ピンクサイドを歩け

ピンク映画やストリップ・レビュー等、R-18系の文章を書いて行きます。

2018.5.12 大和ミュージック劇場

今年、僕がストリップを見たのはこれが21回目。開場10分前に並んで、二回目まで見た。
進行は、一回目が5、6番ダブル、二回目がトリプル×2だった。

当日の香盤は、以下の通り。

1 玉
2 さくら
(アニバーサリー)
3 JUN
4 望月きらら
5 坂上友香
6 渚あおい

一回目

1
(3.19生,T160,B90,W56,H89,2017.3.11Debut,TSミュージック)
演目は「浴衣」で、前回僕が見たのは去年9頭のシアター上野。ただ、その時とはダンスの振付をマイナー・チェンジしており、ベッドを完全リニューアルしていた。
花の髪飾り、赤い花柄のついた白い浴衣、赤い帯、素足、手には「玉」と書かれたうちわを持ってややゆるっとした感じで盆踊り風に舞う一曲目は、セクシーな流し目が印象的。アッパーな曲で踊り、徐々に脱衣して朱色の腰巻姿になる二曲目は、もう少し曲のテンポに合わせたダンサブルサで煽って欲しいところもあるが、浴衣の裾を開いて太腿をアピールする仕草が艶っぽくていいし、笑顔も魅力的。
白いメッシュの大きなショールを身にまとい、白いレースのTバックと銀色のハイヒールで妖艶な表情を浮かべつつ盆に出るベッド入り。ピンクのライトに照らされて、デカダンなオナベで乱れるベッド中は、はける時の動作がやや淡々として素っ気ない。ピンクのバスローブを体に巻いて再登場すると、笑みを投げつつポーズする立ち上がり。
細部の詰めに粗さがあるものの、如何にも彼女らしいエロ指数の高いステージだった。

2 さくら(1982.9.30生,T147,B85,W60,H85,2005.5.11Debut,TSミュージック)
新作。
落とした照明、緑と白の髪飾り、カラフルな電飾が輝くショール、シルバー・スパンコールのセパレート、銀色のハイヒール、椅子にもたれてスタートすると、ピンクのレイを首にかけ、トロピカルなリゾート・ムードでゆったり踊る一曲目。白と若草色のアーム・カバーをつけて、健康的な雰囲気でポップに踊る二曲目がなかなかいい。
白いベッド着、銀色のハイヒールにチェンジすると、しっとり感傷的に踊りはだけるベッド入り。ピアノ曲流れる中、体に指を這わせるベッド中。エレガントにポーズする立ち上がり。
派手さはないものの、まとまりのあるいいステージだった。

3 JUN(9.3生,T162,B88,W58,H90,2014.3.21Debut,西川口テアトルミュージック)
演目は「アフリカ」。
ひっ詰めた髪、カラフルなノースリーブのワンピース、素足、盆で横になった体勢から静かに起き上がり、荘厳な音楽が流れる中キリッとした表情で一礼する一曲目。パーカッシブな音楽でエキゾチックに踊り、ダークブルーと赤の衣装にチェンジして祝祭感あふれるフィジカルなダンスを披露する二曲目。
雨降るイメージ、大きな白いショールを掲げて幻想的なムードで踊り、脱衣するとショールをまとい盆に出てエアSEXを披露するベッド入り。宗教的な敬虔ささえ感じさせる美しいポーズを決める立ち上がり。
太古のロマン漂うシャーマニックで圧倒的なスケールのステージ。オリジナリティにあふれた見応え十分の素晴らしパフォーマンスだった。

4 望月きらら(1993.11.29生,2015.3.1Debut,晃生ショー劇場)
紫の蛇の目傘、白い花柄を施したピンクの着物に金色の帯、素足でノリよく踊る一曲目。てきぱきと帯を解くと、青と赤の派手な羽織、銀色の帯、黒いレギンス姿になってキレのある動きで威勢よく踊る二曲目。
脱衣して蛇の目傘を持つベッド入り。白と銀色のきらびやかな襦袢姿で艶っぽく見せるベッド中。バラードでエモーショナルにポーズを切る立ち上がり。
ロックな邦楽でまとめた、エンターテイメントで楽しいステージ。表情、踊り、エロさと三拍子そろったパフォーマンスだった。

5 坂上友香(8.31生,T160,B90,W59,H87,2009.4.1Debut,東洋ショー劇場)
演目は「Gorgeous」。
白い花飾りのついたカチューシャ、白と金色のロングドレス、同色のアーム・カバー、黒いロングブーツ、ノリのいいダンスチューンで踊る一曲目。銀色と黒のトップに腰飾り、黒のロングスカート、黒のロングブーツでダンサブルに踊る二曲目。
紫と白のベッド着でシンプルに踊るベッド入り。ベッド着を脱いで黒のボンデージブラにTバック姿で颯爽と盆に進み、グラマラスに挑発するベッド中。明るい表情でポーズを決める立ち上がり。
オーソドックスな王道のステージ。ベッドがとても魅力的だった。

6 渚あおい(1.18生,B87,W62,H85,2011.11.11Debut,東洋ショー劇場)
演目は先週の東洋ショー劇場で初出しした新作「aoidol」。
清潔感のある白いつば広帽子とドレス、白いショートブーツで軽やかに可愛く踊る一曲目。ピンクチェックのフリル・セパレート、インカムをつけてアイドル・コンサートのイメージでアップテンポにダンスする二曲目。
ファンキーなダンスチューンで元気いっぱいに踊り、脱衣して白いボンデージブラ、白いレースのTバック、白いショートブーツで盆に出るベッド入り。滑らかな動きでじっくり見せるベッド中。キュートな表情がまぶしい、ポジティヴなムードの立ち上がり。
キンブレや応援うちわを小道具に使った定番のアイドル演目である。それがバッチリはまっているところは、「さすが、渚あおい!」だろう。

二回目

1

演目は周年作「サンバ」で、前回僕が見たのは3結の池袋ミカド劇場である。
オレンジ色の髪飾りがついた銀色のカチューシャ、シルバー・スパンコールのトップに黄色とオレンジ色のロングスカート、銀色のローヒール、スカートの裾を翻して楽しそうに踊る一曲目。銀色のカチューシャ、グッとくるような赤と金色のセクシーなセパレート、銀色のローヒールで軽やかに踊る二曲目。
白い花の髪飾り、白いベッド着、素足、きつめの視線を投げて踊り、盆に出て髪飾りを外して脱衣すると、悩ましく体をくねらすベッド入り。豊満な体を弄り、挑発するベッド中。気怠くポーズする立ち上がり。
この人らしい肉感的でグラマラスなステージ。いつ見ても、彼女のパフォーマンスにはストリップ的な猥雑さと確たるエロティシズムがある。

2 さくら
新作。
黄色の帽子、黄色のノースリーブ・ワンピース、金色のロングスカートを重ね着、赤いハイヒールで踊り、途中でロングスカートを外す一曲目。青い髪飾り、ネイビーブルーと黒のドレスでリズミカルに踊る二曲目。
花冠、花柄の薄い白の布を体にまとい、白いレースのTバック、素足で踊りはだけるベッド入りからのベッド中。シンプルにポーズする立ち上がり。
悪くはないのだが、ノスタルジックなクラシック作品というよりどこか古さを感じてしまうステージだった。

3 JUN
演目は周年作。
白い花の髪飾り、裾の長い白のシルキーなドレス、赤いショール、白いローヒール、スパニッシュなサウンドに乗ってシュッとした凛々しい踊りを披露する一曲目。
哀愁のフラメンコが流れる中、巧みな足さばきでスタイリッシュに踊り、脱衣して白のボンデージブラ、シルキーな巻きスカートから、さらに白いTバックと網タイツ姿になるベッド入りは、長尺にもかかわらずまったくダレることがない。髪を解き、ゆっくりした動作で踊るサウダージなベッド中。ラテン系にアレンジされた大ネタのバラードで凛々しくポーズを決める立ち上がり。
ヒスパニックな曲でまとめた、明と暗のコントラストが鮮やかな素晴らしいステージ。ダンス・オリエンテッドな彼女のスタイルと個性が、しっかりと伝わる見事なパフォーマンスだった。
…にしても、意味不明にコミカルなOPとの落差が凄い(笑)

4 望月きらら
赤と黒のド派手な羽根冠、ヘビーメタリックな赤い衣装、黒いハイヒールというラスボス感満載のコスチュームで、ダイナミックに踊る一曲目。よさこいソーランを思わせる黒赤金色の衣装で、金色の扇子を小道具にハイパーアクティヴに踊る二曲目。
ステージに置いた障子の衝立の裏に回り、艶めかしい姿をシルエットで見せてから、白地に金模様の襦袢姿に素足で衝立から出てエロティックに踊る技巧的なベッド入り。盆に出ると、はだけて情感豊かにポーズする立ち上がり。
凝った仕掛けと作り込まれた構成のとてもシアトリカルな作品である。この人ならではの表現力に富んだステージである。

5 坂上友香
演目は「brilliant」で、前回僕が見たのは3中の渋谷道頓堀劇場である。一回目のステージ中にぎっくり首になってしまったそうで、ダンスが一曲カットされていた。
白と緑の髪飾りにノースリーブ・ドレス、白いショートブーツで、演目の通りブリリアントに踊る一曲目。
胸元に白い花飾りのついた黒いレースのベッド着、素足で静かに踊り、盆に出てはだけるベッド入り。遠くを見るような目とイノセントな表情で踊るベッド中からポーズする立ち上がり。
負傷のために動作を抑制したパフォーマンスだったが、落ち着いた大人のムードで悪くなかったと思う。

6 渚あおい
演目は4周年作で、本作を見るのは僕が彼女のステージを初めて見た2016年3中の渋谷道頓堀劇場以来のことである。
頭には白いバンダナと羽根飾り、白と朱色の羽織、胸元には朱色のさらしを巻き、ボンタン風の黒いボトム、黒いロングブーツ、「渚あおい」と書かれた提灯を手に持ち、いなせに踊る一曲目。キレキレの動きでダンサブルに踊る男前な二曲目。
シャープに脱衣して地の薄いカラフルなガウン、朱色の褌、黒いロングブーツで盆に出ると、シリアスな表情で踊るベッド入り。はだけて、官能的に見せるドラマチックなベッド中。洗練されたスマートな立ち上がり。
とても密度の濃い圧巻のステージ。彼女のダンサー的スキルが如実に出た、素晴らしいパフォーマンスだった。

5中の大和は、実に魅力的な香盤。自信を持ってお勧めする。
さくらさん、周年おめでとうございます!
そして、坂上さんお大事に…。

山内大輔『ひまわりDays 全身が性感帯』

2017年10月13日公開、山内大輔監督『ひまわりDays 全身が性感帯』

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脚本・編集:山内大輔/撮影監督:田宮健彦/音楽:Project T&K/編集:フィルムクラフト/録音:光地拓郎/整音:吉方淳二/効果:AKASAKA音効/特殊メイク・造型:土肥良成/助監督:江尻大/監督助手:小関裕次郎、夏湖/撮影助手:高嶋正人、鎌田輝恵/照明助手:桑原郁蔵/現像:東映ラボ・テック/スチール:本田あきら
制作:VOID FILMS/提供:オーピー映画

本作は、『女ゆうれい 美乳の怨み』と二本撮りされている。
なお、第30回(2017年)ピンク大賞において、本作は最優秀作品賞、山内大輔は監督賞・脚本賞、涼川絢音は主演女優賞、黒木歩は助演女優賞、櫻井拓也は男優賞、土肥良成は技術賞を受賞している。
余談ではあるが、千鶴子役の満利江は1980年代初頭に数本ピンク映画出演した東川佳揚である。


こんな物語である。ネタバレするので、お読みになる方は留意されたい。

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30歳までフリーターだったカズオ(櫻井拓也)は、ようやく不動産会社に就職。2歳年下の看護師トシエ(月本愛)という恋人もでき、ようやく生活が安定してきた。女手一つで自分を育ててくれた母の千鶴子(満梨江)が暮らす実家にはしばらく帰省していなかったが、カズオはそろそろ東京に母を呼んでトシエのことを紹介しようと考えていた。

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社長の矢木澤(野村貴浩)に結婚式の仲人を頼みトシエのことを紹介したカズオだったが、あろうことか矢木澤とトシエが会社の管理しているショールームでセックスしている現場を目撃してしまう。

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当然、トシエとは別れ会社にも辞表を提出したカズオは、千鶴子にも上京するのはしばらく待って欲しいと電話せざるを得なくなった。やけくそになったカズオは、もらった退職金をとっとと使ってしまおうとソープに行くが、27歳との触れ込みで頼んだソープ嬢のレイミ(加山なつこ)は看板に偽りありの年齢もボディもスーパー・ヘビー級だった。

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ソープでもひどい目に遭ったカズオは、看板が目にとまり「スナック ひまわり」に入ってみた。ママのアケミ(黒木歩)が切り盛りする小さな店で、彼女をミカヨ(涼川絢音)が手伝っていた。どうやらミカヨには知的障害があるようだったが、彼女の屈託ない愛らしさにカズオは惹かれた。ミカヨが作ったというお通しの雷こんにゃくを口にしたカズオは、「おふくろの味だ!」と驚いてしんみり顔をした。

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アケミの温かい優しさとミカヨの純朴な可愛らしさに触れ、いい気分で店を出たカズオだったが、帰り道で若い女マナミ(浅場万矢)とホストのアツシ(岡田貴寛)の痴話喧嘩に巻き込まれて暴力を振るわれた挙句に退職金の残りまで巻き上げられてしまう。そこに通りかかった労働者風の男・吉井ゴロウ(川瀬陽太)に助けられたカズオは、何故か再び「ひまわり」に連れて行かれる。
偶然にも、ゴロウはアケミの夫だったのだ。
それから、カズオは頻繁に「ひまわり」に顔を出すようになった。

ミカヨは、いつも店のカウンターで算数ドリルをやっていた。アケミは、そんな彼女に辛抱強く勉強を教えてやり、仕事や生活のサポートもしていた。その二人を見守るゴロウ。その光景を見て、カズオは三人がどんな関係なのかとアケミに聞いてみた。
アケミ、ゴロウ、ミカヨはひまわり学園という親のいない子供のための養護施設で育ったのだという。アケミとゴロウは同じ時期に施設で過ごし、その時以来の仲だという。彼女は、自分たちは家族みたいなものなのだと言った。

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年も年だしこれと言って売りもないカズオは、なかなか次の就職先が決まらなかった。それでも、アケミとゴロウ、そして何といっても天使のようなミカヨという存在が彼を前向きにしてくれた。すっかりひまわりの常連となったカズオは、アケミに代わってミカヨの勉強まで見てやるようになった。
普段、ゴロウは建設現場で肉体労働に勤しんでいた。ときおり、彼の元には剣呑そうな男・真木(山本宗介)が借金の取り立てに訪れた。ゴロウは何とか返済を続けているが、闇金が相手なのでなかなか返済額は減ってくれない。

ある時、ひまわりにサラリーマン風の男二人(泉正太郎、細川佳央)がやって来た。二人は、聞こえよがしにミカヨの知的障害のことをからかいのネタにし始める。ムッとしたカズオが立ち上がってテーブルに向かおうとした矢先、一足先にアケミがグラスの水を二人に浴びせた。出ていけと言われ、二人の客は憮然とした表情で店から出て行った。

アケミから誘われて四人で川遊びに行ったカズオは、事の詳細をゴロウから聞かされる。施設を出たゴロウとアケミは変わらず仲良くやっていたが、ゴロウはヤクザ稼業に足を踏み入れて闇金の取り立て屋をやっていた。
ある時、ゴロウが追い込みをかけていた客が夜逃げした。もぬけの殻になった家のトイレから音がしたので、ゴロウが覗いみると便器に顔をつけてトイレの水を飲んでいる女の子がいた。ミカヨだった。一人残されたミカヨは、空腹とのどの渇きをいやすためにトイレの水を飲んでいたのだ。
ゴロウは、彼女の親代わりになることを決め、組を抜けた。けじめをつけるため、組長の高橋(竹本泰志)に命じられて事件を起こし、刑務所に入った。
ところが、刑期を終えてゴロウが娑婆に出てみるとミカヨは行方不明になっていた。手を尽くして探し回った末、ミカヨの居場所が分かった。彼女は、騙されて歌舞伎町のソープランドで働かされていたのだ。ゴロウはミカヨを引き取ったが、彼女に店を辞めさせるためには多額の金が必要だった。
仕方なく、ゴロウは手を切った高橋の闇金から金を借りたのだった。

カズオも、今となってはひまわりの家族の一員のようになっていた。ミカヨもカズオに懐いている。そんな中、ようやくカズオの再就職も決まり、ミカヨはカズオの似顔絵をプレゼントしてくれた。
ゴロウが苦しいことを知っていたカズオは、給料が出るとゴロウにいくらか渡そうとするが、自分一人で何とかすると言ってゴロウは受け取らなかった。
そんなある日、アケミの元にひまわり学園施設主任・浪越和子(和田光沙)が訪ねて来る。学園にミカヨの父親から連絡があり、どうしても彼女に会いたいと言っているという話だった。ミカヨの父親は、末期がんで入院中だった。何をいまさらといったんアケミは断るものの、ゴロウと相談してミカヨの気持ちを尊重することにした。ミカヨは、会うと答えた。

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アケミに頼まれ、カズオがミカヨの付き添いとして彼女の父親・幸雄(森羅万象)の病院を訪ねることになった。ミカヨは病院でも上機嫌だった。ミカヨは、カズオのことが好きだと言った。結婚したいと。さすがに、この言葉にはカズオも驚きを隠せない。

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酸素吸入器をつけた幸雄に会うと、彼は目に涙をためて成長したミカヨの姿を見つめた。ミカヨは、この人と結婚すると言い出す。すると、幸雄はベッドから突然起き上がり、「私が言えた義理じゃないが、娘をお願いします!」と言って深々と頭を下げた。

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思いがけない展開を見せた見舞いの帰り、ミカヨは行きたいところがあると言ってカズオのことを引っ張って行った。彼女が向かった先は、何とラブホテルだった。ミカヨは、平然とバスルームに消えた。
バスタオルを巻いて出てきたミカヨは、四角い缶をカズオに渡そうとした。中に入っていたのは、これまでにミカヨがひまわりの仕事で貯めたバイト代だった。以前、ミカヨは惚れた男に金を渡してそのまま持ち逃げされたことがあった。
こんな大金、受け取れないと言ってカズオは押し返した。そのまま、押し切られるようにカズオはミカヨと体を交わしてしまう。

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この一件で、いよいよカズオはミカヨに強く惹かれたものの、このまま結婚して自分は彼女のことを守ってやれるのかと思うと簡単に結論を下すことができず、いつしかひまわりから足が遠のいていた。
しばらく、姿を見せないカズオのことを気にするアケミ。毎日、カズオが現れることを待ちわびているミカヨは、ある時「やっぱり、お金渡さなかったからかなぁ…」と寂しそうにつぶやいた。その言葉を聞いて、ゴロウの顔色が変わった。
ゴロウは、自分の仕事場にカズオを呼び出した。やって来たカズオをいきなり殴りつけた後、ゴロウは、「あいつは、全部自分のせいだと思ってる。親に捨てられたのも、散々色んな奴に騙されたのも。だから、気にするなよ。そして、二度とミカヨの前に顔を出すな」と言い捨て、背中を向けた。
カズオは、千鶴子に電話すると「もし、俺が好きになった子が障害を持ってたらお袋はどうする?」と尋ねてみた。すると、自分はかつて施設で働いていたが、結局は自分次第だろうと何でもないように千鶴子は言った。カズオの気持ちは、決まった。

ひまわりでは、塞ぎ込んでいるミカヨを元気づけようとゴロウが「焼肉でも行くか!」というが、ミカヨは「お腹空いてない」と断った。そこに、カズオが顔を出した。
「お前、何しに来たんだ!」とゴロウは叫ぶが、アケミは「これから焼肉に行くんだけど、カズオ君も来ない?」と誘った。ゴロウは「何でこいつを誘うんだ。それに、ミカヨは腹減ってないって言ってるだろう」というが、ミカヨは満面の笑顔で「お腹空いたー!」を言った。

カズオとミカヨの結婚が決まった。お金のない二人は、結婚写真だけ撮ってそれを幸雄に見せに行った。その三日後、幸雄は息を引き取った。
ゴロウは、借金を清算すべく高橋の元を訪ねた。高橋の出した条件は、ある男を消すことだった。ゴロウは、その条件を飲んだ。
ひまわりには、しばらく前にミカヨのことをからかって追い出されたサラリーマン二人組が頭を下げに訪れた。アケミもミカヨも、二人を気持ちよく店に迎えた。
そこに、ゴロウから電話がかかってくる。人一人殺めた。これから自首しに行くが、二度目だから今度は長くなるだろうとゴロウ。その言葉を聞いて、アケミの表情が歪んだ。ミカヨを出してくれと言われ、アケミはミカヨにスマホを渡した。ゴロウはミカヨの声を聞くと、たまらず嗚咽を漏らした。

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ひまわりに千鶴子がやって来た。息子と嫁の顔を見るためだ。すると、アケミが千鶴子に飛びついた。アケミが施設にいた時期、彼女の面倒を見ていたのが千鶴子だったのだ。この店で出している自慢の雷こんにゃくは、ひまわり学園で千鶴子が作っていた料理だったのだ。自分にとってのソウルフードだと、アケミは顔をくしゃくしゃにして言った。
カズオは千鶴子を呼んで、ミカヨと三人の新しい生活をスタートさせた。千鶴子は、アケミに乞われてひまわりを手伝うようになった。カズオは、新婚の自分たちのためにアケミと千鶴子が気を遣ってくれたのだろうと考えていた。
ようやく、本当に幸せな日々が訪れたようだった。

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これは、この夏カズオに起きた奇跡のような物語だった…。

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この年、ピンク大賞をほとんど独占した作品である。確かに、良作だと思うし山内大輔作品としては異色のハート・ウォーミング作でもある。
ただ、果たしてこれはピンク映画なのだろうか?

本作がピンク映画と言えるのは、月本愛の濡れ場2シーンと、冗談のような加山なつこのソープ・シーンまでである。それ以降の展開は、どう考えてもピンク映画ではなくシンプルにロー・バジェットの人情映画にしか見えなかった。
ピンク映画というのなら、やはり黒木歩と川瀬陽太の濡れ場を挿入しなければダメだろう。涼川絢音の濡れ場は、撮り方が綺麗すぎるのだ。ピンク映画的なあざとさが皆無である。

逆に、一般映画的な観点で言うとあまりにもストーリー展開が類型的で予定調和に過ぎる。かと言って、シンプルに映画として傑作と評するのも、さすがにどうかと思う。
本作と二本撮りだったという『女ゆうれい 美乳の怨み』共々、もはや山内大輔にとってピンク映画というジャンルは作品を発表すべきフィールドから外れてきてしまったのではないか。
実は、二本撮りということを知らずに僕は『女ゆうれい』と『ひまわりDays』を続けて観た。この二本の涼川絢音の演技があまりにも似通っているように思えてならなかったのだが、二本撮りと知って合点がいった。彼女は、ミカヨの役作りに引っ張られたまま 『女ゆうれい』のマリも演じてしまったように感じる。

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川瀬陽太黒木歩もそれなりに手堅い演技を見せている。純然たる絡み要員の月本愛も、例によってグラマラスな肢体で楽しませてくれる。
ただ、僕にとって本作の魅力は櫻井拓也のナチュラルな演技に尽きる。もし、主役が彼でなかったら本作はここまで支持を集めなかったのではないか…とさえ思う。
それくらい、櫻井がいい。

ただ、端的に言ってOP映画はそろそろピンク映画とOP PICTURES+を別ジャンルと位置付けて、R18とR15の二本製作体制をやめるべき時期に来ているのではないか。今のままでは、あまりにもピンク映画ファンを蔑ろにしているようにしか僕には思えない。

本作は、ある意味ピンク映画における踏み絵のような作品と言っていいかもしれない。
悪くはないが、「もはや、ピンク映画というジャンルムービーを求めて専門映画館に足を運ぶのはロートル・ファンだけなのではないか…」と、そんな思いさえ心に去来する一本である。

山内大輔『女ゆうれい 美乳の怨み』

2017年8月4日公開、山内大輔監督『女ゆうれい 美乳の怨み』

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脚本・編集:山内大輔/撮影監督:田宮健彦/音楽:Project T&K/編集:フィルムクラフト/録音:光地拓郎/効果・整音:AKASAKA音効/特殊メイク・造型:土肥良成/助監督:江尻大/監督助手:小関裕次郎、茂出木まり/撮影助手:高嶋正人、鎌田輝恵/照明助手:桑原郁蔵/現像:東映ラボ・テック/スチール:本田あきら
制作:VOID FILMS/提供:オーピー映画
なお、第30回(2017年)ピンク大賞において、本作は優秀作品賞、山内大輔は監督賞・脚本賞、涼川絢音は主演女優賞、佐倉絆は新人女優賞、櫻井拓也は男優賞、土肥良成は技術賞を受賞している。


こんな物語である。

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結婚式を間近に控えた日曜日の夜、ミチル(友田彩也香)と准也(櫻井拓也)は准也のマンション寝室で激しく求め合っている。事が済み、身支度を整えると「また、明日会社でね」と言ってミチルはマンションを出た。

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 人気のない道を歩いていたミチルの足が止まる。少し先の道路脇に、赤い風船を持ったピエロ(ケイチャン)が立っていた。ピエロは、ゆっくりとした動作でミチルの方に向き直ると、メイクを施した顔に薄ら笑いを浮かべながら近づいてきた。あまりの恐怖に、ミチルは今来た道を走って引き返した。

自分のマンションに帰り着くと、ミチルは部屋の中を見回した。いまだに動悸は収まらず、彼女はまだピエロの気配に怯えていた。しばしためらってから、准也の携帯に電話してみるが、彼は出なかった。仕方なく、ミチルはバスルームに向かった。

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風呂から出て、ベッドに入るミチル。ふと天井を見ると、赤い風船が漂っていた。ガバッと起き上がり、再び辺りを見回すミチル。しかし、いつしか風船は消えてしまう。

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「ごめん、電話に気付かなくて」と准也から電話があったが、彼女は逡巡した末に結局は何も話さなかった。そもそも、どうやってピエロのことを切り出せばいいというのだ。落ち着かぬ気持ちのまま、彼女はクロゼットを開けてみる。すると、うずくまっていたピエロが立ち上がり、彼女をベッドに押し倒した。
電話での沈んだ声が気になり准也はもう一度ミチルに電話してみるが、彼女は出なかった。気になった准也はミチルの部屋を訪ねてみるが、鍵は閉まっていなかった。不用心だなと思いつつ准也が部屋に上がると、そこにミチルの姿はなくベランダに出る窓が開け放たれ食卓の椅子が置いてあった。

投身自殺したミチルの葬儀の帰り道、入った喫茶店で話す同僚のユウ(佐倉絆)とマリ(涼川絢音)。ふとユウがカウンターの奥に目をやると、そこには表情なくミチルが自分たちを見ていた。ユウは、あえてそのことをマリに告げることをしない。

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会社の昼休み、川縁で弁当を広げているユウとマリ。「実は、准也君の話を聞いているうちに、彼と付き合うようになったの」とマリは言った。「あの人とは?」とユウが聞くと、「もう、不倫は卒業」とマリ。ユウは、表情を変えるでもなくマリの告白を淡々と聞きながら弁当を口に運んだ。ユウの左手首には、幾筋もの切り傷があった。
ユウの眼は、時折あちこちへと流れていた。その先には、青白い顔をした痩せぎす髭面の男(須森隆文)がいる。それがこの世の者でないことを彼女は知っている。マリには見えていないスーツ姿の男。
マリは話を終えると、大量の精神安定剤を飲み下した。

「私、幽霊が見えるんです」とユウは言った。ここは、徳永(竹本泰志)が開設しているカウンセリング・ルーム。テーブルに置かれたICレコーダーが、ユウの話を録音している。徳永は、彼女の話に耳を傾けている。

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ユウは、准也と関係を持っていた。実はあの夜もミチルが准也のマンションから帰ると、ユウは隠れていたシンクの物入れから出て、准也と情交していたのだ。ミチルの電話に准也が気付かなかった裏には、そういう事情があったのだ。
数日後の夜、ユウが部屋の冷蔵庫からペットボトルに水を出して飲んでいると、台所から表情のない顔でこちらを見ているミチルの姿があった。ペットボトルを取り落とし、彼女が寝室へと駆け込むと、天井には赤い風船が揺らめいていた。愕然と立ちすくむユウ。すると、ベッドの下からピエロが現れて彼女をレイプした。
ミチルが自殺したこともあって、ユウは准也と会うことをしばらく控えていたのだが、その間に准也はマリとできていた。
ユウは、傷ついた手首を包帯で巻き徳永のカウンセリングを受けている。彼女は、幼いころ親の虐待を受けたことで元々自傷癖があった。幽霊が見えるようになり、ミチルの一件もあって彼女の自傷癖は酷くなっていた。

ユウは、また准也と付き合い始める。准也の部屋にいると、突然マリがやって来る。ユウは慌ててシンクの物入れに隠れるが、准也に料理してあげようと食材を持ってきたマリがシンクの物入れを開けてしまう。
仕方なく出てきたユウに、マリは殴る蹴るの暴行を加えた。止めに入る准也に対しても、あんたのせいだろうとマリは聞く耳を持たない。

ユウの周りには、変わらず色々な霊が現れては消えた。彼女の自傷癖も一向に治らない。塞ぎ込み自棄気味のユウは、徳永に人生でつらい経験をしたことがありますかと尋ねた。もちろん、自分もつらい経験をしてきたがそれを乗り越えたからこそ今があると彼は答えた。
近寄って来た徳永の首に手を回すと、先生のことが好きと言ってユウは唇を押し付ける。驚き彼女の手をほどこうとする徳永に、彼女はさらに迫った。徳永は、ICレコーダーを止めると、そのままユウの体を抱いた。

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これを機会に、ユウは徳永と付き合い始める。すると、彼女の状態は安定して行った。ある日、ユウは徳永と川に来ていた。幽霊を見なくなったというユウに、「君は、もう治ったんだよ」と徳永。そして、「目をつぶってごらん」と言った。言われた通り目をつぶるユウ。彼女が再び目を開けると、そこには婚約指輪を差し出す徳永の姿があった。ユウは、彼のプロポーズを受ける。

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彼女は、幸せな暮らしを手に入れたかに見えたが…。

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OP映画夏の風物詩、2週間興行の怪談ホラー系ピンク映画である。今年は、満を持して山内大輔が担当した。元々、Vシネでスプラッター・ホラーを得意としてきた人なので、適材適所の人選だろう。

Jホラーのテイストをそのままピンク映画にトレースしたような演出にはキレがあり、なかなかの力作に仕上がっている。音楽の使い方やピエロや幽霊といった異形の者たちを登場させる展開は、スティーヴン・キングダリオ・アルジェントへのオマージュ風であるが、その一方で幽霊の造形には山内大輔の個性がしっかりと出ている。
ケイチャン扮するピエロが、わざわざ「ピエロ」という小さな看板を置いているところは何の冗談だと思わなくもないが、クロゼットやベッドの下から現れるシーンは古典的な仕掛けだが、かなりのインパクトである。
そして、冒頭での友田彩也香と櫻井拓也の絡みにしても、佐倉絆と竹本泰志の絡みにしても、ピンク映画の濡れ場としては力のある充実したシーンである。やはり、エロあってこそのホラーでなければ、ピンク映画としては本末転倒になってしまう。
巧みにいくつもの伏線を張り巡らせ、カットアップの如く時間軸を前後させる展開も謎めいていてスリリングである。

ただ、途中までは抑制された静けさの中にただならぬ禍々しさをたたえて物語は進んでいくのだが、やがて筋を追うこと自体があまり意味をなさなくなってくる。どこまでが現実の話で、どこからが幻想なのかが判然としなくなるのである。
もちろん、それはそれでありだと思うのだが、僕としてはしっかりストーリーの筋を通してほしかったというのが本音である。物語の素材としては十分にそれが可能だし、ピンク映画としてはその着地点で見せてほしいというのが本音である。残念だ。
ひょっとしたらOP PICTURES+でストーリーの補足があって筋がしっかりつながるのかもしれないが、このR18版では色んな細部が判然としない。まぁ、准也と徳永という不貞な男二人に弄ばれた女たちの怨恨譚には違いないのだが、徳永はともかく准也に関してはほとんどその人となりすら描かれないのもさすがにどうかと思うし、ピエロは何のメタファーなのか?というのもある。

本作は、役者陣の演技にも見るべきものが多い。中でも、2017年のピンク映画を代表する一人(出演作は5本で、そのうち4本が主役)と言っても過言ではないヒロイン佐倉絆の抑えた演技がとてもいい。ルックスもあって萌え系ロリーターな感じの役で起用されることが多い彼女だが、この作品では神経衰弱的に張り詰めたユウを体現するような説得力のある演技が素晴らしい。

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冒頭を飾る友田彩也香もさすがの安定感で、彼女が前半のうちにフェードアウトしてしまうのが残念に思えるくらいである。

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また、カウンセリング・ルームでの雰囲気がどこか山本圭のようにも見える竹本泰志や、若手の実力派櫻井拓也も存在感を見せている。
個人的には、涼川絢音の演技がいささか単調で彼女の芝居にもうひとインパクト欲しかったところである。

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余談ではあるが、特別出演の加山なつこの老婆の霊って色んな意味で凄いよね(笑)

そして、もう一つ僕が不満なのが幕の引き方である。川縁に二人並んで座っている幽霊メイクのユウとマリが何やらコントみたいだし、ボートに乗って去っていくピエロとアリサ(須藤未悠)の悪夢的ファンタジーな画が取ってつけたような印象だからだ。
その意味でも、もっと別なドラマ構築があったのでは…と思ってしまう訳だ。

本作は、ホラー・ピンク映画としてはかなりの意欲作である。
個人的には佐倉絆を発見した一本で、もっと彼女の出演作を見ておけば…と思ってしまった。
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