それにしても、本当に独特の雰囲気を持った踊り子である。まさに美少女といったルックスの持ち主だが、ことエロティシズムに関しては煽情性がスッポリ抜け落ちている感じで観賞植物的な印象というのもユニークである。

5 目黒あいら(1984.11.11生,T158,B83,W61,H86,2008.4.21Debut,晃生ショー劇場)
体調不良等によりしばらくステージから離れていたが、周年週に無事復帰した彼女。
銀色の蝶模様を施したピンクの着物、白い髪飾りに素足でしっとりした大人のエレガントさを見せる一曲目。ただ、二曲目前にステージが無音状態になったのが気になる。“風に舞うような”ではなく、彼女自身が風そのもののように流麗な脱衣から銀色とピンクのドレスにチェンジして、華麗に踊る二曲目。
ブルーの髪飾りにパープルの羽根扇を繰って、トップレスに青いパレオ風の羽毛スカートを巻いて踊るベッド入りは、効果的な照明も相まって幻想的なイメージが鮮烈だ。落とした照明の中で静寂に満ちた踊りから、明るくなった場内でドラマチックにポーズを決める立ち上がり。
にこやかな表情、精緻に構成されたステージ演出は、ソフィスティケーションの極み。ブランクを感じさせない見応えあるステージだった。

6 上野綾(1989.1.4生,T155,B80,W58,H83,2009.4.21Debut,東洋ショー劇場)
演目は周年作「紫陽花」。本人曰く、この作品は二部構成の後編という位置づけのようである。
雨のSE、紫陽花を施した白と青のドレス、白い髪飾りに白足袋を履いて、まさに紫陽花の妖精といった姿で盆からスタートする色彩鮮やかな一曲目は、指の先まで神経の行き届いた優雅で繊細な踊り。盆に置かれたカラフルな紫陽花玉を掲げて、表情豊かな目線の送り方と上品な美しさをたたえた二曲目。
トランス系の激しいサウンドの中、ムーディにタメを作ってゆっくり脱衣すると、白い襦袢姿で紫陽花玉の中からある物を取り出しゴシックホラー風にツイストするベッド入り。オルゴールのような音楽がシュールなシアトリカルさを醸し出すベッド中。襦袢をはだけて、ある物と戯れる耽美的で毒素を含んだ官能を見せる立ち上がり。
ダークな作品だが、この人の周年に相応しい力作だと思う。

三回目のフィナーレは、ステージ上に7人の女性が登場。加わったのは、何と2013年12中のミカド劇場で引退した水咲カレン。ちょっとはにかんだような表情が、微笑ましかった。

四回目

1 葵マコ

演目は「かるま」。
白でそろえた薄地のベールとセパレート、赤いショールに素足でエスニックに舞う一曲目。パープル・スパンコールのブラに赤いパレオを巻き、グルーヴ感あふれる腰の動きを見せて踊ってからトップレスになる二曲目。
風のSEにのって赤いショールを掲げると、ゆったりした動きでエアフェラからエアセックスへと挑発的なパフォーマンスを見せるベッド入りとベッド中。エロチックな中にも凛としたたたずまいと開放感漂う立ち上がり。
体内で常にリズムが鳴っているような見事な踊りが印象的な、この人らしいステージだった。

2 相田樹音水咲カレン
演目は、チームショーによる「LaLaランド」。
水色のドレスに黒い手袋、水色の髪飾りをつけて椅子に座る水咲。白いストライプのシャツに黒いスラックス、つばが黒いグレーの帽子を被った相田が水咲と戯れつつキレのある動きでダンスする一曲目。水咲が袖にはけると、華麗なステップにスピード感あふれる踊りを披露するミュージカルの如き二曲目。
シルバー・スパンコールのブラに白いパンティ、白の網タイツにチェンジするベッド入り。椅子も使いセンシティヴな表現力を見せるベッド中。ソリッドなポーズが格好いい立ち上がりから、もう一度水咲をエスコートして終演。
あたかも一編の小説を見るようなステージに魅了された。

3 かすみ玲
金で縁取りした銀色のフード付きコートを着て登場すると、フードを被って表情を隠しダンスする一曲目。コートの前を開き、青と銀色のドレスでダンスする二曲目。長い真鍮の杖を使ったRPG的な演出が勇ましい。
無駄のない動きでスムーズに脱衣するベッド入り。タイトな動きで挑発するベッド中。スレンダーな裸体がまぶしい立ち上がり。
畳みかけるような音楽、ゴシックでシアトリカルな演出、スタイリッシュなアクションと、非常に濃密な時間を堪能できる充実したステージだった。

4 春野いちじく
三回目と同演目だが、一曲目のカットが何とも残念である。

5 目黒あいら
照明を落としたステージに登場すると、目まぐるしく色が変化するライト二つを操って踊る一曲目はなかなかの視覚効果だが、やや尺が長く後半単調になる。ステージが明るくなると、白い花のヘアバンドに大きな赤いイアリング、白いドレスにグリーンのコルセット、背中には白い羽根をつけて妖精の如くエレガントに踊る二曲目。
チュッパチャプスを舐めながらの脱衣もエロチックなベッド入り、煽情的なパフォーマンスで刺激的に見せるベッド中から一転、最後はハッピーなムードに包まれる立ち上がりという鮮やかなコントラストが素晴らしい。
この人の音楽嗜好がよく出たラップでまとめたステージは、実にホットでタイトだった。

6 上野綾
演目は「ふぇありーおぶすぷりんぐ」で、僕が前回見たのは3結の東洋ショー劇場である。
過剰なくらいにバリエーション豊かな照明と広いステージを誇る東洋に比べると、さすがにミカドは狭くて窮屈に感じるのが残念である。ただ、それでも本作をこの空間なりのコンパクトさでまとめる踊り子的な手腕は、流石。
大きな薔薇の杖を持っての動きやリングを使っての華麗なパフォーマンスにダウンサイジングの感は否めないものの、多幸感にあふれたキラキラまぶしいカラフルなダンスとキュートな表情は、まさしく春の妖精の名に相応しい。ファンタジックなステージだった。

半数の踊り子が周年週というお祭りムードに加えて、サプライズな飛び入りもあった4結初日三、四回目のミカド劇場は、客席にもパフォーマーの姿がチラホラという何とも贅沢な空間だった。
本当に素晴らしいステージがそろったお得感満載の香盤は、ストリップ・ファンにはマストだろう。

かすみ玲さん、目黒あいらさん、上野綾さん、周年おめでとうございます!!

2017.4.8 真白希実@横浜ロック座

今年、僕がストリップを観たのはこれが20回目。今回のお目当ては、真白希実である。開演30分前に入って、二回目まで観た。
関東の劇場で唯一行ったことのなかったこの劇場に初めて足を運んだ。場内の椅子席は30人分しかなく、蕨ミニ劇場の次に小さい劇場だろう。入場の際、初来場者に従業員が口頭で注意事項を述べるのだが、その態度がいささか高圧的に過ぎるように僕は感じた。これが初ストリップだとしたら、お客さんはビビッてしまうのではないか。

当日の香盤は、以下の通り。

1 misaki
2 真由美
3 かんな(復帰)
4 鈴木千里
5 真白希実

一回目

1 misaki
(11.30生,T160,B83,W64,H86,2015.11.1Debut,ロック座)
演目は「キューティーハニー」で、僕が前回見たのは1中のDX歌舞伎町である。
前回見た時にも感じたことだが、冒頭のダンスはもっと煽る感じでダイナミックな躍動感を出したいところだ。手に持ったステッキも、効果的に使いたい。それから、一曲目が終わって静まり返ったところで盆からそろそろと奥に下がる動きも、もう少しステージ構成を練った方がいいように思う。ベッドにおける可憐な雰囲気は、この人のキュートさが出ていて悪くない。
いわゆる定番演目だから、彼女ならではの個性を打ち出したいところだろう。

2 真由美(5.22生,2016.1.11Debut,DX東寺)
スマイル・マークを付けた赤いタータンチェックの帽子とセパレート、白い手袋に白いハイカットのスニーカー。モダン・アレンジのカントリー・ミュージックでダンスする一曲目はちょこまか動く印象だが、ここはロデオをイメージさせるくらいに勢いよく踊りたいところだ。シルバー・スパンコールのキャップをかぶり、レッド・スパンコールのタンクトップにブルー・デニムのダメージ・ショーパンで踊る二曲目は、やや動きの粗さが気になる。
三曲目でバタバタとすぐ袖にはけてから、ベッド入りまでの暗転時間が長すぎるように思う。胸を露出したモノトーンのコルセットにシースルーの白いベッド着で踊る姿は、悩ましいが。立ち上がりでは、もう少しシュッと足を挙げることができれば。
明るい表情はいいが、もう少しリズム感とダンスのしなやかさが欲しいステージだった。

3 かんな(2.19生,T157,B85,W57,H83,2005.7.1Debut,川崎ロック座)
2016年4月30日の浅草ロック座ステージをもって引退した彼女は、4頭のここ横浜で復帰した。
カラフルなピエロに扮してステージに登場すると、豊かな表現力と繊細な動きで見事なボードビリアン的パフォーマンスを披露するダンス二曲。
フリルのついた白いセパレートのベッド着にモノトーンのハイソックス、白いロングブーツを履いて踊るベッド入りも表情が魅力的。
ただ、あまりにも色んな要素を詰め込み過ぎの印象で、ベッドへの展開がストリップ的に着地するにはややオーバーフロー気味に感じた。もう少し構成を整理できれば、さらに見応えある作品になると思う。
いずれにしても、この人の踊り子的スキルは健在で嬉しくなった。

4 鈴木千里(1988.8.2生,T157,B83,W59,H84,2009.2.1Debut,川崎ロック座)
白い花の髪飾り、鮮やかな花柄を散りばめた橙色の着物に瀟洒な帯、白足袋を履いて、透けた白の羽織を掲げて登場すると、扇子を効果的に使った雅やかな舞いを見せる一曲目。二曲目で艶やかに美しく脱衣すると、白襦袢に着替えて幻想的に舞うベッド入りは肌が透き通る雪の精を見る思いで、ため息が出る。
紐を効果的に使って見せる立ち上がりも、まるでガラス細工の如き繊細さで唸る。
とにかく、神経が行き届いたエレガントの極みのようなステージだった。

5 真白希実(1985.12.21生,T160,B85,W60,H90,2010.12.1Debut,浅草ロック座)
演目は新作「NEON」。
暗がりの中、ステージに揺らめくグリーンのネオン光。ネオンライトのついた黒い服、黒いセクシーなトップ、ブルー・チェックのショートパンツ、黒い網タイツにガーターベルト、黒いロングブーツを履いて、視覚効果抜群の演出と完璧に音とシンクロした切れ味鋭い見事なダンスを披露する長尺の一曲目。上着を脱いで、スタイリッシュなダンスを披露する二曲目。
ショートパンツを脱ぐと、セクシーなランジェリー姿になってシックなエロティシズムを見せるベッド入り。脱衣すると、ギミックを配したストレートなパフォーマンスを展開するベッド中からの立ち上がり。
なかなかの意欲作である。ただ、前半の仕掛けが派手なだけに、リズム感と踊りのシャープネスだけで通すベッドの展開がやや単調に感じた。

二回目

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演目は「箱の中」。
赤と白い花の髪飾り、青と白の衣装、白のショートブーツを履いて、金色の仮面を手に登場する短いイントロダクションのような一曲目から、ロボット・パントマイムのような動きを見せる二曲目。やや動きの粗さが気になるが、何枚もの仮面を効果的に用いたシアトリカルなパフォーマンスをスピーディに見せる三曲目。
脱衣して赤いシースルーのベッド着に青いランジェリー姿に素足で踊るベッド入りは、陰りのあるペシミスティックな雰囲気がいい。これに、繊細さが加われば。キュートな表情でポーズする立ち上がりも魅力的だが、もう少しダイナミックな開放感が出せれば。
なかなかに凝った演目で、これから踊り込むことでもっともっとよくなる作品だろう。

2 真由美
赤い髪飾り、赤と紫の着物に金の帯、白足袋で、花柄の蛇の目傘と扇子を効果的に使った舞を見せる一曲目は、もう少し情感が出せればなおいいのだが。帯を解いて、衣装を着崩して踊る二曲目。
朱色の襦袢姿で盆に出てのベッド入りは、しっとりしたたたずまいと表情が魅力的。はだけてポーズする立ち上がりは、足の動きにもう少し流麗さが出せれば。
艶やかな純和風の演目で、なかなか見応えがあった。

3 かんな
メッシュの黒い衣装の下はトップレスにTバック、素足で、ドラマチックに見せる大きな踊りの冒頭で一気に引き込まれてしまう。実に、素晴らしいダンスである。黒のタンクトップに黒のTバック、白いロングブーツ、星模様のついた布をまとって、同じ柄の大きな旗を振り回しながらタイトに引き締まったダンスを見せる二曲目。
脱衣して、シャープに踊るベッド入り。芝居がかったシリアスなアクションが印象的なベッド中。鮮烈なドラマチックさで、力強いパフォーマンスの立ち上がり。
この人の踊り子的資質が全開する圧巻のステージに息を飲んだ。

4 鈴木千里
ステージに置かれた赤い傘の影から登場。つば広の白い帽子、肩出しの白いロングドレス、素足のセレブリティなスタイルで、避暑地の令嬢の如くエレガントに踊る一曲目。打って変わって、黒でそろえたタンクトップ、ロングパンツにベルト、ブーツというボーイッシュなファッションで、クールにダンスする二曲目。
黒いホルターネックのベッド着で、しなやかに踊るベッド入り。衣装をはだけて白い肌を露わにすると、スレンダーなボディラインがまぶしい立ち上がり。
シンプルに美しいステージである。

5 真白希実
演目は「恋華草」。
盆からスタートする一曲目は、黄色の花柄がプリントされた淡い緑色の襦袢に黄色い帯を締めた姿で、エアセックスのバリエーションを見せる。煽情的なパフォーマンスにもかかわらず、不思議に清楚さが漂う。片肌を出した白い衣装で、扇子や蛇の目傘を使いスピード感あふれるシャープなダンスを披露する二曲目。
情感に満ち溢れた踊りから後半で冒頭の襦袢姿に戻るベッドは、美しいポーズに目を奪われる。
目まぐるしい展開と斬新な構成、歯切れのいいテンポと叙情的に富んだ表現力。詩的な情緒性に満ちた実に素晴らしいステージだった。

とても魅力的な香盤であった。
復帰したかんなのブランクを感じさせない表現力にも惚れ惚れしたし、鈴木千里のセンシティヴなステージも素晴らしかった。
そして、何といっても真白希実。彼女は、本当にパーフェクトな踊り子である。


ただ、この劇場の照明とスモークはいささか過剰ではないか。終始ステージに霧がかかったような感じだし、特にベッド時の緑色ピンスポット照明が強すぎて見づらかった。
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